やはりTS転生した僕は奉仕部の一員にはなれない。 作:だるがぬ
二時間ほど遅れましたが明日上げるよりは……と思ったので更新します。
前回からの雰囲気の落差が激しいです。
あと、後半の▽から八千代の回想入るので、興味ない方は飛ばしてもらってもたぶん大丈夫です。
僕の隣では、由比ヶ浜さんと雪ノ下さんが言葉もなく立ち尽くしている。
目の前の四人席、僕らの前方に座る折本さんと仲町さんも似たようなものだ。その向かいの席の比企谷君は誰よりも驚きが強いようで、開いた口が塞がっていなかった。
「お前ら……なんで」
比企谷君がそう漏らしたことによって、沈黙が破られる。
その疑問に飄々と答えたのは隣に座る葉山君だった。
「ああ、俺が呼んだんだ」
その言葉に僕と雪ノ下さんら以外の全員が目を丸くする。
混乱した間を縫うように、葉山君が告げた。
折本さんと、仲町さんに向けて。
「比企谷は君たちが思っている程度の奴じゃない」
葉山君の態度からは敵意が見える。そんな姿を誰かに見せたことは、きっと一度たりともないのだろう。
葉山隼人という偶像は、今ここで、他でもない彼自身の手によって脆く崩れ去った。
「君たちよりずっと素敵な子と親しくしてる。表面だけ見て勝手なことは言わないでくれ」
そして葉山君は雪ノ下と由比ヶ浜さん、それから僕の方を視線で示した。
僕はどこか上の空でその台詞を聞いていた。僕が介入すべきはここじゃない。僕の出番はもう少し後だ。
そもそも葉山君のこんなお節介には何の意味もないのだ。
それに、僕は素敵な子なんかじゃない。
折本さんは声も出さずこちらを見た。仲町さんは怯えているかのように下を向いている。
少しして折本さんは深い溜め息を吐くと。
「そっか」
とだけ言って鞄を掴み、仲町さんも連れて一階へと向かった。その途中で、僕らとすれ違う。
由比ヶ浜さんだけが居心地悪そうに俯いた。僕と、それから雪ノ下さんは葉山君から視線を逸らすことはない。
折本さんらが居なくなって、再びの静寂が訪れた。
その沈黙を打ち破ったのは雪ノ下さんで、その口調は、まるでこの場の誰もを強く咎めるようだった。
「選挙の打ち合わせ、と聞いていたのだけれど。それに、二人からは休みの連絡を貰っていたはずだわ」
雪ノ下さんの苛烈な視線と辛辣な物言いは、いつの間にか葉山君のみならず、僕と比企谷君にも向いていた。
「待ってくれ。それ、今日だったのか? 俺は聞いてないんだが……」
比企谷君はまだ状況が飲み込みきれないようで、辺りをキョロキョロと見回している。
少し離れた席で、誰かが笑っているような気がした。
「あ、えっとね。隼人君がヒッキーには内緒にって。あのね、悪い意味じゃなくて。その、会うと揉めちゃうからって」
由比ヶ浜さんがしどろもどろになりながら精一杯フォローしようとする。
そうか、わざわざ根回ししていたのか。
謎が一つ解けた。
「……あなたに日程を伝えないことが打ち合わせの条件だったのよ」
雪ノ下さんもそう苦々しく言い放って、それから戸惑いの目を僕に向けた。
その視線に、どこか刺々しさが含まれているように見えるのは僕の気のせいだろうか。
「八千代さんまでなぜ……」
「俺が彼女にも声をかけたんだ。君たちとは別口でね。正直、来ないんじゃないかと思ってたよ」
葉山君が僕にそう語りかける。彼女と口にしたとき、少しだけ比企谷君の表情が曇ったことに僕だけが気付いた。
その言葉は真実で、僕は葉山君からのお誘いを受けていた。
素直に誘いに乗ったと思われるのも癪だけど、それでなければ僕がここにいる説明がつかない。不平不満は無理矢理グッと飲み込んだ。
「本当は……来るつもりなかったんだけど。何で呼ばれたのか気になってね」
肩を竦めながら雪ノ下さんと同じ疑問をぶつける。
本当は知っているけれど、知らないフリをした。
