エースコンバットZERO 傭兵たちの軌跡   作:メビウス1

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エースコンバット7の発表が来て思わず叫んだメビウス1。

PVを見た限り、オーシア、エルジアの国籍マークが有ったので、ほぼ間違いなくあの世界が帰って来たみたいですね。

いや、早く追加の情報が来てほしいです。




解放への鐘鳴

「首都ディレクタス解放戦備は整った。これよりウスティオ空軍第6師団とオーシア陸軍第32大隊による、首都奪還作戦任務の遂行を発令。

続いて、作戦詳細を令達する。ディレクタスは市内を横切るグレースケレ川を中心に5つに分かれた地域行政地区域で構成されている。この5地区には各所強力な兵器が配備されており、全体で、ベルカのウスティオ方面軍司令部を結成している。

今作戦の敵部隊殲滅はウスティオ全体の解放と同義であり我々の命運を分ける戦いでもある。

敵戦力は主に地上を中心に展開。未確認だが、周辺には強力な敵航空部隊が配備されているとの情報もある。

ディレクタスを解放すべく、ベルカ軍を殲滅せよ。全力 を尽くすのだ!」

 

 

 

 

 

1995年 5月13日 1500 ウスティオ空軍ヴァレー空軍基地 格納庫

いよいよ、首都解放作戦が実行する日が来た。

 

昨日、ソーリス・オルトゥスを解放したばかりであるが連合軍上層部はディレクタスの防衛が強化される前に解放作戦を結構するのを決定。

 

電撃戦を仕掛けることになった。

 

自分たちの首都解放作戦だけあってウスティオ正規軍の整備員たちはいつも以上のやる気を出し、出撃機の最終確認していた。

 

それはパイロットたちも一緒であった。

 

「ティオナ。あと、どのくらいで終わる?」

 

「10分あれば、終わるわ」

 

ギリアムとラリーのガルム隊の解放作戦に参加するため、二人はコックピットに入り、機体の最終確認していた。

 

今回の出撃機はガルム隊に加え、ヴァルキュリー隊、ディアブロ隊であり、ヴァレー空軍基地の最高戦力を投入。

 

特に最後の正規パイロットであるフォルド、コバヤシのディアブロ隊はブリーフィング時に凄まじい気迫で死んでもこの作戦は成功させると言っていたため、闘志は高いことがわかる。

 

《出撃準備中にすまない。基地司令のレオン・カーチスだ》

 

そんな中、放送が流れる。その声の主はこのヴァレー空軍基地司令のレオン・カーチスだった。

 

《いよいよ諸君らはこのウスティオの運命を掛けた作戦に参加することになる。この戦争が始まった直後に陥落した我々の首都を解放作戦である。開戦直後、我々はベルカの進撃を受け止めることができず首都ディレクタスと多くの兵士たちが失われ、絶望的な戦況であった。だが、そんな絶望的な状況下から今日、この日を迎えることが出来たのは多くの傭兵たちのお蔭である。金の為に戦う彼らであるが、彼らのお蔭でウスティオ軍は立ち直ることができた。ウスティオ軍の代表として、今日まで戦ってきた傭兵たちに感謝する》

レオンからの言葉を出るとは思っていなかった多くの傭兵たちは唖然とした。

 

基本、傭兵たちは直ぐにでも捨て駒にできる便利な存在である。

 

そんな傭兵に、しかも、基地司令から感謝の言葉が送られるとは誰も思っていないだろう。

 

だが、ギリアムはレオンらしいと思い、フッと笑う。

 

《そして、今日、この日。ウスティオ首都であるディレクタスの解放作戦を迎えることが出来た!恐らく、ベルカ軍は防衛陣地を完全に出来上がっていないだろう。だが、油断はできない!敵は此処が落ちれば、後がないと分かっている。そのため、激し抵抗が予想される。だが、諸君なら必ず、作戦の成功を導てくれると私は思っている!そして、必ず全機で帰還せよ!以上だ!各機、出撃!》

 

「「「オォォォォォォォ!」」」

 

レオンの演説が終わるとウスティオ正規兵、傭兵たちは叫ぶ。

 

それと、同時にティオナがコックピットに駆け寄る。

「あなた。機体の最終確認終わったわ」

 

「わかった。エンジン始動するぞ。離れろ」

 

「無事に帰ってきてね(チュ)」

 

ティオナはギリアムの額にキスをし、そして、軽く手を振り、機体から離れる。

 

それを見ていた人たちからかう声が上がる。

 

「リア充爆発しろ!」

 

「イチャイチャしすぎだ!俺たちのことを考えろ!」

 

「いつも甘すぎだ!誰かブラックコーヒーを」

「うるさい。そんなだから彼女ができないだぞ」

 

からかう声を受けたギリアムはそう言い返し、エンジンを始動。

 

同時にラリー機もエンジンを始動し、格納庫内に2機のイーグルのエンジンがうるさく鳴り響き、キャノピーを閉める。

 

《相棒。相変わらず仲がいい夫婦だ。お前らのせいで最近ブラックコーヒーが好きになっちまったよ》

 

「だったら、自分の女でも探したらどうだ?お前だったら直ぐに撃墜できるだろ?」

 

《傭兵だから、そんな出会いなんかあるか!そもそも、相棒みたいに結婚している傭兵の方が珍しいわ》

 

「言われてみれば確かにそうだな。…今、思えばティオナとの出会いもとんでもなかったな…さて、無駄話はここまでだ」

 

ラリーとの会話でティオナとの出会いを思い出したが、ゲートが開き始めたことに気付き、頭を切り替える。

 

計器類、機体の動作もしっかりと確認し、機体にトラブルがないことを確認。

 

そして、ゲートが完全に開き、管制塔から通信が入る。

《ヴァルキュリー隊、離陸を確認。続いて、ディアブロ隊滑走路の進入を許可する。ガルム隊。滑走路手前で移動せよ》

 

《ディアブロ隊了解》

 

「ガルム隊了解」

 

