「………知ってる天井だ…。」
気がつけば俺は、拠点のパソコンの前で大の字になっていた。
…なんか、一瞬の出来事だった為、まだ頭が追い付いていない。
えっと…、まずジャンプ中に転がり岩にぶつかった。
それが攻撃とみなされてお仕置き部屋に強制転移。
巨大ゴーレムのパンチでペッシャンコ…
起き上がり、体の具合を確認するが特に異常はないっぽい。
「でもあれが本当なら、死んでないってことはありえないよな…。」
目の前に迫る巨大な岩の塊。
あれをもろに受けて無事な筈がない。
最初の頃掲示板で、もしプレイヤーが死んだらどうなるのか?って内容が書かれていたが、ここに来て自分が経験することになるとは…。
そう言えば、掲示板に書き込むことは禁止って言ってたな。道理でそんな話見たこと無いはずだけど…、でもナンデだ?別に全プレイヤーが知ってても良い情報だと思うんだけど…。
ま、言ってもしょうがない。そういうルールなら何言っても無駄だろうし。
とりあえず自身の無事は確認したが、何となく今日はもうやる気が出ないので、ゴロゴロして過ごすことに決めた。
あ、後もう一つ決めた。『ジャンプ』はもう2度と使わない!!
…それにしても、他のプレイヤーもお仕置き部屋体験者っているのか…?
実は、彼は知らぬことだが、実際はそれなりにお仕置き部屋に連行されたプレイヤーはいる。
それが故意なのか事故なのかは色々だが、彼らの中でもあの体験はトラウマになっているため、できる限り連想されそうな話は避けるようにしている模様…。
翌日
いつものように準備をして22階へ。
昨日の事は引きずらない!
物語なんかではよくこんな時に、トラウマになってしばらく探索に復帰できないとか、リタイヤしてしまうとかのシーンがあるけど、一切そんなことは思いは無く、むしろ良くもやったな!くらいに思っている。
もし時間をかけて嬲られたりでもすればまた違ったのかもしれないが、本当に一瞬の出来事で、特に痛みを感じる暇も無かったので、何となく他人事に感じているのかもしれない。
ま、あんまり考えすぎると逆に動けなくなっちゃうかもしれないから、できるだけ昨日の事は忘れて、いつも通りの探索を続けることにしましょ。
あ、とは言っても、『モンスターにプレイヤーのダイレクトアタックは禁止』って事だけは心に刻み込んでおく。
意味もなくあんな経験もう一度したいとは思わないからね。
ウロウロと階段を探し歩き回り、1日探索をつづけるも階段は見つからず。
さらに翌日、その次の日と探索を続け、ようやく23階への階段を発見した。
23階も、ここまでと同じく赤茶けた山肌が視界に広がる。
そして空には「あ~ほ~。」と鳴くアホウドリが複数。
山の斜面にはゴロゴロ転がる岩の塊が複数。
どうやら魔物の種類は同じで、同時出現数が増える感じらしい。
これは地味にキツイ。
1体だけなら先行ワンキル楽勝なんだが、2体以上いる場合、倒さなかったモンスターが守備表示にでもなれば、守備力を越えるモンスターを召喚するか、魔法・罠・効果を使用するしかない。
出来るだけ戦闘は回避の方向かな?
逐一マップを確認し、戦闘にならない様に気を付けながら慎重に進む。
が、戦闘を一切行わないというのもストレスが溜まるので、手札と相談し、倒せそうな時だけ戦うことにした。
フラフラと探索を続けること数日。
掲示板で新たな情報が発表された。
【某氏、30階突破!! 報酬は『融合』!!】
どうやらまたまた某氏が一番乗りだったようだ。
今回の報酬は、魔法カード『融合』1枚と、融合モンスターカード1枚。
手に入れればまた戦術が広がりそうだな。
某氏曰く、融合モンスターカードもレベルアップやランクアップが可能らしく、これでまたデッキが強化できたと自慢してた。
ちなみにカードの詳細は、【レベル5 A2200 D1500】で、彼が良く使うレベル3モンスター2体が融合素材らしい。
俺の場合はどうだろうな…。何となくだが、バードと戦士で融合になりそうな気がする。
やはり、先の情報が出れば皆モチベーションは上がる。
ひとしきり掲示板で盛り上がり、その後は某氏に続く為、いつも以上に攻略に力を入れる事となる。
融合の話題が上がって数日後、俺はようやく23階を突破。
魔物に代わり映えは無かったが、できる限り戦闘を避けるように移動していては中々思うようには進まず、思った以上に時間がかかった。
さて、24階はどんな感じだろうか。
階段を降り、簡易転移石を探し登録。
フィールドの見た目は上の階と変わらないが…、お、いきなりマップに赤い光点発見。
…3体…か?一緒にいるようだ。
まさかここも23階と同じパターンか!?と考えつつ、慎重に魔物へ近づく。するとそこには
グゲギャギャ!
ゲギェギェ!
グゲギュギョ!
人間の子供ほどの大きさで、肌が緑色の、お世辞にも可愛いとは言えない顔をした魔物が3体。
【ゴブリン 星2 A500 D500 守備表示 通常モンスター】
【ゴブリン 星2 A500 D500 守備表示 通常モンスター】
【ゴブリンシーフ 星3 A600 D500 守備表示 効果モンスター】
ゴブリンだ!!
ゲームでお馴染み、ラノベでも説明いらずの、あのゴブリンだ!
いやー、まさかこんなところでファンタジーの王道と出会うとは…。
謎の感動をしつつ、ゆっくりと近づき様子を見る。
ゴブリンたちはこちらに気づいた様子もなくゲギャゲギャ喋っている。
相手は3体だが、能力的には苦戦することはまず無いだろう。
シーフの効果が気になるが…、ま、戦ってみないことには分からないからな。
ある程度まで近づくと、奴らの内1体がこちらに気づいたらしく、指をさして仲間に教えている。
3体ともがこちらを向いたところで俺は堂々と宣言する。
「さあ、デュエルだ!俺のターン、ドロー!」
身構えるゴブリンたち。
しかし今の俺のデッキパワーなら、500や600程度の能力では相手にならない。
まず効果モンスターのゴブリンシーフを倒し、続けて残りの2体のゴブリンを倒す。
シーフは特に効果を発動しなかったので、何一つ問題なく戦闘は終了した。
落としたカードを拾い確認。
ゴブリン 星2 地 悪魔族/通常モンスター
A500 D500
ゴブリンシーフ 星3 地 悪魔族/効果
A600 D500
このカードが相手にダメージを与えたとき、あなたはカードを1枚ドローできる
ノーマルゴブリンは特筆すべき点無し。あえて言うならなぜレベル2がここに?ってぐらい。
シーフは、対人戦なら使えるかもしれないが、通常の雑魚戦では使用用途がないな。
しかしゴブリンか…。
想像以上にきm…、可愛くない。
だが24階にしては妙に弱い。何か理由があるのか…?
ま、考えていても仕方ない。
次の魔物を探して探索を続けよう。