デュエルワールドの住人は、自分が使うカードの効果はある程度理解していますが、テキストを読めている訳ではありません。
理由は、そのカードをキングやジムリーダー等、所謂強い人達が使用したことがあるから効果が分かっている。という設定です。
彼ら(強い人達)は、装備カードを中心に、実際のデュエルで使用してみては効果の確認をしています。
中には実際の効果と彼らが把握している効果にズレがあるときもあります。
なので、一般デュエリストはそういった人たちの日々の努力のお陰で、魔法カードを使用できている。ということです。
「傀儡子のモンスター効果だ。このモンスターは1ターンに1度戦闘で破壊されない。そしてこのカードが行う戦闘で与えられる自身へのダメージは0となる。」
未だに状況を理解できていない金髪に効果の説明をしてやる。
「な…そ、そんな、ゴミカードが…。」
低レベルには低レベルの戦い方があるんだよ。
予想だにしない出来事に金髪だけでなく取り巻きもおとなしくなっていたが、不意に金髪がその口を歪ませる。
「…いまお前、1ターンに1度って言ったな…?」
「ああ、そうだが?」
俺の言葉を聞き、表情に余裕が戻る。
「って事は、もう1体のエレキビーストで攻撃すれば倒せるって事だよなぁ!!」
「そ、そうか!」
「すっげぇぜ!!」
次の攻撃で倒せる。その事実に一気に沸き立つ敵陣営。
…何だろう、この子供のお遊戯を見ている感覚。もしくは初めて自転車に乗れるようになった我が子の成長を思う親の心境?
そんな俺の考えを他所に、金髪は声高らかに宣言してくる。
「俺は、もう一匹のエレキビーストで、その雑魚モンスターを破壊!いけぇ、エレキアタックゥ!!!」
奴の指示を受け攻撃を仕掛ける雷獣。
これで邪魔な雑魚を片づけることができる。そう顔に書いてある金髪君に、俺は現実を教えてやる。
「この瞬間、罠カードオープン。傀儡子の人形!」
傀儡子の人形 トラップ
「傀儡子」が攻撃対象となった時発動可能。その攻撃を無効にする。その後カードを1枚ドローする。
「な!?罠カードだとぅ!!?」
傀儡子に向かっていた雷獣は、その途中に突如現れた人形にぶつかり動きを止めると、そのまま金髪の元へと戻っていった。
「このカードは、俺の場の『傀儡子』が攻撃対象になった時に発動可能なカードだ。相手の攻撃を無効にする効果を持つ。さらにその後、俺はデッキよりカードを1枚ドロー。」
引いたカードを手札に加える。
「くっ、雑魚の分際でぇ…!!」
相当悔しいのか、怒りで顔が歪んでいる。
「……ターンエンドだっ!」
「俺のターン、ドロー!」
カードを引く。
引いたカードは、管理人がデュエルディスクと共にくれた、2枚のカードの内の1枚。
(さぁ、行くぜ!)
