遊戯王GX~GX世界に転生してデュエルアカデミアでカイザー達と同期になったんだけど、多分僕はモブだろう~(お試し版)   作:カイナ

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【注意】
これは三話連続投稿の三話目です。
もしも一話目、二話目を読んでいないまま間違えてここに飛んできた方は一話目あるいは二話目への移動をよろしくお願いいたします。


後編

「先攻は僕だ。ドロー! 僕はモンスターをセットし、カードを二枚セットしてターンエンド」

 

「へっ、相変わらずつまらねえ手だ。俺のターンドロー!」

 

 優介はモンスターと魔法・罠のセットという堅実な手でターンを終え、それを見た沼瀬は「つまらない手」と嘲笑してカードをドロー。

 

「俺は[ジャイアント・オーク]を攻撃表示で召喚し、バトルだ! ジャイアント・オークでセットモンスターを攻撃!」

ジャイアント・オーク 攻撃力:2200

 

 沼瀬の場に呼び出されたのは薄灰色の肌をした巨体のオーク。手にした棍棒をポンポンともう片手に軽く叩いて弄ぶオークは主からの攻撃指示を受けてセットモンスターに突撃。戦闘に入った事で姿を現したモンスターに棍棒を力強く叩き付ける。

 

[マッシュー]

 

 しかし守備モンスターはその柔らかい体で棍棒を受け止める。

 

「[マシュマロン]は戦闘によっては破壊されない! そしてマシュマロンの効果発動! 裏側表示のこのカードが攻撃されたダメージ計算後に発動し、このカードを攻撃したモンスターのコントローラーは1000ダメージを受ける!」

マシュマロン 守備力:500

 

[マローン!]

 

「なに!? ぐああぁぁぁっ!」LP4000→3000

 

 そして守備モンスタ──―マシュマロンは弾力性のある身体で逆にジャイアント・オークを弾き飛ばし、弾き飛ばされたジャイアント・オークが沼瀬に直撃。逆に彼のライフを削る結果に終わる。

 

「く、くそっ! バトルフェイス終了時、攻撃したジャイアント・オークは守備表示に変更される……俺はカードを一枚セットしてターンエンドだ!」

ジャイアント・オーク 攻撃力:2200→守備力:0

 

 高攻撃力のモンスターで先手を打ったつもりが相手のモンスターに被害はなく、逆に自分がダメージを受ける結果に終わった沼瀬は悪態をついてカードをセットしターンエンド。

 ジャイアント・オークは戦闘が終わったからと怠けてごろ寝を始め、高い攻撃力に反して低い守備力を露わにした。

 

「僕のターン、ドロー!」

 

 優介が勢いよくカードをドローし、ドローカードを手札に入れるとマシュマロンが光に包まれる。

 

「僕はマシュマロンを生贄に捧げ、[天空騎士(エンジェルナイト)パーシアス]を召喚!」

天空騎士パーシアス 攻撃力:1900

 

 光に包まれたマシュマロンがいた場所に出現するのは上半身は羽を纏った鎧を着た騎士然とした人間、下半身は白馬になった半人半馬の天空騎士。続けて優介が「バトル!」と宣言すると天空騎士は右手に握る剣を構えた。

 

「天空騎士パーシアスでジャイアント・オークに攻撃!」

 

「ぐぅっ!」LP3000→1100

 

 優雅かつ勇猛に突進した天空騎士の斬撃がごろ寝していたジャイアント・オークの首を断ち、さらにその剣の軌跡から生じた光の衝撃波が沼瀬に直撃、彼のライフを大きく削った。

 

「え? なんで守備モンスターを攻撃したのにダメージが……」

 

 

「天空騎士パーシアスには守備モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える効果があるんだ。さらにパーシアスの効果発動! このカードが相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動し、僕はデッキから一枚ドローする!」

 

 観客の疑問の声を拾った優介が説明。元々の攻撃力こそ低いが本来なら相手に戦闘ダメージを与えられない守備表示モンスターとバトルしてもダメージを与えるチャンスがあり、さらにダメージを与えれば手札を増やす事が出来る。優秀な効果を持つモンスターに観客が「おぉ!」と歓声を上げた。

 

「僕はリバースカードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 さらに伏せカードを一枚追加してターンエンドを宣言。沼瀬が勢いよくカードをドローした後、彼の場の伏せカードが翻った。

 

「永続罠[強化蘇生]発動! 自分の墓地のレベル4以下のモンスター一体を特殊召喚する! そのモンスターは、レベルが一つ上がり、攻撃力・守備力が100アップする! 戻って来い、ジャイアント・オーク!