僕以外の誰もが何もわからず、説明を求める視線を葉山君に向ける。彼は先程の敵意剥き出しの態度とは反対に、弱々しく洩らすように答えた。
「俺は……俺に出来ることをやろうと思っただけだよ」
その答えは決して明瞭なものではない。
折本さん達に僕らを引き合わせたかったことは伝わるが、その真意までを語るものではない。
しかし、それきり葉山君は口を開こうとしなかった。これ以上問い質すことを拒むようなその佇まいは、僕らを三度の静寂に落とし込む。
その直後。
どこからか椅子を引く音が聞こえてきた。
「ふーん。なるほどね」
ツカツカとわざとらしく足音を立てながら一人の女性が近付いてくる。
その人──雪ノ下陽乃さんは、背筋が凍るような笑みを携えて僕らの前にやって来た。
「姉さん……」
雪ノ下さんの口から呟きが溢れた。先程までの毅然とした態度からは一変、その姿には動揺が見える。
葉山君が苦虫を噛み潰したような顔で、歯軋りをした。
ここだ。このタイミングだ。次に陽乃さんが口を開く前に、僕がこの場の主導権を持っていく。
陽乃さんが、彼女をけしかけてしまう前に。
雪ノ下さんの会長になりたいという思いは、彼女の内から生まれたものなのか。
それとも、陽乃さんの言葉によって刺激されて生まれたものなのか。
僕にはそれがわからない。
だから止める。雪ノ下さんの真意を確かめるために。
雪ノ下さんの前に出て、陽乃さんと向き合う。
「お久しぶりです。ええと……雪ノ下さんのお姉さん、でしたっけ?」
敢えて言い淀んだ。
瞬間、空気が凍る。
ただ一人だけ、僕の悪辣な意趣返しを受けても平然と……いや、むしろ歓迎するように口角を吊り上げた人物がいた。
「そうだよ。で、君は確か……。えーと、何ちゃんだったかな」
小首を傾げるその姿に、しかし可愛らしさはどこにもない。
獲物を見つけた獰猛な狩人の目が、僕に容赦なく襲いかかる。蛙を睨む蛇はきっとこんな瞳をしているのだろう。
まるでしてもいない舌なめずりの音が聞こえてくるようで、耳にゾワゾワと鳥肌が立つ。
ボロ雑巾のようなしみったれた勇気を振り絞ってそれに対抗する。
「……八千代、ですよ。陽乃さんは葉山君に呼ばれたんですか?」
ただの疑問に、毒を含めることも忘れない。先ほどは名前を忘れたフリをしたのだと、そう言外に告げる。
それでも彼女は眉根を寄せることすらせず、それどころか何事もないように僕の目を見て微笑みかけた。
まるで敵わないな、これは。
どうあがいても一矢報いることなど出来そうにない。
「んーん。お姉さんは勝手についてきただけ。むしろ、八千代ちゃんは何しに来たの?」
内心で敗北を認めようとも、陽乃さんが追撃の手を止めることはない。それどころか強めてくる。
「聞いてましたよね? 葉山君にお願いされたからで──」
「それで? 何でわざわざそんなお願い聞いてあげたの?」
痛いところを突かれた。
貴女を止めるためです、とは言えない。
しかし、答えを取り繕うこともできそうになかった。
「それは……」
正直に答えるべきか逡巡していると、思わぬ方向から援護が入った。
「姉さん。その辺にして」
雪ノ下さんが自分の姉と相対するように向き合う。自分の体を抱くように腕を組んでいて、その立ち姿はどこか弱々しく見えた。
隣の由比ヶ浜さんが、不安そうに見つめていた。
「まったく。雪乃ちゃんはいっつも一足遅いんだから。そんなんじゃガハマちゃんも困っちゃうよねー?」
「……私に言いたいことがあるなら、直接言いなさい」
「それが出来ないのは雪乃ちゃんの方じゃない」
陽乃さんが、間髪入れずそう返す。その表情は蠱惑的な笑みが張り付いたように固定されていて、感情が読み取れない。
雪ノ下さんが顔を歪め、組んだままの腕を強く握りしめた。
「はぁ。なーんかお姉さん興醒めしちゃった。選挙の結果、楽しみにしてるね~」
