「はぁ~…。」
実体化したベビー・バードと戯れることができなかった俺はため息をつきながら歩く。
「こんなことなら最初から触っておくんだった…。」
後悔してもどうしようもない。次に召喚するまでお預けである。
若干進速度が遅くなりつつも探索を続ける。
道はくねくねと曲がりくねっているが、いまだに分かれ道は無い。
そろそろ時間が気になってきた頃、道の先から聞き覚えのある音が聞こえてきた。
カラン…。カラン…。
「っ!来たか!」
進行方向から現れたのは、やはり先ほどと同じガイコツだった。
「よし!俺のターン!ドロー!!」
一度の経験を経て、また出現した魔物が前回と同じだったこともあり、落ち着いてカードを引く。
戦士の卵 星1 地 戦士族/通常モンスター
A500 D200
まだまだひよっこにも満たない戦士
「よしっ!!」
デッキ内最強カードを引いたことでテンションが上がる。
早速ディスクにセットしようとするが、ガイコツの頭上に浮かぶ数字が目に入り手が止まる。
【A100 D100】
「あれ?相手の数値って見えるのか?」
実は先の戦闘でもガイコツの頭上に表示されていたが、初戦闘でもあり、ガイコツがいた場所の壁が丁度出っ張っていたりと、数値が見えずらい状況になっていたので気が付かなかったのだ。
「(なら戦士を出すのはもったいないな。)俺はミニマジシャンを攻撃表示で召喚!そしてガイコツにアタックだ!!」
せっかくの最強カードを雑魚相手に使うのはもったいない。そう思い俺はミニマジシャンを召喚してガイコツを倒す。
ミニマジシャンの手から魔法の玉のようなものが打ち出され、ガイコツにぶつかった瞬間その体は霧のように消えていった。
残されたのは先ほどと同じように1枚のカード。
近づいて手に取ってみると
稚魚 星1 水 魚族/通常モンスター
A100 D100
魚の赤ちゃん
「またか…。」
手に入ったのは先ほどのガイコツと同じく、最低レベルのモンスターカード。
「しかし、同じ魔物から同じカードが手に入るわけではないのか?」
新たな疑問が生まれたが、どうせそのうち分かるだろうと、いったん思考を放棄する。
「ガイコツなら問題なさそうだし、とりあえず進めるところまで進んでみるか。」
急に出現モンスターのレベルが上がることも無いだろうと踏んで、行けるところまで行くことに決めた。
その後、同じように探索を続ける事約1時間(体感で)。致命的なことに気づいてしまった。
「これ、途中でデッキ切れしたらやばいんじゃないか…?」
説明書によると、探索中にデッキが切れても手札やフィールドにモンスターがいる内は戦闘を続行できるが、手札・場のモンスターがいなくなった時点で自分は何もすることがなくターン交代、で相手ターンにやられる、ということになる。
ちなみにもしやられた場合には、特に死んでしまったりケガをしたりすることなく、拠点へと強制転移させられるが、その際に、その探索中に手に入ったカード(今回はガイコツから手に入れたカード)を全て失ってしまう。
またデッキは拠点からダンジョンに入った時点で固定され、探索の途中でカードの入れ替えなどは行えないようになっている。
つまり調子に乗って先に進みすぎたら、帰り道で予期せぬ事態に合う可能性もあるということだ。
魔物は1度倒しても一定時間たつとまた復活(リポップ)するらしい。
急に不安になってきた俺は、デッキの残り枚数を確認し、残りが半分になった時点で帰り始めることを決めた。
そしてさらに(体感で)2時間後…
俺はデッキに余裕を残し、無事拠点へと帰ってきた。
「あ~疲れた~…。」
拠点へと続く階段を登り切り、白い扉を開き、病的なまでに真っ白な空間を目にした瞬間思わず安堵のため息が漏れた。
さすがにここまで魔物が入ってくることはないとは思うが、白い大扉をしっかりと閉め、パソコンのもとへ向かう。
パソコンの画面は、ダンジョンへ出かける前と同じくずっとメニュー画面を開いたままだ。
だって電源ボタンとか無いし、どうやって切ればいいかもわかんないもん。
だがこのパソコン、意思を持ってるんじゃないかと疑いたくなるようなタイミングの良さで、画面上のとある文字をチカチカさせ始める。
(もしかしたら管理人が監視してるのかもな…)
そんなことを考えつつ、チカチカしているDPの文字をタップする。
おめでとうございます!!
ダンジョンに挑む意思を見せてくださったあなたにプレゼントを渡します。
これからガンガンDPを稼いで、良いダンジョン生活を送ってください
管理人
【1000DP 小部屋※暗室×1 寝具※最低ランク×1 トイレ※最低ランク×1 無限箱(パン※最低ランク)×1】
PS
このパソコンで掲示板機能が使えるようになりました
ぜひ活用してください
ふむ、どうやらやる気を見せた人間にのみ、最低限の生活ができるようにはしてくれるみたいだ。
1つづつ見ていくと、まず1000DP。これは説明不要だな。後で使い道を考えよう。
次に小部屋※暗室。画面を見ていると文字がチカチカしだしたのでタップしてみると【部屋を配置する場所を選んでください】というメッセージと、部屋の見取り図?のようなものが現れた。
部屋を増やす際にはこうやって配置を決めるのだろう。俺はダンジョン行きの扉の向かいの壁側を選択する。
するといきなり音もなく白い壁に年代を感じさせる古い木の扉が現れた。
おそらくあの扉の向こうに新しい部屋ができているのだろう。
部屋のことはとりあえず置いておいて、次に寝具※最低ランク。
部屋と同じように文字がチカチカしだしたので、同じように選択し、先ほどの小部屋の中に設置しておく。
次にトイレ※最低ランクだが、小部屋は寝室にしようと思うので、パソコンがあるこの大部屋の隅に設置しようと思う。
ダンジョンの扉に向かって左後ろの隅を選択し配置すると、部屋の隅に古びた汚いツボが現れた。
…もしかして、あれがトイレ…?
一瞬思考が止まったが、とりあえず後でもっと良いトイレを設置することを心に決め、次の無限箱(パン※最低ランク)をタップする。
これまた同じように設置場所を求めてきたので、トイレ(ツボ)と対角の隅に設置すると、古ぼけた木箱が部屋の隅に現れた。
とりあえず貰ったプレゼントはこんなもんか。
気になるところだらけだが、1つずつ確認していくことにしようか。