R15?
コホン
咳払い1つして彼女に向き直る。
「俺さ、ソラに言いたいことがあるんだ。」
「はい、なんでしょう?」
さっきのは無かったことにする。
「俺、ソラと一緒に生活して、本当に楽しかった。できるなら、ずっと、ずーっと一緒にいたいと思ってる。」
「マスター…。でもそれは…」
「だから!俺はこの大会で優勝する。優勝者には色々とボーナスが貰えるって管理人が言ってたし、その内容も割と融通が効くみたいなんだ。だから、ソラと一緒に過ごしたいって願えば、きっと…。」
「マスター…。」
「だから、さ、もしよかったら…これからも、俺と一緒にいてくれないか…?」
俺の言葉を受け、その蒼い瞳に涙を浮かべながら彼女は頷いた。
「………はい…、マスター…。」
そしてそのまま、彼女は俺に抱きついてきた。
お互いの鼓動、ぬくもりを感じ、とても幸せな時間が流れる。
しばらくして、どちらからともなく体を離した。
そのぬくもりを、名残惜しむようにゆっくりと。
恥ずかしいのか、頬を赤く染め、俯いた顔のソラに、俺は言った。
「じゃ、じゃあ、明日も早いし…そろそろ寝ようか?」
ピシッ…
何かが凍り付く音がした…気がした。
先程まで周りを漂っていた甘酸っぱい空気は霧散し、代わりにこの場を支配するのはまるで南極にいるかのような凍える空気。
その発生源たる彼女の表情を恐る恐る覗くと
「………………………………………………………………………………はあぁぁぁ~…。」
それはそれは大きなため息をつかれた。
「……えーっと…?そ、そら…さん?」
その表情は髪に隠れて分からない。
ただ、彼女がとても呆れていることだけは伝わってきた。
「…まぁ、マスターですもんね…。」
ボソッと嘆く彼女。そして
「う、うわっ!?」
彼女は俺をベットの上に押し倒し、その上に跨って来た。
「マスター。」
「は、はいっ!!」
思わず敬語で返す。
「普通ですね、こんな状況で終わりって…どれだけヘタレなんですか。」
「うぐっ!」
俺の
「いくらマスターがヘタレでも、流石にここまですればと思っていましたが…、予想以上でした。」
「ぐふっ!」
俺の
「今時マスターよりもっと年下の子でさえ、マスターよりは積極的ですよ?」
「うぐぉ!」
俺の
「女の子にここまで言われて恥ずかしくないんでしょうか?」
「ぬぐぁ!!!」
俺の
やめて!もう俺のライフポイントは0よ!!
「…まぁ、そこがマスターらしいんですけどね…。」
先程までの呆れた表情から、少し優しい表情になったソラが呟く。
「さて、マスター。」
「は、はい…。」
「本当は私だってもうちょっとロマンチックなのを期待していました。しかし今のマスターの様子を見る限りではそれは難しいと分かりました。」
「うっ…。」
「なので、ここからは私も我慢はしません。いいですか?マスターが悪いんですからね?すべての原因はマスターのヘタレですからね?」
そういいながら徐々に顔を近づけてくるソラ。
そして、口と口が触れそうな距離まで近づいた時
「…覚悟してくださいね…マスター?」
そう言った彼女の表情はとても妖艶で…
それからの出来事は、とても口で言い表すことはできない。
ただ言えるのは、とても幸せでした…。
チュンチュン チュンチュン…
「……ター…、……マスター…。」
俺を呼ぶ声に意識がゆっくりと浮上していく。
「おはようございますマスター。朝ですよ。」
寝ぼけた頭のままで声がする方を向くと、そこにはいつも通りの格好のソラがいた。
「食事の準備はできていますので、着替えたらお越しくださいね。」
ぼーっとした頭でキョロキョロと部屋を見回すと、何の変哲もない自分の部屋が目に入る。
「…マスター、どうかなさいましたか?」
「ん…、誕生日会…?」
「?誕生日会…?マスターお誕生日なんですか?」
頭にはてなマークを乗せたソラが訪ねる。
「え…?あ、い、いや、…寝ぼけてたみたいだ。う、うん着替えたら行くから向こうで待ってて。」
「?わかりました。」
部屋を出て行くソラ。
あ、あれぇ??何か前にもこんなことがあったような…?
…デジャヴ??
頭にはてなマークを浮かべつつ朝の準備を進める。
しかし、ベットから出た際に乱れた布団を直そうとして、はたと手が止まる。
そこには昨晩の出来事が現実だったという確かな証拠が残っていた。
思わず顔が熱くなり、口元がモニョモニョする。
「…何一人でニヤニヤしてるんですか…。」
ビクッゥウ!!!
いつの間にか扉から覗いていたソラの声に思わず飛び上がる。
「……そんなにまじまじと見られたら恥ずかしいので、早く着替えて出てきてください。」
しかし、昨晩の行為の後を見て妄想する俺を、恥ずかしそうに見つめるそのソラの表情に、顔のニヤニヤが加速する。
「もう…、マスターのバカ…。」
顔を朱く染めながら彼女は行ってしまった。
その姿を見て一層表情筋を緩ませる俺も、おそらく同じくらい朱い顔をしていただろう。
いつもより言葉数少ない朝食を終え(お互いに恥ずかしさで気まずい)、出発の準備をする。
時間は8時過ぎ。
いつ管理人が迎えに来るかは分からないけど、いつでも出れるように準備はできてる。
「じゃあ、行ってくるよ。」
「はい、行ってらっしゃいませ。…ご武運を。」
いつかと同じやり取りを行い、俺は家の扉を開く。
「あ、マスター。」
「ん?」
ソラに呼ばれ、振り向いた先にはソラの顔が。
そして不意に唇に感じたフニッとした柔らかな感触。
「………え、っと、が、がんばってください、マスター。」
「う、うん…。あ、ありがとう…。」
お互いに顔は真っ赤。
こ、これは絶対に負けられねぇぜ!!!
気合MAXのまま、改めて扉を開くと、そこにはすでに管理人が待っていた。
「あ、もうイチャイチャするのは済んだ?まだ時間あるし、もうちょっとイチャついてきても大丈夫だよ?」
……でたよ、覗き魔。
「…いや、大丈夫だ。」
極めて冷静に言い返す。ここで取り乱そうものなら奴の思うつぼだろう。
「なーんだ、つまんないの。ま、いいや。じゃあ準備ができてたら会場に移動するけど?」
「ああ、問題ない。」
デュエルディスクは装着済み。デッキも持った。
「じゃあいくよー。ほいっと。」
管理人の気の抜けた声と共に、俺たちは本大会の会場へと転移した。
昨日の夕方5時前頃、間違えてこちらを投稿してしまいました。
見られた方、大変申し訳ありませんでした。