ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
『って、のんびり話してる場合じゃなかった!』
今俺達の居るのは、バーンパレス。その維持は大魔王の魔力によって贖われていた部分があったはずだ。加えてバーンを倒した俺の一撃。
『みんな、脱出の準備を……あ、この格好じゃポップには通じないか』
呼びかけてから遅れて気づくが、その心配は無用だったらしい。
「トゥース様、ポップと団長は私が!」
そう叫ぶや走り出したのは元ドラゴンキラーのラゴウ。分体を注入されているが故に呪文も使えて。
「団長、トゥース様の一撃でここも崩れるかもしれませんから脱出します」
すぐにヒュンケルの元に赴き説明すると呪文を唱えだすのが見え。
『あー、あれならあっちは大丈夫か。あとは』
周囲を見回すと分体の何人かはドームの入り口に向かってゆくところだった。
『あれは……』
「文官やアルビナス達にここが崩れるかもしれんことを伝えに行くのだろう」
『ああ、けど……大丈夫なの?』
納得しつつも不安も覚えてフェンブレンの方を振り返るも、呆れた様子でこちらを見るだけで。
「リレミト」
『あー』
唱えるではなく挙げた呪文名で得心が行った俺はドームを出て行く分体達を見送った。バーンなき今、脱出呪文を阻むものはない。危ないと思ったら呪文を唱えるだけで脱出できるのだ。
「むしろ、問題なのはこの後の魔王軍残党の処遇だと思うがね……」
『シグマ……』
柄の方へと向き直れば、自己主張の激しい胸を弾ませつつ近づいてくる親衛隊の一人がそこに居て、シグマの言うことは事実だった。アルビナス達が足止めしてくれたザボエラもだが、分体達が助け出すならこの城の文官。城の外周の守りを任されている魔界のモンスターの他、この城の動力炉の管理を任されていた魔物だっていた筈だ。
『まぁ、何か企むなら竜の騎士に立ち返ったバラン殿がズンバラリンして終わりになりそうだけど』
何も企まず、デルムリン島の魔物たちの様に穏やかに暮らしたいとなったら、どうなるか。
『ハドラーが魔王やってた時も禍根残したらしいもんなぁ』
バーンの魔王軍もカール、パプニカ、オーザム、ロモスに被害を与え、リンガイアに至っては滅んでしまっている。大魔王が死んだなら残党を殲滅しようと人間側が動いても不思議はなく。その場合、バランが出てきて三つ巴の戦いになんてことも充分ありうる。
「ならば、おおよそとるべき方策は一つではないかね?」
『一つって……』
「大魔王メラゴーストだよ」
『ちょ』
シグマの言には一理ある。大魔王を倒し、かつ分体を多数従える俺へ表立って逆らうような者は魔王軍にはほぼ残っていないと思う。出世欲の塊であるザボエラも魔軍司令の地位でも与えておけば暫くは大丈夫だろうし。
『人間の国に攻められないように俺と分体という戦力をもって独自勢力に、か』
シロコダインに預けてきた元妖魔師団の連中と言い、放り出せない者が出来てしまった今、仕方ないとも思えて。
『シグマ、ポップ達に伝言頼める? 師匠、今頃カール王国の破邪の洞窟に潜ってると思うからさ』
カールに居た時そんな話を聞いたが、確認する暇がなくバランが攻めてきたとでもしてポップとヒュンケルを件の洞窟に誘導、師匠こと勇者アバンと再会して貰おうという訳だ
『そうやって時間を稼いでいるうちにこっちは分体と協力して国造り、かな?』
俺が吹っ飛ばしてしまった死の大地ではあるが、それはあくまで一部。そして、バーンパレスの上の部分に居たのが幸いして城はまだ崩れ出す所まで行っていない。加えて浮上してないので墜落による崩壊の危険性もない。パレスの一部は再利用が可能かもしれないのだ。半生物の炉は危険なので倒させてもらうつもりだが。
『ああっ、やることが山積みだ……』
穏やかに暮らせるのはいつになることやら。
『けど、手は抜けないんだよな』
バーンは倒したが、魔界にはまだ冥王竜が残っている。魂を封じられて身動きが取れないとかそんなだった気はするが、バーンが居なくなった今、野心から蠢動を始めてもおかしくはないのだ。頼むから魔界編に突入とか勘弁願いたい。
『ともあれ、まずは脱出だよね』
一つ嘆息してから俺はリレミトの呪文を唱え、バーンパレスを脱出するのだった。
という訳で、メラゴの大冒険はこれにて終了となります。
建国とかの後日談を書くかは未定。
その前に別ルートかもしれませんが、ひと段落着いたのでお休みをいただきます。
うん、原作の抜けてるところまだ入手出来てないんですよね。
巷で話題のモンハンについてはご安心を。
闇谷、まだスイッチ本体持ってませんので、遊ぶとしてももっと先の筈。
では、長々とお付き合いいただきありがとうございました。
更新再開でまたお会いいたしましょう。それでは~。