ガルム隊は格納庫から機体を出し、誘導路に入り、滑走路手前まで移動を開始する。

 

《ディアブロ隊離陸を許可する》

 

《ディアブロ隊了解。ディアブロ1、テイクオフ》

 

《ディアブロ2テイクオフ》

 

ガルム隊が滑走路手前に到着と同時にディアブロ隊がアフターバーナーを展開し、離陸開始。

 

2機のF-15Cは滑走路を掛け抜け、大空へと飛び立つ。

 

《ディアブロ隊離陸を確認。続いてガルム隊、滑走路の進入を許可する》

 

「了解」

 

管制塔から滑走路進入の許可が下り、ガルム隊の2機のF-15Cは滑走路に入る。

 

そこで、フッとギリアムは格納庫方面を見ると多くのウスティオ正規兵、傭兵。そして、家族が手を振っていた。

 

家族はともかく、ここまで多くの人達が見送りに来るのは初めての事であった。

 

《ここまで見送りに来るとはな》

 

「正規兵は自国の解放。俺たち傭兵は報酬金が出るかどうかの作戦だ。これだけ来てもおかしくない」

 

この作戦は自国の解放が決まるため、これほど多くのウスティオ正規兵たちが見送りに来ているのだ。

 

また、傭兵隊もまた、この解放が報酬金に大きく変わるため、集まっている。

 

《ガルム隊離陸を許可する》

 

「ガルム1了解。テイクオフ!」

 

《ガルム2テイクオフ》

 

ギリアムは一度、見送りに来ている人達の方を向き、敬礼をする。

 

そして、スロットルを上げると同時にアフターバーナーをON。機体は一気に加速し、そして、ふわりと浮きあがり、空へと飛ぶ。

 

《全機の離陸の確認。貴機らの幸運を祈る》

 

 

 

 

 

1995年 5月13日 1630 ウスティオ首都ディレクタス上空

《やっと…やっとここまで来たんだ》

夕日で赤く染まっているディレクタスの街並みを見た、コバヤシはそう言った。

《あぁ。俺たちの国を取り戻すぞ》

それに続き、フォルドもそう言った。

無理もないだろう。開戦当初に首都が陥落し、悔しさを持ちながらヴァレー空軍基地に逃げて来た。

 

だが、今日この日。やっと晴らす時が来たのだ。

 

「ガルム1からディアブロ隊へ。気持ちはわかるが、感情的になりすぎると墜ちるぞ」

 

《ガルム1の言う通りよ。それにここで墜ちたら元もないわ》

 

《ガルム1、ヴァルキュリー1わかっている。だが、少しでも俺たちの活躍で首都を解放したいだ》

 

ギリアムとリンはディアブロ隊に感情的になりすぎないように注意するが、やはる、首都解放とあって、あまり効果が無かった。

 

だが、彼らの腕も凄まじい勢いで上がっており、そう簡単に墜ちないと考えた。

 

《ベルカ制圧下である、ディレクタス5地区を解放しろ。作戦開始》

 

《サイファ―。作戦は成功する。戦局は常に俺たちの味方だ》

 

「あぁ。作戦を成功させるぞ、ピクシー」

 

《こちら、オーシア陸軍第32大隊だ。これより、ディレクタスに進行開始する!早速だが、航空支援頼む!前方の敵陣地にデカいのを頼む!》

 

「オーシア陸軍第32大隊…地獄の犬か。オーシアも最高戦力を入れて来たか」

オーシア陸軍第32大隊。通称、地獄の犬。

 

開戦当初、オーシアは準備不足もあり、ベルカの自国内侵入を許してしまう。一部領土を占領され、ベルカ軍の進撃前にオーシア軍は次々と敗走していた。

 

しかし、それを止めた大隊が出現した。

 

ビーセント・ハーリング大佐が指揮を執る第32大隊であった。

進撃して来る、ベルカ軍を向かい撃ち、一瞬の隙を突き、第32大隊は突撃を開始。

文字通りベルカ軍の陣形を食い破ったのだ。

 

これによりベルカ軍は大打撃を受け、撤退を開始した。

 

しかし、第32大隊は追撃戦を仕掛け、そのままオーシア領から追い払ったのだ。

 

第32大隊の突撃と、執念の追撃を見たベルカ軍とオーシア軍は地獄の犬と呼ばれるようになり、オーシア軍の主力部隊の一つになった。

 

この地獄の犬を投入したことはオーシア軍も本気を出していることになる。

 

《了解。ディアブロ2行くぞ!》

 

《了解!》

 

第32大隊の要請を受け、ディアブロ隊は早速、降下し、第1地区の手前にある防衛陣地にそれぞれ、一発ずつ投下。

 

道を塞いでいたバリゲートは吹き飛び、周りにいた兵士たちも何人か巻き込まれる。

 

《上空の味方機支援感謝する!よし!全軍突撃開始!第1地区を一気に解放するぞ!》

 

防衛陣地が破壊されたのを確認した、第32大隊は戦車を先頭に突撃を開始。第1地区に目指し突撃を開始した。

 

「ディアブロ隊に遅れを取る訳にはいかない。ガルム2!ディアブロ隊に続くぞ!ガルム1、エンゲージ!」

 

《了解サイファ―!ガルム2エンゲージ!》

 

ディアブロ隊の後に続くようにガルム隊も降下を開始。地上の目標を探す。

 

今回もまた、ガルム隊の兵装は前回と一緒であり、UGB二発と他全て対空ミサイルを装備している。

 

「ガルム2。町には多くの市民たちがいるかもしれん。町の外にいる敵を叩くぞ」

 

《了解だ。サイファー》

 

町にはまだ、多くの市民たちがいるため、下手にUGBを投下するのは危険だと判断し、

町の外に展開している敵部隊に狙いを定め、目標を探す。

 

「いた」

 

そして、ギリアムが見つけたのは砲撃陣地であった。

 

どうやら、まだ、配置には付いておらず、兵士たちが動きまくっているのが確認できる。

 

