再始動
とある世界のとある場所
そこに1人の男が現れた
彼はこの世界の在り方に疑問を持ち
そして革命を巻き起こした
彼は後にこう呼ばれる
伝説のデュエリストと
「お?またまたご新規さんかなぁ?いらっしゃいませー!ようこそデュエルワールドへ!!」
出迎えてくれたガイドさんっぽい格好の女性の元気な声に思わずたじろぐ。
「…おやぁ?大丈夫ですかぁ?」
俺の反応が薄い為か、心配そうに顔を覗き込んでくる。
「あ、はい、だいじょうぶ…です。」
近い、顔が近い!
「あはっ、ならよかったです。改めまして…、ようこそデュエルワールドへ!」
俺の返事に満足げに頷き、少し離れてから満面の笑みでそう言った。
「えっと、はい、あ、どうも…。」
現状把握が追い付いていない為、微妙な返事をしてしまう。
しかし相手も慣れっこなのか、そのまま話を続ける。
「このデュエルワールドは、色んな世界からたくさんの方が来られています。皆さんの目的は、年に1回行われる『ワールドデュエルトーナメント』!そこで優勝する事で、ななななんと!願い事を何でも叶えてもらえるんですぅ!!!」
「……なんでも…?」
ババーン!と効果音でも付きそうな大げさなポーズで自慢げに話す彼女。
その中で気になったワードを聞き返す。
「はいっ!何でもですぅ!!今まで優勝された方の中には、大金持ちになった人もいますし、すごい力を身に着けた人もいますぅ。あ、亡くなった方を生き返らせてもらった人もいましたねぇ。」
死者蘇生まで…。まじか…。
しかし、それがもし本当ならば…。
「さ、では詳しい話は向こうでしますから、分からないことはそちらで聞いて下さいね!」
ここでの説明はおしまいっ!といった感じで、『総合受付』と、でかでかと書かれた看板が掛かったカウンターを指差しながら彼女は言った。
「…はい、ありがとうございました。」
「いいえぇ、では、良いデュエルライフを!!」
そして素敵な営業スマイルで見送ってくれた。
さて、いきなりの事で少し驚いたが、ここでいったん落ち着いて周りを観察してみる。
ここは大きな1つの部屋の中のようで、俺の背後には巨大な門が鎮座している。
扉はついていないが、そこには青白い渦(ドラ○エの旅の扉みたいなやつ)がある。多分そこから俺は出てきたんだろう。
門の正面側には扉があり、そこから外へ出られるようだ。
左右にはそれぞれ長いカウンター。その奥では職員らしき人達が仕事をしている。
とりあえず把握完了。
言われた通り、総合受付へ歩を進める。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
美人で美声な受付のお姉さんが対応してくれる。
「えーっと、今ここに来たばかりで…。」
「そうでしたか。デュエルワールドへようこそいらっしゃいました。お客様はこちらに来られるのが初めてという事ですので、先ずはこの世界の事について説明をさせて頂きますね。」
そういうと、カウンターの下から色々と資料を出し、机の上に並べた。
「どうぞ、お掛けになってください。では先ずこちらをご覧いただきます。これは……。」
おそらくマニュアルでもあるのだろう。詰まることなくスラスラと説明を進める受付のお姉さん。
その綺麗な声を聴きながら、俺は管理人との会話を思い出していた。
「さて、君が元の世界に戻る方法、つまりその為のエネルギーを集める方法についてなんだけど、簡単に言えば、ここからさらに異世界へと行ってもらうよ。」
「…異世界?」
「そう、こことは別の世界。詳しく言えばそうだね…、あのやらかした管理者って言えばわかるかな?彼の管理する世界の一つなんだけど、その一つに今回の条件に丁度合う世界が1つだけあってね。そこに行ってもらうことになったんだ。
」
「って事は、しばらくここには帰れないとか?」
「いやいや、そんなことはないから安心して。…んー、そうだね…。あれこれ口で説明するよりも、とりあえず実際に行ってみた方が早いかも。いつも使ってたダンジョンへの扉を、その世界につなげておいたから、試しに一回行ってきなよ。」
