ダンジョンカードバトル   作:ノジー・マッケンジー

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69話

扉を開き中に入る。

部屋の大きさは体育館の半分くらいか?中央にはデュエル用のリングがある。

そして部屋に入った瞬間、手元から「ピンポン♪」と音が鳴った。

 

【 次の階へ進むには この階で 10 勝 すること (0/10)】

 

今俺が手に持っているのは受付で渡された1枚の真っ白なカード。

そこに文字が浮かび出てきた。

 

「部屋に入ると、このカードに先に進むための条件とかが出てきますから、きちんと確認してくださいね。」とはガイドさんの言葉。

 

ふむ、分かりやすくていいね。じゃあ早速試してみますか。

 

俺はそのままリングへと上がる。するとおなじみの黒い靄が現れて人の形へと変化していく。そして

 

「お、今度の相手はお前か。宜しくな!」

「(しゃ、喋った!?)あ、ああ、よろしく…。」

 

現れたのは1人の男性。歳は俺と同じくらい…か?

突然の出来事に驚きつつ、差し出された手を握る。

 

(そうか、対人戦の練習で、以前の参加者のデータを使用っていったらこうなるか…。)

 

限りなく本人に近いが決して本人ではない、データで作られた存在。

意表を突かれた形で驚きはしたが、分かってしまえば逆に、久々の対人戦に心が躍る。

 

「いいデュエルにしような。」

「ああ!!」

 

お互いにディスクを構え、手札を4枚引く。

41~45階は手札4枚だったな。さらにバトル場もモンスターゾーンが3か所と、魔法・罠ゾーンが3か所。そしてメインフェイズ2は無し。

昔遊んでいた『デュエルリンクス』ってゲームのルールと一緒だな。

あれもかなり嵌ってたな…、っとそんなことより本物のデュエルだ。

 

ディスクのディスプレイには…先行表示!

 

「いくぜ、俺のターン!!ド…。」

 

一瞬癖でドローしそうになるがギリギリで留まる。

 

「(危ね…)俺は、モンスターをセット。さらにカードを1枚伏せターンエンドだ!」

 

しかし以前の参加者のデータと入ったが、どれほどのものなのだろう。

もし優勝者が当時の使用デッキを使って来たら…勝てるのか?

 

「よっし!俺のターン、ドロー!!」

 

良い勢いでカードを引く相手。

 

「じゃあ俺は、突撃ワイバーンを召喚して攻撃だ!」

 

 

突撃ワイバーン 星4 風 ドラゴン族/効果

A1700 D1200

このカードが守備表示モンスターを攻撃する時、その守備力をこのカードの攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手にダメージを与える。

 

 

場に現れたドラゴンが俺のモンスターに攻撃を仕掛ける。

 

「甘い!俺のモンスターは世界樹!お前の攻撃力より守備力の方が高い上に、このカードは1ターンに1度戦闘では破壊されない!」

 

 

世界樹 星4 地 植物族/効果

A1000 D2000

 

 

守護の大樹のレベルアップしたカードだ。その守備力は2000まで上がり、効果とも相まって鉄壁を誇る。

俺が先行の時には大概手札に来てくれているし、本当に頼りになるやつだ。

相手は300ポイントのダメージを受ける。

 

「くっ、ターンエンドだ。」

「俺のターン、ドロー!!」

 

よし!俺の勝ちだ!

 

「俺は先ず海王龍を召喚!」

 

 

海王龍 星4 水 海竜族/効果

A1900 D1600

 

 

「そして手札より、汎用ロボB-RT04の効果を発動。このカードは俺のモンスターの装備カードとなり、その攻撃力・防御力を500アップさせる!」

「なに!?」

 

海王龍 A1900→2400 D1600→2100

 

いいねいいね!相手の反応があるって素晴らしい。

 

「これで終わりじゃないぜ!さらに俺は汎用ロボB-RT04のもう一つの効果を発動!」

「もう一つの効果…?」

「そう、このカードは1ターンに1度、魔法・罠ゾーンから自分の場に特殊召喚できる。」

「なんだと!?」

 

 

汎用ロボB-RT04 地 機械族/効果

A1600 D1600

①手札またはフィールドのこのカードを装備カード扱いとして自分の場の表側表示モンスターに装備することができる。このカードが装備されたモンスターの攻撃力・防御力は500アップする。

②1ターンに1度、メインフェイズ時に発動可能。魔法・罠ゾーンのこのカードを場に特殊召喚する。

③このカードを装備したモンスターが破壊された時、代わりにこのカードを破壊できる。

 

 

レベルが上がり、ランクも上がったことで強化された能力。

今使うのは②番目の能力!

 

「さらに、リバースカードオープン!二者択一!」

 

 

二者択一 速攻魔法カード

次の内1つを選んで発動できる

①ターン終了時まで自分の場の全てのモンスターの攻撃力を自分の場のモンスターの数×100アップさせる

②ターン終了時まで相手の場の全てのモンスターの攻撃力を相手の場のモンスターの数×100ダウンさせる

 

 

初手で伏せておいたカードだ。

このカードもランクアップにより効果がかなりアップしている。

 

「今俺の場にはモンスターが3体。つまり、俺のモンスターの攻撃力は300アップする!」

「くっ!!」

 

世界樹 A1000→1300

汎用ロボB-RT04 A1600→1900

海王龍 A1900→2200

 

「いくぞ!世界樹を攻撃表示にして、バトルフェイズ!先ずは海王龍で突撃ワイバーンに攻撃!」

「ぐあぁ!!」

 

相手LP3700→3200

 

「そして世界樹と、ロボでダイレクトアタックだ!!」

「うわあぁぁあ!!!!」

 

相手LP 3200→0

 

相手は攻撃の余波でその場に倒れる。

 

【おめでとうございます。デュエルに勝利しました。勝利報酬として100BP支払われます。】

 

受付で貰った白いカードを見ると、新たに『所持BP 100』の文字が浮かんでいる。

コツコツと音が聞こえたので顔を上げると、相手が立ち上がった近づいてくるところだった。

 

「いやー、まいったな。まさか瞬殺されるとは思ってなかった。あんた強いんだな。」

 

ニコニコしながら話しかけてくる。

こうやって見るとデータで再現されているだけとは思えないな。

 

「いやいや、たまたまだよ。手札も良かったし。」

「いーや、強いやつってのは常に手札が良いやつなんだ。あんたは強いよ。できたらまたデュエルしような!」

 

そう言って手を差し出してくる。

 

「…ああ!」

 

手を握り返しそう答える。

そして、手を離すと同時に、彼は元の黒い靄に姿を変え消えていった。

また…か…。

 

【続けてデュエルを行いますか?行う場合はそのままお待ちください。そうでない場合は1度リングをお降りください。】

 

頭上からアナウンスが流れる。

俺は一旦リングを降りる。

手に持つ白いカードに書かれた数字は(1/10)になっている。

 

1戦行った事で大体の流れは分かった。

後はこれを繰り返していけばいいだけだ。

流石に最初の階だからか、相手もそんなに強くは無かった。

もしかしたら偶々手札が悪かっただけの可能性もあるけど。

 

にしても、データとは言え久々の対人戦。あっという間ではあったが楽しかった。

 

 

 『できたらまたデュエルしような!』

 

 

彼とまたデュエルする機会はあるのだろうか?

そしてもし再戦できたならば、彼の記憶はどうなっているんだろう?

俺のこと度覚えているのか…?

 

ぼんやりと、そんなことを考えるのであった。

 

 


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