ダンジョンカードバトル   作:ノジー・マッケンジー

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109話

「…おい貴様、一体どういうつもりだ?」

 

リングを見つめる管理者の一人が、攻めるような口調で問いかけた。

 

「おや?何の事でしょうか?私には皆目見当がつきませんなぁ…。」

 

その視線に余裕の表情…いや、こうなることは分かっていたのだろう。ニヤニヤした表情を張り付けて答える。

 

「…質問を変えよう。なぜあのカードがここにある?」

「そう言われましてもねぇ、たまたま(・・・・)、あのカードに成長しただけですからねぇ。」

 

その口元をさらに歪め、さも楽しそうに答える。

 

「ぐっ…貴様…!」

 

何を言っても無駄と悟ったのだろう。その管理者は苦虫をつぶしたような表情で相手を睨む。

 

「ま、あのカードに成長したことに関しては、私も驚きましたよ。」

 

本心では全くそんなことを思っていないであろうその物言いに、先に口を開いた管理者の額に青筋がうかぶ。

 

「ですが、私は運が良い。彼がたまたま(・・・・)あのカードを手に入れてくれたことで、私の優勝がほぼ決定したのですから。…ねぇ、お前ももそう思わないかい?」

 

そう言って彼は振り向くと、そこにいたへらへらした表情の管理者に話しかける。

 

「お前も運が悪かったねぇ。せっかくここまで勝ち上がったのに、残念残念。」

 

しかし、ニヤついた顔で煽ってくる管理者に対し

 

「……んー?あ、ごめん、目開けたまま寝てたー。どしたのー?」

 

まるで気にした様子を見せず、その場で伸びをしてみせる管理人。

 

「…っち!(少しは動揺でも見せればいいものを…)」

 

その姿を見て苛立ち気に舌打ちをするが、その後の一言で思わず固まってしまう。

 

「…ちょっとは動揺ぐらいしてほしかったのー?するわけないじゃん。だってこっちが勝つって分かり切ってるのにー。」

「なっ!!?」

 

考えを読まれた事にも驚いたが、この状況で自分が勝って当たり前のような態度に信じられない物を見るような目で見つめる。

 

「あんな偽物じゃ勝てないよ、絶対に。…まぁ、例え借りものじゃなくても、あの子には勝てないだろうけどねー。」

 

その眼は今まさにリング上で戦っている青年を見つめている。

しかしそれは、管理人が彼の青年を信頼しているというよりも、極々当たり前の事として捉えているように見える。

 

「…運が悪かったね?せっかくシードだったのにさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は召喚した『干支・戌』の効果発動っ!こいつが召喚された時にはなぁ、デッキから別のモンスターをもう一体召喚できるんだよぉ!!来やがれっ!!!」

 

 

干支・戌 星4 地 獣族/効果

A1700 D1600 

このカードが召喚・特殊召喚された時、手札・デッキから干支・申を特殊召喚できる。

 

 

干支・申 星4 地 獣族/効果

A1600 D1700

このカードが召喚・特殊召喚された時、手札・デッキから干支・戌を特殊召喚できる。

 

 

場に現れた2体の干支モンスター。

以前戦ったあいつも使っていたカードだが…、何て言うんだろう?以前の事があるから当然警戒は大なんだけど、あいつと比べて何となく威圧感が無いというか…。

以前このカードたちと対峙した時にはもっと何ていうか、力強さを感じたような気がしたんだけど、今目の前のこいつらからは、そう言ったものを感じない。

 

「へっ!ビビッて声も出ねぇのかぁ!??おら、行くぜっ!バトルフェイズで攻撃だ!!」

 

こちらの様子を見て『初代優勝者のデッキ』という肩書にビビってるとでも思ったのだろう。

意気揚々と攻めてくる。

 

「先ずは戌でそのモンスターを破壊だぜっ!!」

 

