ダンジョンカードバトル   作:ノジー・マッケンジー

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119話

気が付いた時には、俺は拠点の自分のベットにいた。

 

あの後、

管理者達が何やら話をして、とりあえず夫々の拠点に戻ることになったんだと思う。

帰ってきてからソラとも話をしたんだと思うけど…、何を話したか思い出せない。

 

 

頭の中がぐちゃぐちゃで、心にもポッカリ穴が開いたみたいで、…今は何も考えられない。

とにかく体は休養を求めていて、でも頭の中はぐるぐるで、とてもじゃないけど休まらない。

 

一瞬寝れたとしても、あの時の光景を夢に見て飛び起きる。

 

そんな日が続いた…。

 

 

その間、ソラは何も言わずに甲斐甲斐しく俺の世話をしてくれた。

食事を部屋まで運び食べさせてくれて、風呂も一緒に入り体を流してくれる。

流石にトイレまでは一人で行ったけど…。

 

何もしない、何も変わらない、そんな日々が続く…。

 

 

 

 

 

 

ある日の事、俺が自分のベットで横になっていると

 

 コンコンコン…

 

「マスター、失礼します。」

 

少し緊張した表情でソラがやってきた。

 

「…?どうしたの?」

 

何となく普段と違う様子に思わず問いかけると

 

「…マスターに、お客さんです。あの…、管理人が…。」

 

管理人…、その名前を聞くだけであの時の情景を思い出す。

 

「…分かった、行くよ。」

 

ゆっくりと起き上がり、家の玄関へと向かう。

その後ろには心配そうな表情でソラがついてきてくれる。

 

 

 

 

「やぁ、久しぶり。体の調子は……、うん、まだ駄目そうだね。」

 

開口一番そんなことを宣ってくる。

 

「…そっちこそな。で、何のようだ?」

 

だが、やつれた顔をしているのはお互い様なので、こちらも軽く言い返し本題を要求する。

 

「まぁね。えっと、今日はね、現状報告とこれからの事について話をしに来たんだ。」

 

現状報告…か。

結局あの時、何が起こったのか分かってない。

当事者なだけに、ああなった理由は知っておきたい。

 

「ちょっと長くなるけど…いいかな?これから話すことは全部君に関係する事だから…、理解できない事もあるかもしれないけど聞いておいてほしいんだ。」

 

管理人の言葉に、ソラがすっと家の方へ向かう。

どうやらお茶の準備をしてくれるらしい。

 

「…OK。じゃあ立ち話もなんだから中へ入ってくれ。」

 

長くなるならリビングの方が良いだろう。

 

「お?遂に君たちの愛の巣へ招待してもらえるんだね?いやー楽しみだったんだよねぇ、いつかこの家の中に入るの。」

 

いつもの調子で茶化してくる管理人の様子に、何だか少しホッとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、話は長時間にわたり、お茶だけでなくお昼まで一緒に食べることになった。

だが俺にとって、久々にとても有意義な時間となったことは間違いなかった。

 

 

管理人の話を纏めると

 

・厄災は俺のカードたちの力で封印された。

・本来は俺の魂も一緒に封印されるはずだったが、そこはあのカード、『ドッペルゲンガー』が代わりとなり、封印は行われた。

・あの時、俺とドッペルゲンガーの魂は一瞬リンクしたらしい。その為、俺の魂を使用せずとも封印が行えたわけだが、その代わり俺自身の魂がかなり消耗したらしい。今現在俺が感じている虚無感や絶望感なんかは、この魂の消耗から来ている物との事。そこに加えて、共に戦ってきたカードたちを失ったショックも追加され、今の状態に至るという訳。

・あのドッペルゲンガーになったブランクカードは本来存在しない物らしい。確か49階で初代優勝者からもらった物だが、それすらもイレギュラーだったそう。

・例の管理者が自分のプレイヤーに干支デッキを使用させるために行った小細工のせいで、厄災の封印が緩み、それと同時に、共に封印されていた初代優勝者の魂も、その一部が封印から抜け出したとの事。俺が戦ったのはその抜け出た魂の1部。

・彼は全てを悟り、厄災を封印できるであろう力を持つプレイヤーに、自分の力を込めたブランクカードを託した。

・このブランクカードがどんな変化をするかは分からなかったが、おそらく初代優勝者の「自分以外に犠牲者は出したくない」という気持ちもあり、今回のようになったのではないかと思われる。

・最終的には封印は無事完了し、今回の様に管理者級の力を持ったものが何かしら弄らない限りは、ほぼ永遠に封印できるとの事。

 

 

あの場で起こった事、厄災についてはこんなところ。

次は、その後の話。

 

 

・結局あの戦いの優勝は俺になったらしい。決勝戦で戦う予定だった相手が辞退したんだって。流石にあれだけのことを成し遂げた俺を差し置いて自分が優勝したい!っとは思えないって言ってたらしい。

・決勝に参加したプレイヤーを含め、ほとんどのプレイヤーはすでに元の世界に帰ったらしい。まだ残っているのは、元の世界に帰りたくないって駄々こねてる人たちだけだそうな。どのみち最終的には強制的に元の世界へ帰らされるらしいけど。

