ゼロの奮闘とレジスタンスたちの協力により、バンカーからの処分を逃れることに成功した11B。彼女は現在、レジスタンスの庇護下で、未だにデボルとポポルから集中治療を受けている。
「・・・・・・」
処分命令の撤回により命の保証を得た11Bはデボルやポポルを始めとしたレジスタンスのアンドロイドたちへの感謝の気持ちで一杯であったが、同時に彼女の心には一差しの影が差し込んでいた。
――私は、ゼロに何をしてあげられるのだろう?
彼のどこか悲しげな寝顔を見てから、その思考がどうしても11Bの脳裏から離れられない。
ゼロと11Bを引き入れることができたのは、レジスタンスにとっては僥倖だったであろう。彼らがヨルハと敵対しかねない行動をとってまで2人を引き入れたのは、それ相応のメリット――否、釣りが返ってきて余りある程の価値があったからだ。11Bにもそれは理解できるし、彼らにも恩を返したいと11Bは考えている。この身は最新型のアンドロイド――しかもその中でも戦闘に特化したモデルだ。彼らに貢献することだって訳ないことだろう。
・・・・・・だが、ゼロの方はどうか?
11Bの考え得る中でも、ゼロがレジスタンスに所属するゼロ自身に対するメリットが思い付かなかった。
11Bがバンカーからの処分を逃れ、レジスタンスへの所属を許されている理由は、
だが、よくよく考えてみればゼロにとって、自分は必要のない存在ではないのか。
11Bは自分が生き残るためにはゼロをレジスタンスの元へ縛り続けるのと同義ということ。ならば、それでも尚ゼロが自分を守り続けてくれる理由は何だろうか・・・・・・分からない。
この身の取り柄である戦闘の事でさえ、ゼロは自分を必要としないくらいに、強い。出会ってまだ時間は立っていないものの、今この時代において誰よりも身近でゼロの強さを見てきた11Bならば、それくらい身に染みる程分かっていた。万全な状態に回復した状態の自分さえ必要としない程に、ゼロの強さは計り知れないのだ。
「・・・・・・ゼロ・・・・・・」
考えれば、考える程、彼にしてあげられることが思い付かない。
16Dが失敗して落ち込んでしまった時のように、何か励ましの言葉でもかけてやればいいのか――現在進行形で迷惑をかけ続けている自分が、今更そんなことできるわけがない。
だけど、だからといって・・・・・・あんな頼もしかった彼が、悲しそうに眠っている姿を見て、何もしないわけにいかないじゃないか。
ここまで多くの者達に助けられてきた身だ。今更他人に迷惑をかけ続ける己を疎んで自害しようなどとは思わないが、それでも、せめて彼に何か返したいのだ。
・・・・・・けれど、思い付かない。自分が彼にできることが、彼に与えられるものが、力になれることが思い当たらなかった。
せめてこの身が、ヒーラーやスキャナータイプであったのならば。否、そんな仮定の話をしたところでどうしようもなかろう。
「・・・・・・ハァ・・・・・・・」
息を着いて、腕を顔に乗せて視界を閉じる11B。悩んだ所で仕方ないのは分かっている。今、自分ができることは一刻も早く万全な義体で復帰して、少しでもレジスタンスの力になることだ。この身は既にヨルハにあらず、
「ポッド・・・・・・私、ゼロに何を返せるかな?」
返答はないと知りつつも、傍にいる動かぬポッドに問う。
当然、返事は返ってこないが――物言わぬカメラアイは、照明の明かりを反射し、11Bに光明を指し示しているようにも見えた。
そんな光明と重なるように、デボルが部屋に入ってきたのはこの後すぐのことだった。
◇
「アネモネ。これがゼロのボディデータとメディカルチェックの結果、それと治療時のデータよ」
双子の片割れであるデボルの癖のある髪型とは異なる――真っ直ぐに下ろされた鮮やかな赤髪が特徴的な女性型アンドロイド、ポポルが指先に持った記録チップをアネモネに手渡す。彼女たちは過去に同型が起こした事故により他のアンドロイド達から迫害を受けた過去があるため、それに配慮するため人目に付かない場所での邂逅となった。
