ダンジョンカードバトル   作:ノジー・マッケンジー

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決闘

それから俺は街中を巡り、落ちているカード、捨てられているカードを拾って回った。

 

「…38、39、40。うんピッタリ40枚だな。…にしても、意外とセットになってるカードが多かったから、思ったよりは行けそうだな。」

 

カードの枚数を数え、ピッタリ40枚あることを確認してからデュエルディスクにセットする。

これでいつデュエルを申し込まれても大丈夫だ。

 

とりあえず大通りで相手を捕まえるか、それともまずは他のデュエルを見てみるか?

そう考えながら足を大通りに向ける。

するとその時

 

「い、いやだって!やめてよ!!」

「あ?なんだ?俺に逆らうのか?てめえみたいな雑魚が!!」

 

何だかも揉めているっぽい声が聞こえてくる。

介入すべきか考えつつそちらを見ると、そこにいたのは見覚えのある3人組。

 

「こっちが勝ったんだから、お前のカードを貰うのは当然だろ!!」

「そうだそうだ!はやくよこせ!!」

「だ、だってそんな事聞いてない…。」

 

先程公園で合ったやつらだ。

 

「いいから早くデッキよこせよ。」

「あ、や、やめてぇ!!」

 

相手は見た目12~3才ぐらいの女の子。

いや、流石にそりゃ酷いだろ。

 

パッと見…もなにも、完全に弱い者いじめの図である。

まぁ、このデュエルが基本の世界、勝った方が偉いのかもしれないけど、互いの了承無くカードを賭けることはできない筈。

 

流石に見過ごせないので、女の子のデッキを奪おうと躍起になっている金髪の手を掴む。

 

「ああん!?なんだてめえ?…って、お前さっきのゴミやろうじゃん。何俺の邪魔しちゃってんの?」

 

至近距離で睨みつけてくる金髪。

 

「この女の子は嫌がっていた。カードを賭けるならデュエルの前に互いの了承が必要な筈だが、その辺の話はしていたのか?」

 

視線を女の子にやると、一瞬ビクッとした後、一生懸命首を左右に振る。

 

「はあぁ?俺が勝ったの!デュエルで!わかる?だから俺が何しようが勝手じゃん!お前ゴミの分際でしゃしゃり出てくんなよ!!」

「そうだそうだ!!」

「このゴミ野郎!!」

 

はぁ…、全く持って会話が成り立たない。

 

至近距離で喚く金髪の手を放すと、俺の手から逃れようとしていた勢いのまま、後ろへ2、3歩下がる。

 

「チッ!てめぇ…!!」

 

苛立ち気にこちらを睨む金髪に俺は言った。

 

 

 

 「…おい、デュエルしろよ。」

 

 

 

俺の言葉に一瞬固まる金髪。

 

「…は?お前何言っちゃてんの?頭大丈夫?さっきお前デッキが無いって言ってたじゃん。笑わせるなよ。」

「「そうだそうだー!!」」

 

そして半分呆れ、半分蔑んだような表情になる。

 

「…カードは拾った。」

 

デッキがセットされたディスクを見せる。

 

「拾った…?そんなゴミカードで俺と「この勝負に俺が勝てば、お前のカードを貰う。」…なんだと…!」

 

奴の言葉を遮りこちらの意見を押し付ける。

こんな奴ら相手に言葉のキャッチボールなんて必要ない。

 

「さあ、ディスクを構えろ。…それとも、こんな拾ったカードで作ったデッキに負けるのが怖いのか?」

「はぁあああ!!!???何言っちゃってんのおまえ!?いいぜ!!?その代わり俺が勝ったらお前ボコボコな!!!」

「いいぞ兄貴ぃ!」

「こんな奴やっちまってください!」

 

簡単に挑発に乗ってくれる。

さて、後は勝つだけだ。

 

「……あ、あの…。」

 

後ろから女の子の声がする。

この金髪に絡まれてた娘だ。

 

「…大丈夫、そこで見てな。」

 

出来るだけ安心させるよう優しい顔をしてそう言うと、金髪の方へ向き直る。

 

 

   デュエルモード スタンバイ

 

 

ディスクから声が聞こえ、俺たちを中心に半円形のドームが出来上がる。

 

「お前みたいなゴミ屑、一瞬でぶっ潰してやるよぅ!」

 

唾をまき散らしながら叫ぶ金髪と対峙し、意識をデッキに向ける。

さあ、お前たちの力、存分に見せてやろうぜ。

 

 

 

「「デュエル!!」」

 

先行は…金髪。

 

「俺のターン!ドロー!!」

 

