死にゲーみたいな現代で生きる一般不死身の怪物さん 作:ちぇんそー娘
ちょっと続きさんが病気になって枯れたけど水ぶっかけたら治りました。
1:NN.最新の魔女
ちなみに旧管理人のブラドさんが色々あって消し飛んで現在生首なので代理として私が管理人を担当しています
2:NN.妖精武器庫
ゆっくりブラドクソワロタww
魔女ちゃんの異界領域の巻き添えくらってゆっくりになってるww
3:NN.最新の魔女(ブラド代理)
それはそうとこの中にメンテ期間中に派手にやり合って月を永遠に半月にしたり、南米吹き飛ばしたり、地球の近くで小惑星同士を衝突させたヤツがいるだろ。正直に言え
4:NN.オーカミ
知らない
5:NN. 狐巫女VTuber春ノアキラ
そんなことやるバカいるの?
6:NN.ヴォドゥン
どうせ酒カスだろ
7:NN.クククルン
俺ずっと監禁されてた
8:NN.もりもり
そんなやついるか?
9:NN.風呂メテウス
早めに名乗り出ないとブラドキレるぞ〜
10:NN.ガイアッ
アルカ最高!アルカ最高!
11:NN.雪ん子
なんかガイアが壊れてる
12:NN. 狐巫女VTuber春ノアキラ
元々何考えてるかわかんなかったし
13:NN.最新の魔女(ブラド代理)
どうせ私が治ったら誰がやったかなんてわかるんだからな?さっさと白状しろ
14:NN.ぐやぐや姫
もりもりとガイアがやりました
15:NN.もりもり
仲間を売りやがった!
16:NN.最新の魔女(ブラド代理)
お前本当にいい加減にしろよ?特にガイア?私がお前のせいでどれだけ後処理に回ってるか知っているのか?
17:NN.妖精武器庫
生首様の貴重な説教だぞ。心して聞くが良い
18:NN.オーカミ
ブラドって毛量多いから今毛玉みたいになってんの?
19:NN.侵略タコ娘
毛玉ww
電気毛玉じゃんww
20:NN.ヴォドゥン
ポケットモ〇スター……
21:NN.最新の魔女
こいつらのネット回線全部切っていいぞ、とブラドさんが言ってます
22:NN.もりもり
サーセンシター
23:NN.ヴォドゥン
ごめんなさい
24:NN.ハッピージョー
そう言えば万死さんがいませんね
25:NN.マリン
奴も奴で中々自由なところがあるからな
26:NN.風呂メテウス
メンテ期間中にギリシャでも異界領域使うゾンビ出たぞ
全部潰したけど
27:NN.ヴォドゥン
俺も会ったからバラしたけど、あんまり気持ち良くなかった
28:NN.ハッピージョー
へ?
29:NN.オーカミ
ヴォドゥンはネクロフィリアだぞ
30:NN.もりもり
冒涜ゥ!
31:NN.雪ん子
マージでそっち系の趣味は分からないわ……
32:NN.妖精武器庫
長く不死者やってるとね、性癖が色々開発されるんだよ
33:NN.最新の魔女
恐らく正しくは『性的嗜好』かと
34:NN.もりもり
まぁ性癖って言った方がなんか言いやすいし通じるよね
35:NN.マリン
ネットは常に言葉に新たなる意味が付属する魔境故な
36:NN.ガイアッ
アルカ最高!アルカ最高!
37:NN.クククルン
なんか知らんけど不死者ってやたらネクロ系の趣味多いよね
38:NN. 狐巫女VTuber春ノアキラ
私はそっち系の趣味ないけど、死ねないと死を観測するのがなんか楽しくなってくんだよ。よく怨霊でやってた
39:NN.オーカミ
ナチュラルに怨霊を実験ラット扱いするクズ
40:NN.侵略タコ娘
雪ん子ちゃんは凍ってるものにしか興奮できないとか前言ってたじゃん
41:NN.ハッピージョー
えぇ……
42:NN.ぐやぐや姫
性癖開示祭りの会場はここですか?
43:NN.妖精武器庫
今から大会を開く。性癖開示していって一番徐福をドン引きさせたやつが優勝な!