「撃つ前に叩く」

 

第32大隊の一部は既に第1地区に入っているが、後続の部隊はまだ進入していない。

 

動く前に破壊しなければ、後続部隊に大きな損害が出てしまう。

 

ギリアムはすぐさま、インメルマンターンで180度反転し、急降下に入る。

 

そして、ピバーに砲撃陣地を捉えた瞬間、UGBを投下させ、機体を水平に戻す。

 

投下されたUGBは見事に砲弾が置かれている所に命中。UGBと砲弾が派手に爆発を起こし、他の砲弾にも誘爆。

兵士は、その爆発から逃げる術もなく砲撃陣地と共に消し飛んだ。

 

《砲撃陣地がやられた!?》

 

《オルトゥスが落ちたのは昨日だぞ!奴らもう攻めてきたのか!?》

 

《いいから迎撃だ!出せるヘリを全て出せ!此処が落ちればもう後が無いだぞ!》

 

《悪いな。ヘリを飛ばせる訳にいかないだ》

 

第3地区から少し離れた所にあるヘリポートから、戦闘ヘリが飛び立とうとする。

 

その前にラリーはUGBを投下し、弾着。

飛び立とうとしていたヘリは爆風に巻き込まれ、墜落。

 

その周りに着陸していたヘリも爆発に巻き込まれ破壊される。

 

《こちら第1地区!もう持ちません!撤退の許可を!お、おい!お前ら勝手に…うわぁ!》

 

《こちら第32大隊。敵が逃走を開始!第1地区は解放した!残りの地区も解放するぞ!》

 

そこに第32大隊から第1地区を解放したという知らせが入る。

 

第32大隊が突撃をしてから僅か10分足らずで第1地区を解放した知らせを受けたギリアムは驚く。

 

「もう第1地区を解放したのか…」

 

《地獄の犬とはいえ早すぎる。ベルカの奴ら指揮系統に混乱が起きているのか?》

 

いくら、地獄の犬とは言え、余りにも早すぎるベルカ軍の撤退にラリーは指揮系統に混乱が起きているのかと考えていた。

その読みは当たっていた。

 

《誰か中将を見た者はいないか!》

 

《部屋にもいないぞ!まさか、逃げ出したんじゃ!》

 

この時、ベルカ軍指揮官は指令室に来ておらず、指揮系統がまったく持って機能していなかった。

 

そのため、ベルカ軍は各自の判断で動いている状態であり、各部隊との連携が取れずにいた。

 

《こちら第2地区!味方の航空機はまだ来ないのか!?》

 

《こちら第204飛行隊だ。今、到着した》

 

《第14飛行隊だ。これより援護する》

 

指揮官不在の中、ベルカ軍の希望は一つしかなかった。

 

そう、伝統あるベルカ空軍である。

 

ディレクタス攻撃を受け、ベルカ空軍は付近の空軍基地にスクランブルを発動させており、その飛行隊が今、ディレクタスに到着。

 

8機のMiG-29が編隊を組みながら、接近していた。

 

《ベルカ戦闘飛行隊接近!ヴァルキュリー隊。迎撃に当たれ》

 

《ヴァルキュリー隊了解!各機、行くぞ!》

 

《!()()

 

敵の航空戦力に備えていたヴァルキュリー隊は敵編隊の迎撃に向かう。

 

ギリアムも残り1発のUGBを投下し、ヴァルキュリー隊の援護に向かうため、地上目標を探す。

 

そして、第1地区から撤退している装甲車を見つけ、一度フライトパス。

 

いつも通りに、インメルマンターンで高度を上げながらUターンし、降下を開始。

 

装甲車の進路方向に爆弾を投下し、機体を水平に戻す。

 

投下した爆弾は装甲車には命中せずに手前に落ちたが、タイヤを潰したらしく、中から搭乗員たちが慌てて逃げ出すのが確認できた。

 

《ガルム2、爆撃終了》

 

同じタイミングで、ラリーも爆撃を終了。

これでガルム隊は爆撃を終え、対空に切り替える。

 

「ガルム隊、空爆を終了。これより、制空権の確保に入る」

 

《ヴァルキュリー1!ちょうどよかったわ!A-10とSu-27が1機ずつ抜けられた!》

 

リンからいきなり、そのような報告が伝えられ、ギリアムたちは驚く。

イーグルアイからそのような報告が来ていないためである。

 

《こちらイーグルアイ。レーダーには敵機の反応はない》

 

《低空から接近してレーダーを避けて来たのよ!気付いて迎撃したけど、2機は抜けられた》

 

どうやら、先に到着したベルカ飛行隊は囮らしく、本命は低空から接近していたらしい。

 

ヴァルキュリー隊はそれに気づき、迎撃したが、2機は抜けられたらしい。

 

しかし、レーダーに映っていないに状況下で、2機まで押させたのは十分すぎる活躍である。

 

《こちら第3戦車中隊!ベルカ攻撃機に狙い撃ちされている!誰か奴を墜してくれ!》

 

「こちらガルム隊。了解した。今向かう。ガルム2、行くぞ」

 

 

《了解!》

 

だが、突破した機は既に第4地区に進行している第4戦車中隊に攻撃を仕掛けているらしく。援護要請がはいる。

 

ガルム隊は直ぐにスロットルを上げ迎撃に向かう。

 

《見えた…結構やられているな…》

 

抜けた、A-10とSu-27が目視で確認できる距離まで接近。

 

既に援護要請を出している第4戦車中隊は3両やられたらしく、炎上していた。

 

「ピクシー。フランカーは俺がやる。A-10は任せた」

 

《了解だ。サイファー》

 

ギリアムはSu-27に狙いを定め、ラリーはA-10を狙いに行く。

 

《くそ!敵機だ!援護を頼む!》

 

《了解。今、行く》

 

《相棒!》

 

「行かせるか」

 

ラリー機に気付いた、Su-27はA-10の援護に向かおうとするが、ギリアムがSu-27をロック。短距離AAMを発射。

 

