ダンジョンカードバトル   作:ノジー・マッケンジー

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前話、『アビスホール』の効果を変更しました。
×アビスホールが場にあるときのみ発動可能
○アビスホールが場にあるとき、効果を打ち消されない

『アビスゲート』の効果を追加します
→自分の場に『闇の住人』モンスターがあるとき、このカードの効果(ターン1、罠・魔法無効化効果)は無効化されない。

感想でのご指摘ありがとうございます。


114話

闇の住人・む 星6 効果

A2400→2900 D2400→2900

このカードが場に存在する限り、お互いのプレイヤーは効果モンスターを召喚・特殊召喚・反転召喚・セットする事が出来ない。(このカードを除く)

 

 

ヤバい。控えめに言ってヤバい。

何がやばいって、このカード1枚だけで完封される可能性が有る程にはヤバい効果を持っている。

ダンジョンやカードの仕様上、成長やレベルアップ、ランクアップによりほとんどのカードは強力な効果を持つカードへとその姿を変える。

中には、効果を得ない代わりに素の能力が高かったり、他のカードとのシナジーがあるカードなんかもあるけど、俺の場合は元々のカードは全て聖獣たちと一つになり、50階以降で手に入れたカードも強力な効果を持つカードばかりだ。

もしここに立っていたのが俺じゃなかったとしても、おそらく今の俺と同じだけの絶望感を味わうことになっただろう。

 

 

「我はこのターン攻撃が出来ない。よってターンを終了する。」

 

現在場には『闇の住人・む』が1体。

そして相手にはアビスゲートと伏せカードが2枚に手札が3枚。

対する俺は、手札が1枚に伏せカード4枚。内1枚は封邪の結界だ。

青龍と白虎が除外された今、封邪の結界は只の置物と化してしまっている。

ライフは俺が1600、相手が3300で、俺の方は一撃圏内。

 

『闇の住人・む』の効果で、効果モンスターの召喚を封じられ、さらには魔法や罠を使おうにも、『アビスゲート』の効果で1度は無効化されてしまう。

 

「さぁ、どうした…、カードを引くが良い。くっくっく…貴様の、最後のドローだ。」

 

無意識に手が震える。

今まで感じた事のない程の恐怖と絶望感に、まるで漆黒の闇に取り込まれてしまったような感覚に陥る。

 

「くっくっく…、さあ、早く引け。そして絶望しろ。その闇こそが我の糧となる…!」

 

奴から常時発している黒い靄の影響もあるのか、悪い考えばかりが頭をよぎる。

 

 

 

  …ま、もし負けた場合は僕たちだけじゃなく、結界の外の人も皆殺しになるだろうけどねー

 

 

 

「ぐっ…!」

 

先程の管理人の言葉を思い出し、自分が負けた後の事を想像したことで、そのプレッシャーに吐きそうになってくる。

 

「くっはっはっは!!良い顔だぞ、貴様!そうだ、その顔を見たかったのだっ!!!」

 

奴が何か言っているがこちらはそれどころじゃない。

顔にはびっしりと汗をかき、手は震えてまともにカードを引くことも出来ない。

 

真っ暗な闇の中、俺と奴だけが存在する、世界から切り離された空間

 

(…もう…、ダメなのか……。)

 

全てを塗りつぶす闇の中で…、1条の光が走った。

 

「む…?」

「これは…?」

 

その光はこの黒き世界の中では非常に頼りないほどの小さな光。

だが、俺にとっては何よりも眩しく、暖かい光に感じた。

 

 

「………俺のターン…。」

 

その光に勇気付けられ…、気が付くと、もう震えは止まっていた。

 

「…貴様…!」

 

先程の様子とは打って変わって、堂々とした佇まいの俺を見て奴は歯噛みをする。

 

「…俺は今まで、どんな時も、カードと、デッキを信じてここまで戦ってきた…。そして、今の俺があるのは、ともに戦い抜いてきたカードたちと、今まで戦ってきた強敵たちがいたからこそだ…。」

