時折見かける2体のつがいを避けつつ歩を進め、30階へと続く階段へやって来た。
ふぅ、これで一息つける。
何か雲がゴロゴロいう音が大きくなってきたような気がして落ち着かなかったんだよ。
では、29階の謎も解けて、デッキの強化も出来たことだし、ボスに挑んでみますか!
目の前の大きな扉に手をかけて開く。
いつものように部屋の中に入ると扉は自動で閉まり開かなくなる。
部屋の中央に向かって進むと、黒い影が現れ人の形へと姿を変える。
よしっ!と気合を入れてディスクを構える。
ボス戦では手札を引き直しになるので、今はまだすべてのカードがデッキ内にある状態だ。
手札次第では速攻勝利も可能だろう。
普段ならここでボスも俺に対しディスクを構えるのだが、奴はまだこちらを向いてすらいない。
おや?っと思っていると、いきなりメッセージが流れだした。
【挑戦者のデッキ強化度数が一定値を超えることを確認。守護者のデッキレベルが上昇します。】
……………え?
メッセージが終わりこちらを向いて構えるボス。
え?いや、ちょっと?まっ、な、ど、どういうこと!!???
こちらを急かすように構えた腕を軽く揺らしながら対峙するボス。
「え、あ、デュ、デュエル!」
先攻はボス。
奴は場にモンスターを召喚した。
黒戦士Lv3 A1500 D1000 通常
ま、まってまって!まだ頭が追い付いてないんですけど!
えっと、つまり俺のデッキが一定以上の強さがあると判断されて、それに伴いボスのデッキもパワーアップしたって事か?
いやいやいやいや、管理人さん、そんなのいいですから、そんな「楽勝じゃつまんないでしょ?」みたいな気を使ってもらわなくていいですからー!!
テンパる俺をよそにデュエルは進む。
「くっそ、後で文句言ってやる…、俺のターン、ドロー!!!」
半分やけくそでカードを引く。
まだ負けたわけでも、勝てないと決まったわけでもないんだ。
やってやるよ!!
「俺はモンスターをセット。さらにカードを1枚セットしてターンエンドだ。」
ボス 手札3枚 LP3000 場にモンスター1体
俺 手札3枚 LP3000 場にモンスター1体、伏せカード1枚
相手のターン。
奴はさらにモンスターを召喚する。
黒火Lv3 A1400 D1100 通常
そして黒戦士で攻撃してくる。
「俺のモンスターは岩石の守護兵!」
岩石の守護兵 地 岩石族/効果
A900 D1500
このカードは守備表示のままで攻撃できる
攻守の数値が同じため破壊されない。
ボスはそのままターンを終了した。
「俺のターン、ドロー!」
ふむ…、今はまだ動けないか…。
「俺はモンスターをセット。ターンエンドだ。」
ボスのターン。ここで戦況は動き出す。
奴は自分の場の黒火を墓地に送り、手札からカードを召喚。これは…アドバンス召喚!!
黒鳥獣Lv5 A1800 D1500 通常
くっ!もしかしたらと思っていたが、やっぱり出してきたか!上級モンスター!
しかもレオと同じ攻撃力。…これはちょっと…まずいか?
黒鳥獣の攻撃。攻撃対象は岩石の守護兵。
現デッキ内で最高峰の守備力をもってしても防ぐことはできない。
「くっ!」
続いて黒戦士が伏せモンスターを攻撃。
伏せカードは『ゲコガエル』からレベルアップした黄泉ガエル。
黄泉ガエル 水 水族/通常モンスター
A1200 D1300
破壊され墓地へ。そしてボスはターンを終了。
「俺のターン!ドロー。」
手札を見て考える。奴の場にはレオと同格のモンスター。ここは、動くしかない!
「俺は罠カードを発動させる。唐突な訪問!」
唐突な訪問 罠カード
自分の場にモンスターがおらず、相手の場にのみモンスターが存在する場合、自分のメインフェイズに発動できる。
相手の場にいるモンスターカードの内、一番レベルが低いカードのレベル以下のカードを手札から特殊召喚できる。
「この効果で、俺は手札からモンスターを特殊召喚する。ナイトメア!」
ナイトメア 星3 獣族/通常
A900 D1300
スリープシープがレベルアップしたカードだ。
「そしてそのナイトメアをリリース。アドバンス召喚!魔界の商人!!」
魔界の商人 星5 闇 悪魔族/効果モンスター
A1500 D1600
このカードが召喚された時、カードを1枚ドローできる。
「魔界の商人の効果でカードを1枚ドロー。」
デッキからカードを引く。そこに描かれていたのは某特撮番組に出てきそうなロボットの姿。
「よし!手札から、支援ロボB-RT03の効果を発動!」
ボロットの時は200、レベルが2に上がって300、そしてレベルが3に上がったことでさらに効果は上がり、上昇値は400に。
「魔界の商人に装備。これにより攻撃力1900、守備力2000となる!!」
相手の攻撃力は1800。
「魔界の商人で黒鳥獣Lv5に攻撃だ!」
商人らしく物がいっぱいに詰め込まれた袋から、1本の剣を取り出し黒鳥獣に切りかかる魔界の商人。
キュエェェェ!!
商人に切り裂かれ光となって消えていく黒鳥獣。
よし、これならもう勝った様なもんじゃないか?流石に攻撃力1900以上は出てこないと思うし。
相手のライフは100削れて2900。場にはお互いモンスターが1体づつ。
俺はターンを終了し相手のターンとなる。
カードをドローしたボスは、モンスターを召喚。
黒悪魔Lv3 A1400 D1300 通常
さらにカードを1枚伏せターン終了。
…攻撃表示…か。
「俺のターン、ドロー。」
奴が黒悪魔を攻撃表示で召喚した理由、おそらくあの伏せカードだろう。
こちらの攻撃に対する罠カードか?
だがそうだとわかっても俺にできる事は攻める事だけだ。
「魔界の商人で黒戦士を攻撃!」
先ほどと同じく袋から剣を取り出し、相手に向かって切りかかる商人。
しかしその時、相手の伏せカードが表を向き、効果が発動される。
借りパク 罠
装備魔法を装備した相手のモンスターの攻撃宣言時に発動可能。攻撃モンスターの装備しているカードの装備対象を、ターン終了時まで攻撃対象となった自分のモンスターに移し替える。
な!!?ってことは…
魔界の商人の身を守るように装着されていた機械は外れ、そのまま相手の場の黒戦士へ吸い寄せられていく。
そして強固な鎧を身に着けた戦士に向かって商人は攻撃してしまう。
「くうぅう!!」 【黒戦士A1900 商人A1500 俺LP3000→2600】
攻撃を仕掛けた商人は逆に破壊され、俺の場はがら空きに。
「…メインフェイズ2。俺はモンスターをセットしてターンエンドだ。」
ターンが終了したことにより、支援ロボB-RT03の効果は俺の方に帰ってくるが、効果対象だった魔界の商人が破壊されているため、対象無しとしてロボも墓地へと送られる。
…こ、これはちとヤバいんでないか…?
ボス 手札2枚 LP2900 場:黒戦士(A1500 D1000)・黒悪魔(A1400 D1300)
俺 手札2枚 LP2600 場:セットモンスター1体