町人Aは逆ハーヒロインに狙われる 作:いちおう匿名。いちおう
でも安心して下さい!読めますよ!
カクヨムへれっつぎょ!
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(それを伝えようと更新しました)
原作アナスタシアside1です。どうぞ
優秀な平民もいる、頭ではそう理解してるつもりだった。
だが、高等学園の入学日に入試の席次を見た時には随分と驚いたものだ。何しろ平民と元平民が2位と3位にいたのだから。
我が公爵家の者が調べたところ、2位の男の方はアレンと言い、かなり貧しい地区の母子家庭に生まれのようだ。
幼いころから相当な苦労をして育ったが、史上最年少の飛び級で平民向けの学校を卒業し、さらには冒険者として荒事も経験しているらしい。
3 位の女はエイミーと言い、どうやらブレイエス男爵の落し胤だねで、それなりの援助が男爵家から行われていて人並みの生活は送っていたようだ。
加えて、【癒し】の加護を持っていることが分かり、急遽ブレイエス男爵家に母親ともども引き取られたという経緯らしい。
これらを総合的に考えると注意すべきは 2 位のアレンのほうだろう。貧しい家庭の出で冒険者など、普通に考えればこの高等学園に入学しようなどと考えるはずがないし、そもそも金銭面からできるはずもない。
我が公爵家の者が調べたところによると、アレンは幼いころから目利きが良く、露商店で二束三文で売られている魔道具を見つけ出してギルドで売却する……という行為を繰り返していたらしい。それも【鑑定】などの加護やスキルが一切ないにも関わらず、だ。
入学金を全て稼いだのではないかも知れないが、それでも最底辺の身分でありながらも莫大な入学金を払えたのは称賛に値するだろう。
成績に違わず優秀なようだが、裏があるかも知れない。当分は様子を見て注意しよう。
この高等学園には殿下をはじめとして隣国の王子や多くの貴族家の子弟が通う。そこで万が一のことが起きてはならないからだ。
二重の意味で、この男には細心の注意を払っておく必要があるだろう。
私は入学式の行われる講堂に友人たちと入場すると、最後列の隅の席に座るアレンをちらりと確認する。
こざっぱりとしてはいるが茶髪に茶色の目、どこにでもいる普通の平民だ。怪しさは見て取れない。
この平民がもし裏がなく本当に優秀な人材なら、卒業後に公爵家に雇い入れても良いかもな。
私がその平民を盗み見ている間、当の本人は何故か俯いたままだったが、私は視線に気付かれる前に着席することにした。私の席は最前列の殿下の隣だろう。殿下がいらっしゃる前に確保しておこうか。
****
……入学から一週間ほど経った。
私は間違っていた。危険なのはアレンではなく女のエイミーのほうだった! お互いに愛のない割り切った政略結婚とは言え、王太子殿下は私の婚約者だ!
それをベターベターと!
いくら学園の中とは言え、物事には限度というものがある。まだ殿下に話しかける許可すら得ていないのに自分から声を掛け、そして二言目には甘えた声で「カール様ぁ」などと言うとは。あの女は娼婦か何かだ!
しかし殿下は殿下でそれをお許しになり、諫める私の言葉には耳を傾けてさえ下さらない。
このまま殿下があのような女に誑かされ、骨抜き肉抜きにされてしまっては国が乱れてしまうだろう。エイミーの目的は不明だが、そうなった時にそのしわ寄せはやがてアレンのような民へと向かってしまうのだ。
平民からの優秀な人材を失うだけでなく、貴族として民の税金で恵まれた生活をしているのだから、私にはそれに対する責任がある。
誑かす方にも問題はありそうだが、エイミーの真意は定かではない。ここはやはり我慢強く、婚約者として殿下に諫言し続けるしかないだろう。
大丈夫、殿下だって愚か者ではない。根気強く説得すれば理解されるはずだ。
最初はそう思っていた。だが私の思いとは裏腹に事態は悪い方へ悪い方へとコロコロ転がっていってしまう。
初めての魔法演習の際、殿下は私に対する対抗心から魔力を暴走させ、エイミーに治療された。
……ここまではまだ良い。しかし、その後殿下は私の諫言を無視し、エイミーに対して甘言を掛けるばかりだった。
……だが、唯一の救いなのはエイミーが殿下しか目に映らないような盲目者ではないことだろう。
今やエイミーは殿下だけでなく、複数人の男と仲を深めているが、その内の1人はあの平民のアレンであった。ある放課後には、2人一緒に勉強を励む姿が見られた。
元平民同士ということで気があったのかもしれないが、エイミーは王妃の座を狙っているわけではない?とすると、エイミーは何の目的で殿下に近づいている……?
全く分からない。それが私の結論であり、結局何とかしようと焦りばかり募る。
そんな私の焦りは他所に、物事はさらに悪い方向へと転がっていくのだった。
****
その後、案の定ではあるがあの女への嫌がらせが始まった。私の周囲で友人が勝手に忖度して嫌がらせに加担しようとしていたのはやめさせた。友人以外の他の者にも注意したが、それでも嫌がらせは止まらない。
クラスの雰囲気は最悪となり、それを何とかしようと手を回すがどれも空振りに終わり、徒労感ばかりが蓄積していく。当のエイミーは嫌がらせを何の気にもしておらず、殿下らや平民と話す姿も相変わらずだ。
気疲れが増え、見回りによって勉強時間が減ったのが原因か、期末試験では満点を逃してしまった。ケアレスミスで選択肢を一つ間違えていた。またエイミーも490点を超えており、ほぼ私と同じ点数だ。
自信があり、平民のアレンには1位を奪われ、はっきり言ってプライドが大きく傷ついたが、それと同時に私は深く反省した。
勉強をするためにこの高等学園に入学したのに、それを疎かにしてまで殿下とエイミーの嫌がらせの事を何とかしようとあれこれ構っていたからこうなったのだ。
最悪な環境の中、この平民のアレンは黙々と努力を積み重ね、またエイミーとも勉強会を開き、切磋琢磨していたではないか。そして見事に 1 位の座を取って見せたのだ。
それに比べて私はなんと愚かだったことだろう。しょうもない事に時間を捨てて、点数まで失った。
そうして心から反省した私は、彼が教師にクラスメイトの前で表彰された時も素直に拍手することができた。
そう、色々と難しく考えていたことがとてもシンプルな話に思えてきたのだ。
まずは勉強に集中する。それで良いではないか。
元々殿下とは愛のない政略結婚だ。そして王族と男爵家の庶子では身分差を考えると結婚は不可能だ。ならば殿下の火遊びは放っておけばよい。最初から心を砕く必要すら無かったのだ。
そうしてすっきりした私は夏休みの自由研究について考える。もともと貴族に対する加点目的の課題であるから内容は何でも良いだろうが、さすがに私が殿下と共同で行わないというのは色々と問題がある。ならば殿下の行きたがっていた遺跡に行くのが良いだろう。
とすると、冒険者のガイドがあると心強い。公爵家の私兵でも良いが、遺跡は不慣れだろうし、家の力を利用したと思われかねない。
それに我がクラスにはちょうどいい人材がいる。ついでにどれだけ優秀か確認できるではないか。
そう思い至った私はアレンに声をかけたのだった。
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