44:NN.ハッピージョー
なんなんですかその大会
45:NN.クククルン
でもぶっちゃけそれ嘘つき放題じゃん
46:NN.ヴォドゥン
大丈夫!今この掲示板に嘘を書き込んだら左足の小指が爆散する呪いかけたから!
47:NN.妖精武器庫
何が大丈夫なんだよクソが
48:NN.ヴォドゥン
あと語尾がにゃんになる
49:NN.もりもり
マジで誰が得するんだよこの大会
50:NN. 狐巫女VTuber春ノアキラ
クソどもの煮詰まったクソみてぇな会話しか聞けないクソ掲示板に何を今更
51:NN.最新の魔女
私も大会運営に協力したいのですが、何分人間の性的嗜好に関してはまだ勉強不足で……強いて言えば皆様の過去の電子書籍の購入履歴などから様々な推測をすることくらいしか
52:NN.オーカミ
え
53:NN.もりもり
地獄を察知
54:NN. 狐巫女VTuber春ノアキラ
ブラド見てんだろ!魔女ちゃんを止めて!
55:NN.妖精武器庫(ブラド代理)
手足がないから無理、って言ってるよ
56:NN.クククルン
ちくしょう!オープンショタコンはノーダメじゃねぇか!
57:NN.最新の魔女
晴明さんは以前は『狐ショタ〇泄合同誌』なるものの購入をしていますね。
【サンプル】
58:NN. 狐巫女VTuber春ノアキラ
やめてマジでストップ
59:NN.オーカミ
性癖歪みすぎだろ……
60:NN.ハッピージョー
初手からもう嫌なんですけど
61:NN.マリン
何故半端に擬人化された狐の肛門に過剰な攻撃を……?
62:NN.風呂メテウス
ガチの地獄じゃねぇか
63:NN.雪ん子
変態クソホモ獣姦陰陽師ww
64:NN. 狐巫女VTuber春ノアキラ
雪ん子、氷でしか興奮できないからって〇〇〇を凍らせて〇〇してそれを使用後にかき氷にして食ってるよ
65:NN.雪ん子
ちょっと待てふざけんなクソ陰陽師どこで見てた
66:NN.ぐやぐや姫
地獄始まってて草
67:NN. 狐巫女VTuber春ノアキラ
風呂メテウスはNTRでしか抜けないぞ!
68:NN.風呂メテウス
晴明がヤケになった!
69:NN.もりもり
失うもののないということの強さ
70:NN.ガイアッ
アルカ最高!アルカ最高!
71:NN.妖精武器庫
ちなみにブラドちゃんは脳の記憶を義体に詰め込まれたタイプのTSアンドロイド(元男性)が好みでその系統の作品探しまくってたよ
72:NN.オーカミ
絶妙なこだわりがなんかキモいな……
73:NN.ハッピージョー
もうやめてください。これで誰が幸せになるんですか?
74:NN.ヴォドゥン
万死の奴辺りなら喜んだろうけど、アイツなんでいないんだ?
75:NN.最新の魔女
ブラドさんがまだ万全の状態では無いので、位置情報が掴めないそうです
76:NN.侵略タコ娘
ブラドちゃんの別に普通じゃない?
77:NN.クククルン
ギリシャじゃTSって割と一般性癖だよな
78:NN. 狐巫女VTuber春ノアキラ
ギリシャの感性わかんないにゃん
79:NN.ヴォドゥン
そもそも何でもいつか飽きるから長く生きてると必然的に拗れるんだよ
80:NN.オーカミ
でも風呂メテウス初めて会った時からずっとNTR好きだぞ
81:NN.ぐやぐや姫
ん、万死の居場所見つけた。日本だね
82:NN. 狐巫女VTuber春ノアキラ
どいつもこいつも日本好きだねぇ。別に何もないにゃん
83:NN.マリン
阿呆。ゲーム文化の聖地であろうが
84:NN.雪ん子
私も文明滅ぶ前に1回行っとけばよかったなー
85:NN.もりもり
ちょっと田んぼの様子見てくるにゃん
85:NN.ハッピージョー
クソみたいな話題で報告遅れましたけど、異界領域使えるゾンビを数体捕まえたのでバラしてみたんですよね
86:NN.クククルン
何か有益なことわかったのか?
