死にゲーみたいな現代で生きる一般不死身の怪物さん 作:ちぇんそー娘
この作品は感想と高評価と日光と水があると勝手に生えてきます。
あと、何かと説明不足がある作品なので、感想に質問を投げてくれれば勝手に答えが生えてきます。
迷った。
ナナフシゾンビとじゃれ合っている間に葵くん達ってば俺の索敵範囲外にまで行ってしまったようなのだ。
その気になれば空も飛べるし、日本全土を一日で探すことは出来なくないが、それをやったら余波で人殺ししちゃうかもしれないし、もしかしたらどっかで生きてる葵くん達を轢き殺す可能性があるので迂闊にそういうことは出来ない。
こういう時、不死友のガイアちゃんが居てくれたら助かるのになー。あの子なら地面に足が着いてる存在なら地球の半分の範囲を探知できるし、あとは凛花の奴も植物と感覚共有ができるから索敵には向いていたな。
文明が滅んでしまった今となっては彼女達との連絡手段はないが……殺しても文字通り死なない連中なので心配する必要は無いだろう。今は殺されたら死んでしまう連中の心配をするべきだ。
彼らと別れて早2週間。
たった2週間1人でいただけで100年洞穴に籠ってた経験すらある俺がこんなセンチな気持ちになるだなんて、葵くんや剛や照香と一緒にいた時間は想像以上に心安らぐものだったらしい。出来るなら生きてもう一度会いたいものだが……。
「む、アレは……」
地平線ギリギリ、視界範囲の限界辺りに見えたのは、明らかに特殊能力を使って攻撃をしている蛇型のゾンビと戦闘している誰か。
人間と能力持ちのゾンビが戦えば、それはほぼ一方的な殺戮となる。なんか人間離れした身体能力を持っていた照香ですら、至近距離で銃を撃たれて見てから回避余裕でしたする照香ですら、1対1では弱い個体相手に足止めが限界。
とりあえずバレないくらいの速度で駆け寄る。近づく途中で瓦礫に引っかかって腕がもげたけどまぁどうでもいいか。
近づいてみたが、やっぱり状況は特殊ゾンビと人間の1対1。
蛇型ゾンビは身体中に目に似た発光体が存在していて、それが不規則にひかると同時に周囲の物体が上からプレスをかけられたように潰れ、幾つものクレーターが生じる。
戦っているガスマスク装備の青年は何とか初撃を避けたようだが、奴らの初見殺しかつ対策は基本死に覚えするしかないような攻撃に対して1回偶然避けられたことなんて、ただ死ぬのが1秒遅くなっただけに過ぎない。そうしてる間にもう一度蛇型ゾンビの体が光り──────
「え、嘘ぉ!?」
思わずそんな間抜けな声が漏れてしまった。
なんとガスマスクの青年は、今度は確実に
恐らく重力系の攻撃であり、服の端でも引っかかれば全身がすり潰されるその攻撃を紙一重で。そもそもたった1回見ただけで攻撃の法則性を読んだと言うのか?
そんな優れた観察眼、葵くんくらいしか……。
…………アレ、葵くんじゃね?
顔はガスマスクで隠されてしまっているが、よく見たら背格好は似てるし、髪質もなんか似てる気がする。
しかし葵くんはナナフシゾンビに結構な重傷を負わせられていたはずだ。少なくとも2週間で復帰出来る傷の深さではない。やっぱりアレ葵くんじゃないな。
「……自身の体を中心とし、ある一点の重力を軽くする代わりにその対象となる場所の重力を重くする。効果範囲は最大5m四方、最低間隔は50cm程度。重力軽減の方もまともに食らうと
ガスマスクの青年はやたら長い独り言を呟き、そのまま蛇型ゾンビに発砲するが弾丸は辿り着く前に地面に叩き落とされ、そのままめり込み砕け散る。
と言うか今の声完全に葵くんだったな! あとやたら長い独り言を言う癖も葵くんにあったし、何より1度見ただけで相手の能力を看破してしまう観察眼! こりゃアレは葵くんだ!
