死にゲーみたいな現代で生きる一般不死身の怪物さん   作:ちぇんそー娘

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本編
うわっ……人類の文明儚すぎ……


 

 

 

 

 

 なんか死んだと思ったらめっちゃ古代感ある場所に突っ立ってた。

 

 

 

 マジでそうとしか言いようがなかったのだ。

 やたら照りつける日差しとかレンガっぽい感じの建物。とにかく訳が分からないまま近くの人に声をかけたら、なんかその人達はやたら目がでかいデストロイな少女漫画出身というか、テ〇フォーマー外見をしていて、ついでに追い払われた。

 その時のことはもう大変。テラ〇ォーマーもといビッグアイな方々はやたら威力の高い投石で俺を攻撃してくるし、最後にはビッグアイのボスらしき人が金色のオーラを纏って斧振り回して来たので仕方ないので逃げた。なんだったんだアレ、マジで。

 

 そーんなこんなでビッグアイな方々の見た目と対応のせいで対人恐怖症を煩わされ、しばらく洞穴で生活をすることにして1ヶ月、1年、10年、100年………………

 

 

 

 

 アレ? なんかおかしくね? とようやく気がついたのはその頃だった。

 ここ100年何も食ってないのに常にお腹が一杯な感じだったし、なんなら眠くなったり疲れたりもしていない。そもそも100年という時間を当然のように受け入れてるあたり何かがおかしかった。

 

 

 ────俺は生まれ変わっていた。

 端的に言えば不死身の怪物に。ついでに外見は美少女だった。

 この頃はとにかく探求欲が強かったので自分の体で色々実験してみた。

 

 再生力、ほぼ無限。失血死も窒息死もしない。爆薬とかは無いので試せなかったけど、バラバラにしても余裕で再生できる。毒とかも一瞬効くけどすぐに分解して無害化してしまう。

 

 スペック、クソ高い。身体能力は人間の数十倍は最低でもあり、岩は素手で砕けるし走れば簡単に風になれる。

 

 見た目、現代基準ではめちゃくちゃ美人。真っ白な髪の毛と緑色の瞳、人種は判断できないがどの国の価値観でもこれなら美人と言うだろう。少なくとも平成の日本ではこんな美少女が歩いてれば、10人中12人が振り返る。

 

 精神性は……ノーコメント。一回死んだからなのかそれとも体のせいなのか。やけに時間感覚と自己保身にルーズになってる気がするが個人じゃ確かめようがない。

 

 

 なんだかわかんないけど凄い! 

 とにかく凄いからこれなら無双できる! 

 

 

 

 …………と、思っていた時期が私にもありました。

 

 

 楽しかったですよ最初の2000年くらいは。

 自分の肉体の限界を試したり、再生の応用で体を発射したりとか、色々な場所を渡り歩いて様々な知識を仕入れ、積極的に人間(デカ目族以外)と関わってきた。

 

 時には王や神、或いは御子として奉られた。

 

 時には悪魔、災いの兆しとして追い立てられた。

 

 時には軍師や相談役等として人間に知識を貸し与え。

 

 時には理解の出来ぬ怪物として研究対象にされた。

 

 痛いことも苦しいことも嫌なこともあったが、それ以上に未知が既知に変わる快感、既存の概念を塗り替えられる爽快感が優り俺は世界中を旅した。

 様々な人がいて様々な考え方があって様々な文化があって。そうしてるうちにここが端的に言えば過去の地球だということを確信したのは三国志の辺りの中国で軍師になった頃だっただろう。うん、その辺の事はよーく覚えている。

 

 

 その頃のことです。

 なんか、急にやる気がなくなってきたのは。

 

 

 全体的にみんなピリピリしてたからなのか、あまり信頼を得ることが出来ず中華系とも言えない容姿とうっかり腕がぶっ飛んじゃったのを再生したところを見られてそのまま追いやられて、あろうことか俺の姿がやべぇ魔物として色んなところに広まって大騒ぎ。

 後世の歴史には残ってないけど、俺を倒す為に敵同士であった軍が一時的に共闘をしたなんてこともあったりした。

 

 その一件でなんか急に人間醜いわーってやる気が失せて、人と関わる回数を減らし始めた。

 人と関わるのをやめると途端に考えが鬱方面になっていって死にたいわーと思い始めたけど、鉛を背負って海底に身投げしたり、火山口に飛び込んでも水圧で痛かったり焼かれて熱かったりするだけで死ぬ事は出来ずマジで絶望しながら霞食って生きていた。

 

 人間と関わりたくないなー、なんて思っていたけれど人間ってマジで凄い。

 数年前まで森だった場所があっという間に人間の住処になってたりするのでもう大変。たまに人間と鉢合わせては石を投げられて迫害されたり、また守り神とか崇められたり、奇妙な術を使うバケモノ扱いされたり……マジでちょっと滅ぼしてやろうかと思ったりもしたけど、たまーにめちゃくちゃ気があったりする人間がいてその人達にセラピーされながらぐずぐずと生きることまた2000年くらい。

 

 2000年。

 ホント長いようで短い時間だった。

 最初の数百年は穏やかだったのに、すぐに人間があらゆる場所を開拓し始めてだんだん隠れ住むのが難しくなり、魔女狩りやら奴隷売買やらに巻き込まれまくって、西部の荒野では銃で蜂の巣にされたり何回殺されたことか。