87:NN.最新の魔女
私としては、早くゾンビ達の情報を解析して安全圏を作りたいです
88:NN.雪ん子
アイツらアレだわ。ウィルスだわ
89:NN.ヴォドゥン
そんなのバ〇オやってりゃ誰だってわかるだろ
90:NN.侵略タコ娘
そもそもウィルスが原因なんて初めからわかってたことじゃないの?
91:NN.マリン
……なるほど
92:NN.妖精武器庫
あー、私わかっちゃったわー。完全に理解したにゃん
93:NN. 狐巫女VTuber春ノアキラ
もったいぶってないでさっさと言ってよ
94:NN.雪ん子
ちょっとくらい自分で考えろよショタのケツしか見てない陰陽師
95:NN.風呂メテウス
わからん
96:NN.クククルン
あー!俺わかったわー!そういう事ね!
97:NN.ぐやぐや姫
あれ、これもしかしてめっちゃめんどいやつ?
98:NN.ハッピージョー
特定惑星疾病異星体、ですね
99:NN.雪ん子
………何それ?
100:NN.オーカミ
雪ん子わかってなかったのかよ
101:NN. 狐巫女VTuber春ノアキラ
絶対次会った時ぶち殺すからなクソかき氷女……
「そなたさぁ……まーじで後先考えないのやめた方が良いと思うのよねー。一時の気分で玩具を捨てると後悔するぞ? レトロゲー売っぱらった時も同じ後悔してたしさー」
「ゲームと違って人間なんて不快な気分しか生み出さないんだから……さっさと殺すのが正解だよ……なんか臭いし……」
「傷は浅い内に、とはなんともビビりのクソザコ翡翠らしい考えだ。虎穴に入らずんば虎子を得ず、舐るならば骨まで舐る。それが妾の考え故に反対だぞ?」
「まぁどんなに反対してもなー。どうせ翡翠は事が終わればここの記憶なくしちゃうからなー。わざと負けでもしない限り」
「嫌だよ……こんなクソザコにわざとでも負けるなんて……ちょっと力んだだけで殺しちゃうから、逆立ちしながら勝つより難しいもん……」
「クソザコ翡翠に負けるとか妾達のプライドが許せんわ。それじゃ、さっさと始めるか」
「アルカ。またぼーっとしてたけど、大丈夫か?」
「────え、あー……うん。大丈夫」
また一瞬だけ意識が飛んでいた。
ここ一週間やたら意識が飛ぶ。不死である俺は睡眠は必要ないし病気にもならないから本当なら急に意識が飛んだりなんてしない。だと言うのに、何度も何度も意識が飛ぶ。しかも目覚める度によく分からない苛立ちが胸の中に残っている。
「……みんなってさぁ、なんで生きてんの?」
ぽやぽやした頭でろくに思考もせず、何となく零れた言葉。
普段の聡明な俺ならばこんなことは言わないが、言ってしまったものはどうしようもない。皆が怪訝な顔でこっちを見つめてきて、改めて言っちゃいけないこと言ったかもしれんという自覚が湧き出してくる。
「なんで生きてるのかなんて言われてもなぁ……結局ゾンビ共に殺されてたまるか! って抵抗してるだけだしな……強いていえば、お前らみたいな若造を守る為か? 考えてみりゃ、その日生きるのに精一杯であまりそういうこと考えてなかったからなぁ」
想定とは違った柔らかい反応が帰ってきてほっと胸を撫で下ろしたい気分になった。
しかし、まだ種族を再興させられる確率のある若い者を生かそうとしていたとは、案外剛も生物の根本的な衝動に従って生きてるんだな。まぁどの道ゾンビが居なくなってもこの個体数からじゃ再び繁栄は無理そうだから意味の無い行為ではあるが。
「私は、目的がある。人の営みが見たい。あと……大切なモノを守りたい」
そう言う照香には悪いが、マジでこの状況からもう一度人の営みを取り戻すのは無理そうなのよね。俺以外の不死者が6か7人協力してくれれば……いや、それでも完全に滅んだ文化が多すぎるだろう。
あと、なんで照香ってば俺をガン見してるの? やっぱさっきの発言はまずかったかな? もうガン見されすぎて穴があきそうだよ。
「俺は……初めは死にたくないから生きているだけだった。でも今は違う。絶対に死ねない理由が出来たんだ」
葵くんもさぁ……なんで俺の方ガン見するの?