「加えて、自分の周囲1m以内には発生できない! 死ねッ!」
銃が効かないことを判断したのか、ガスマスクの青年は一気に距離を詰めてその体にナイフを突き立て、発光体に沿うようにして一気に切り裂く。蛇型ゾンビものたうち回り、その巨体で相手を弾こうとするがその行動も読まれていたのか逆に自らの体を深く切り裂く結果となった。
アレやっぱ葵くんじゃないな。
葵くん言っちゃあれだけど身体能力はあまり高くなかったし、ゾンビ達も元人間だからと通常タイプを殺す時は苦しめないように一撃で仕留めるように意識してたほど優しい子だったもん。死ねとかそういう乱暴なことは相手がゾンビでも言わないし、そもそもあんな動き出来るわけないもんね。アレ葵くんじゃねぇわ。
そうこう考えてたらガスマスクの青年がいつの間にか銃を拾い、蛇型ゾンビの腹に向けてゼロ距離射撃をぶち込んでいた。
特殊ゾンビがその程度で死ぬことは無いだろうが、どうやら一撃で核をぶち抜かれたようで数回体を蠢かせたあと、細胞が崩れるようにして溶けて死んだ。
核の位置を正確に射撃するなんて……銃の腕前はともかくやっぱ観察眼は葵くん並だな……でも葵くんじゃないよなアレ。
絶対違うわ! 人がたかが2週間であんなに変わってたらライザップもびっくりだよ。とりあえずなんか怖いし彼からは離れておこう。なんか近づいちゃいけない雰囲気するし、再生するからって怪物と間違われて蜂の巣にされるのは嫌だ「パキッ」あ、小枝踏んだわ。
「ッ、誰だ!」
めちゃくちゃ敵意の籠った怒鳴り声共にガスマスクの青年はこちらに銃口を向け、いつでも放てる準備をしている。
めちゃくちゃ殺気立ってるけど、どうにか穏便に済ませたい。俺が(見た目だけ)人間だと分かって銃をおろしてくれたらセーフだが、もしも撃たれたりすれば……まぁ正当防衛をさせてもらうかもしれない。撃たれると体よりも心が痛むのよね。人間愚かだわーって拗ねてた頃の精神性に戻るというか、ほんの少し人間を仲間だと考える『俺』が揺らぐのだ。
俺の身体スペックならこのまま逃げることも出来たが、一縷の希望に賭け、両手を上げて敵意がないことを示しながらゆっくりと物陰から姿を表す。
「………………」
「…………」
重たい沈黙が俺達の間に生まれる。
永遠に続くかと思われたこの時間は、ガスマスクの青年の意外な一言で終わりを告げることとなった。
「…………
「え、なんで俺の名前を……」
「その声、その姿、あ、あぁ! アルカ! 生きていたんだな!」
ガスマスクの青年は武器もガスマスクも投げ捨ててこちらへと駆け寄ってくる。
ガスマスクの下に隠されていたその素顔は、2週間前に見た葵くんの顔そのままであった。
「葵くん!? え、嘘、マジで!?」
「アルカ! アルカアルカアルカアルカ! 良かった……本当に良かった……生きて、生きていたんだな……」
「ちょっと、落ち着いて……え、マジで? マジで!?」
葵くん達の前では普段は猫かぶって一人称私の儚げ美少女ロールしていたが、あまりの驚きにそれすらする余裕が無い。
葵くんはただ涙を流しながら俺の名前を繰り返すだけ。と言うか体つき変わったな。以前何度か不可抗力で抱き合ったりお姫様抱っこされたり夜に泣きながら弱音を吐いていたから彼を抱きしめたりしてやったが、その時とは体の造りがだいぶ変わってる。端的に言えばものすごく引き締まり、筋肉量が上昇している。背も伸びたかな?
「アルカ……どうして無事だったんだ? 俺は確かに君が全身を切り裂かれるのを……」
「えー? ソンナコトナイヨー? あの後何とかゾンビの攻撃を掻い潜ってね。ちょっと辛かったけど、もう一度君に会えてよかったよ」
ゾンビの攻撃を(物理的に)掻い潜ったのは事実なので。潜りきれずに何回かバラバラにされたけど。
そう言うと葵くんはハッとした表情を浮かべ、伏せがちに俺の左腕の方に視線を向けていた。
何かあるのかなと思いながらそっちに視線を向けると、肘のちょっと上から先の腕が存在していなかった。
やっっっっっっっっっっっべ。
さっき千切れたのに治すの忘れてたわ。これもう言い訳効かねぇなオイ。今目の前で腕治したら完全にバケモノ認定されますよ。
「じゃじゃーん! マジックでーす!」で誤魔化せないかな? 誤魔化せるわけねぇだろ馬鹿じゃねぇの俺。
誤魔化すのは不可能。
そう判断してすぐに俺は体表の色を変え、まるで腕の先に包帯を巻いているかのように偽装する。
「さ、さすがに無傷ってわけにはいかなかったんだ……。でも気にしないで、そんなに深い傷じゃないからもう────」
「すまなかった!」
俺の言葉は葵くんの発したクソデカボイスによって遮られてしまう。
葵くん、こんなデカい声出せたんだ。130デシベルくらい出てただろ今の。俺じゃなきゃ下手すれば鼓膜破れてたぞ。と言うか破れたから再生させたぞ。
「俺が非力なばっかりに……君にこんな怪我を負わせてしまった……君を置き去りにしてしまった……」
「だ、大丈夫だよ? そんなに傷は深くないし、それに前も言ったけど君に何度も助けられてるんだからこれくらい……というか、本当に強くなったね……」
掴まれてる体がちょっと力を込めた程度では全く動かせないほど強く掴まれているのが伝わってくる。
痛くはないのだが体が動かせない。どんな力の込め方をしたらこんな風にできるのか長年生きてきた俺にも想像がつかない。
「あぁ……君を失ったあの日から俺はもう二度とあんな思いをしないために鍛え始めたんだ。……けれど良かった。これで、この力を今度こそ君を守る為に使えるよ」
なんか長年修行したみたいな言い方だけど、俺と君が別れたの2週間前ですよ?
