ダンジョンカードバトル   作:ノジー・マッケンジー

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86話

拠点に帰った俺を待っていたのは、ソラではなく別の存在だった。

 

「お、帰ってきたね。おかえりー。」

 

見た目は人間だが、中身は全く違う。

初め見たときにそう感じた。

 

「あんたは…。」

「僕は君たちが管理人と呼ぶ存在だよ。今回は50階をクリアした君に今後の話をしに来たんだ。」

 

帽子をかぶり、サングラスをかけ、マスクをしたうえで、全身を包むような服を着て肌がほぼ見えないような恰好をしている。

 

「さて、あんまり時間も無いし、さっそく話をさせてもらうよ。…おっと、その前に…。」

 

管理人が軽く右手を振ると、なんといきなり俺の横にソラが現れた。

 

「…え?あ、ま、マスター?これは一体…?」

 

どうやら管理人の力でソラをここに呼び寄せたようだ。

 

「彼女にも聞いてもらっておいた方がいいからね。呼ばせてもらったよ。」

 

俺以外の声にバッと反応したが、管理人の姿と今の話で大方の事は理解したようだ。

 

「えーっと、じゃあ何から話そうかな…。」

 

こちらの返事も待たずに管理人は喋り始めた。

管理人から聞いた話をまとめると次の通り。

 

 

 

・ダンジョンは基本この50階で終わり。先は続いているけど今までとは全然内容が違う、所謂エンドコンテンツのようなもの。

・51階以降は挑戦するのもしないのも自由。どんなところかは自分で確かめて。最深部は100階。

・そろそろ管理人達の大会(俺たちが元の世界に帰るために参加する最終目的)が始まる時期になる。

・それに先立って、俺たちは代表を決める予選をすることになる。ある程度他のプレイヤーたちが40階を突破したら開催予定。

・予選、本番のルールは【LP8000 初期手札5枚 先攻ドロー無し デッキ枚数40枚以上60枚以下 EXデッキ枚数15枚まで 同名のカードは3枚まで】

・ダンジョン攻略や50階までのデュエルエリアとルールが異なる部分があるから注意してね。

 

 

 

わざわざ直接会って説明する必要のあることだろうか?というレベルの話ではあったが、どうもこの説明をするのはついでで、本当の要件は俺に直接会うことだったらしい。

 

「君には最初から期待してたからねー。多分予選も君の優勝になるんじゃないかな??」

 

嬉しそうに話す管理人だったが、そんなことより俺は聞いておかなければならないことがあった。

 

「なぁ…、なんで俺たちだったんだ?」

 

真剣な顔でしっかりと目を見据えながら聞くと、相手も茶化す雰囲気ではないと悟ったのだろう。

 

「…確かに、君たちの立場からすれば突然連れてこられたわけだろうし、申し訳ないと思ってるよ?少しはね。でも、こっちにだって色々と都合があるんだ。…どうしても君たちじゃないと駄目な理由が…。」

 

最後の方は声が小さくなっていき聞き取りにくかったが…、俺たちじゃないと駄目な理由…か。

 

「それは聞いても教えてはもらえないんだろ?」

 

おそらく本当に申し訳ないという気持ちは少なからずあるのだろう。

小さくうなずいた管理人は言った。

 

「それを話せるのは、この大会で優勝した人間のみ。もし知りたいなら…頑張って優勝して。」

 

…そうか。まぁ、今はこれでいいだろう。

理由があって、それを知れる機会があるとわかっただけでも。

 

俺が黙ったことでもう質問は終わりだと思ったのか、パッと表情と雰囲気を変えてきた。

 

「そうそう、話は変わるけど、実は君が50階をクリアする直前に別の人がクリアしちゃったんだよねー、たまたま。」

「…おいおい、そんなこと言っていいのか?」

「いいのいいの、だって本当に偶然なんだもん。」

 

聞けば40階までは誰でも繰り返し挑戦すれば突破できるようになっているらしいが、45階の中ボスや50階のボスは、カードたちとの強い絆をもつ人にしか勝てないようになっているとのこと。

だが今までの大会でもあったそうだが、極々稀に本当にたまたま運良く勝ってしまう人もいるみたい。それこそ何千万人に1人の確率で。

 

だから50階をクリアした時に『初めてクリアしたボーナス』が貰えなかったんだって。

すっかり忘れてたよ。

 

 

ま、何はともあれ、結局管理人が来た理由は「俺に期待してるから頑張って」って話を直接したかっただけって事らしい。

話した内容の半分以上はいずれ予選が始まるときに全プレイヤーにお知らせされるって言ってたし。

 

「じゃ、僕はそろそろ帰るねー。…っとそうだ。」

 

俺たちに背を向け、帰る体勢になっていた管理人がふと思い出したかのように言った。

 

「わざわざ君に言う必要は無いだろうけど、カードたちをしっかりと信じてあげてね。それから…ソラ、だっけ?しっかりとご主人を支えてあげてね。」

 

俺とソラ、それぞれに言葉をかける。

 

「そして…」

 

そこで俺たちから少し視線を外し

 

「………、ま、いっか。頼んだよー。」

 

そう言うと、まるで最初からそこにいなかったかのように一瞬で消えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、俺たちは家に帰り、ソラは50階をクリアしたことを喜んで、ささやかながらお祝いをしてくれた。

その晩パソコンの掲示板を見ると、管理人が言っていたもう一人の50階突破者がすでに情報を流していたようで相当な大盛り上がりとなっていた。

 

『ついに50階突破!!』

『某氏敗れる!?』

『50階の攻略方法!!』

 

色んなスレが立っており、その全てが流れるのが早い早い。

確かに40階までと比べて、ここで攻略がピタッと止まってたわけだし、騒ぎになるのも無理はないか。

中には嘘だのチートだの書いてる人もいたが、そのうち本当だということは分かるだろう。

てかこの『嘘だ!』って書いてるの、某氏じゃないか…?

 

ざっと内容を流し読みし、大した情報がないことを確認してから掲示板を閉じる。

 

あ、そうだ。

50階をクリアしたことだし、スキルとか増えたりしてないかな?

そう思い、スキルのページを開こうとしたところで画面の端でチカチカしているボタンを見つけた。

『お知らせ』と書いてあるそれを選択すると、先程管理人が話した内容が纏められていた。

さらにその下に追加でもう1文。

 

※51階以降は10階ごとに報酬があって、100階までたどり着ければものすごいお宝が手に入るよん♪

 

 

なるほど…。ま、とりあえず明日から挑戦してみるとしよう。

まずは実際に見て見ないと何とも言えないし。

 

多分大会までそんなに時間がないみたいだし、行けるところまで頑張ってみようか。

 

 

 

 

 

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