死にたくないから生きるって生命として当たり前だし別に卑下するような理由でもないと思うよ? それより死ねない理由が気になるんだけど、なんで俺の方見るの?
…………まさか、葵くんは俺が人外、果ては不死者であるということに気がついたというのか?
冷静に考えてみれば葵くんの目付きは普段から仲間や友人を見つめるような目じゃなかったし、何かとつけて俺と一緒に行動しようとしたり、俺を常に監視しようとしていた気がする。もしかして彼は俺の不死を研究し、自分のものにしようとしているのではないか!?
そう考えれば色々と説明がつかなかった状況にも説明がつく。
異常な身体能力は俺のなんかをいい感じに研究してなんかこう……再現したあれこれで、死ねない理由と言うのは死にたくないから俺を研究して不死になりたいということ。もしかして、異常な反射神経を持つ照香もグルかもしれない。
やばいなー。
さすがに研究対象とされるのはまずいよなぁ……。信頼してた人間に裏切られて研究されそうになったことは何度かあるけど、昔はめちゃくちゃ痛かったし、何度経験してもなんか胸にウニが刺さったみたいな感触がするから嫌いなんだよね。
やっぱさっさと不死者であることを告げてなんかされそうになったら殺して、なんもされなかったら加護残してどっか行くのがベストなんだよなー。わかってんだけど、どうしても後ろ髪が引かれる。もしかしたら言わなければ少なくとも彼らが死ぬまで一緒にいられるんだからじゃないかという希望と、そもそも寿命や外的要因で死ぬところなんて見たくねぇしという冷静な思考がせめぎ合っている。
この優柔不断のせいで1回ヘマしてなんかやべー古代魔術結社に捕まって記憶が飛ぶくらい実験されたりしてるから治そうとは思ってるんだが、結局治らずに今に至るんだよなぁ……。
「……っと、こんなこと話してる場合じゃなさそうだ。剛さん、人型の生き物が近づいてきてる。注意してください」
色々考え込んでいたが、葵くんの言葉で現実に引き戻される。
普通に俺も周囲の索敵してたんだけど、なんで葵くんの方が索敵範囲広いのかなぁ……?
しかし視力の方では無理やり目のピントを弄ったり出来る俺の方に分がある。と言うか本来全てにおいて俺の方に分があるんだよね。なんで一分野でも俺より優れた領域あるの葵くん?
とりあえずそんな疑問は置いておき、葵くんが視線を向ける方向へ目を向けてじーっと観察を続けると、確かに人型の生き物が観測できた。
…………そう、人型の、見慣れた生き物が。
『お、アルカ! ようやく見つけた! 久しぶりー』
アイコンタクトでそんな正月に実家に帰ってきた親戚くらいの軽さでこっちに挨拶してきやがっているロリっとした見た目の女の子を俺は知っていた。
不死友の1人、死の概念を司る精霊にして俺が首絞めッ〇スにハマる原因を作ったなかなか
『バンシー!? ちょ、なんでここにいんの?』
『来ちゃった♡』
ハートじゃねぇよ。
なんでみんなわざわざ俺のところに来るんだよ。まとめ役としてはケツァルコアトルかブラドのところに集まってくれよ。
『来ちゃった……って、何しに来たんだよ』
『恋人のところに来るのに理由なんて必要?』
一応言っておくけど俺とバンシーは恋人じゃない。
確かに以前、俺はコイツに首絞〇ックスの良さを教えられて依存してしまい、体をばらばらにしても良いという契約をして100年ほどめちゃくちゃ爛れた関係を続けたりしたけど、決して元カノとかそういう存在ではない。そもそも好きとかそういう感情、とっくにペルシャあたりに置いてきちゃってんだわ。
「あれは……ゾンビ、なのか?」
「違う。ゾンビ達とは違うけど……人間じゃない……」
「全員、俺の後ろに下がってくれ。アイツは、ヤバい」
しかもバンシーったら全く気配を隠してないから普通の人間から見たらマジで訳の分からない恐ろしい生き物になってるし。照香が奥歯ガタガタ言わせてるの初めて見たわ。不死者ってホント、こういう時に全くデリカシーがないから困ってしまう。