以前はちょっと観察眼に優れたひょろ長だったはずなのに、2週間で単騎で特殊ゾンビ屠れる人外ソルジャーになるとか結果にコミットし過ぎだろ。結果がコメットしてるよコレ。
「もう二度と、この世界に君を傷つけさせはしない。俺は何があろうと君を守る。他の人類も文明の残り香も俺の魂も何もかも奴らに喰われようと、君だけは絶対に俺の手で守り抜くから……」
涙を流しながら俺を抱きしめる葵くんの目には、以前のような光がなくまるで深海のような昏さがあるだけだった。1回投身自殺しようとして深海1万mまで辿り着いた俺が言うのだから間違いない。光の届かない昏い世界がその瞳の中には広がっている。
なんか、キャラ変わってないか葵くん……?
君ってこんな子じゃなかったよね? まさか、誰かあの純粋無垢な葵くんを誑かした奴がいるのか? 葵くんをこんな風にした奴め……会ったら1度ぶん殴ってやりたいものだ。
312:NN.雪ん子
で、結局かぐやちゃんとかガラテアちゃんとかアルカお姉様は見つからないんですかー?
313:NN.マリン
殺しても死なない以上は心配するのも無意味だろう。
314:NN.クククルン
そう言えば今日アンナちゃんとクソ強いゾンビと戦ったんだけど、やっぱアイツら異界領域持ってるね。世界革命使われてさすがに焦ったわ
315:NN.ブラド
>>314
世界革命を!?想定以上に進化が速いのか……?
316:NN. 狐巫女VTuber春ノアキラ
>>314
アンナちゃんって拾った銀髪幼女の名前?
317:NN.オーカミ
>>314
マジかー。こりゃ人類じゃ勝てないな。
318:NN.風呂メテウス
数人を守るのはともかく、点在する居住エリアを作るとなると不可能に近くなるな。
319:NN.万死
最低でも革命返しするか3回は死ねるストックがないと世界革命は対策できないからね。というか、アンナちゃんは無事だったの?
320:NN.クククルン
実はな……アンナちゃんが革命返しして倒したんだよ……
321:NN.ハッピージョー
は?異界領域で世界を一時的に塗り替えて法則を自由自在に操る世界革命ですよ?完全に魔の領域ですよ?
322:NN.万死
???
323:NN.ブラド
また酒を飲みましたか?
324:NN. 狐巫女VTuber春ノアキラ
おーい、酒クズコアトルが酔って幼女犯そうとしてるぞー
325:NN.風呂メテウス
相変わらず冗談下手くそだな太陽神のくせに
326:NN.クククルン
いやマジマジ。世界革命されてこれヤベーなと思ってすぐに革命返ししようとしたらアンナがブチ切れながら「お姉様には手を出させない!」って異界領域展開してさ。そのまま巨大な歯車でゾンビをすり潰した。成長感じてうるっと来ちゃったわ
327:NN.雪ん子
大富豪の話してんのかと思ったら世界革命の話かー。殺傷能力で言えば私の『摩訶鉢特摩壊紅蓮』が1番でしょ
328:NN.オーカミ
殺傷能力なら万死の『TYPE:BALOR』じゃない?俺食らったことあるけど全身分解されて動けるようになるのに丸一日かかったよ?
329:NN. 狐巫女VTuber春ノアキラ
>>326
色々言いたいことあるけどお前幼女に自分のこと『お姉様』って呼ばせてんのか……
330:NN.万死
うわっ……
331:NN.マリン
酒クズ……
332:NN.ハッピージョー
擁護しようがありませんねロリコン酒クズ……
333:NN.ブラド
人間側にもそのような個体が出るということは、このウィルス騒動はやはり人間の科学力の外側の技術ですね?
