引いたカードは…
「(この状況、絶対来てくれると思ってたぜ!)俺は『地精ノーム』を特殊召喚!」
地精ノーム 星1 地 魔法使い族/効果
A0 D0
手札にこのカード以外の地属性モンスターがいるとき、そのカードを相手に見せることで、このカードを特殊召喚できる。
このカードは地属性モンスターのアドバンス召喚の為にリリースされるとき、2体分として扱うことができる。
「こいつは俺の手札にある地属性モンスターを1枚見せることで特殊召喚できる効果を持つ。俺の手札にはさっき墓地から回収した玄武のカードがある。」
手札から玄武のカードを見せながら続ける。
「さらに地精ノームは地属性モンスターのアドバンス召喚の為にリリースされるとき、2体分として扱うことができる。地精ノームをリリースし、聖獣・玄武をアドバンス召喚!」
聖獣・玄武 A2100 D3100
これで俺の場には、玄武・朱雀・青龍・白虎の4体の聖獣がそろった。
「ふ、ふん。全部出てきたからなんだって言うのよ!」
あくまで強気な態度を崩さない彼女だったが、内心は動揺しているようにも見える。
「…今から俺のデッキの最強カードを見せてやろう。」
先ほど引いたカード、手札に残る最後の1枚を高々と掲げ宣言。
「四聖獣の力により、このモンスターを特殊召喚する!」
瞬間、周りの音はピタッと止まり、いつの間にか現れていた雲を押し分けてフィールドに光が差す。
そしてその光の中から現れたのは1体の光輝く龍。
「今ここに降臨せよ!最強の聖獣、黄龍!!!」
聖獣・黄龍 星12 光 ドラゴン族/効果
A4000 D4000
このカードは通常召喚できない。
このカードは自分の場に『聖獣・朱雀』『聖獣・玄武』『聖獣・青龍』『聖獣・白虎』がいる時にのみ手札から特殊召喚できる。
また、このカードは、自分の墓地に上記4体の聖獣カードがある時、それらを全て除外することでも手札から特殊召喚できる。その際、このカードは『聖獣・黄龍(怒)』となる。
このカードは相手の発動する効果の対象にならない。
このカードが召喚に成功した時、デッキから黄龍の名前が記されたカードを1枚手札に加えることができる。
「……………きれい…。」
対戦相手である彼女も思わず見惚れてしまうほどの美しさ。
そしてこいつは美しいだけではなく強さも兼ね揃えている
「…はっ!で、でもそのモンスターの攻撃力は4000。私の魔術師の攻撃力には届かないわ!」
そう、だからもう一手。
「俺は聖獣・黄龍の効果を発動。このカードが召喚に成功した時、デッキから黄龍の名前が記されたカードを1枚手札に加えることができる。」
最初、黄龍カードを手に入れた時にはこの効果はなかった。
しかしダンジョンの90階あたりを探索している時に見つけた、テキストに黄龍の名が記された別のカードを入手した瞬間、黄龍のテキストに効果が追加されたんだ。
「俺は魔法カード『ドラゴニック・サンダー』を手札に加える。」
ドラゴニック・サンダー 魔法カード
自分の場に『聖獣・黄龍』がいる時のみ発動可能。
相手の場のカードを全て、効果を無効にして破壊する。
この効果に対して相手は魔法・罠カードを発動できない。
このカードを使用したターン、あなたは攻撃できない。
さあ、黄龍の力を見るがいい!
「そしてその『ドラゴニック・サンダー』を発動!相手の場のカードは全て破壊される!!」
黄龍が天に向かって咆哮を上げる。
すると先ほどまで光がさしていた空に雲が満ち、ゴロゴロと音を立て始めた。
その音はどんどんと大きくなり、そして一筋の光となって相手のフィールドを貫いた。
「きゃああぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
余りの威力に吹き飛ばされる相手。
その様子はつい先程の俺と同じ。
「ううぅ…はっ!そ、そんな…。」
立ち上がった彼女の目に移ったのは、空っぽになった自身のフィールドと、俺のフィールドに並ぶ5体の聖獣だった。
「う、うそ…。五芒星の魔術師は効果で破壊されないはずなのに…。」
本来なら破壊されず場に残るはずだった魔術師も、ドラゴニック・サンダーの効果で、その効果を無効にされているため漏れなく破壊の対象となったわけだ。
「ドラゴニック・サンダーを使用したターン、俺は攻撃できない。ターンエンドだ。」
呆然とした顔でフィールドを眺めていた彼女。
そのままゆるゆるとした動きでカードを引いた。
「私の、ターン、ドロー…。」
そして
「………。」
どさっ
ドローしたカードをちらりと確認し、彼女は膝から崩れ落ちた。
「そんな…どうして…どうしてなの…?…わたしは…選ばれた人間じゃなかったの…?」
選ばれた人間…?
