自殺しようとしていた三十路独身派遣社員が宇宙人によって魔法少女モノの特撮の怪人になるお話。

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3時間で仕上げた()
雑なところだらけだけど御容赦を……:( ;´꒳`;):プルプル


第1話

 木造のボロアパート。

 歩くだけで床が軋むような一室で。

 小さな台に乗り、目の前の天井から吊るされた、先が輪っかに結ばれた縄を虚ろに見る女性がいた。

 

 彼女の名はマサコ。

 三十路を迎えた独身派遣社員である。

 基本的にスッピンでスウェットを着て生活をしており、女を捨てていると自他ともに認めてしまうような人だ。

 

 生きがいも目標もなく、派遣社員の低賃金を稼ぐために働き、アルコールを摂取する日々。

 そんな無気力に過ごす毎日に終止符を打ってしまおうというわけだ。

 

 輪っかに結ばれた縄を掴み、首を通し、30年の生に終わりを告げようというまさにその時。

 

「こんにちは! 貴方は僕が作る特撮の怪人役に選ばれました! 土下座して感謝してね♪」

 

 唐突に——脈絡もなく室内に響いたその声にマサコは目を剥いた。

 いつの間にか目の前にウサギの出来損ないのような小さな生物がちょこんと座りこちらを見ていた。

 それを見た瞬間、マサコの頭は真っ白に染まり、固まった。

 当然だ——人生なんてクソだぜと虚ろに自らの人生に幕を閉じようとしていた時に。

 目の前に非現実的な生物が出現したらリアクションなんて起こす余裕もなく固まる。

 

 たっぷり数秒固まり、マサコが出した結論は——

 

「——死ぬ間際に幻覚かぁ……珍しいもん見たなぁ……」

 

 言って、目の前の存在を狂った自分が見せた幻覚だと結論付け、首吊り自殺を再開しようとする。

 しかし、それに不服を告げるは目の前の何か。

 

「ちっとぉ、人のこと無視するんじゃないよ」

 

 言って、風切り音すら伴い、高速で不格好な長い耳を振る。

 そして、放たれた光の刃が天井から吊るされる縄を切断し、縄が重力に従い、ダラんと垂れる。

 

「……………………はぁ?」

 

 

 その漫画かアニメのような光景にマサコはかろうじて声を絞り出す。

 唖然としつつ、手の中の縄の切断面を見る。

 凄まじい切れ味の何かで切られたような綺麗な切断面にマサコの頭はキャパシティオーバー。

 

「まったく……人のことは無視するわ、客に茶のひとつも出さないわ星の程度が知れるね」

 

 やれやれと首を振り、可愛らしい見た目と声で毒を吐く目の前の珍生物。

 

「……え、は、幻覚……じゃない、の?」

 

 明らかに幻覚とは言えないそれに掠れた声で声を出す。

 

「やれやれ、低能な地球人は理解力まで低いみたいだね。目の前の現実を解することすら出来ないなんて……」

 

 哀れな下等生物を見るような蔑みの目に徐々にマサコも冷静さを取り戻して行く。

 さしあたりまずはこれを問うべきであろう。

 

「……あんた誰?」

 

「君達の言葉で言うと宇宙人だね。地球人風情に名乗る名はないから適当に呼んでよ」

 

 なんと目の前のこれは宇宙人らしい。

 

 ◆◆◆

 

「——それで、宇宙人があたしになんの用?」

 

 とりあえず話を聞こうということで、縄と台を片付け、床にあぐらをかいてウサギもどきの宇宙人の前に座る。

 そして、「どちら様ですか」の次に問うべき「なんの御用でしょう」を問うマサコにニッコリと自称宇宙人は、

 

「それより先に自分の名前も名乗れないのかな? 礼儀知らずここに極めりだね」

 

「ああ、あたしはマサコ——って自分は名乗らないくせにこっちには名乗らせるの……」

 

「地球人ごときが僕と対等なつもりかい? なんで僕が君なんかに名乗らなきゃいけないんだい?」

 

 いっそ清々しい程こちらを見下す宇宙人に嘆息する。

 

「あっそう、じゃあ適当にウサギって呼ぶけどいいね?」

 

「安直すぎるネーミングだけど、君ごときになんて呼ばれようとどうでもいいから好きに呼びなよ。どうせ君たちには僕の名前は発音できないしね」

 

 いちいち毒を吐かなきゃ生きられないのかと思ってしまうウサギの発言に「はいはい」と適当に返して、マサコは本題を聞く。

 

「それで、ウサギはあたしなんかに何の用?」

 

 そう問うたマサコへのウサギの答えは纏めると以下だった。

 出身地の惑星でヒーローモノの特撮が流行った為、次の流行に乗る為に魔法少女モノの特撮を作る決意をした。

 しかし、銀河連邦統一法とやらの一環で自国では好き勝手出来ないらしい。

 そこで、未開の惑星である地球で地球人をアクターにして撮影をする事にしたと。

 