334:NN.雪ん子
外側の技術っったって、私達の技は全部人間じゃ再現不可じゃん。
335:NN.クククルン
ねぇ、俺割と重要な報告したはずなのに扱い悪くない?あと俺の酒騒動悪いの全部テスカトリポカだからね?俺悪くないからね?
336:NN.マリン
異界領域が実家炎上のやつは黙ってろ
337:NN.妖精武器庫
>>327
残念ですけど殺傷能力に限定すればアルカさんの『万魔屍山無明郷』でしょうww
338:NN.もりもり
>>337
ブリテンのクソ女生きとったんかワレェ!
339:NN.妖精武器庫
そもそも私今ブラックドッグちゃんと一緒にいるから掲示板自体はずっと見てたけどねww
340:NN.ハッピージョー
気になってたんですけど、アルカさんの異界領域って言うほど殺傷能力高いですかね?
341:NN.ヴォドゥン
一応受けた身で言うけど、マジであれで殺せないなら俺たちを殺す手段は存在しないってレベルだ。不死じゃなければ存在がこの世に残らない
342:NN.ブラド
破神の時も決め手は彼女の世界革命でしたからね。
343:NN.雪ん子
え?みんな何言ってんの?ボケた?
344:NN.クククルン
?
345:NN.ハッピージョー
アルカさんの異界領域って、
346:NN.マリン
>>345
特異性ならもりもり……凛花の『沙羅結界涅槃園』じゃないか?生命から闘争を消失させる可能性のある異界領域だぞ?
347:NN.万死
むしろアルカの異界領域って殺す以外何も出来ないでしょ。
348:NN.雪ん子
そもそも、アルカお姉様の異界領域の名前、『万魔屍山無明郷』じゃないでしょ
349:NN.ブラド
>>348
いや、それであっているはずだが何を言っているんだ?
350:NN.最新の魔女
皆様助けてください。
幼児を拾いました。
351:NN.もりもり
酒クズコアトル!
お前最新の魔女ちゃんに何を吹き込みやがった!
352:NN.妖精武器庫
このロリコンコアトル!
353:NN.クククルン
ねぇ、俺一応主神だからそろそろキレるよ?
大洪水で文明消し去るよ?
葵くんの話によれば、ナナフシゾンビから逃げたあと何とかしばらく安全に過ごせそうな拠点を見つけ、今は3人でそこで暮らしていて、葵くんは特訓の為に1人外に出ていたらしい。
自分から戦いに行くような子じゃなかった気がすんだけど……そもそもあの高性能ゾンビ共と単騎で戦うのって自殺行為だし。
そして案内されるがままに拠点に行くと、突然誰かが俺に抱きついてきた。
「アルカ……アルカなの!? 心配させて……全くもう!」
「て、照香……?」
いきなり抱きついてきた照香。
以前までのクールなお姉さんといった彼女の印象とはあまりにも食い違った行動に、またも俺の脳はフリーズしかけてなされるがままに腕を心配されたり、抱き上げられたりしていた。
「良かった……あの時死んじゃったと、もう会えないと……うぅ……ほんとうによかったぁ……」
しかし……クールなツンデレキャラのデレというのはやはり破壊力が高い。それにこちらとしても照香は口数は少ないが良いやつということはわかっていたので、こんな風に抱きつかれたら戻ってきて良かったと少し心が温かく……
「安心してねアルカ。もうあなたを脅かす何もかもをあなたに近づけさせない。邪魔なゾンビも目障りなネズミも耳障りな小虫も呼吸の邪魔をする埃も全部全部全部この世から消してあげる。あぁ……腕を切り落とされて可哀想。守ってあげられなくてごめんね。でも安心してね。これからは私があなたの手でも足でも声でも脳にでもなんにでもなってあげる。あなたはもう痛い思いも辛い思いもしなくていい、今度こそ私は完璧にあなたを守りきるから……」
…………寒気がしますね。
なんなんですか。2週間で皆さんメンタルが結果にコミットし過ぎでしょう。ツンのデレがヤンのデレに切り替わってますよ。
・クククルン
南米の神様。酒癖が悪い。Mr.妹レイパー
・マリン
海の精霊
・ヴォドゥン
精霊呼びされてる腐乱死体
・風呂メテウス
内臓喰われてる神様
・オーカミ
満月の夜に全裸で叫んでる
・凛花
もりもりの真名。女の子。