陽乃さんは言葉に違わない退屈そうな顔をして、ヒラヒラと手を振りながら立ち去ろうとする。
しかし突然思い出したように「あ、そうそう」と呟くと、僕のところへやってきて、耳元に唇を寄せた。
「君、虚勢ぐらいは張れるようになったんだね。ちょっとは可愛げ出てきた」
そう言って僕の耳からスッと離れると、そのままの姿勢で僕の顔を直視する。
「……ええ、まあ」
正直言って、今すぐにここから逃げ出してしまいたい。顔を背けてしまいたい。
だけどその言葉からも逃れる訳にはいかないと、それこそ虚勢を張るようにしっかりと目を合わせた。
「そっかそっか……。それじゃ、比企谷君もまたねー」
陽乃さんはそう言って、今度こそ僕らの前からゆっくりと姿を消した。
雪ノ下さんが強ばらせた体をそのまま葉山君へと向ける。その視線はどこか糾弾するようで、端から見ているこちらも、えもいわれぬ罪悪感に包まれる。
葉山君は耐えきれなくなったように、彼女から目を逸らした。
「……そう。話が終わりなら、私ももう行くわ」
「あっゆきのん待って!」
雪ノ下さんが強く踵を返すと、由比ヶ浜さんが慌ててそれを追った。
僕がやったことは間違っていないだろうか。
その疑問だけがグルグルと頭を巡る。
ここのところずっとだ。
選挙について、陽乃さんからの明確な言及を避けることには成功した。
それでも彼女は生徒会長を目指すのだろうか。
もしその意志があるならば……僕は、彼女の決意を捻曲げてしまったのだろうか。
「余計な気、回してんじゃねえよ」
比企谷君の声で我に帰る。
彼の葉山君に向けたその言葉は、どこか僕にも刺さってしまいそうな鋭さを持っていた。
そのせいか、ただ口は呼吸を繰り返すばかりで一向に声が出てこない。
「すまない……ただ、俺がやるべきことをしただけなんだ」
葉山君は自嘲気味に笑って、それから垂れ下がるように少し背を曲げた。
「わざわざあいつらに手回ししたり、こいつを呼んだりしたのもそのためか?」
比企谷君が責めるように言う。きっと何よりも、あの二人に隠し事をさせたことが気に食わないのだろう。
葉山君はテーブルに肘をついて手を組むと、更に項垂れたようにそこに頭を預けた。
「……ああ。ずっと考えてたんだ」
そうして僕を見た葉山君の瞳に既視感を覚えた。
「俺なりの、責任の取り方を」
ああきっとこれは、最終日の京都駅の続きだと、そう思えてしまった。どこか憐れんだような目を向けられたあの日の延長なのだと。
「君に責任なんてものはないよ」
だからだろうか。
辛辣な口調になってしまうのは。
彼を睨み、拒絶するような態度を取ってしまうのは。
それは、その責任は僕の責任だ。勝手に持っていかれてたまるか。
比企谷君が目を剥く。こんな姿を彼に見せたことは一度もなかった。
僕の偶像もまた、僕自身が壊してしまったのだろう。
ただ葉山君だけが、その苛烈さを受け入れていた。
しかし発言を認める気はないのか、弱々しく首を横に振る。
「いいや。そんなやり方だって、わかっていたのに。それなのに俺が比企谷に頼ったから。だから八千代さんは──」
「おい」
僕より先に、比企谷君がその先を咎める。
だがそこに力強さなどはない。聞きたくない言葉への、耳を塞ぐことの代用でしかなかった。
葉山君はそこまでを正しく理解していた。
僕が、比企谷君の手段を模倣したのだと。
それがあの夜の川原に起因するものなのだと。
僕もまた盗人なのだ。
葉山君が責任という結果を我が物にしようとしたように、僕は手段という過程を比企谷君から略奪した。
葉山君は、そこまで僕と比企谷君のことを解っていて、しかしその先は理解していない。
少なくとも比企谷君に関しては。
「君達は、自分を犠牲にするべきじゃないんだ」
僕は何も言えなかった。
犠牲になったつもりはない。だけれど、否定する材料も見つからなくて答えに窮してしまう。