A-10の援護を諦め、フレア、チャフを射出しながら右急旋回する。

 

ハンス粒子は連合軍によって散布されているため、AAMはSu-27に命中せず、明後日の方向に飛んでいく。

 

だが、元よりミサイルの撃墜を当てにしていないギリアムは直ぐにSu-27の後ろを取る。

 

《このイーグル…今噂のウスティオの傭兵か!?》

 

《こっちは片羽の妖精かよ》

 

ラリーもA-10の後ろを取り、追撃に入る。

 

しかし、A-10のパイロットはかなりの手慣れのようで、ラリー機に狙いを定められないように回避機動を取り、狙いが完全に離れた時は一気に減速してオーバーシュートを決めようとする。

 

一方、ギリアムが後ろを取った、Su-27も過去に戦ったエース達には劣るものの、それなりの強さを持っているパイロットであった。

《くそ!いい加減に!》

 

「良い機動だ…だが」

 

Su-27は一度バレルロールし、急降下。ギリアムも距離を一定に保ちながら、後を追う。

 

高度計の数字は凄まじい勢いで下がっており、地面も迫ってくる。

《くそ!》

 

Su-27はギリギリの所で機体を水平に戻すが、それを読んでいたギリアムはその直前に減速。

機首をSu-27の進路上に向け、ガンサイトに完全に捉え、トリガーを引く。

20mバルカン砲から放たれた弾は吸い込まれるようにSu-27に命中。

 

燃料タンクを貫き、引火。Su-27は爆散した。

 

《ガルム2、FOX2》

 

必死に逃げていたA-10をロックしたラリーはAAMを発射。母機から放たれたAAMはの目標であるA-10に向かって突き進む。

 

追って来るミサイルを回避しようとフレア。チャフを射出。加速しながら機体を右90度に回転させ、右急旋回。AAMを回避する。

 

だが、ラリーの本命はこれではない。

 

《もらった!

 

《しまった!?》

 

 

回避ために加速した結果、旋回円が大きくなる。

ただでさえ、機動力が余りないA-10にとってこれは致命的であった。

 

ラリーはその隙を取り、本命であるバルカン砲を数発撃ち込み、何発か命中した。

 

普通の戦闘機であれば、撃墜レベルの被弾をしたが…

 

《…さすが、攻撃の名機だな。今の喰らってまだ飛べるか》

 

A-10は健在であった。

 

黒煙を出しているが、未だに飛行していた。

 

しかし、致命的なダメージを受けたらしく、高度が徐々に落ち始めていた。

 

そこで、ギリアムはあることに疑問に思った。

 

「(ベイルアウトしないのか?)」

 

高度が落ちているが、機体のバランスは取れているため、脱出の条件は揃っている。

 

だが、A-10のパイロットはベイルアウトしていない。

 

脱出装置がやられたのか考えていたが、A-10が少しずつであるが、左に旋回していうことに食気付き、ギリアムはある答えに辿りついた。

 

「あのパイロット市街地に墜ちないようにしているのか!」

 

A-10の現在の進路だと市街地に墜ちる。

 

A-10のパイロットは市街地の墜落を避けるまで、ベイルアウトしないつもりだろう。

 

おそらく、機体のコントロールももうまとも利かないだろう。

 

なければ、とっくに市街地の墜落コースから離れている筈だ。

 

「くそ!」

 

A-10の意思に気付いたギリアムは直ぐに、A-10の後ろを取り、ロックオン。

 

そして、無線を全周波数に入れ、A-10のパイロットに聞こえるようにする。

 

「A-10のパイロット!機体はこっちで破壊する。ベイルアウトしろ」

 

ギリアムが無線でそう叫んだ後、A-10のキャノピーは飛び、パイロットが機体から射出され、ベイルアウトする。

 

それを確認したギリアムは、確実に破壊するため、AAMを二発、発射。

 

無人となったA-10に二発共にAAMは命中。

 

機体は空中で爆散し、砕け散った残骸も市街地に落ちていなかった。

 

「どうにかなったか」

 

市街地に被害が無いことを確認したギリアムは、今度はベイルアウトしたパイロットを見ると無事にパラシュートを開き、ゆっくりと地上に投下していた。

 

パイロットはギリアムの視線に気付いたのか、敬礼をしていた。

 

ギリアムも返すようにパイロットに向かって敬礼をする。

 

 

《まったく。たまに甘い所があるな、相棒》

 

「それは、あのA-10のパイロットも一緒だ。占領下であるが、敵地の市街地に落ちないようしていたからな」

 

《こちら第3戦車中隊!上空の味方機、恩を切る!…鐘の音?》

 

A-10を撃墜し、第3戦車中隊から礼の追伸が入るが、その後ろで鐘の音が鳴っていることにギリアムは気付く。

 

戦車中隊の隊員たちも気付いたらしく、一体何が起きているのかを状況確認の指示を出していることも無線の後ろから聞こえた。

 

しかし、その鐘の音の正体は直ぐに分かった。

 

第二地区に突撃している兵士の通信で。

 

《市民たちが…市民たちが立ち上がった!ベルカ軍を追い払って鐘を鳴らしている!》

 

それは市民たちが立ち上がったと言う物であった。

その通信の後ろでも鐘の音や、市民たちの声が良く聞こえている。

 

《おい!民間人は避難を…なっ!よせ!やめr…うわぁぁぁ!》

 

《街を取り戻せ!今こそ立ち上がる時だ!》

 

《自由の鐘の音を響かせろ!街中聞こえるように!》

 

「今日まで溜まっていた不安が連合軍の進軍で爆発したか。この戦闘の勝敗は見えたな」

 

ギリアムの言う通り、ベルカによって占拠されたディレクタスの市民たちは不安が溜まっていた。

 

それに気付かず、放置していたベルカ軍はこの時点負けが決まっていただろう。

 