俺の伏せモンスターに向かって、その鋭い牙で攻撃を仕掛ける戌。

しかし

 

「俺の伏せカードは…『聖獣・朱雀』!」

 

 

聖獣・朱雀 星4 炎 鳥獣族/効果

A1800 D1900

①このカードが墓地に送られた時、自分の墓地のレベル4以下のモンスターカードを1枚、自分の場に特殊召喚できる。

②このカードが墓地に送られた時、①の効果を使用しなかったターンのエンドフェイズ時のみ発動可能。このカードを自分の場に特殊召喚する。

 

 

「朱雀の防御力は1900。よってお前にダメージを受けてもらうぜ!」

「ちぃっ!」

 

相手LP8000 → 7800

 

 

「くそがっ!んだよそいつ!?さっきまで使ってなかったじゃねーかよ!!?」

 

奴が何か喚いているがそんなことは知らん。カードゲームってそういうもんだろ?

狙い通り動揺してくれた10番はいいんだが、それより…

 

 …じーっ…

 

うわぁ…、めっちゃ見てるよ…。

チラリとリング外に目をやると、すでに決勝進出が決まっている1番がじっとこちらのモンスターを見つめている。

 

(そりゃそうだよな。次に当たる可能性が有るわけだし、少しでも情報を得ようとするのは当然か…。)

 

『聖獣・朱雀』という名称から、おそらく他の3体がいるであろうことは容易に予想がつくだろうし、今頭の中で様々な可能性を考えているであろうことはその表情から見て取れる。

 

「ちっ!じゃあ俺はターンエンドだよ!」

 

しばらく1番の様子を窺っていたが、10番の声で我に返る。

そうだ、今はこいつとデュエル中。次の事ばかり考えてて足をすくわれでもしたらさすがに笑えない。

 

「…俺のターン、ドローッ!!」

 

気合を入れ直しカードを引く。

 

引いたカードは『融合の騎士』。

 

…そうだな、先の事を考えてビビる必要なんてないよな。

むしろ逆に、お前たちの力を見せつけてやる方が…俺たちらしいっ!

 

「俺は、融合の騎士を召喚!」

 

 

融合の騎士 星4 光 戦士族/効果

A1900 D1400

場のこのカードと、聖獣モンスターカードとで融合を行う際、融合の魔法カードがなくても融合召喚を行うことができる。

 

 

さぁ、行くぜ相棒!

 

「俺は場の朱雀と融合の騎士を融合!」

「はっ?融合?お前馬鹿かっ!融合の魔法カードがねぇのにできる訳ねぇだろっ!?もいっぺんお勉強し直して来いよクソ雑魚助がっ!!」

 

…酷い言われようだ。

だが、クソ雑魚助…とは言わないまでも周りが見えてないこの対戦相手に、現実を見せつけてやるとしようか。

 

「…融合の騎士の効果だ。場のこのカードと、聖獣モンスターが融合を行う場合、融合の魔法カードが無くても融合を行う事が出来る。」

「…ああぁん?」

「この効果により、俺は場の2体のモンスターの融合が可能となる。」

 

一瞬ポカンとした表情を見せる相手だったが、その後苛立ち気な表情で言葉を続ける。

 

「ちっ!融合できるからなんだってんだよっ!おらっ早くしやがれやっ!!」

 

進行を遮ったのはそっちなんだが…。

ま、この様子じゃ何言っても無駄か。

 

「じゃあ、お望み通り見せてやるよ。…炎を支配し力をその身に宿し、南より来たりしは朱き騎士…。出でよ!聖騎士スザク!!」

 

 

聖騎士スザク 炎 戦士族/融合/効果 

A2300 D2000

1ターンに1度、場の好きなカードを破壊することができ、破壊されたカードの持ち主はデッキよりカードを1枚ドローする。

 

 

神々しくもあるその炎の翼を存分に広げ、俺の場に1人の騎士が顕現した。

 

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