『そう言えば、まさかこのウィルスもお前が原因とかないよな?』
『まさか。私のウィルスは殺す専門でゾンビにしたりなんて芸当は出来ないし、ゾンビにするんだったら脳みそ弄ってゾンビ人間作った方が面白いもん』
なんか物騒なこと言ってるけどコイツならやりかねないのがなぁ……。昔、ちょっと暇だからって理由で人間の村を襲って1000体くらい改造して人間襲わせて遊んだりしてたやつだし、さっさと帰って欲しいのだが。
『アルカ……また人間で遊んでるの? 何度も痛い目見てるのによく飽きないよね』
『未だに人間をバラして遊んでるお前にだけは言われたくないよ』
『私はアルカみたいに個人に肩入れしないもん。100年そこらでダメになっちゃうものに変に情を持つのって疲れるじゃん? ……ほんとさぁ、そんな不完全で醜い生き物のどこが良いんだか。確かに玩具としてはそこそこ面白いけどさ、プチプチと同じで潰す瞬間しか楽しみがなくて、潰れる前も後にはなんの価値も無いのに』
俺にとってバンシーは間違いなく友人と呼べる立場にある存在だ。
100年くらい爛れた関係だった間にお互いの色々を知り尽くしたし、下手すれば俺よりも俺に詳しい。
そんなバンシーだからこそわかる。
コイツ、今全く笑ってない。
むしろブチ切れている。何にキレているのかは全く分からないが、今のコイツは不機嫌の極みにいる。その気になれば1人でも地球を滅ぼせる不死者の1人が、その怒りをたった3人の人間へと向けているのだ。
『あのー……バンシーさん? もしかして怒ってらっしゃる? 俺がお前のお気に入りのコレクションの死体を捨てちゃったこととか、まだ引き摺ってます?』
『ううん。実はアレ、前から捨てようと思ってたから全然気にしてないよ。むしろあのゴミもアルカに捨ててもらえて本望だったと思うしね』
にこやかな表情でアイコンタクトしてくるけれど、全く目が笑ってないどころか、彼女が持つバロールの魔眼を起動してるせいで瞳が真っ黒になってめちゃくちゃ怖いんですけど。バンシーちゃん目つき悪っ。
そして、あまりに悪い目付きにビビって反応が遅れたけれど彼女がその魔眼を起動しているということは本気ということだ。本気と書いてマジと読む、つまり明確な殺意を向けているということ。
「男は嫌いだけど……女の子の方ならちょっとだけ中身が気になるな」
ほんの僅かにバンシーが動く。
手をこちらに向けて翳す程度の小さな仕草。
「異界領域────『TYPE:BALOR』」
ただそれだけで、人間を殺すのにはあまりに大袈裟すぎる魔眼の領域が開かれた。
「あー……何回目とかどうでも良いか。アルカ会議始めるぞ。今回は妾が議長をやってやる有難く思え」
なんか気が付いたら赤眼、黄眼、そして目を青い布で覆った俺が目の前にいるよく分からない空間にいた。
俺は確か急に現れたバンシーの世界革命で……。
「まぁ、この状況をどうするかだよねー。人間達と一緒にバンシーの領域に引きずり込まれて、このままじゃ人間は全滅して、アルカの体も100年くらい再生不能にされて監禁されるよー?」
「だが意外だったのは奴の領域に引きずり込まれて初撃を躱したことだな。やはりあの葵という人間は面白い。異界領域の効果を無効化した。……代償に腕一本持ってかれたがな」
そうだ。
バンシーの奴が異界領域を使って、不意打ちでやばいとか思ってたら葵くんの腕が分解されたんだ。マジで混乱してたから葵くんだけが食らったのかと思ったけど、むしろ逆で葵くんが俺達を庇ってくれたのか。
……いや、葵くんおかしくない? バンシーが異界領域使ったってことは全員殺す気だろうし、初撃で手加減するような奴じゃないから本気のはずなのに、全員を庇って腕だけで済むのもおかしいし、そもそも異界領域の効果による攻撃は、簡単に言えば法則そのもの。モノが地面に向かって落ちるように、コーラを一気飲みしたらゲップが出るように、それは絶対の法則であり逃れるには自らの領域で中和するしかないはずなんだけど…………ま、今は考えなくていいか!