 盛大で、尚且つバカげた話にマサコは驚き唖然とする。

 

「地球人の情報提供者によって魔法少女の情報はバッチリ! 後は怪人役と魔法少女役に説明をすれば完了だよ!」

 

 そんなマサコを置いて、話を進めるウサギ。

 

「いや、あたしが受ける前提だけどやるなんて一言も言ってないけど」

 

「何言ってんの? 君ら地球人なんかに拒否権があるわけないじゃん」

 

 何言ってんだこいつと見られたマサコは呆れつつも、どうせ自分のクソみたいな日常に嫌気がさして死のうと思っていたんだしいいかと思う。

 

「まぁいいや。それでどうすればいい?」

 

「うん、君は怪人役だからね。適当に暴れてもらおうかな。1人2人人ぶっ殺してよ」

 

「はぁ?」

 

 いきなり殺伐としたことを言い出したウサギにマサコは声を出す。

 

「魔法少女モノで人が死ぬってどうなのよ」

 

「えー、そうした方が面白いじゃん」

 

「ウサギの趣味かよ……」

 

「何がいけないっていうのさ!」

 

「魔法少女モノなんだから適当に暴れて魔法少女にやられればいいでしょ」

 

「えー、そんなのつまらないよ!」

 

「魔法少女モノにそんな血みどろ求めるやついないわ!」

 

 マサコのツッコミにウサギはぶぅーと膨れる。

 

「ちぇ、しょうがないなぁ。じゃあ君は適当に暴れて、その後魔法少女役の子が来るからその子と戦って陵辱して——」

 

「ちょい待て」

 

「ん? 何さ?」

 

「今、魔法少女モノでは絶対に耳にしない言葉が聞こえた気がするんだけど……陵辱?」

 

「うん、魔法少女って変身衣装で触手に犯されるものなんでしょ?」

 

「どこのエロゲだよ!? 何、その偏った知識!?」

 

「え? この星の情報提供者からの話なんだけど」

 

 こいつはいったいどんなやつを情報提供者にしたんだ……。

 

「しないから……適当に暴れて、魔法少女と適当に戦って負けるから……そもそもあたし女だし」

 

「んー? この星では女同士でも生殖行動をするんでしょ? 百合とかふたなりとか——」

 

「もうお前黙れ」

 

 ため息を吐きながら、ウサギの言葉を遮った。

 

「あ、そういえば、魔法少女役ってどんな人なの?」

 

「ん? ああ、教えてなかったね。この子だよ」

 

 そう言ってウサギが虚空に手を翳すと、ポンッと写真が出現した。

 それをマサコに渡す。

 その写真には高校生くらいの可愛らしい女の子が写っていた。

 

「へぇ、この子が……ん?」

 

 マサコはその写真を見るとどこかで見たことがある気がした。

 写真を凝視し、頭を捻ると、

 

「あ、うちに夏休みの短期アルバイトに来てる子だ」

 

 自分の職場で見たことがあることを思い出した。

 ……関わりが少なく、一言二言話した程度の関係で名前も覚えていないが。

 

「それじゃ、君に君に怪人に変身できるようにするよ……それ!」

 

 掛け声と共にウサギから光が放たれ、マサコに当たる。

 当たった光はマサコを包み込み、しばらくするとマサコの中へ消えていった。

 

「これで、君の意思で怪人に変身できるようになったよ」

 

「へぇ、こんなもんで……」

 

 体に特に変化はなく、自覚はないが怪人に変身できるようになったらしい。

 

「それじゃ、1時間後、この場所に来て、変身して暴れてね」

 

 そう言って、1枚の地図を置いて、ウサギはポンッと消えてしまった。

 なんかおかしなことになったな〜と思いつつ、マサコはその地図を手に取った。

 地図には近くの商店街に印が着いており、どうやらここで事を起こすらしい。

 

「1時間か……」

 

 言って、マサコは時間を潰すために床に寝転がった。

 

 ◆◆◆

 

 そして、1時間後。

 マサコは地図に印のつけられた商店街に到着した。

 

「時間か……さて、あたしの意思でってどうやったら変身できるのかな?」

 

 とりあえず、変身しようと思ってみた。

 すると、ミチミチと音を立てて体が変異し始めた。

 肌の色が変色し、下半身は長い蛇の尻尾へ。

 両の手の爪は鋭く尖り。

 犬歯は大きく、長くなり牙へ。

 その隙間からはシュルシュルと蛇のような舌が。

 

 近くの窓ガラスを見るとゲームなどに出るラミアのような姿になった自分の姿が映っていた。

 自分の体を見下ろして、確認していると、

 

「ば、バケモノだ!」

「キャー!」

 