ジャイアント・オーク 攻撃力:2200→2300 レベル4→5

 

 沼瀬の場に先ほど倒されたジャイアント・オークが再び出現する。だがその身体が、さっきのターンのマシュマロンのようにこちらは闇に包まれた。

 

「俺はジャイアント・オークを生贄に捧げ、現れろ! [偉大(グレート)魔獣ガーゼット]!!」

偉大魔獣ガーゼット 攻撃力:0

 

「攻撃力0……いや」

 

「その通りだ! 偉大魔獣ガーゼットの攻撃力は生け贄召喚時に生け贄に捧げたモンスター一体の元々の攻撃力を倍にした数値になる! ジャイアント・オークの元々の攻撃力は2200、よって!」

偉大魔獣ガーゼット 攻撃力:0→4400

 

「攻撃力4400……」

 

 偉大魔獣ガーゼットの纏うオーラが突如強まっていき、そのオーラに呼応するようにガーゼットの身体も巨大化していく。

 このデュエルアカデミアのオーナーである海馬瀬戸の最強モンスターと名高い青眼の白龍を上回り、その融合モンスターである青眼の究極竜に迫る攻撃力に優介は警戒を強くした。

 

「さらに魔法カード[ダブルアタック]を発動! 手札のモンスターレベル7の[可変機獣 ガンナードラゴン]を捨てる事で捨てたモンスターよりもレベルが低いモンスター一体はこのターン二回攻撃をする事ができる! 偉大魔獣ガーゼットはレベル6、よって二回攻撃の権利を得るぜ!」

 

 

「攻撃力4400の二回攻撃!?」

 

 観客がざわつく。初期ライフは4000、それを容易く消し飛ばす程のモンスターの二回攻撃など早々耐えられるものではない。

 

「バトルだ! 消し飛べ、天空騎士パーシアス!」

 

 主の指示を受けたガーゼットが動き出し、拳を勢いよく振り上げる。その拳に纏うオーラだけでもパーシアスなど簡単に消し飛ぶ程の威圧感があった。

 

「リバースカードオープン! 速攻魔法[エネミーコントローラー]! 相手フィールドの表側表示モンスター一体の表示形式を変更する!」

 

「チッ。俺はカードを二枚セットしてターンエンドだ」

偉大魔獣ガーゼット 攻撃力:4400→守備力:0

 

 しかし優介が発動したカードから出現したコントローラーのコードが伸びてガーゼットに刺さり、コントローラーがコマンド操作を行うようにボタンが押されると、ガーゼットは攻撃をやめて守備の体勢になった。

 それを見た沼瀬が舌打ちを叩き、カードを伏せてターンエンドを宣言する。

 

「待った。そちらのエンドフェイズに速攻魔法[サイクロン]を発動するよ! 僕から見て右の伏せカードを破壊する!」

 

 再び優介が発動したカードから巻き上がった竜巻が沼瀬の場の伏せカード[聖なるバリア-ミラーフォース-]を粉砕。強力な防御カードの場所を読み切って先手を打った優介に場が「おぉ!」と盛り上がった。

 

「僕のターン、ドロー!」

 

 そして優介はデッキからカードをドローするとモンスターを召喚するまでもないのかそのまま「バトル」と宣言。ガーゼットを指差した。

 

「天空騎士パーシアスで偉大魔獣ガーゼットを攻撃!!」

 

 偉大魔獣ガーゼットはその強大となる攻撃力と引き換えに守備力は0のまま変化する事はない。さらにさっきのターン、パーシアスが貫通効果を持つ事を見ていた観客が「これで特待生の勝ちだ!」と歓声を上げる。

 

「それはどうだろうなぁ!?」

 

 しかしそれを沼瀬が声を上げて否定、彼の場の伏せカード、先程サイクロンで破壊されなかったカードが翻った。

 

「守備表示の偉大魔獣ガーゼットが攻撃対象になった瞬間、トラップカード[ガムシャラ]を発動! このカードは自分フィールド上に守備表示で存在するモンスターが攻撃対象になった時に発動でき、その守備表示モンスターの表示形式を表側攻撃表示に変更する!!」