比企谷君だけが、口調を荒げて反論した。
「犠牲? ふざけんな。気持ち悪い同情は願い下げだ」
流れ出した彼の感情は、もう止まらない。
どこか自分に言い聞かせるように目を瞑った後、彼は更に語気を強くする。
「そんなもんで括るな。そんなもんを押し付けるな。他人が、人の出来事に勝手に割り込むんじゃねえよ」
僕はそんな彼の姿を、どこか羨むように眺めることしかできなかった。
「その結果に、犠牲だなんて反吐が出る定義を付けるな」
比企谷君は葉山君を睨み付ける。
葉山君は目を伏せて、それから吐き出すように呟いた。
「君が……君達が誰かを助けるのは、誰かに助けられたいと願っているからじゃないのか」
「違ぇよ」
それは決定的だった。
経過は理解しているようで、結論だけが水と油の様に相容れない。
比企谷君と、葉山君はそうだった。
なれば僕はどうなのか。
自問する僕を知ってか知らずか、二人の視線がこちらを向く。
お前はどうだと、まるでそう問われているような錯覚に陥る。
お前は、どうして人を助けたのかと。
もっと直截に言うのであれば、どうして嘘の告白までして葉山グループの仲を取り持とうなどしたのかと。
そして──そんなお前は、救いを求めているのかと。
「…………わかんない。わかんないよ。今さら、何でかなんてわかんないよ」
頭を掻き毟って考えても何一つわからない。
だから僕は、それ以上何も言えなかった。
あれはきっと衝動的な行動だったのだ。
そしてその衝動が何だったか。もう正しく思い出すことは出来ない。
当時の感情を今になって推察しても、それが正しいと断言できはしないのだ。
「……そうか」
葉山君がそう言った。そこにこちらの意を解するような意味合いは無い。
当たり前だ。僕自身にも解ってないのだから。
「……おい、大丈夫か?」
比企谷君の声はとても優しくて、だからこそ遠く感じられた。棘に触れないようこわごわと距離を計っていて、やはりそれは僕の心に近寄ることを是としていない。
「ごめん。もう帰る」
足下だけを見ながら、逃げ出すようにその場を後にした。
比企谷君も雪ノ下さんも。そして葉山君も。
彼らは彼らで共通する、あるいは反する信念を個々で持っている。
それはきっと高尚なもので、信念があるからこそ彼らの行動一つ一つに理由がつくのだろう。
僕にはそれがなくて、だからこそ僕の行動理由をしっかりと言語化できなかった。
僕のやりたいことはちゃんとあって。
それは確かにあのラーメン屋さんで秘かに誓った時と、何一つ変わらないのだろうけど。
じゃあどうしてそれをしたいのかという根源の疑問に答えることができない。
僕だけがあるべき信念を──人としての軸を、持っていなかった。
▽ ▽ ▽
その日は自分の過去を思い返しながらベッドに入った。そして恐らくは眠ってしまったのだろう。
何故なら僕がいま夢を見ていることを、僕自身が自覚しているからだ。
目の前にいる母親は八千代家のその人でなく、『僕』の母で。黙々と、幼い僕の口に食事を運ぶ姿を見て、ああこれは記憶に基づく夢なのだと自覚した。
コマ送りのように幼少期から回想が流れる。
まるで走馬灯だ。
物心付いてからの僕はまさしく本の虫であり、回想シーンのほぼすべてに絵本を初めとした本が写りこんでいた。
しかし、外で友達と遊んでいるシーンも見える。
これは……幼稚園か。硬い泥団子を作るのが流行の最先端だったっけ。
僕はまあまあ楽しそうに泥をこねたり砂場でトンネルを掘ったりしていて、そこには他の園児の姿もある。
その後は少し早送りになって、回想の中の僕の身長も控え目に伸びていった。
『……お仕事の都合ですか。それは仕方ないですね』
場面は小学校へと移り変わる。
これは僕が転校する直前の記憶だ。
僕は低学年の時に一度だけ小学校を変えていて、それは流石に覚えていた。