 周囲の人々が自分に気付き、パニックを起こして逃げ惑い始めた。

 それを見て、やるかーとひとまず、蛇の尻尾を近くの壁を叩きつけてみた。

 すると簡単にコンクリートの壁を粉砕し、その音から人々をさらに騒がせる。

 驚く程に体が自分の意志通りに動き、驚く程に高い身体能力を有している。

 

「あー、人間ども〜、皆殺しにしてくれるわ〜」

 

 仕事をしなきゃと適当に思いついた言葉を吐きつつ、道路や建物を破壊していく。

 

「そこまでよ!」

 

 適当に暴れていると、自分よりノリノリにセリフを吐く少女が目の前に現れた。

 

「平和に暮らす人々を脅かす怪人よ! 私が成敗してあげるわ!」

 

 言って、ポケットから手のひら大の魔法のステッキと思われるものを取り出す。

 その大きさに首を傾げていると、構えた魔法のステッキが大きくなった。

 標準的と言える大きさになった魔法のステッキを掲げて少女が叫ぶ。

 

「変身!」

 

 その瞬間、少女を光が包み込む。

 ハートマークやら星マークやらキラキラしたエフェクトを伴い、無駄に時間をかけて少女の服が華美な魔法少女の衣装へとチェンジした。

 

「行くわよ! やぁ!」

 

 掛け声と共に、魔法のステッキを少女が振るとその先からキラキラとしたエフェクトを伴った光弾が発射された。

 

「うわっ」

 

 反射的にそれを避けると、それはアスファルトの道路に直撃し、爆発と共に道路を砕いた。

 その威力に冷や汗をかいていると、少女から追撃の攻撃がいくつも飛んできた。

 

「このやろっ」

 

 蛇の下半身を蛇行させ、少女からの攻撃を避けつつ、少女に接近する。

 拳を振り上げ、少女へ振り下ろした。

 

「きゃっ」

 

 可愛らしい悲鳴を上げつつ、後退した少女のいた場所をマサコの拳が穿つ。

 道路へ拳を抉りこませるマサコに少女が後退しつつも、魔法のステッキを振る。

 

「ぐぅ……!」

 

 放たれた光弾はマサコに直撃し、マサコは呻き声を上げる。

 イラついたマサコは咄嗟に、尻尾を振る。

 拳は届かない位置ではあったが、長い尻尾は届く位置にいた少女を横から殴りつけた。

 少女は悲鳴をあげる暇もなく、殴り飛ばされ、建物に直撃し、その中へ見えなくなった。

 

「あ、やべ」

 

 思わず、呟いたマサコはどうしようと少女が飛ばされた方向を見るが、少女が起き上がる様子はない。

 

「く、クソ〜、今日はこのぐらいにしておいてやる〜」

 

 やっちまったと思った捨て台詞を吐いて退散した……。

 

 ◆◆◆

 

「はぁ……」

 

 次の日。

 マサコはあの後、ウサギにしこたま怒られ、憂鬱な気分で出社した。

 

「おはようございまーす……」

 

 職場に入り、おざなりに挨拶をすると、1人の少女と目が合う。

 それは魔法少女役のあの少女だった。

 少女は目が合った瞬間、顔を真っ赤に染めるとこちらに走りよってきた。

 パッと見、少女に怪我はなさそうだった。

 それが元々かウサギが治したかは定かではないが。

 

「あ、あの!」

 

「ん?」

 

 あー、昨日のこと言われるのかな〜と思っていたマサコは、

 

「好きです! 付き合ってください!!!」

 

 まったく違うことを叫ばれて唖然とした。

 職場全体に響く大きな声に職場は静まり返った。

 

「「「はぁ!?」」」

 

 マサコ含めた職場の人々の叫びの後、職場が騒然としたのは言うまでもない……。

 

 ◆◆◆

 

「なんなんだ、あの子……」

 

 精神的にも身体的にもものすごく疲れて帰宅したマサコは缶ビールを飲みつつ、頭を抱えた。

 あの後、職場の人達に質問攻めにあったり、少女に迫られたりと色々あって散々な1日だった。

 帰りの途中にウサギに遭遇し、また撮り直すなどと言われ、またやるのかとさらに気分は沈んだ。

 

 コンビニで買った豚キムチをつまみに、自分の不幸を嘆きつつ、これからの苦難を忘れるために、缶ビールでやけ酒に走るマサコであった……。




書いたことねぇ、読んだことねぇ作風だったので苦労しました……。
1番悩んだのは宇宙人の口調。
最初まどマギのアレと同じにしようとしたんですけど、プロットをくださったケツマンさんがプリキュアのマスコットみたいなのって言われたんでプリキュアかぁと思いつつ書きました。出来上がったものがこちらにございます。
……うん、とりあえず、全国のプリキュアファンの女児と大きなお友達に謝ります。すみませんでした……。
どうしてこうなった!!!

こちらプロットです↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=247305&uid=212605

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