そして、連合軍の進行を受け、市民たちの不安が一気に爆発。暴動に繋がった。

こうなってしまえばもはや、止める手段などない。

 

《こちら、第3地区!市民たちが暴動を…おい!よせ!やめろぉぉぉ!》

 

《こちら第4地区!こちらでも市民たちが暴動を起こした!とてもじゃないが、防衛線を維持するのは無理だ!》

 

《ベルカを追い出せ!ここは俺たちの街だ!》

 

市民たちの暴動は広がってゆき、ベルカ軍の防衛線は崩壊を始めた。

 

そこに、ベルカ軍にとって新たな悲劇が襲う。

 

最初に異変に気付いたのはラリーであった。

 

《ガルム1。3時方向に新たな車両群を確認》

 

「3時方向?そっちの方向には何も居ないはずだ」

 

ラリーが見つけたのは謎の車両群であった。その方向は事前情報からは敵味方居ない筈である。

 

《偵察部隊の見逃しか?とにかく、イーグルアイに報告を》

 

所属不明の車両群のことをイーグルアイに知らせようとした時であった。

 

突然全周波数で無線が入り、そこから1人の男の声が届く。

 

《こちら、ウスティオ陸軍。第1大隊だ。この時をずっと待っていた…これより、我が第1大隊は連合軍と共にディレクタスを解放する!》

 

《第1大隊!?生きていたのか!?》

 

「第1大隊…確か、ディレクタス防衛戦で全隊員がMIAになったはず」

 

ウスティオ陸軍第1大隊。その名を聞いた正規組のディアブロ隊、イーグルアイは驚く。

 

ギリアムが言った通り、第1大隊はディレクタス防衛戦に参加。当時のベルカ軍相手に互角に戦闘していたが、ディレクタス陥落以降連絡が取れず、MIA扱いにされた。

 

その第1大隊が今になって姿を現した。正規組では驚いても仕方無いだろう。

 

《こちら、オーシア陸軍第32大隊だ。既に第1、2地区は解放した。現在、我が方は市民たちと共に第3地区を攻略中だ。そちらは残った第4、5地区を頼む》

 

《オーシア陸軍第32大隊…地獄の犬か!活躍は聞いている!共に戦えて光栄だ!よし!お前等いくぞ!GO!GO!》

第1大隊も速度を上げ、第4、5を目指して進撃を開始した。

「勝ったな…」

 

《あぁ。今のベルカに防ぎ切れる筈が無い》

 

指揮官不在による指揮系統の混乱。市民たちの暴動。

 

頼りの航空隊もガルム隊、ヴァルキュリー隊によって完全に止められている。

 

「あと少しだ。ヴァルキュリー隊の手伝いに行くぞ」

 

《了解だ。相棒》

 

ギリアムとラリーはベルカ機と交戦している、ヴァルキュリー隊の援護に向かい、この作戦の総仕上げに入るのであった。

 

 

 

 

 

市民たちが暴動を起こす少し前。

 

第3地区にあるヘリポートに離陸寸前のCH-47。

 

そして、その機内にパイロットに向かって大声を上げる男がいた。

 

「早く飛べ!ディレクタスは墜ちた!」

 

この大声を上げている男こそ、ディレクタスの指揮官である中将であった。

 

彼は連合軍の進行を開始と聞くなり、直ぐにヘリを用意し、逃げようとしていたのだ。

 

「ですが、まだ味方が戦闘中です…」

 

パイロットは味方を残して、逃げることに罪悪感を持っているため、中将にそう言いうが、中将はさらに大声で言い返す。

 

「だったら貴様はここで死ぬか?それとも捕虜になるか?そうなりたくなければ飛べ!」

 

「は、はい!」

 

死ぬか、捕虜になるか。

 

そう問われた時。一瞬にして罪悪感が消え、気の離陸を開始させる。

 

ローターの回転がさらに上がり、機体は浮き上がり、高度を上げる。

 

「(たとえ、ディレクタスが落ちてもまだ、ハードリアン・ラインがある。それに、もうじき例の砲台も完成する。衛星も既に配備済み。ここが落ちてもベルカはまだ戦える。)」

 

ディレクタスが落ちれば、連合軍は何らかの理由を付けて、ベルカ本土の進行を開始するだろうが、国境沿いにはベルカ最大の防衛ライン『ハードリアン・ライン』が存在する。

 

また、弾道ミサイル迎撃砲台も後、数日で完成であり、それを攻撃用にする衛星も既に打ち上げられており、連合軍の進行を万全な状態で向かい撃つ用意は既にできている。

 

「(それにハードリアン・ラインにはグラーバク隊もいる。もしかしたら、例の砲台使わず済むか…)」

 

既に中将の頭の中にはディレクタスのことなど消えていた。

 

自分が脱出に成功したと思っているからだ。

 

しかし、それはただの思い込みであり、機体ははまだ戦場の中を飛行している。

 

そして、それが思い込みだと気付かせる

 

《逃がすか!》

 

中将が乗っているCH-47に向かって来るF-15。

 

ディアブロ2である。

 

普段の彼であれば、撤退する非武装のCH-47を見逃していただろう。

 

だが、今回は違った。

 

まるで、鬼のごとくの気迫で中将が乗っているCH-47を狙っていた。

 

何故、彼がこうなってしまったのか。

 

それは、とある無線を拾ったからである。

 

その内容は。

 

 

《中将が俺たちを置いてヘリで逃げた!》

 

と言う無線を。

 

実はこの無線は、部下たちを置いて逃げた中将を目撃したベルカ軍兵士が激怒し、オープンチャンネルで叫んだものである。

 

《今まで、市民たちを苦しみた報いを受けろ!》

 

コバヤシはCH-47にロック。

 

何のためらいもなく、発射ボタンを押し、AAMを発射。

 

AAMは真っ直ぐとCH-47に向かって行く。

 

「回避しろ!」

 

「間に合いません!」

 

中将はパイロットに回避指示を出したが、帰って来たのは悲痛な物であった。

 

「私がここで死ぬはずがない!私は、私は!ベルカの―――」

 

 

栄光ある軍人!