勢いよくカードを引く。

 

「へへっ!教えててやるよ、そんなゴミ屑で俺に勝てるわけないって事をなぁ!!」

 

良いカードを引いたのか、上機嫌でモンスターを召喚する。

 

「俺は、エレキビーストを召喚!」

 

 

エレキビースト 星4 光 雷族 通常モンスター

A1700 D1100

 

 

「でたー!兄貴の雷モンスター!!」

「いいぞー兄貴ー!!」

 

通常モンスターが出ただけで盛り上がる外野。

それに気を良くしたのか、金髪はさらにカードを出す。

 

「まだまだ行くぜぇ?俺は手札から『サンダーストーン』を『エレキビースト』に装備!」

 

 

サンダーストーン 装備魔法

雷族にのみ装備可能。このカードを装備したモンスターの攻撃力は500アップする。

 

 

「これで俺のエレキビーストの攻撃力は2200になる!!」

「出た!!兄貴のマジックコンボだ!!」

「すげぇぜ兄貴!!」

 

 

…えっと?ただ単に装備カード1枚付けただけでこの騒ぎ??

これがコンボ??え?マジで言ってる???

 

 

「ふっ、これで俺はターンエンド。」

 

決まった!みたいなポーズでドヤ顔を見せる金髪。

 

…そうか、これは俺の頭を混乱させるための高等テクニックなんだな?そうなんだろ?そうと言ってくれぇ!!

でないとあのドヤ顔がいたたまれない…。

 

 

とまぁ、冗談はこれくらいにして。

この1ターンだけでこいつの実力、ひいてはこの世界のデュエリストのレベルがなんとなく分かった。

…こりゃあ早急になんとかしないとな…。

 

「おいおい、怖気ずいたのかぁ!?」

「ビビってるよー!!」

「帰れ帰れー!!」

 

うっとおしいヤジが飛んでくる。

 

「早くカード引けよ!!」

「「そうだそうだ!!」」

「ま、どうせゴミカードだろうけどなぁ!」

「「「はははははっ!!!」」」

 

はぁ、近くにいるだけで嫌になってくるな。

じゃあ、そんなにみたいなら見せてやるよ。お前らが馬鹿にしたカードたちの力を。そして、俺の戦い方をな。

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

カードを引く。

 

「俺はモンスターをセット。さらにカードを2枚伏せてターンエンドだ。」

 

「ぷっ!!おい見たかお前ら!結局あいつ壁モンスター出しただけだぞ!!あんだけ偉そうな事言っといてよぉ!マジ受けるわー!!」

「「「ぶわっはっっは!!!」」」

 

俺の伏せたカードを見て大笑いする3人。

まあ、そんな態度とれるのも今の内なんだが。

 

「ひぃー腹痛てぇ…。じゃあ俺のターン行くぜぇ、ドロー!!」

 

引いたカードを確認し、すぐさま召喚する金髪。

 

「来た来た来たぁ!俺は2体目のエレキビーストを召喚!!」

「すげぇ!兄貴のエレキビーストが2体も!」

「最高だぜ兄貴ぃ!!」

 

…うーん、本来ならこちらの方が腹がよじれるほど笑う立場のはずなのだが…。

 

「さぁて、それじゃあゴミ掃除でも始めようか!1体目のエレキビーストで、その壁モンスターを破壊!!」

「いいぞ兄貴―!」

「やっちまえー!!」

 

気分が良いところ悪いが、残念ながらこのモンスターは破壊されない(・・・・・・)

 

「俺の伏せモンスターは傀儡子!」

 

 

傀儡子 星2 闇 魔法使い族/効果

A600 D1200

このモンスターは1ターンに1度戦闘で破壊されない。

このカードが行う戦闘で与えられる自身へのダメージは0となる。

 

 

裏向きだったカードがひっくり返り、そこに黒いフードを被った人形術師が現れる。

 

「何だろうが関係ないぜ!エレキビースト、エレキアタック!!」

 

うわっ、伎名がダサい。

 

雷獣の攻撃を食らい、場は砂埃に覆われる。

 

「へっ、ゴミ掃除完了、ってな。」

「すげえ兄貴!!」

「カッコいい!!!」

 

しかし、その砂埃が晴れた先には

 

「「「!!?」」」

 

悠然と佇む傀儡子の姿。

 

「な?なんだよ?お前何したんだよ!!??」

 

倒したと思ったモンスターが残っていた。

その光景に頭がついてきていない金髪の目には、僅かな怯えが見えた。

 

 

これが、お前がゴミと馬鹿にしたカードの力だ…!

 


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