別れを惜しんだ友達も、きっといた……はずだ。もう顔も名前も思い出せない。
頻繁に遊んでいた訳ではないのだろう。
だが、ランドセルを背負ったちっこい僕は、すごく悲しそうな顔をしていた。
『……転入生。もう入ってきていいぞ』
更に飛んで、転入先の学校のクラスに切り替わる。
静まり返ったその教室に僕が入ってきて、ボソボソと「よろしくお願いします」と言った。名前を告げる様子はない。見兼ねた担任の先生が、黒板にフルネームを書いてみんなに紹介した。拍手はまばらだった。
それから回想の僕は、新しく友達を作ることもなく、今まで以上にずっと本を読んでいた。
ずっとずーっと。
ただ黙々と。
外で遊ぶ様子などは一切無く、本を読み耽るだけ。
薄い薄いその数年間は、あっという間に過ぎ去って──
『楽しかったー運動会ー』
いやそのまま小学校卒業しちゃったけど。
マジで本読んでただけじゃん。僕。
そこでふと思い出した。
小学生の僕は転校するときに、友達という概念をそこに置いてきてしまったのだ。
友達というのは幼稚園から付き合いのある、『なんとか君』や『なんとかちゃん』という何かであって、ポッと出のクラスメイトではないのだとそう思っていたのだろう。
誰かとの関係が永遠に続くと信じている、何とも子ども染みた発想だ。
転校して、今までの友達との関係は断絶して、その理想が脆いものだと知ってなお周囲に迎合することが出来なくて。
だから、本の世界に逃げ込んだのだろう。
『あんたはワガママ言わないから手がかからないわ。ほんと』
母親が、中学生になった僕にそう言っていた。
今となっては、それが褒め言葉でないことが分かる。
僕はワガママを持てていなかった。
何故か。現実に期待していなかったからだ。
僕が望む、他人との永続的な関係性は、絶対に手に入らないものだと既に知っていた。だから他の関係性も無価値だと切り捨てた。
あるいはそれを家族に言っていれば、違う未来もあったのかもしれない。だがそんな過程は無意味だ。僕は両親に何も求めないし、そんなだから親子の関係も希薄になっていった。
母はきっと、僕にワガママを言って欲しかったのだろう。
『これ……面白そう。タイトル長いけど』
現実逃避に精を出す中学生の僕が、書店で一冊の本を手に取った。
中学という環境は小学校の延長線上にあり、当然僕に友達がいるはずもなかった。
だから中学の三年間色んな本を読んでいたのだけど、その時見つけた一冊を初めとしたシリーズに、僕は一番心を惹かれていた。
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」
高校生になって、そのシリーズは一先ず完結した。
それでも僕はまだこの作品が好きだ。
恐らくそれは、僕が見出だした理想がそこにあったからなのだろう。
一体僕は俺ガイルのどこに惹かれていたのだろうか。
序盤の、どこか親近感の湧きやすいカースト下位の主人公が、斜め下のやり方で問題を解決する姿か。
中盤の、決して手に入らない理想を諦めることなく追い求める姿か。
終盤の、三人がすれ違いながらも、少しずつ彼らなりの答えを出していく姿なのか。
当時の感情を今になって推察したところで、それが正しいとは限らない。
むしろそれは、大きく間違っているのだろう。
だから問い直そう。何度も、何度でも。
その答えに満足が行くまで。
きっとそうやって出した答えも、どこかが違うのだろう。
それでも問う。
僕の抱く理想とは何なのかと。
僕の持つべき信念は何なのかと。
そこには、僕だけにしか持ち得ない答えがあるはずだ。
誰かを助ける理由も。生徒会選挙の望む先も。
正解は僕の中にしか入っていない。
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