 

 

中将はそれを言い切る前に、AAMがCH-47に命中。

 

パイロットと中将は炎に包まれ、一瞬にしてこの世から去り、CH-47は爆散した。

 

 

 

 

 

「ガルム1、1機キル」

 

《今のが最後だ》

 

《相変わらずいい腕してるわ。ティオナさんが惚れたのがわかるわ

 

ギリアムが最後のSu-27をバルカン砲で右主翼を撃ち抜き、撃墜する。

 

これにより、ディレクタスの空はウスティオ軍機しかいなくなった。

 

《こちら地上部隊。全地区の解放に成功!上空の味方機!市民たちの歓声聞こえるか!》

 

一方、地上もオーシア陸軍第32大隊とウスティオ陸軍第1大隊によってベルカ占領下であった全地区を解放。

 

その知らせを伝えた通信には市民たちの喜ぶ声や、鐘の音も入っていた。

 

《…街は連合軍に落ちた。動ける者から退路を開け》

 

《負けた…ベルカは…俺たちは負けたのか…》

 

今回の戦いで敗北したベルカ軍は撤退を開始。

 

破壊されなかったトラック、IFVに乗り込み、大急ぎで撤退の準備に取り掛かっていた。

 

もはや、連合軍の勝利は確実な物になった。

 

だが、イーグルアイからある通信が入る。

 

《警告!警告!敵増援部隊が接近!》

 

《今更かよ》

 

今になって敵の増援部隊。

 

既に地上部隊は撤退を開始しており、ディレクタスは完全に連合軍が取り戻している。

 

余りにも遅すぎる増援部隊であった。

 

《機影は2機!高速で接近中!》

 

《ここは俺たちが相手しよう》

 

「あぁ。ディアブロ隊、ヴァルキュリー隊は下がれ」

 

《ヴァルキュリー隊了解》

 

《こちらディアブロ2!まだ戦える!》

 

ギリアムはヴァルキュリー隊、ディアブロ隊に下がるように指示を出す。

 

コバヤシがそれに反論する。

 

「ディアブロ2!自機の状況くらい確認しろ。ミサイルも弾も無いだろう?」

 

《ガルム1の言う通りだ!俺たちの装備は使い果たしている。ここはガルム隊に任せるのが適任だ》

 

今回、ディアブロ隊の装備はほぼ爆装の上に対地攻撃時にバルカン砲も使用したため、対空兵装はほぼ弾切れ寸前である。

 

それをギリアムとフォルドから言われ、やっと気付く。

 

《…ディアブロ2了解》

 

《ガルム隊!後は任せた。俺たちの首都の制空権を取り戻してくれ!》

 

コバヤシは渋々後ろに下がり、フォルドもギリアム達に後を任せ、後ろに下がる。

 

「任せろ」

 

《敵機視認!スホーイだ》

 

ディアブロ隊が後方に下がると同時に2機のSu-37が高速で接近してくるのを目視で確認する。

 

《今までの奴より早い!迎撃開始!》

 

「ガルム1、FOX2!」

 

《ガルム2、FOX2!》

 

まず先手を取ったのはガルム隊であった。

 

Su-37をロックし、短距離AAMを発射。

 

白い雲を引きながら目標へと向かって行く。

 

Su-37は互いにクロスしそのまま編隊を解き、フレア、チャフを射出。AAMを回避する。

 

《街は既に落ちているようです》

 

《遅かったか…だが、ただでは帰る訳にはいかん。あの2機をやるぞ、ゲルプ2》

 

《了解ゲルプ1》

 

AAMを回避した、Su-37。ゲルプ1、2はガルム隊のF-15Cをロックし、お返しと言わんばかりにAAMを2発ずつ発射する。

 

「くっ!」

 

ギリアムはミサイルアラートが鳴る中で機体を急降下させ、加速。

 

体に凄まじいGが掛かるがそれを耐え、さらに加速。

 

そして、フレア、チャフを射出。

 

高度を上げながら右急旋回し、AAMを回避する。

 

「敵機は…?!」

 

AAMを回避したがギリアムは回避行動の際にSu-37を見失い探そうとした時、上から突っ込んでくるSu-37に気付き、ほぼ無意識で左に急旋回。

 

その直後に、元居た場所にはバルカン砲の雨が降り注いだ。

 

《今のを避けるか…ゲルプ2気を付けろ。こいつら噂のウスティオの傭兵だ。気を抜くとこっちがやられるぞ》

 

《こいつらが…》

 

ギリアムの真上から攻撃を仕掛けたゲルプ1はそのままギリアムの後ろに付く。

 

「ガルム2!気を付けろ。こいつら間違いなくエースだ」

 

《わかっている。だが、後ろを取った!》

 

一方、ラリーはAAMを回避した後、ゲルプ2に一時的に後ろを取られていたが、隙を突き、オーバーシュートを決め、ゲルプ2の後ろに付くことに成功する。

 

Su-37をロックし、AAMを撃とうとした。だが…

 

《ロックアラート!?何処からだ!?》

 

突然、ラリー機のコックピット内にロックオンアラートが鳴り響く。

 

敵機は2機だけであり、1機はギリアムとドックファイト中。

 

もう1機はラリーの目前にいる。

 

一体、何処からロックされているのか。

 

ラリーが周りの状況を確認しようとした途端、ミサイルアラートに変わり、目の前にいるSu-37からミサイルが発射される。

 

機体の後ろから。

 

《なっ!》

 

まさか、後ろ向きでAAMを発射されるとは思っていなかったラリーはであったが、すぐさまバレルロールでAAMを回避するが、目の前にいたSu-37はクルピット機動を利用し、180度反転。

バルカン砲を撃って来る。

 

ラリーは右急旋回し、それを避けるがドックファイトは振り出しに戻る。

 

《気を付けろ相棒。こいつら予想外のことを平然とやってくるぞ》

 

「見たいだな…くそ!」

 