そうして管理人に促され、扉をくぐり辿り着いたのがこの場所。
うん、確かに管理人の言う通り。実際に此処に来て、この世界の人に説明してもらった方がよく分かった。
美声を披露してくれた受付のお姉さんの話をまとめるとこんな感じ。
・俺が出てきた門はどうやら色んな世界と繋がっており、時折ここから異世界人がやってくるらしい。
・さっきのガイドさんや、この受付のお姉さんは、そういう人たちにこの世界の説明をするのが仕事。
・この世界は『デュエルワールド』と呼ばれ、生活に深くデュエルが関わっており、町中のいたるところで熱いデュエルが繰り広げられている。との事。
・彼らの目標は、年に1度開かれる『ワールドデュエルトーナメント』と呼ばれる大会で優勝し、その景品として願いをかなえてもらう事。
・異世界から来た人間も、そのほとんどがそれを目指しここで戦って行く事になる。
・ガイドさんの話にもあったが、願い事は何でも、それこそ死者蘇生でも叶えられる。
・また、異世界から来た人間は、このゲートを通ることで元の世界に帰ることができるらしく、基本的に朝やってきて夜には帰って行く人が多いらしい。
・一応宿泊施設や娯楽施設、歓楽街なんかもあるから、ここで泊まっていく人もそれなりにいるみたいだけど。
・ちなみにこの世界に悪影響を与えそうなものなどの持ち込みは、ゲートの通過時に弾かれるらしい。例えば銃火器とか怪しい薬とか。
ここまでがこの世界の大まかな様子。
で、次にデュエルについて
・街中どこでも、お互いの合意さえあればデュエルは行える(デュエリストに限る)。
・決着後は、勝者・敗者どちらにもDP(デュエルポイント)が付与される。
・勿論勝者の方が多く貰えるし、敗者もポイントがもらえると言ってもそれは本当に微々たるもの。
・このデュエルで手に入れたDPを使用して、街中のカードショップでカードを購入することが可能。
・デュエルのルールは【LP4000 初期手札5枚 デッキ枚数40~60枚 先行ドロー有り】で、先攻後攻はデュエルディスクに表示される。アニメのルールに近いけど、ここは言ったもん勝ちじゃないのね。
次は『ワールドデュエルトーナメント』について
・この大会は、予選出場者を決めるチャレンジ期間と、予選トーナメント、決勝トーナメントの3段階に分かれる。
・チャレンジ期間には、町の各所にある『ジム』と呼ばれる場所を攻略する必要が有る。
・各ジムにはジムリーダーがおり、彼らに勝ことで、勝利の証『ジムバッジ』が貰える。
・このジムバッジを定められた期間の間に、定められた個数以上集めることができた人だけが、次の予選トーナメントに進める。
・この期間や個数等はその年によって違うので、始まってみないと分からない。
・大体毎年、予選トーナメントは50人前後、決勝は4人又は8人になるらしい。
彼女の説明と管理人の言葉を合わせて考える。
つまり、この『ワールドデュエルトーナメント』なる大会での優勝賞品、『なんでも願いを叶えてくれる』権利を利用して、俺を元の世界に還すのが目的って事なんだろうな。
…もし叶う願いが1つだけなら、俺を元の世界に還すだけで追加の報酬は出そうにないんだけど…どうなんだろ?
ま、その辺は管理人が考えてくれるか。
じゃあ、ここでの行動方針としては、
【デュエル→ポイント貯める→新しいカード購入→デッキ強化→デュエル→…】
と繰り返して強くなっていき、各ジムに挑戦。ジムバッジを集めて予選トーナメントに出場。そこで勝ち進み、決勝トーナメントで優勝するって流れだな。
ちなみに、ダンジョン攻略の時みたいに、カードの成長・レベルアップなんてものは無いっぽい。
一応聞いてみたけど、カードの事はカードショップの人が詳しいのでそちらで聞いてほしいと。ただ、そう言った事例は聞いたこと無いとの事。
少しアンニュイな気分になるけど、気持ちを切り替える。
あいつらの為にも、前を向いて未来に進むと決めたから。
丁寧なお辞儀で見送ってくれる受付のお姉さんを背に、建物の出口であろう扉へ向かう。
さあ、新しい