 その度に人類滅ぼそモードになりかけもしたけど、いい感じのセラピーで何とか踏ん張った。特に最近会ったブラムなんとかさんが良かった。めっちゃ話とか苦労とか聞いてくれたし、俺を題材にして小説を書きたいとかも言ってくれたし。今も元気に……してたら人間じゃないな。

 

 

 そう。時代は遂に1900年代。

 とりあえず戦争が終わるまで隠居してようかなーとなるも、結局ナチスを名乗る不審者達とドンパチやり合って50年くらい。

 マジでナチスが滅んだあとのナチス残党VS俺の戦いは映画にしたら大ヒットは間違いなしだと思う。途中で助けた女の子とガチの古代文明の遺跡に辿り着いて危うく世界がナチスのものになりかけたけど、俺が偶然知ってるどころか、遺跡造るの手伝ってた文明だったからどうにかなったエンディングは涙無しには語れない。

 

 そんなB級映画的大活躍をした俺が向かった先は日本。

 第二次世界大戦後、少なくとも100年近くは平和が保証されている国だ。

 ぶっちゃけ100年なんて4000年以上生きてきた俺からすれば束の間の休息だ。それでもさすがに、そろそろ生きることに疲れてきた。

 死ぬことも老いることもなければ本当の意味で脅かされることもない。そんなつまらない永劫を終わらせるために、ぼちぼち『不死殺し』の研究をするにはもってこいの場所だろう──────と考え……

 

 

 

 

 

 

 

「っちわーす、Amazoonっす。お届け物にまいりましたー」

 

「んむぅ……へーい……」

 

 

 俺が出るなり顔を真っ赤にしていたバイトのあんちゃんから荷物を受け取り、寝起きのせいで重い瞼をこじ開けるため、スト〇ングゼロに手を伸ばす。

 

 カシュッ! 

 

 もう音が最高ね。目が覚めたわ。

 アルコールをこの体が即時分解してしまい酔うことは出来ないが、気分で酔える。アルコールを摂取してる事実がもう最高。

 

「さてさて……届いたのはっと……お! バイ〇ハザードの新作じゃん! 早速やろっと」

 

 日本に移住してたかが数十年。

 俺の過ごしてきた時間に比べれば須臾の如きその短い時間で俺は…………

 

 

「うわなにこれ。操作性クソじゃん。後で不死友のみんなにクソゲーって教えとこ……いや、この操作性が逆に圧迫感とかを表現して怖い感じに……」

 

 

 完全に、ダメ怪物になっていた。

 

 

 まず娯楽文化やべぇ。

 漫画やアニメに小説。過去にも良い読み物とかはあったけど、この時代はとにかく供給量が凄まじい。ちょっと待ってればすぐに作品が量産されるおかげで無限に時間がある俺が初めて時間が無いとまで思わせてもらった。

 

 あとネット文化。

 これのおかげで俺以外にも不死の怪物が現代にもいることが知れた。同じ境遇の存在がいるというだけで、不死の怪物達にとってはあまりにも癒しになりすぎる。不死あるあるネタとか、教科書と違う歴史の真実ネタとか語るのめっちゃ楽しい。

 

 つまるところ、現代文化は無限に時間がある不死身の怪物にとって最高でした! 毎日酒飲んでゲームして寝て、そんな生活が楽しすぎてヤバい。堕落する。

 もう死ぬとか考えられないわー。少なくともHUN〇ER × HUNTERが完結するまでは死ねないわー。

 

 そんなことを考えながら10年……また10年……また10年……そして────────

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

「…………ん、なんの音だ?」

 

 10年くらい前のこと、ちょっとゲーム系が不作が続いたので思い切ってそっち方面の情報を完全シャットアウト。さらにネットも完全に断ち買い込みまくった本を読むのに時間を費やすことを決めたのだ。

 

 本当なら3年くらいでネット断ちをやめるつもりだったんだけど、こ〇亀とか無限に読み返せるタイプの漫画を何度も読み直してたら気がついたら10年経ってたウケる。

 

 何周目かのこ〇亀を読み終え、ぼーっとしていたら外からなにやら物音が聞こえた。

 

 爆音、銃声、更には叫び声……!? 

 現代日本じゃまず聞かないような轟音にさすがの俺もとっさに身構える。現在の住居はマンションの一室。近くの治安は良好なので、いくら不良が暴れたとかでもこんな音聞こえるはずがない。

 恐る恐る玄関に近づいて扉を開けるとそこには…………。

 

 

 

「は?」

 

 

 

 なんか完全武装した青年が俺に銃口を向けていた。

 

「人間……? まさか、人間なのか!?」

 

「どうした! 何かあったのか?」

 

「こっちに来てください! 人が、生存者がいます!」

 

 現代日本に似合わない、サバゲー帰りにしか見えない男達の会話を聞き流しつつ、俺はゆっくりとマンションの向こう側──閑静な住宅地があるはずの場所へと視線を向ける。

 

 

「うわー……マジかぁ……」

 

 

 そこには荒廃した町並み、明らかに死んでいるのに歩く人間──所謂『ゾンビ』の姿とそれと戦う人達。

 周囲の建物も所々崩れたりしていて、どうやら俺の部屋が奇跡的に無事だっただけでだいぶ酷い有様のようだ。

 

 

 

 …………ネット断ちしてる間に文明社会が滅んでるなんて、そんなことあります? 

 

 

 

 

 

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