「ふふ…、ふふふ……。」
圧倒的不利なこの状況の中、奴は嬉しそうに笑みを浮かべる。
「すごい、すごいよ君は…。私相手にここまでできるとは…。」
盛り上がった胸筋をピクピクさせながら続ける。
「実に面白い。…私はこの人生の中で未だかつて負けたことが無いんだよ。周りが言うには人生勝組ってやつだ。…だからこそ、私は私を負かせてくれる相手を探していたのかもしれない。…君は、私に負けを与えてくれるかい…?」
ぞくぞくっ!
相手の雰囲気が変わる。背中がゾワゾワッとなり、一筋の冷や汗が頬を流れ落ちる。
「私のターン、ドロー。」
先程までの少し冗談交じりの態度はナリを潜め、鋭い目つきでをこちらを見つめる。
「私は、墓地のマッチョモンスター3体を除外し、『マッスル・キング』を召喚。」
マッスル・キング 星10 効果
A3000 D3000
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地のマッチョモンスター3体をゲームから除外して特殊召喚できる。
1ターンに1度、デッキからマッチョモンスター1体を手札に加えることができる。
このカードが破壊される時、代わりに自分の場のマッチョモンスター1体を破壊できる。
くっ!これが奴の本当のエースカードか…!
「私はマッスルキングの効果発動。デッキより『オーク・マッチョ』を手札に加え、そしてそのまま召喚だ。」
オーク・マッチョ 星4 効果
A1800 D1000
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が越えていた場合、その数値分相手に戦闘ダメージを与える。
「バトルフェイズ、マッスルキングで草原の王レオを攻撃。」
これは受けるわけにはいかない…!
「レオの効果発動!カードを1枚捨て、マッスル・キングを守備表示に変更する!」
しかしこれは予定通りだったのだろう。相手は続けて宣言。
「ではオーク・マッチョで疾風の戦士を攻撃だ。」
俺LP7300→6000
「ぐうぅぅ!!」
先程まで有利だと思っていた盤面がたった1枚のドローでひっくり返された。
「…ターンエンドだ。」
こいつ、ふざけた態度を取ってたけど…強い。
おそらく自分で言った通り、本当に人生で負けを経験したことが無いんだろう。
どことなく人の上に立つ者のオーラを感じる…気がする。
でも…、だからと言って俺がここで負けてやる必要は無い。
「俺のターン…」
俺にだって、こいつらの思いに応える為に、負けるわけにはいかないんだから…なっ!!
「ドロー!!」
気合一閃、カードを引き抜く。
!!こいつは…。
魔界の商人 星5 闇 悪魔族/効果
A1500 D1600
このカードの②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①このカードが召喚された時、カードを1枚ドローできる。
②あなたはデッキから任意の数カードを引く(最大4枚※ランクアップにより最大数増)。この効果を発動したターンのエンドフェイズに、あなたはこの効果で引いたカードの枚数×1000ダメージを受ける。
このタイミングでこのカード…。
…面白い、ここで俺を試すって訳か。
入手してからずっとデッキに入れているこのカード。しかし手札に引くことはかなり稀であり、こういったタイミングにまるで俺を試すかのように表れる。
少しニヤついた表情でこちらを見つめるカードの中の商人。
良いだろう、…さぁ、取引だ。
「俺は草原の王レオをリリース。」
「…ほぅ?」
ここまで活躍したキメラ、その素材ともなるレオを簡単にリリースする俺を見て、次手を警戒する相手。
「魔界の商人をアドバンス召喚!!」
大きな袋を持ち、ニヤニヤした表情の男が現れる。…顔じゃなくて仮面か…?
「このカードが召喚された時、俺はデッキよりカードを1枚ドロー。さらに、魔界の商人の効果発動。魔界商の取引!!」
俺の宣言により、袋から契約書のようなものが現れ、独りでに動き出した羽ペンがサラサラと契約内容を記していく。
「俺はカードを4枚ドロー。その代わりこのターンのエンドフェイズに俺は引いたカードの枚数×1000ポイント、つまり4000ポイントのダメージを受ける。」
さぁ、運命のドロー…!
「(このカード…、そうか、なら俺は最後までこいつらを信じる!)俺は、手札より魔法カード『融合蘇生』を発動!」
融合蘇生 魔法カード
自分の墓地の融合モンスター1体を自分の場に特殊召喚する。
ありったけの思いを込め発動した魔法カード。
それに応えるように、
「ふむ。だが例え何度甦ろうとも私のキングの攻撃力には届かないぞ?」
そう、だからもう一手だ。
「さらに手札より『融合強化』発動。」
融合強化 装備カード
融合モンスターにのみ装備可能。
装備モンスターの攻撃力・防御力は自身のレベル×100アップする。
「このカードは装備モンスターのレベル×100ポイント、攻撃力と防御力をアップさせる!」
「何っ!?」
「キメラのレベルは8。つまり800ポイントのアップにより、攻撃力は3600となる!!」
合成魔獣キメラ A2800→3600
「バトルフェイズ!合成魔獣キマイラで、マッスル・キングに攻撃!!!」
ォアアアアアアァァァァァッァアアアア!!!!!!!
相手LP7000→6400
想像以上に野太く大きな声を上げながら倒れていくマッスル・キング。
ギガンテスに続き上級モンスターを撃破。だが…
「……………。」
奴は焦ることも動揺することもなく、変わらぬ表情でこちらを見つめている。
あの目は…、決して諦めていない目。
むしろ次のターンに再び逆転し、自分が勝利することを疑っていない目だ。
だからこそ…、俺はこのターンであいつを倒す…!
「手札より、速攻魔法発動!『破壊の先へ』!!」
破壊の先へ 速攻魔法
自分の場と相手の場にそれぞれ1体以上づつモンスターがいるときに発動可能。
お互いのプレイヤーは自分の場のモンスターを1体選択する。
そのモンスターを破壊する。
「このカードはお互いに自分のモンスターを1体選び、それを破壊するカード。俺は場の合成魔獣キメラを選択するぜ!」
「……ふむ、私は場のオーク・マッチョを選択する。」
カードの効果により、選択されたそれぞれのモンスターが破壊され墓地へと送られる。
「この瞬間、俺は合成魔獣キメラの効果を発動!墓地の草原の王レオ、ナイトメア、邪毒蛇の3体のカードを場に特殊召喚する!!」
「何!?」
破壊があるからこそ生まれるものもある。
その先の未来を思うからこそ
そしてその成長の先に、つかみ取れるものがある。
俺はカードたちと共に、勝利をつかみ取って見せる!!
合成魔獣 キメラ 星8 闇 獣族/効果
A2800 D2400
このカードが攻撃を行う際、相手は魔法・罠・モンスター効果を発動できない。
このカードが破壊された時、墓地の『草原の王レオ』・『ナイトメア』・『邪毒蛇』の3体を場に特殊召喚できる。