偉大魔獣ガーゼット 守備力0→攻撃力:4400

 

「っ!?」

 

 守備の体勢を取っていたガーゼットが起き上がり、攻撃体勢に変化。その攻撃力はパーシアスを大きく上回っており、このまま攻撃を仕掛ければ返り討ちの上に大ダメージは免れない。

 

「ガムシャラにはまだ効果がある! その戦闘によって攻撃モンスターを破壊し墓地へ送った時、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える!」

 

 攻撃表示モンスター同士のバトルでは攻撃力が低い方のモンスターが破壊され、さらにその攻撃力分の差のダメージが攻撃力の低いモンスターのプレイヤーに与えられる。

 それだけではなく破壊されたモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受けるというのはもはや実質ダイレクトアタックを受けるも同然。

 

「このままじゃ特待生は合計4400のダメージを受けて、逆転負けだ!?」

 

 

「その通り! そしてお前の手札にはあのカードはない! あったらさっきのターン、わざわざエネミーコントローラーなんかで防ぐ必要なんてないんだからな!!」

 

 沼瀬は優介の手札に逆転のカードはないと得意気に宣言、同時にガーゼットがパーシアスを優介ごと叩き潰そうとするように拳を振り上げ、沼瀬は「ひゃははは」と笑った。

 

「特待生だとかもてはやされておいて、入学初日から敗北スタートだ! そのまま底辺にでも落っこちやがれ!!」

 

「……それはどうかな?」

 

「……は?」

 

 得意気に笑う沼瀬に対し、優介は静かにそう啖呵を切った。

 

「たしかにさっきのターンまでは僕の手札に逆転のカードはなかった……だけど、今は違う」

 

「っ……ま、まさか、あり得ねえ!?」

 

 慌て始める沼瀬に対し、優介は焦ることなく左手に握っていた四枚手札の内一枚を、このターンのドローフェイズでドローしたカードを右手に取り、その()()()()()()()()を人差し指と中指で挟んで沼瀬に見せつけるように構えた。

 

「僕は手札の[オネスト]の効果発動!」

 

 

「な、なんだって!?」

 

「この状況でモンスターの効果を!?」

 

「しかも手札から発動するだって!?」

 

 その宣言に観客──主に優介のデュエルを知らないらしいイエローやレッドなどの外部入学組──が困惑に叫ぶがもはや止まることはなく、青色の衣をまとう金髪の天使が純白の翼を羽ばたかせ、半透明の姿になって優介の背後、彼に従うように出現。

 

「自分の光属性モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時からダメージ計算前までに、このカードを手札から墓地へ送って発動でき、そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする!!」

天空騎士パーシアス 攻撃力:1900→6300

 

「こ、攻撃力6300だとぉ!?」

 

 オネストが天空騎士に力を与えると天空騎士の背から翼が生え、金色の光を身に纏う。その光から発されるオーラはもはやガーゼットなど相手にならない。

 

「オネスティ・パーシアス・スラッシャー!!!」

 

 光のオーラが強まり、もはや光の槍となったパーシアスはガーゼットの身体を一直線に突き抜け、腹に風穴を開ける。ガーゼットは己の腹に空いた穴に信じられないとばかりに目を見開くが、その穴から徐々に身体中にヒビが広がっていくと「オオオォォォォッ!?」と悲鳴を上げ、ヒビが完全に身体中に広がると爆散。

 

「ぐああああぁぁぁぁぁっ!!!」LP1100→0

 

 その衝撃波がガーゼットの主たる沼瀬を呑み込み、そのライフは0を示す。

 即ちこのデュエルの決着、それを示すブザーも高らかに鳴り響いた。

 

 

 

 

 

「ば、馬鹿な……」

 

 デュエルが終わり、沼瀬は信じられないとばかりに目を見開く。沼瀬のライフが0を示しているのに対し、藤原のライフは4000。高い攻撃力による力押しのビートダウンを得意とする沼瀬だが、それをもってしても彼のライフを1ポイントさえ削る事が出来なかったという証明だった。

 

「そ、そんな……」

 

「嘘だろ……」

 

 両隣からどさりと膝をつく音が聞こえ、慌てて両端を見る。そこには沼瀬と同じようにデュエルディスクのライフが0を示し、膝をついている彼の取り巻きの姿があった。その向かいに立つのは丸藤亮と天上院吹雪。