「で、どーする? このままじゃ朕達の体監禁コースだし、ついでに人間達絶対死ぬよー?」
「ただの人間が一瞬とは言え異界領域に対抗したのは面白いが、どの道こちらが本気で抵抗すれば余波で死ぬ。もう諦めるしかないな」
「当然だよ……翡翠の友達だかなんだか知らないけど、私の体をバラそうとする奴はみんな敵……私が出て、周りの人間ごとぶち殺してやる……弱い癖に我を通そうとしやがってあの目ん玉ブラックホールが……」
何やら目が色違いの俺達は諦めムードだが、確かにこの状況なら仕方ない。
前も似たようなことがあったが、異界領域を開かれたら負けはしなくても人間を守るのはほぼ無理。特にバンシーの領域は殺害の速度で言えば段違いと言っても良い。
見方によってはちょうど良い頃合かもしれない。どうせ葵くん達とはそろそろ別れようと思ってたし、でも捨てられない病の俺ではいつまでもズルズル引きずってたろうしこの際スッパリと──────
「では、会議は終わりだな。とりあえずバンシーをシメるか。今なら翡翠が揺らいでるから表に出れるが、誰が行く?」
「それこそ勝ったアルカでいいんじゃないのー? 朕は戦いとか別になーって感じだから出来るならパスだけど」
「私が、私が行く……。傷つけられるのも痛いのももう嫌だ。そもそも、私以外じゃバンシーに勝てないだろうし……さっさとあの人間達も殺して……」
「んー……嫌だわ」
他の俺達の視線が一斉に俺へと向けられた。
特に青い布で目を覆ってる俺なんて、目が隠れてるのに視線だけで串刺しにされそうなほど強く睨みつけてきてやがる。
「ほぅ。クソザコ翡翠の分際で3対1で可決の会議に異議を唱えるか? 面白いから言うてみ」
「冷静に考えたんだけどさ、俺普通に葵くん達と別れたくねぇわ」
葵くん達のことを考えると胸の奥がチクチクとうずうずとモヤモヤの混ざったなんとも言えない感触でむず痒くなる。
一緒に居ると心が安らぐし、顔を見ると安心する。ずっとこの不自然な信号がなんなのか考えていたけれど、今ようやく気が付いた。
葵くん達は、俺にとって何よりも大切な──────
「あんなに面白い玩具、手放す理由ないじゃん。俺の大切な玩具を壊したいなら神だろうと誰だろうとぶっ潰すわ」
「…………お主がこの体の主導権あるのって、多分一番人の心がないからだと思うぞ?」
「さすがにあの前振りでこの結論は朕も引くわー」
「意見押し通すのは勝手だけどさ……共有の体でゴミと戯れるつもりなら意見通すくらいの強さ見せてよ……口だけじゃなくてさ……」
マジで4000年の中で葵くん達並に面白い人間はいなかった。
気が付かないうちに俺はその面白さの虜になっていたのだ。どうせ100年に満たない時しか生きられなくても、彼らのその短い時間には俺の4000年を超える愉悦が詰まっている気がしてならないのだ。
故に、手放すなんてありえない。自分勝手と言われようが別に俺は人間と対等だなんて思ってないし、命は平等とか嘯く誠実さも持ち合わせていない。
俺が楽しければそれで良い。
なのでまずは俺の邪魔をするであろう偽物の俺達をぶちのめそう。
「異界領域────『万魔屍山無明郷』」
クズの人の心が分からない外道の化け物が、偶然人にとって心地よい言葉を吐く最悪なタイプの化け物。