あれ? 勇者ってこういうのだっけ   作:みども

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第2話

 魔物の生息する森。

 そこにやってきた私は、餌となる死体をその場に置いてから樹の上に退避。

 あとは死体の匂いを嗅ぎつけて魔物がやってくるのを待ち、出てきたところを奇襲して仕留める。

 魔物の死体は物によって貴重な代物で割と高く売れたりするものだ。正規ルートにつてがない私は闇ルートにしか捌けないので、そこで結構引かれているけど。

 収入削られるのは痛いけど、いつでも魔物の死体を換金できる場所というのは自分で潰したくはないし、供給元としての信用を数をこなして得られているらしく徐々に高値で買い取ってくれるようになってきているので、今では別にそのくらいはいいやと思っています。

 

 放置された魔族の死体に気づいたらしく、巨大な虎の魔物が出てきました。

 おお、毛皮持ちの魔物は当たりだ。これを仕留められれば、取引先の闇商人も結構いい顔と額で買い取ってくれそう。

 早速死体を貪り無防備な頚椎をさらけ出している虎の魔物目掛けて槍を向けて飛び降りる。

 

 

「ガアアアァァァ!!」

 

 

 虎の魔物は悲鳴をあげるが致命には至っていない様子。

 暴れるその虎の首にしがみついて、とどめを刺すべく虎の死角より目に指を突き刺す。

 この神経は脳髄に直通ルートで伸びているし、眼球は構造上どうしても柔らかくなる生物の急所。

 ここに指が刺されば私の勝ち! 

 

 

「食らえネコ!」

 

 

 電撃を眼球の神経を通して虎の脳髄に流し込む。

 脳をやられてはいかな虎の魔物といえど絶命し、倒れた。

 

 危なげない勝利だね。

 虎の背中から降りた私のところに、家族たちが駆けつけてくる。

 私としては危なげない勝利だったけど、家族たちは心配で仕方がなかった様子だ。

 勢い余って、私がぶっ飛ばされちゃったよ。

 

 

「おおお落ち着いて! 私は平気だから、怪我一つしてないから!」

 

 

 むしろ君らに突き飛ばされたことでケガしちゃうところだったから! 

 両手を上げてケガ一つしてないよとアピールすると、家族たちも納得してくれたらしく落ち着いた。

 

 私もこの子達が傷つくのは嫌だし、危険な目にあうと心配してしまうけど、この子たちの方も私が傷つくのは嫌なことらしい。

 親ということになっている私がこの子達を心配するのは当たり前にしても、この子達の方から心配されてしまうとは。

 うむむ……子供に心配かけるとか、親失格だ。非常によろしくないね。

 でも、この子達が心配してくれるくらいに私のことを家族としてみてくれているのがわかるから、とても嬉しい。

 いや、そのためにわざと危険な橋渡ったりとかいうのは流石にしないよ。身の危険を心配させていじるのは流石に性格悪すぎると思うから。

 野生に染まってもう倫理観破綻している私だけど、そのくらいの良心は残っている。

 

 ともかく、今日の狩りは成功。

 家族の中で一番の力持ちである長男の背中に虎の死体を乗せて、私は次男の背中に乗って帰路につく。

 私としては子供の背中に乗るよりも隣を並んで歩きたいのだけど、この子達は私を背中に乗せるのが好きなのかこっちの方が嬉しそうな反応をしてくれるのだ。

 この子達が嬉しいなら、私も嬉しい。

 前世も今世も親はクズだったから、生みの親じゃなくてもこの子達にはしっかりとした『親』をしてあげたい。

 出会いはそんなつもりなかったけど、この子達はもう今世において私のかけがえのない家族だ。

 

 そんなことを思いながらベルハザルの外に広がるスラムの一角、魔物の死体も扱ってくれる闇ルートの商人の元へと到着する。

 すると、そこには顔なじみとなった商人と護衛の他に、魔王軍の装備を身を包む1個小隊がいた。

 

 取り締まりとか逮捕、というわけじゃなさそう。

 そこは取り締まれよとかいうツッコミが入りそうだけど、私としては彼を逮捕されると魔物狩りの収入が途絶えることになるので止めて欲しいです。

 

 向こうもこっちに気づいているらしく、2名の兵士が近づいてきた。

 珍しく女性兵士である。

 ……ちょっと待って、この人たち見たことある。

 片方は前回のリングル王国侵攻戦で私が軍からの借り物である戦車を壊したことを聞いて青筋立てていた兵士だし、もう1人はグレッド隊長の戦死を報告していた兵士だ。

 そしてこの兵士たちが所属する部隊を率いていた方といえば……

 

 私の嫌な予感は的中する。

 小隊の兵士たちに囲まれていたこと、椅子に座っていたことで最初は気づかなかったけど。

 立ち上がって近づいてきたのは、小隊を率いている隊長、いや今は軍団長となったことで装束も一層豪華になった紫髪の中身は陰険な女性の魔族。

 

 

「あなたを待っていました。『戦車兵(チャリオット・ライダー)』、と呼べばいいですか?」

 

 

 魔王軍新第3軍団長、ハンナ・ローミアさんでした。

 ……嘘でしょ?

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