ダンジョンカードバトル   作:ノジー・マッケンジー

125 / 128
決意

気になることは多々あるが、その中でも特になのがデュエルキングの存在。

彼は一体何者なのか。

それは今ここでは分かるはずもないが、この世界でのキーパーソンになりそうな気がする。

 

そしてもう一つ。

誰もが読めないこのカードテキスト。

 

…なぜか俺には普通に読める事だ。

 

 

えっと?何で?どうして?俺なんかしたっけ?

別にテキストの文字が俺の元の世界で使用されていた文字だからというわけでは無い。

全然見たことのない記号みたいなのが並んでいるが、何故かそれの意味を理解することができる。

というか、見える?

 

見える、見える…見える………?ん?見える…?

 

『読める』でも、『理解できる』でもない。『見える』なのだ。

 

(もしかして…デュエリストアイの効果か…?)

 

ダンジョン攻略の際にレベルを上げ続けていたデュエリストアイ。

もしかしたらそれの効果なのかもしれない。

 

ただ、今ここで、カードのテキストが読める。と言ったところで変な人扱いされるか、最悪どこかの施設に連れていかれて、カードの効果を調べる機械として監禁されてしまう可能性もある。

…うん、この事は誰にも言わない様にしよう。

まぁ、この世界はデュエルが根底にあるから、ある程度強くなれば手出しされなくなる…といいな。

 

 

 

色々と思うところ、考えることはあるけど、とりあえずは目の前の事から片付けていかねば。

先ずはデッキの確保が最優先。

そう気持ちを切り替え、店長にデッキが無い為どうすればいいか相談すると

 

「うーん…、何とかしてやりたいのはやまやまなんだが…。丁度今朝ゴミ出しに出しちまったんだよなぁ。」

 

聞けば、先の話であった通りこの世界ではレベル4高攻撃力モンスターが主流な為、レベル1や2等の低レベルモンスターはそれだけでゴミ扱いされる。

そう言ったカードは大体カードショップに売られるわけだが、逆にそんなカードを買いたいという人もまずおらず、大半は週に一回のゴミに出しているそう。

 

「そのカードならタダでやっても良かったんだが…。」

 

ま、まじかぁ…。宝の山の可能性ががが…。

 

「まぁ…、後はあんまりお勧めはしないが、道端に捨ててあるカードを拾うってのも手ではあるな。」

 

(彼らの言う)ゴミカードは、ショップに売らずその辺に捨てられることもよくあるらしい。

最近は道路美化の為取り締まりが厳しくなったらしいけど、それでも公園なんかに行けば結構落ちてるみたいだ。

 

「…分かりました。色々と教えて頂いて有難うございまいた。」

「いいって事よ。…ま、頑張りな。一応応援はするぜ。」

 

店長の励ましを背に店を出る。

 

「DP溜まったら買い物に来いよー!」

 

ちゃっかり店の宣伝も忘れない店長の声をバックに、俺はとりあえず公園に向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベンチに腰掛け空を見上げる。

…ああ、いい天気だ…。

 

とりあえず頭の中を整理する為1度現実逃避。

しかしカードテキストが読めない、か…。

それなら確かに低レベルカードがゴミ扱いされる訳だ。基本的に低レベルカードは攻・防の数値が低いもんな。

ダンジョンに挑戦したばかりの頃のカードたちを思い出す。

 

そして、俺が一人思い出にふけっていると、不意に声を掛けられた。

 

「おいお前、見ない顔だがディスク嵌めてるって事はデュエリストだろ?俺とデュエルしろよ。」

 

声のする方へ視線を向けると、そこには真っ金々な髪をしたいかにもチャラそうな男と、取り巻きっぽい小物臭のする男が2人。

 

「聞いて驚け!この方は攻撃力1800のカードを持ってるんだぞ!!」

「そうだそうだ!驚いたか!!」

 

取り巻きが自慢してくるが、別にそんなの驚きもしないし、羨ましくも無い。

 

「…悪いが他を当たってくれ。」

 

何にしてもデッキが無い為デュエルはできない。俺が断ると

 

「…何だと?」

「おい!この方に失礼だぞ!!」

「そうだそうだ!お前何様のつもりだ!!」

 

いや、そっちこそ何様のつもりだよ…。

 

「悪いが、この世界に来たばかりでカードを持ってないんだ。ほら。」

 

ディスクのデッキが収まるところが空っぽになっているのを見せる。

実際はこのディスクと一緒に管理人から2枚のカードを受け取っているけど、別に2枚でも0枚でもデュエルが出来ないのは一緒である。

 

「…ッチ。カードも持ってないゴミか。」

「へっ!ゴミめ!!」

「二度と近づいてくんな!!」

 

そっちから声かけてきたんじゃん…。

 

3人はゴミだの屑だの散々言い散らかして去っていった。

 

「………はぁ…。」

 

思わず大きなため息が出る。

あんな奴が我が物顔で歩いているこの世界に少し憂鬱になってきた。

そのまま頭を下げた俺の視界に

 

「………ん?これは…。」

 

頭を下げたことによりベンチの下に視線がいく。

そこに見つけたのは1枚のカード。

 

 

リバイブマウス 星2 地 獣族/効果

A700 D700

自分メインフェイズに発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

 

…普通に強い。

こんな使えそうなカードまで捨てられるって事か…。

拾ったカードを眺めていると、何となくカードから悲しみの感情が伝わって来た。

そしてその瞬間、公園のあちこちから似たような気配を感じた。

 

「……そうか…、お前らも悲しいんだよな…。」

 

気配がする場所を巡り、カードを拾っていく。

その数10枚。

どれもこれも、俺からしたら非常に使いやすくて良いカードばかりだ。

 

「きっと辛かったよな…、悔しかったよな…。」

 

カードたちを眺めながら思う。

この世界は間違っている。

いくらカードの効果が分からなくても、ここまで低レベルモンスターをゴミ扱いする必要も無いはずだ。

そしてなにより、あのデュエルキングの存在。

彼ならばカードの効果を世に広める事が出来そうなものだが、その気が無いのだろうか?

その方が自分がいつまでもキングとして君臨できるから?

だとしたら、俺はキングを許せない。

 

こんな、カードがゴミとして捨てられる世界。

それを一個人の欲の為にわざと推奨しているというのなら。

 

…俺は、キングを潰す。

 

 

 

あくまで仮定だが、キングに対して言いようのないほどの怒りを感じる。

その俺の気持ちが伝わったのか、手に持つカードたちからもやる気に満ちた思いを感じる。

 

 

この世界の常識、俺がぶち壊してやるよ…!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。