ギリアムは未だにゲルプ1振り切れずに回避機動を続けていたが、再度ロックオンアラートが鳴り、それは直ぐにミサイルアラートに変わる。

 

「ツッ!」

 

ギリアムは機首を下げ、螺旋状に降下するスパイラルダイブに入る。

 

その際に強いGを受け、視界が暗くなりブラックアウトを引き起こしそうになるが、それを耐え、フレア、チャフを射出。

 

AAMを回避する。

 

《逃がさんぞ。ウスティオ傭兵》

 

「まだ、付いて来るのか」

 

AAMを回避したが、ゲルプ1は未だに、ギリアム機の後ろを取っていた。

 

そのしつこさに相手のパイロットの腕に高さが良くわかる。

 

しかし、このままではこっちが、やられる。

 

ギリアムはどうにかして、カウンターマニューバが相手を振り切れたい所である。

 

「そろそろ離れろ」

 

スパイラルダイブで落とした高度を上げるため、インメルマンターンで高度を上げ、反転した後にバレルロールを2回転し、次に速度を落としつつ、右急旋回。

 

オーバーシュート決めようとしたが、ゲルプ1はハイ・ヨーヨーでオーバーシュートを回避する。

 

「これもダメか…」

 

オーバーシュートが失敗した、ギリアムはスロットルを上げ、シザーズで行いながら速度を上げる。

 

その時にバルカン砲が機体を掠れ、ギリアムは冷や汗をかく。

 

《ゲルプ1!ブレイク!ブレイク!》

 

《ガルム1!今だ!振り切れ!》

 

ギリアムは次の手を考えながら回避移動をしていたが、ラリーが敵機に追撃されながらも、真上からゲルプ1のSu-37にバルカン砲を撃ち込む。

 

ゲルプ2の警告を受けた、ゲルプ1咄嗟に右急旋回で攻撃を回避するが、ギリアムはその隙を突き、ゲルプ1を振り切る。

 

《隊長!無事ですか!?》

 

《ゲルプ2!前に集中しろ!相手は片羽だぞ!》

 

《貰った!》

 

隊長が攻撃されたことにより、ゲルプ2の意識は一瞬であるが、ラリー機を意識から外した。

 

そして、ラリーは僚機が攻撃を受け、意識がそっちに一瞬でもあるが向くと考えて一気に減速。

 

ゲルプ2のSu-37はオーバーシュートしてしまう。

 

《しまった!?》

 

《ロックされる前にやる!》

 

ロックされる前にSu-37を撃墜するため、ラリーは前に出たSu-37を狙いを定めずに、ガントリガーを引いた。

 

余り狙いを定めずに撃ったが、弾は両エンジンに2発ずつ命中し、エンジンは停止

 

推力を失ったSu-37は火を噴きながら、高度を落としていく。

 

 《ゲルプ2被弾した!》

 

《脱出しろ!ゲルプ2!命令だ!》

 

《しかし!》

 

《命令だと言っただろう!脱出しろ!》

 

《すみません隊長…どうかご無事で》

 

ラリー機の攻撃が命中したSu-37のキャノピーが飛び、機体からパイロットが打ち出される。

 

そしてパラシュートが開き、ゆらゆらと地上へと降りてゆく。

 

その直後に燃料が引火したらしく、無人となったSu-37は爆発し、機体はバラバラになる。

 

《負けを認めるにも時間が必要だ》

 

《相棒。すまない。今ので弾が尽きた》

 

ゲルプ2を撃墜したガルム2であったが、バルカン砲、AAMを全て使い果たしていた。

 

「ガルム2、下がれ。こいつは俺がやる」

 

《わかった。後は任せた》

 

ラリー機も後方に下がり、残ったのはギリアムとゲルプ1だけである。

 

ギリアムは振り切ったゲルプ1を発見し、素早く後ろを取る。

 

しかし、直ぐにロックオンアラートが鳴り響くとが、同時にギリアムも敵機をロック。

 

そして、両機は同じタイミングでAAMが発射する。

 

「くそ!」

 

《くっ!》

 

ギリアムはバレルロールでAAMを回避し、ゲルプ1はフレア、チャフを射出しながらシャンデルでAAMを回避する。

 

「食らいつく!」

 

バレルロールの後にゲルプ1のSu-37を一瞬、見失うが直ぐに捉え、シャンデルで再度後ろに付き、今度はバルカン砲で仕留めるため、距離を詰める。

 

オーバーシュートに気を付け、速度を微調整して。

 

《流石、レーゲン隊を落としただけはある》

 

ゲルプ1は機体を右90度にバンクし、操縦桿を思いっきり前に引き、右急旋回。

 

ギリアムもまた同じように右90度にバンク。

 

操縦桿を引き、Su-37の後を追い、一瞬ガンサイトにSu-37を捉え、トリガーを引くが、弾はSu-37の右主翼を掠れ、命中はしなかった。

 

《ぬうぅぅぅ!》

 

ゲルプ1はさらに機体を90度傾き、急降下を開始。

 

ギリアムも後を追い、急降下を開始する。

 

「後ろ向きのミサイルが切れたか?」

 

ギリアムはゲルプ1の真後ろを取っているが、例の後ろ向きAAMを警戒するが、ロックオンされない所から見て、AAMを使い切ったと判断し、再度Su-37をロックする。

 

「ガルム1FOX2!」

 

ギリアムは最後のAAMを発射。目標に向かって突き進む。

 

《まだ!まだ墜ちんよ!》

 

ゲルプ1はバレルロールしながら、フレア、チャフを射出。

 

AAMはフレア、チャフに釣られ、Su-37をスルーし地表にぶつかり爆破する。

 

「簡単には墜ちてくれんか」

 

AAMを全て使い切ったギリアムはバルカン砲で仕留めるため、距離を詰めようとスロットルを上げようとしたが、警報がなり、高度が危険領域に入っていることに気付く。

 

「(あいつ…どこまで下がる気だ)」

 