 即ち取り巻き二名も特待生二名にやられたという事だ。それを理解すると同時、沼瀬は立ち上がる。

 

「ク、クソ! 覚えてやがれ!!」

 

 怒号を上げて彼らに背を向けて走り出し、進行先にいる生徒に対して「見せもんじゃねえぞ!」と八つ当たり染みた怒号を上げて邪魔になるなら力任せに突き飛ばして走り去る。取り巻き二人も「ま、待ってください!」と声を上げてそれを追いかけ、走り去っていった。

 それを見届けた後、優介は歩み寄ってきた亮と吹雪に目を向け、両手を上げる。二人も優介の上げた手に対応する側の手を上げ、三人は優介を中心にパチンとハイタッチを行った。

 

「入学初日、まずは勝利。幸先良いスタートだね」

 

「ああ。この調子でいこう」

 

「そうだね」

 

 優介の言葉に亮が僅かに笑みを浮かべて頷き、吹雪もにししっと笑う。

 その時、ぱち、ぱち、ぱち、と静かな拍手が聞こえてきた。

 

「見事なデュエルだったわ」

 

 同時に聞こえてくるのは女性の声、どこか色気を感じるねっとりとした声を聞いた優介はぞくりっと背筋に震えを走らせ、声の方を見る。

 

「ひぃっ」

 

 優介の喉からか細い悲鳴が漏れる。ゆっくりと拍手を続けながら、これまたゆっくりとデュエルスペースに上がってきたのは一人の少女。

 オベリスクブルーの女子制服に身を包んでいる、紫色の髪をツインテールにした、美麗な雰囲気と年齢離れした妖艶な色気を漂わせる赤眼の少女。その目は細く澄まされており、それはまるで己の獲物である蛙を捉えた蛇の如く。

 彼女は顔を青くして硬直した優介の前に立つ。彼の寮隣にいた亮と吹雪は訳が分からないという顔をしながらも、彼女から発される妙なオーラに圧されたのか数歩後ろに下がっていた。

 元々亮と吹雪を除けばデュエルスペースの上には優介と少女だけ、まるでこの二人だけの舞台であるかのように二人は向かい合う。もっとも優介の方は顔を青くして硬直しているどころか細かく震えているのだが。そして観客も何故か声を出す事さえ憚られるというように無言で二人を見守っていた。

 

「な、なんで、君がここに……」

 

「あなたのために、進学先をここに変えたのよ……ねぇ」

 

 どうにか震える声を漏らす優介にそう言い、少女は白魚のように美しい指で優介の頬を撫でた後、ぎゅっと優介を優しく、それでいて二度と離さないというように強く抱きしめる。

 

「私の愛しい人」

 

 そして少女は静かに、しかしここにいる全ての者に対して宣言するようにそう呟いた。




 初めましての方は初めまして、こんにちはの方はこんにちは。カイナと申します。
 本作はちょっと……というか大分前から構想していた「遊戯王GXの世界に藤原優介に憑依転生したけど、転生者は遊戯王GXを途中で見るのやめちゃったせいで藤原優介の存在を知らず自分をモブだと思い込んでいる」というネタを、今回はあくまでお試し版という事で思いついているところまで書いてみました。
 え、なんか変なフラグが立ってるって?まあここまでは思いついてるので……ここからどうしよ?(おい)

 そして連載を予定したい……と思ってはいるんですが、むしろ最近投稿してた短編シリーズの中でも連載したいのはやまやまといえるやつなんですが……終わりまで引っ張れるネタが思いつかん!!!
 三年目(十代達一年生)はセブンスターズ編でどうとでもなるとして、一年目二年目のどっちか一年は漫画版準拠でアメリカ・アカデミアとの戦いっていうネタが(三幻魔とか影丸理事長の計画とかの兼ね合いがどうにかなれば)あるし、そこは漫画版のデイビットとレジー以外のメンバーの代理をタイラー姉妹とかいざとなったらツァン・ディレとかレイン恵とかのTF外国人っぽい名前メンバーで埋めればどうにかなると思うんですが。もう一年メインとなるシリアスイベントが思いつかず……ってな感じです。
 そこさえどうにかなれば後は学生生活の中のサブイベントを埋めて本格的に連載に向けられるんですが……。

 まあその辺は思いつくかどうかなのであまり期待せずにお待ちください。
 では今回はこの辺で。ご指摘ご意見ご感想はお気軽にどうぞ。それでは。
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