・俺たちがこの世界から元の世界に帰る為には莫大なエネルギーが必要となるらしい。元の世界からこちらに来るときはそこまでのエネルギーを必要としないらしいけど。

・理由としては、こちらに来るときは到着先が管理人のおひざ元なので、とにかく吸い寄せるだけで良いから楽との事。逆に帰る場合は、場所だけでなく時間にも干渉しなくてはいけない上に、記憶を消したり諸々必要エネルギーが多くなる。

・そのエネルギーをどこから調達してくるかというと、プレイヤーとカードの絆から、だそう。

・自分で言うのもなんだが、俺みたいにカードたちと固い絆で結ばれたプレイヤーは、莫大なエネルギーを生み出せるため、帰還時にその余剰エネルギーを使って、所謂『ご褒美』が貰えるということになっている。

・ここに来たときにあった最初の説明での『追加の報酬』とは、そう言う事である。

・中にはダンジョン攻略を拒否して拠点に引きこもる人もいるのではないかと思われるが、基本的にはこういう状況で進んでダンジョン攻略を進めるような人間を集めた。例え引きこもっていたとしても、カードたちと同じ空間で生活はするので、少しづつエネルギーは貯まり、帰還分ぐらいは何とかなるらしい。

・逆にカードたちにひどい扱いをしていたプレイヤーは、絆のエネルギーではなく負のエネルギーとなり、帰還後はカードゲームで望むカードが絶対に引けなくなったり、カードゲーム自体に興味が無くなったりするらしい。

・そして現状俺は、全てのカードを厄災の封印に使用され(デッキに入っておらず拠点で保管していた他のカードも全て。あの瞬間、他のカードたちも自身をエネルギーに変えてあの場所に飛んでいったらしく、見ていたプレイヤーが言うには、キラキラしていてとても綺麗だったとの事。)、また貯まっていた絆エネルギーもそちらに持って行かれた。つまり元の世界に帰る為のエネルギーが無いという事。

 

 

え?じゃあ一生このままここで生活?

と思ったが、管理者達の都合上、次の大会を開くには俺がここにいては駄目らしい。

しかし、各管理者達は今管理している世界の維持運営諸々で一杯らしく、俺をもとの世界に戻すためのエネルギーを捻出することは難しいらしい。

まぁ世界の維持運営の手を抜けば、無理やり捻り出すことはできるかもしれないけど、そうなったときに他の場所への影響が出る可能性が大との事で、せっかく管理人を犠牲にせずに終わったことが無駄になってしまう。

それに、そうして捻りだしたエネルギーだけでは、俺を元の世界に返すのが精々で、追加の報酬が一切出せないことになるらしい。

流石に厄災の封印に多大な協力をした人間に対して何も報酬無しは管理人のプライドが許さない、との事で、この案は却下。

俺としても、その追加報酬でソラを元の世界に一緒に連れていきたいって考えがあった訳だし、それが無しっていうのはいただけない。

 

 

なので今は、俺にできる限りの追加報酬(勿論ソラの事を含む)を出しつつ、元の世界に戻す方法を探してくれてる最中らしい。

特にあのやらかした管理者が必死になって動いてるんだって。

何せ今回のやらかし大賞だから、償いの為にみんなにこき使われているらしい。

あんなのでも流石にいなくなれば大変だから、容易に処分とはいかないのがつらいところだよねー。だって。

 

 

とりあえず現状は理解した。

で、次は今後について。

ここからは管理人的に非常に言いづらそうにしてたけど、大体こんな感じ。

 

・さっき言ってた『俺にできる限りの追加報酬を出しつつ、元の世界に戻す方法』っていうのは、現在探し中と言いつつも、ある程度はその手段が限られるらしい。

・その方法の大半に絡んでくるのが、デュエルだそうな。

・管理者は先の理由により、俺が元の世界へ帰る為のエネルギー(長いから帰還エネルギーって呼ぶか)を捻出することは難しい。

・じゃあ誰がそのエネルギーを集めるのか?…俺しかいない。

 

 

つまり、カードを失ってショックを受けている俺にもう一度別のデッキを使ってデュエルをしろと。

で、エネルギーを自分で貯めて元の世界へ帰れと。

但し追加報酬出したいから、通常以上に頑張ってエネルギー貯めろと。

 

 

「………うわっ…。」

 

…余りの内容の酷さに思わず声が出た。

体調がこんなじゃなかったら、「ふざけんなー!」って怒鳴ってると思う。

 

 

だがそれに関しては管理人も理解しているようで、本当に申し訳なさそうな顔をしてた。

以下、その他の質問&それに対する答え。

 

Q俺がこのままここで暮らすのは?

A次の大会が開けないからダメ

 

Q次の大会開く必要あるの?

A昔に交わされた管理者たちの契約で決められてるから、覆すのはほぼ不可能

 

Q大会開かなかったらどうなるの?

A各世界に歪みができる

 

Qそんなに大ごと?管理者の優劣競うだけじゃないの?

A大会を開くことで、管理者たちも力が溜まるシステムが組み込まれているので、長時間大会が開かれなかったら管理者たちの力が徐々に衰えていく

 

Q衰えたらどうなる…?

A世界の管理が難しくなって、最悪厄災のようなやつが現れる

 

Qなんでそんなシステムにしたの?

Aなんでだろうねー?

 

 

いちいち俺が、そんな規模の事に巻き込まれるのはなんでだろうねー?

そうだねー、なんでだろうねー。

 

 

……はぁ…。




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