ギリアムは限界ギリギリまでSu-37に喰らいつくが、既に機首を上げなければ墜落する可能性がある高度まで下がっていた。

 

「(これ以上は…流石に無理だな)」

 

先に根を上げたのはギリアムであった。

 

長い間、F-15Cを使っているため、どのタイミングで機種を上げなければ墜落する高度は把握していた。

 

だからこそ、機首を上げたのだ。

 

だが、その直前にギリアムの目にとんでもないSu-37の姿が目に入った。

 

《うぉぉぉぉぉ!》

 

「なっ!?」

 

急降下していた、Su-37が一気に水平に戻ったのだ。

 

とてつもないGがかかるが、Su-37のカタログスペックをフル活用すればできる機動である。

 

そして、その機動を取ったのはギリアムが機種を上げた直後。

 

また、Su-37はその機動で大きく運動エネルギーを消費し、速度が大きく下がる。

 

つまり

 

「(オーバーシュート!くっ!)」

 

高度2桁代に機体が水平になった時にはギリアムのF-15CはSu-37の前に出てしまい、オーバーシュートしてしまう。

 

《こ、これでぇ!》

 

「(やられる!?)」

 

前に出ていしまったギリアムはやられると思った。

 

実際、ゲルプ1もこのチャンスで堕とすつもりであった。

 

だが、先の急な機動でゲルプ1は高Gを受け、ブラックアウトを引き起こしており、彼の視界の半分が真っ黒になっていた。

 

そのため、ガンサイトに完全に捉えていないことに気付かず、トリガーを引き、放たれた弾はF-15Cのキャノピーを掠れていった。

 

「(外してくれた!)」

 

敵機が攻撃をはずしてくラッキーだと思い、直ぐにシャンデル機動で高度を上げ、バレルロールするが、機体が270度に傾いた時にバレルロールをやめ、左に急旋回。

 

ゲルプ1を振り切ろうとするが、ブラックアウトから立て直したゲルプ1はガルム1の機動に喰らい付き、後を追う。

 

「(カウントマニューバで撃墜するしかないか)」

 

燃料と弾薬が残り僅かだと気付いたギリアムは、なんとしてでもカウンターマニューバで決着を付けようと考えた。

 

「(だが、相手が相手だ。あれをやるしかないか)」

 

ギリアムは覚悟を決め、勝負に出た。

 

まず、中返りした後に2回バレルロール。

 

2回目のバレルロールの途中で右急旋回する。

 

この時に速度を落としているが、ゲルプ1は

ハイ・ヨーヨーでオーバーシュートを回避する。

 

だが、それは本命ではない。

 

《ここまでやるとはな…レーゲン隊以来だ》

 

それはお互い様だ。ギリアムはそう思いながら、敵機との距離が150m切っているのを確認する。

 

そして、再びバレルロール。今度は速度を落としながらである。

 

《何度やっても無駄だ》

 

もちろんゲルプ1もスロットル下げ、エアブレーキも活用し、速度を落としオーバーシュートを回避する。

 

だが、ギリアムはこれだけでは終わらなかった。

 

「まだまだ!」

 

機体が水平に戻ると同時にスロットルを一気に下げ、エアブレーキも全開し、失速寸前まで速度を落とし、機首が下がらないようにギリアムは必死になって操縦桿を操作する。

 

《くっ!》

 

まさか、ここまで速度を落とすとは考えていなかったゲルプ1は咄嗟にコブラをし、オーバーシュートを避けようとするが、元より距離が近かったため、ゆっくりとF-15Cの真上を通りすぎ前に出てしまう。

 

「(チャンスは一瞬)これで!」

 

ギリアムはフルスロットル、アフターバーナー展開。

 

操縦桿も手前に一気に引き、機体は加速し、機首が上がる。

 

ギリアムの体にとてつもないGが掛かるが、それを耐えながら、ガンサイトに集中する。

 

そして、Su-37がガンサイトに入った瞬間トリガーを引いた。

 

バルカン砲の弾数は凄まじい勢いで減ってゆき、1秒足らずで弾がゼロになり、そのまま上昇する。

 

「やったか?」

 

そう言いながらギリアムは後ろを振り返る。

 

今ので弾も燃料も使い切った。

 

これで墜ちていなかったらベイルアウトしか無い。

 

そして、後ろを振り返ったギリアムの目に入ったのは。

 

火を吹きながら墜ちていくSu-37であった

 

《見事だ。ウスティオの傭兵》

 

火を吹きながら墜ちていくSu-37であった。

 

ゲルプ1はそう言った直後に機体は爆散した。

 

それを確認したギリアムは今までの集中力が切れ、疲れが一気に襲う。

 

だが、その疲れを感じられない声であることを言った。

 

「敵機撃墜!」

 

っと。

 

そして、それに続きイーグルアイの嬉しそうに全軍にあることを報告する。

 

《レーダーに敵機の反応なし!ディレクタスの制空権は確保した!作成は成功だ!ディレクタスを取り戻したぞ!》

 

《やった!俺たちは本当にやったぞ!コバヤシ!》

 

《夢じゃない!本当に俺たちはやったんだ!》

 

《こちら第1大隊!上空の味方機へ!この市民たちの歓声が聞こえるか!聞こえんとは言わせんぞ!》

 

《もうベルカの連中にパンを焼かずに済むんだ!》

 

ベルカの手にから解放された喜びの歓声と自由の鐘の音が鳴り響くのであった。

 

 

 

 

 

1995年5月13日。この日ウスティオ首都ディレクタスが開放された。

 

この日を境に連合軍は各方面に大攻勢を掛けた。

 

戦線は広がりすぎたベルカ軍は補給物資が真面に届いておらず、そんな状態で連合軍を向かい撃つのは無理だった。

 

結果としてこの大攻勢は成功。

 

ベルカ軍は自国内まで退却し、連合軍の進行に備え、防衛線を張るのであった。

 

1998年発行 ベルカ戦争の軌跡より

 

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