俺は、このデッキのキーカードとなるそいつの名を高々と宣言する。
「俺は、チューナーモンスター『シンクロマジシャン』を召喚!!」
シンクロマジシャン 星3 光 魔法使い族/チューナー/効果
A1000 D1000
このカードが召喚・特殊召喚された時、自分の手札からこのカードのレベル以下のモンスターを1体選択し、特殊召喚できる。
「なっ!?チューナーモンスター!!?」
「な、ななななっ!??」
「ままま、まさかっ!??」
奴らの顔色が青くなっていく。ここから何が起きるか想像できたらしい。
「シンクロマジシャンの効果発動。このカードが召喚された時、手札からシンクロマジシャンのレベル以下のモンスター、つまりレベル3以下のモンスターを特殊召喚できる。俺は『シンクロサポーター』を特殊召喚する。」
シンクロサポーター 星1 光 魔法使い族/効果
A300 D300
①:フィールドのこのカードをS素材とする場合、このカードはレベル2モンスターとして扱う事ができる。②:このカードがS素材として墓地へ送られた場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする。
これで準備は整った。
「シンクロサポーターは自身がシンクロ素材となる時、レベル2として扱う事が出来る。」
俺の言葉に、場のモンスターたちの体が輝き、少しづつ透けていく。
「俺は、レベル2の傀儡子と、レベル2のシンクロサポーターに、レベル3のシンクロマジシャンをチューニング!」
そしてそれらは光り輝く小さな星となり、上空に集まっていく。
「輝く星が集いし時、穢れ無き白き魔導の力となる。未来を照らす光となれ!」
その7つの星が1直線に並び、繋がった力の奔流の中から1人の魔導士が現れる。
「シンクロ召喚!現れろ、ホワイトマジシャン!!!」
ホワイトマジシャン 星7 光 魔法使い族/シンクロ/効果
A2400 D2000
「シンクロマジシャン」+チューナー以外の魔法使い族モンスター1枚以上
このカードの攻撃力は、このカードの召喚時にシンクロ素材となったカード1枚につき200アップする
1ターンに1度、手札を1枚墓地に送ることにより、相手の発動した罠・魔法・モンスター効果を無効にし、破壊する。
「あ、そうだ。その扉をくぐる前に、君に渡すものがあるんだった。」
この世界に来る前の管理人の言葉だ。
「渡すもの?」
「そうそう、えっと…、はいこれ。」
渡されたのは、デュエルディスク。
確かに、あの時ドッペルゲンガーが俺のディスクを持って行ったから無かったんだよな。
装着することで、久々に左腕に重みを感じる。
「あとこれも、はい。」
出して来たのは2枚の白いカード。
「これは…、ブランクカード…?」
「うん。実はね、あれから色々と後処理をしてた時に、例の場所に落ちてたんだ。」
例の場所、っていうと…。
「そう、厄災が封印された場所。あそこに落ちてたんだ。おそらくはカードたちの最後の思いの結晶ってところじゃないのかな?でないとあんなところに突然生まれるはずがないし。」
…そうか…、あいつら…。
「ってことで、はい。これは君が持つべきカードだから。」
思わず涙が出そうになるのを堪え、管理人からその2枚のカードを受け取る。
その瞬間
ピカッ!!!
「うわっ!?」
突然カードが光り、そして
「……あっ…。」
光が収まった時、そのカードは真っ白なブランクカードではなくなっていた。
これは…
「そうか、それが君の新しい『力』なんだね。…ふふっ、本当に君はいつだって僕を驚かせてくれるよねぇ。」
カードに描かれるのは2人の魔法使いの姿。
1枚は少し幼さを感じさせ、もう1枚はまるで…
「さ、これで準備はオッケーだね。向こうの世界までは僕の力は届かないけど、君なら何とかなるって信じてるから。」
「マスター、ご武運を…。」
管理人とソラ、2人の言葉に背を押され、俺は新たな世界へ飛び込むため、その扉を潜った。
それを一言で表すなら『白』。それ以外ない。
それほどまでに、全てが真っ白。
肌の色は勿論、髪の毛や瞳、身に着けている服までも、全てが白い。
だがその体から発するオーラは、彼女が相当な力を持っていることを雄弁に物語っている。
「な、何なんだよお前…。お前何なんだよっ!!?」
この世界ではほぼ見ることのないシンクロモンスターに、おそらく頭は混乱しているのだろう。
「罠カードにモンスター効果…。それにシンクロ召喚って…。」
「それって…まるでデュエルキング…。」
取り巻きの2人もこの現状に只々固まるばかり。
そんな3人を休ませる事無く、俺はデュエルを進める。
「シンクロサポーターの効果。このカードがシンクロ素材となった時、俺は1枚ドロー。次にホワイトマジシャンの効果。このカードの攻撃力は、このカードの召喚時にシンクロ素材となったカード1枚につき200アップする。シンクロ素材となったのは『傀儡子』、『シンクロサポーター』、そして『シンクロマジシャン』の3体。つまり攻撃力は600ポイントアップし、3000となる!」
ホワイトマジシャン A2400→3000
「こ、攻撃力さ、3000…。」
青くなった顔を恐怖に歪めながら、少しづつ後ずさる金髪。
悪いが、こちらに容赦するつもりは微塵も無いぞ?