気になって聞こうとしたが、その前に自分から喋り始めてくれた。
「だって、だって彼が言ってたじゃない…、50階を超えれるのは選ばれた人間だけだって…、私だけだって…!!」
彼女の目からポロポロと涙がこぼれる。
「なのに…、それなのに…!!50階をクリアしてない人に、負けるなんて…。」
彼というのが誰のことが分からないが…もしかして執事さんか?
女性デュエリストにはメイドさんじゃなくて執事さんにできるってあったし。
ただまあ、ちょっと誤解だけは解いておこうか。
「なあ、ちょっといいか?」
彼女は膝立ちの体制のまま視線だけこちらに向ける。
「今まで黙っていたことなんだが…っと、これはほかのプレイヤーも見てるんだったな…。まぁいいか。実は俺、あんたと一緒で50階突破してるんだ。」
「………………………えっ…?」
彼女の目が見開く。
「えと、他のプレイヤーもごめん!黙ってたわ!」
このデュエルを見ているであろう他のプレイヤーたちにも一言断りを入れる。
「あんまり騒ぎを大きくしたくなくって、つい…な。ちなみに俺は今97階まで進んでる。あんたは?」
俺の言葉に大きくなっていた目がさらに開く。
「きゅ、97階!!?」
「ああ、今使っているカードも大半は50階以降で手に入れたカードだし。やっぱり進めば進むほど強いカードが手に入るからな。」
俺の言葉にぽかんとした表情でこちらを見つめる彼女。
(え?え?97階って嘘でしょ!?私だってまだ60階過ぎたぐらいなのに…。なんであんな凶悪な階層をそこまで進めるのよ!!ってか嘘を言ってる………ようには見えないのよね…。はぁ…。)
「…こりゃ勝てなくて当然ね…。」
「?なんだって?」
ぼそっと呟いた彼女の言葉が聞こえず聞き返す。
「…んーん、何でもない!ほら、私はターンを終了するわ。あなたのターンよ!」
なんだかわからないが吹っ切れた様子の彼女に促され、俺はカードを引く。
「そ、そうか。じゃあ俺のターン、ドロー。聖獣たちでダイレクトアタック!」
相手LP7000→0
攻撃を受けた彼女の顔は、なんとなく重圧から解放された人の表情のようにも見えた。
【あ、あー、あー。んん…。おめでとー!!!!!!これでついに代表者が決まったよー!!本大会まではまだ少し時間があるけど、優勝した彼にはみんなの代表として戦ってもらうから、みんなもしっかり応援してあげてねー!!とりあえず今回の代表者決定戦はこれでしゅうりょーーーー!みんなお疲れー!】
管理人の声でようやく優勝したことを実感する。
【あ、そうそう、今回出場したみんなにはある程度のボーナスが付くからねー。それから本大会までの間に50階に到達した人へもちゃんとボーナスあるから、まだの人は挑戦してねー。もちろん50階を突破できればもっと良いものあげちゃうから♪まあ後は実際に戦うのは彼だけだからね。残りの時間を探索に使うのも、メイドさんや執事さんとゆっくり過ごすのも、それはみんなの自由だよん♪じゃ、次にみんなと会うのは本大会が終わってからになるかな?それまでバイバーイ☆】
管理人の声が消え、気が付くと俺は拠点のパソコンの前に戻ってきていた。
チカチカと自己主張するメッセージを開くと、『詳しい話は明日直接しにいくからー。by管理人♡』と。
とりあえず明日なら今日はゆっくりしようかと思い後ろを振り向くと
「………ソラ…。」
「マスター…。」
そこにはソラの姿が。
そして俺に最高の笑顔を向けて
「おかえりなさい、マスター。」
「…うん、ただいま。」
つられて笑顔になった俺は、ソラと連れ添って家の中へと入っていった。
今年最後の投稿となります。
いつもダンジョンカードバトルをご覧頂きありがとうございます。
投稿を始めてこの話が閑話を含めてちょうど100話目。
101話目(題名は100話)は新しい年の投稿になりますが、しばらく色んな用事の為、投稿を数日お休みさせていただきます。
また落ち着いたら再開する予定ですので、その際にはよろしくお願いします。
新型コロナウイルスの影響で、例年とは違う雰囲気の年末年始になりましたが、皆様十分お体には気を付けてお過ごしくださいませ。
それでは、来年もダンジョンカードバトルを宜しくお願い致します。
良い年末を!