受け取ったアネモネはさっそくデータ端末に挿入して検査結果を再生すると、アネモネは目に見えてギョッと瞳を構えた。
「バカな・・・・・・」
「・・・・・・見ての通りよ。彼の内部構造の7割が現時点で技術的に解析不能。さらにその内の半分が、
文字通り、の部分を強調して説明するポポル。
彼らアンドロイドの間で“ブラックボックス”といえば、一般的にはヨルハタイプのアンドロイドに搭載されているコアのことを指して言う言葉だが、今回に限っては意味はまったく違う。
文字通りのブラックボックス――完全に影も形も掴めぬ解析不能領域が存在しているということなのだ。
「現代において魔法技術が失われている今、その技術に通じているのはお前達だけだというのに、それですら・・・・・・」
「・・・・・・あまりに難解すぎて、デボルが一度自棄になって酔い潰れちゃったわ・・・・・」
今までゼロの解析を任されたアンドロイドは2人。一人目はメンテナンス屋のレジスタンスメンバー。二人目は嬉々として願い出たジャッカス。その2人ではゼロをまったく解析することはできず、やはり年代が近いこともあって鉢が回ってきたのがデボルとポポルの2人だった。双子がかりでようやく解析が進み出し、それでも尚現時点ではこれが精一杯だったという。
かくいうポポルも、アネモネの目から見ても相当参っている様子だった。
――私たちは、ゼロに償いをしなければならないのに、これが精一杯だなんて・・・・・・。
単なる疲労ではなく、そんな焦燥が彼女たち双子の間に渦巻いているのを、アネモネが知る由もなかった。
「只単に解析できないというだけなら、技術があまりにも古すぎて解析を受け付けないというだけで説明できるのだけれど・・・・・・」
事実、デボルもポポルも旧型といえど、過去に同型の暴走が起こした事故が原因で、その暴走の再発を危惧されてか当時の記憶を抹消されている。それでも、長い時を生きた彼女たちの経験と知識は、メンテナンス屋やジャッカスではできなかったゼロの解析をある程度進捗させることに成功した。年代が近いことによる相性もあるのだろう。
「解析できた3割には私たちの年代に近いタイプのアンドロイドと規格や技術が共通している部分もあった。なら、解析できない内の半分もそれに該当するか、もしくは魔法技術が関わるものなのか・・・・・・それがまったく分からない」
「・・・・・・そう、か・・・・・・」
なんとか声を絞り出し、ハァ、とアネモネは息を吐いた。
覚悟はしていたつもりだった。
旧世界から失われた技術は魔法関連を始め少なくないことは想像に容易い。それでも、少なくともゼロが作られた時代から1万年足らずもの月日がある。ならば、せめて全体的な技術レベルは此方が上だろうと、どこかで高を括っていたかもしれない。
・・・・・・心のどこかで、アネモネはゼロという存在に秘められた神秘性を侮っていたと言わざるを得なかった。それはデボルやポポルも同様に。
「それでも、解析できない部分の半分は、時間をかけていけば捗っていくと思うわ。問題は――残りの半分、完全にブラックボックスと化している部分よ」
ポポルは端末の画面上を指差し、問題箇所を指摘した。
「左腕の
「・・・・・・11Bが得たウイルス抗体プログラムや、ラーニングシステムとやらについても、詳細は不明のまま、と」
「それについても説明するわね」
言って、デボルは端末の画面を操作し、また別の調査データを映し出す。
そこにあったのは、ゼロに関する別の解析データと、11Bの治療・修理結果のデータが表示された。
「11Bに関しては義体の修理を優先させたかったけれど、ゼロの解析を進めていく上で彼女が得たデータは欠かせないと思ったから、記憶領域には触れないことを条件に、彼女のことも解析させてもらったの」
「・・・・・・なるほどな。もし11Bがゼロをハッキングして抗体プログラムを手に入れたというのなら、我々アンドロイドにも適用できる技術なのかもしれない」
