ダンジョンカードバトル   作:ノジー・マッケンジー

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62話

「俺のターン、ドロー!!」

 

どんなに劣勢でも決して最後まで諦めるつもりはない。

祈るようにカードを引く。

 

魔界の商人 星5 闇 悪魔族/効果モンスター

A1500 D1600

このカードの②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

①このカードが召喚された時、カードを1枚ドローできる。

②あなたはデッキから任意の数カードを引く(最大2枚)。この効果を発動したターンのエンドフェイズに、あなたはこの効果で引いたカードの枚数×1000ダメージを受ける。

 

 

引いたカードは『魔界の商人』…!

 

効果が…追加されている。ここで『成長』か。…しかしこの効果…。

 

必要なものを得るために何か別の物を賭ける。

可能性という名のカードを得るために賭けるのは自らの(LP)

まるで、悪魔の取引…!

 

だが俺の残りライフは400。ここでこの効果を発動すれば、このターン中に勝利しなければターン終了した瞬間に俺の負けとなってしまう。

 

どうする…?

ここでこの効果を使わずとも、耐えていればチャンスが来るかもしれない。

…だが本当にそんなチャンスは来るのか?

耐えるということは、イコール奴の増援ゲージが増えるという事。

増援が現れれば奴の残機が増えるという事。

現状1ターンしか強化できないこのデッキで、耐えていれば本当に奴を倒せるのか?

 

俺は…、俺はここで勝負に出る!!

例え耐え続けても勝てる可能性はほぼ無い。

なら、このターンに全てを、今このタイミングで『成長』したこのカードに俺は賭ける!!

 

「俺は場の守護の大樹をリリースし、魔界の商人を召喚!」

 

フィールドに現れた商人はちらりとこちらを見て、その口元をニヤリと動かした。

それはまるで、俺を試していたかの様な、そんな表情にも見えた。

 

「このカードが召喚された時、俺はデッキから1枚ドローできる。ドロー!」

 

引いたカードは…魔法カード『融合』。

ここで融合…?…っつ!!!

 

カードを確認した瞬間、その融合のカードから強い意思が流れ込んできたような気がした。

 

(い、今のは…?)

 

それはあるカードたちが融合し、1体のモンスターになるビジョン。

 

(…だが、確かにあのカードたちなら可能性が…、しかしそうだとしても、まだ足りない。引けるのか?ここで…。)

 

その光景は強く脳裏に焼き付き、カードたちがそれを求めているようにも感じた。

しかし今の手札ではそれを成す為のカードが足りない。

 

(いや、引けるかじゃない、引くんだ!ここで俺が応えなくてどうする!!)

 

「俺は、魔界の商人の2つ目の効果を発動!『魔界商の取引』!」

 

俺の宣言により、場の魔界の商人はその手に持つ袋からゴソゴソと契約書のようなものを取り出し宙に浮かべる。

そして独りでに動き出した羽ペンがサラサラと契約内容を記していく。

 

「俺はデッキから2枚ドローする。その代わり、このターンのエンドフェイズ時、俺は2000ポイントのダメージを受ける。」

 

さあ、運命のドロー…!

軽く息をつき、心を落ち着けてデッキに指をかける。

 

「………!ドロー!!!!!」

 

デッキから2枚同時にカードを引く。

引いたカードは…

 

 

 

邪毒蛇 

草原の王レオ

 

 

 

「!(来たっ!!)」

 

11階で手に入れた邪蛇のレベルアップしたカード『邪毒蛇』。

そしてここまで頼れる上級モンスターとして、数々のピンチを救ってくれたカード『草原の王レオ』。

先程見えたビジョンに映っていた3枚の内の2枚。

そして共に映っていた最後のもう1枚はすでに俺の手の中にある!

 

 

「俺は魔法カード融合を発動!手札の『草原の王レオ』、『邪毒蛇』、そして『ナイトメア』を融合させる!!」

 

手札から3体のモンスターが場に出現し、融合のカードの効果によって一つになっていく。

それと同時に、EXデッキにある1枚のカードが強く光を放つ。

 

 

  そのカードは可能性のカード。

  君やカードたちの思いにこたえて姿を変えるカードだよん♪

  きっと役に立ってくれると思うから、常にEXデッキに入れておいてねー。

 

 

管理人の言葉を思い出す。

思えばこの3枚のカードは、事あるごとによく一緒に手札に来ていた。

もちろん別々に来ることもあったが、それでもかなりの確率でこのうち2枚は必ずセットになっていた。

もしかしたら最初からカードたちはこうなることが分かっていたのかもしれない。

 

このカードが可能性のカードというのならば、俺はその可能性を、カードたちを信じて先へ進む!

 

 

「現れろ!『合成魔獣 キメラ』!!!」

 

 

合成魔獣 キメラ 星8 闇 獣族/効果

A2800 D2400

このカードが攻撃を行う際、相手は魔法・罠・モンスター効果を発動できない。

 

 

現れたのは、獅子の顔と羊の顔の二頭を持ち、尻尾が蛇となっている大型の4足歩行の獣。

圧倒的な威圧感を放ちながら相手を睨み、低く唸っている。

これが、可能性のカード…!

 

「これが、俺たちの可能性の力だ!合成魔獣キメラで、無の残影に攻撃!『ソニッククロー!!』」

 

その2つの頭は天に向かって雄たけびを上げ、そして目にもとまらぬ速さで相手に近づき、すれ違いざまにその鋭い爪で相手を引き裂いた。

 

 グオオォォォォ………。

 

魔獣の爪で切り裂かれた無の残影はそのまま黒い靄へと姿を変え、スゥっと空気に解けるようにして消えていった。

後に残されたのは1枚のカード。

 

 

 

 

勝った…。勝ったーー!!!!!!!

思わず力が抜け、その場に座り込んでしまう。

予想だにしない特殊ボスの出現、さらには想像以上のスペックにかなり神経をすり減らした。

しかし結果は勝利。

誰が何といおうが、勝ちは勝ちなのだ!

後から考えれば、普通に3ターン耐えれば同じ結果だったとか聞かなーい。

 

 

ふと顔を上げ、その勝利の貢献してくれた新たな仲間の姿をよく見る。

戦闘中はかなりの圧を発していたその体は、戦闘中でないせいか若干雰囲気が丸く、まるで大きな猫のようにも感じる。

視線を感じた為か向こうもこちらに顔を向ける。

獅子の顔は、合成前のレオの顔そのまま。まるでこちらに甘えたりする素振りは見せない。

しかしもう一方、ナイトメアの顔は、まるで褒めてほしそうにこちらに顔を近づけてくる。

それに引っ張られて強制的に顔を動かされるレオの頭。

撫でてやると嬉しそうな顔をするナイトメアをジト目で見つつも、近づいてしまったから仕方ないという風な顔で撫でられるレオ。まんざらではない様子に見える。

2頭を撫で繰り回していると、後ろから肩をトントンされる。

振り向くと自分も構ってほしそうな顔をした蛇が。

同じように撫でてやり、しばらくはその触れ合いを楽しんだ。

 

 

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