 

ゆっくりとデッキトップに、淡い光を放つそのカードに手を掛ける。

 

「だから俺は…、これまでの経験と、カードを信じて…、未来をつかみ取る!!!」

 

目を見開き、一気にカードを引く。

 

「ドロォォォッ----!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…マスター、そのカードを入れられるんですか?」

 

決勝の前に、ソラと一緒にデッキを組んだ時の彼女の言葉だ。

 

「ん?ああ、入れるつもりだけど?」

 

何となく渋い表情で彼女は言った。

 

「確かに、カードの能力自体は強いかもしれませんが、マスターのデッキには合ってない気もしますけど…。」

 

彼女の言葉に、苦笑しながら答える。

 

「ははっ、確かにな。…でも、何となくだけど、このカードは入れといた方が良い気がするんだ。」

 

俺の言葉に若干納得のいかない表情を見せながらも

 

「…そうですか。マスターがそうおっしゃるなら。」

 

そう言ってくれた。

 

確かに俺のデッキのカードとは特にシナジーの無いカードなだけに、本来なら候補にも挙がらないカードだ。

しかし、この時俺は、このカードをデッキに入れておかないと後悔する、何故かは分からないがそんな思いに駆られていた。

 

 

そして今この時、その判断が正解だったことが証明される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!リバースカードオープン!罠カード『九死に一生』!!」

 

 

九死に一生 罠カード

自身のライフが相手より倍以上少ない時にのみ発動可能。

手札よりモンスターカードを1体選び特殊召喚する。

 

 

 

引いたカードを一瞬だけ確認し、それを召喚する為に罠カードを発動させる。

 

「俺のライフがお前より半分以下の場合、手札よりモンスターを1体特殊召喚できる!」

 

しかし、この状態で召喚できるモンスターに対して警戒し、奴はアビスゲートの効果を使用する。

 

「む?ならば我はアビスゲートの効果を発動。その罠カードの発動を無効化する。」

 

罠の効果は無効化されるが、そのかわり奴はこのターンもうアビスゲートの効果を使えない。

 

「さらにリバースカードオープンッ!『古のルール』!!」

「ぬ!?」

 

 

古のルール 魔法カード

手札からレベル5以上の通常モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

リセットボム発動の直前に伏せておいたカードだ。

 

「俺は手札から、レベル5以上の通常モンスターを特殊召喚する!」

 

俺のデッキの中で、今から召喚するカード以外に通常モンスターはいない。

つまりこいつの為だけにデッキに追加したカード。

数あるデッキのカードの中で、たった1枚のカードの為だけに入れた、2枚の内の1枚。

そのカードが、今噛み合った。

 

「俺はこのモンスターを特殊召喚する!…その光を以て漆黒の闇を切り裂け!!出でよ、『シャイニングドラゴン』!!!!!」

 

 

 

シャイニングドラゴン 星8 光 ドラゴン族/通常モンスター

A3000 D2500

 

 

 

かつてダンジョンの50階で死闘を繰り広げた相手、一度は敗れた相手から譲り受けたこのカード。

まるであいつが「何を諦めている」と叱咤してくれたようにも感じた。

 

 

 

「ぐっ…まさか通常モンスターがいようとは…。」

 

予想だにしていなかった上級通常モンスターの出現に動揺が見える。

 

「これは強敵(ライバル)から譲り受けた、奴の魂のカードだ。この光で、お前の闇を切り裂く!」

 

 

 ギャオオォォォオ!!!

 

 

俺の思いに反応してか、力強い咆哮を上げるシャイニングドラゴン。

 

「行くぞ、バトル!シャイニングドラゴンで『闇の住人・む』に攻撃!!シャイニング・ブラスター!!!」

 

 

「むおぉぉぉ!!」

 

相手LP3300→3200

 

 

 …よくやった……

 

 

シャイニングドラゴンの攻撃が放たれた瞬間、あいつの声が聞こえた…ような気がした。

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