ゼロの中にあるソレは解析できなくとも、11Bの義体の中に同様のプログラムが流れ込んだのならば、そこから解析できるかもしれないと、双子はそう踏んだのだろう。
そして、肝心の結果はというと――。
「駄目だったわ」
「・・・・・・なんだって?」
「彼女の義体を隅々まで解析しても、そのようなプログラムは見つからなかった。唯一分かったことは、彼女のログから、正体不明の抗体プログラムが彼女の『ブラックボックス』に組み込まれたという記録だけだった」
「
ごくり、と息を飲み込むアネモネ。
あまりに高度すぎる技術に驚嘆するよりもむしろ――ただただ、不気味だった。
ゼロだけではない。マグレとはいえ、スキャナータイプでないにも関わらずゼロへのハッキングを成功させ、その力の一部を得た11Bもだ。
もはや11Bはただのヨルハ機体ではない。旧世界の魔法兵器――その解析不能のウイルス抗体――すなわちその力の一部を得たアンドロイドでもあるわけだ。
「ゼロに限った話しではない。ヨルハ機体については、私たち旧型アンドロイドには解析できない部分がブラックボックスを含め多く存在している」
「でも、それは彼女たちが最新のアンドロイドだからで、ある意味では当然の話よ。でも、ゼロに関しては、違う」
極論、ヨルハ機体は根気よく時間をかければ解析しきる事は可能だろう。
より複雑な構造を持つであろう機械生命体たちでさえも、解析そのものが難しいというよりかは、論理ウイルス感染のリスク故にやりにくいといった側面の方が強い。
だが――ゼロに関してはどうだ?
解析不能なのはおろか、まったくアクセスを受け付けないブラックボックスが存在する。それも、旧世界の技術であるにも関わらずだ。
「素直に受け入れるしか、ないのかもしれないな・・・・・・」
「・・・・・・ごめんなさい、私たちがもっと・・・・・・」
「いやいい。予想はしていた事態だ。それに、一つだけ分かったこともある」
神妙な表情から一転、ポポルを慰めるような笑みを浮かべるアネモネ。
――一つだけ、アネモネの打算通りに動いた事柄がある。
「やはり、ゼロのメンテナンスができるのは、お前達双子だけのようだ」
「・・・・・・」
「アンドロイドを研究しているジャッカスですらままならなかった。ここまで解析を進められたのはお前達だけだった」
アネモネは、レジスタンスを纏めるリーダーだ。
皆の上に立つ以上、役目にそぐわない任務にすら酷使される、もしくは進んで己を酷使しようとする双子を表立って庇うことはできない。
だが、今ここに彼女たちを危険な任務へ赴かせないための口実ができあがった。
否、口実ではなく、事実大事なことなのだから。
「ゼロという切り札を運用する上でお前達は必要不可欠な存在だ。そこで、お前達をゼロと11Bの治療・メンテナンス係に任命したいと思う。――やってくれるか?」
「・・・・・・それは・・・・・・」
頼み込むアネモネだが、ポポルは言い淀んでしまう。
自分とデボルは治療やメンテナンスの他にも、多くの危険な任務に駆り出される。そして、そんな彼女たちを酷使することを周囲はなんとも思わず、彼女たちもそれを償いとして受け入れるのだ。
ここで不幸なことなのは、彼女たち双子は、非常に優秀な能力を持っていることだ。治療やメンテナンスには留まらず、今までここのレジスタンスにたどり着くまでの長い年月の間、各地を渡り歩いてきた豊富な経験と知識、果てには戦闘能力までヨルハに引けは取らないときた。それが余計にレジスタンスの間での彼女たちの酷使に拍車をかけているのだ。
その連鎖を、アネモネは止めようと思っている。
「私たちは、犯した罪を償わなきゃ・・・・・・」
言い聞かせるように呟くポポルに、アネモネは再度ため息を吐く。
ならば、あえて彼女たちにとっての重要なキーワードを使って、説得することにした。
「ポポル。我々に償いをしたいのだったら、尚更だ。ゼロがいてくれれば、多くの仲間を守ることができる。そのゼロを生かすことができるのは、お前達だけなんだ。
