ダンジョンカードバトル   作:ノジー・マッケンジー

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112話

…忌々しい…

 …実に忌々しい…

 

目の前に浮かぶ黒玉は怨嗟の言葉を放ち続けている。

そして真ん丸だったその体(?)は徐々に形を変える。

 

「これは…。」

 

その姿を俺は見たことがある。

今までダンジョンの中で戦ってきた10階や20階のボス。

それらと同じく人形に姿を変えた黒玉。

 

「…再びこの姿を取ることになろうとは…実に忌々しい…。」

 

だがそのプレッシャーは階層ボスの比ではない。

 

「…だがそれも貴様等を殺してしまえば済む事…。ふんっ…実に腹立たしいが、我が再びこの世に君臨する前のお遊びと思えば我慢もできる…。」

 

向けられる殺気に足がすくむ。

だがこの状況、何とかできるのは俺しかいない。

 

「…ふふふっ…では始めるとしようか…死のゲームを…!!!」

 

途端奴の体から黒い靄が噴き出し、結界内を覆う。

 

「っ!!?」

「ふふふっ…光栄に思うがよい…。貴様は我が復活する為の生贄第一号となれるのだからな…!!」

 

 

怖い。逃げ出したい。もういっそのこと死んでしまった方が楽なのでは。

そう思わせるような負の空気を発する黒靄。だが

 

「…大丈夫だ。君なら…、きっと勝てる。」

 

ポンッと肩に置かれた手から暖かな力を感じる。

 

「大した力にはなれないけど、これで少しはあの靄を緩和できるはずだ。」

「…ありがとう。」

 

肩に触れる手は僅かに震えていた。

俺は管理人に礼を言うと、デュエルディスクにセットされたデッキを見る。

 

 

……うん、そうだな。

 

 

目を瞑り、これまでの事を思い出す。

沢山の魔物や強敵と戦い、時には敗れ、時には逃げてここまでやって来た。

でもどんなピンチの時も、常に俺のそばにはこいつらがいた。

 

そうだ。俺にできるのは、最初から最後までデッキを信じ、カードを信じる事のみ。

なら難しい事を考えるのはやめだ。

世界の命運とか、そんなプレッシャー掛けられて全力が出せるわけないじゃん。

考えるな。ただこのデュエルに集中する、それだけでいいんだ。

 

 

 …ご武運を……

 

 

脳裏にソラの顔が浮かぶ。

 

「…みんな…頼むぞ…!」

 

このデュエル、絶対に勝つ!!!

 

 

 

「ふふっ…では闇のデュエルの始まりだ。我のターン。」

 

気が付けばいつの間にやら奴の手にはデュエルディスクとデッキが。

そしてさも当然の如く向こうの先行でデュエルが始まる。

 

「…フム。我はモンスターをセット。さらにカードを2枚伏せターンエンド。」

 

精神に異常をきたす程の黒い靄の中で不気味に浮かぶ3枚のカード。

…どんなカードかは分からないが、あの干支デッキの初代優勝者に1度負けているということは、決して勝てない相手ではないはずだ。

 

「…俺のターン、ドローッ!!」

 

引いたカードは、これまで数々のデュエルをともに戦い抜いてきた相棒。

 

「俺は『聖獣・朱雀』を召喚!そして朱雀でそのモンスターに攻撃だ!」

 

場に現れるのは炎を司る神々しき鳥。

 

「ふふふっ…われの伏せモンスターは闇を呼ぶもの。」

 

 

闇を呼ぶもの 星1 効果

A0 D0

 

 

攻防0のモンスター…効果は何だ?

 

「闇を呼ぶものの効果発動。このカードが破壊された時、我はデッキより『闇の神殿 アビスゲート』を手札に加える。」

 

闇の神殿アビスゲート…。又物騒な名前のカードだが…。

 

「俺はカードを2枚伏せターンエンドだ!」

「くっくっくっ…我のターン、ドロー。我は手札よりフィールド魔法『闇の神殿 アビスゲート』を発動。」

 

奴がカードを発動した瞬間、奴の背後に巨大な神殿が現れる。

しかしそこに神々しさは欠片もなく、逆に心を不安にさせるようなどす黒さで塗りつぶされている。

 

「ふふふっ、このカードがフィールドにある限り、名前に闇のつくカードの攻撃力、防御力はそれぞれ500ポイントアップする。」

 

攻防500アップ…!

この効果から、おそらく奴のモンスターカードはほぼ『闇』と名についたものばかりだろう。

中々にキツイ。

 

「では我は手札より『闇の住人・ふ』を召喚。」

 

 

闇の住人・ふ 星2 効果

A800→1300 D800→1300

 

 

「さらに我は『闇の住人・ふ』の効果を発動。我の場にモンスターカードがこやつのみの場合、手札よりレベル4以下の闇の住人を召喚できる。さぁ出でよ、『闇の住人・よ』。」

 

 

闇の住人・よ 星4 効果

A1600→2100 D1600→2100

 

 

くっ、アビスゲートの効果で朱雀の攻撃力を上回れたか…。

 

「ではバトルフェイズだ。闇の住人・よで、聖獣・朱雀を破壊。」

「ならその瞬間、リバースカード発動!『強引な人質』!」

 

 

強引な人質 罠カード

相手の攻撃時に発動可能。このカードを攻撃モンスターの装備カードとする。

その攻撃を無効にし、このカードを装備したモンスターのコントロールを得る。

このカードを装備したモンスターの効果は無効化され、攻撃を行えず、表示形式を変更する事もできない。

このカードが破壊された時、このカードを装備していたモンスターは元の持ち主の場に戻る。

 

 

ここは罠カードで防ぐ!

これで奴のモンスターを奪えれば、攻撃には使用できないがリリースには使用可能だから、他の聖獣召喚が容易になる。

しかし、

 

「くくくっ…我は闇の神殿・アビスゲートのもう一つの効果を発動。」

 

なっ!?もう一つの効果…?

 

「我の場に『闇』と名につくモンスターがいる時、1ターンに1度相手の魔法・罠を無効にし破壊することができる。」

「くっ!」

 

アビスゲートの効果により、強引な人質はその効果を発揮することなく墓地へと送られる。

そして、

 

「では改めて、闇の住人・よの攻撃だ。」

 

俺LP8000→7800

 

「ぐうっ…。」

 

あの神殿はヤバい。

だが、やられたのが朱雀ならばエンドフェイズに場に戻ることができる。

まだいくらでも挽回は可能だ。

 

しかし奴はさらなる絶望を告げる。

 

「くくっ…ここでさらに、闇の神殿・アビスゲートのもう一つの効果を発動する。」

 

なにっ!?まだ効果があるだと!!?

 

「闇の神殿・アビスゲートがフィールドにある限り、戦闘で破壊されたモンスターは墓地へ送らず除外する。」

 

「なにっ!!?」

 

ま、まずい。これはかなり不味い。

流石の朱雀も除外されてしまっては場に戻って来れない。

 

「くっくっ…さぁ、次元の彼方へと消え去るが良い!」

 

 キュウウゥゥゥゥゥ………

 

攻撃を受け、墓場に送られようとしていた朱雀は、途中でその方向をかえ、そのまま闇の神殿の中へと吸い込まれて行ってしまった。

 

クッ、朱雀…。

 

「まだ我のターンは終わっていないぞ。闇の住人・ふでダイレクトアタックだ。」

「ぐわあぁ!!」

 

俺LP7800→6500

 

俺の場が空になった事で、闇の住人のダイレクトアタックが襲う。

 

「我はターンエンドだ。」

 

 

つ…、強い…。

 

 

 

 

 

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