それが分かった以上、それ以外のことにお前達を酷使することはできない。ゼロと11Bのメンテ役をすること――それが、お前達の“贖罪”だ」
「ッ!!」
「他の奴らにも、このことは伝えておこう。やってくれるな?」
「・・・・・・分かったわ・・・・・・」
ようやく真っ直ぐな目に戻ったポポルは、そう言って頷く。どうやら納得してくれたようだった。
ポポルとしても、一番償いたい相手に、償い続けるチャンスが舞い込んできたのだ。断る理由もなかった。
「・・・・・・話しを戻そう。ゼロには、この検査結果は伝えたのか?」
話題を戻し、アネモネはポポルに問う。
ポポルはまた一転、目を伏せつつ答えた。
「・・・・・・伝えてないわ。話すべきかどうか迷ってて、そのままよ」
話しても話さなくても、何かしらの不安を与えてしまうかもしれない。そう悩んだ挙げ句、ポポルは未だに伝えられずにいた。元々、ゼロのことを知りたいがために彼にデータ回収を頼んだのは彼女たちだ。
そう言い出した手前、伝えるのが筋なのは分かっているのだが・・・・・・。
そんなポポルの気持ちを察してか、アネモネが「悩まなくていい」と助け舟を出す。
「賢明な判断さ。ゼロはまだ目覚めて間もない。本人の記憶も戻らないうちに伝えても余計に不安を煽るばかりだろう。・・・・・・ゼロには、申し訳ないがな」
「それでも、時期を見て話す必要はあると思うわ。それも近い内に・・・・・・」
「・・・・・・そうだな。話すタイミングは、お前達に任せるよ」
「分かったわ」
一任されたポポルは承諾し、説明を続ける。
「ここから治療における問題点なのだけれども――少なくも、解析済みの箇所に関しては、例えダメージを受けても修復は可能よ。けれども――それ以外の箇所については別だわ」
よく聞いて欲しい、念を押してポポルは説明し出す。
「知っての通り、アンドロイドの修復方法は大きく五つに分けられるわ。一つは、全壊した部位を他の部位と交換すること。武器屋さんの人がいい例ね」
キャンプで武器屋を営むレジスタンスメンバーを例に出すポポル。彼はロールアウト時の部位をほとんど付け替え、今残っているオリジナルの部位はまったく動かない左足の部分のみとなっている。
「2つ目は、私たちのような治療・メンテナンスに特化したモデルからの治療を受けること。私たちレジスタンスの間でできることは一つ目とこれね」
デボルやポポルのようなモデルの他にも、ヨルハの
「3つ目は回復薬による治療」
先に述べた治療に特化したモデルを必要としない程度の軽い損傷であれば、アンドロイド用に用意された回復剤による修復も可能である。
「4つ目は、プラグインチップやナノマシンによる自己修復」
3つ目と同様、程度の軽い損傷であれば、自動的に修復される機能。
「そして5つ目は、まったく新しい義体を用意し、同一の人格プログラムをインストールすること」
要約すれば、“ほぼ”同一である個体を一から作り直す方法。治療というよりは、蘇生と表現した方がいいかもしれない。これは本拠地に人格データのバックアップを残すヨルハ部隊だからこそできることで、彼らにしかできない方法だ。
「これら五つの方法が存在するのだけれど・・・・・・」
ここから本題だ。
「この中でゼロに適用できない、あるいは適用すべきではない治療法はどれか、分かるわよね?」
ここでアネモネは、なぜポポルがここまで細かく治療法の種類を上げ、かつ詳細を懇切丁寧に説明したのかを、ようやく理解した。
技術者視点で語られるそれは、アネモネが想像している以上に、深い問題点を想起させられる。
「2つ目と4つ目以外は・・・・・・不適?」
恐る恐る答えるアネモネに、ポポルは「そうよ」と悔しそうに肯定した。
「2つ目にしても、解析可能な箇所に限定されて、それも貴女が言ったように私とデボルでしか不可能。そして、4つ目の自己修復機能は、先ほど言った、ブラックボックスの部分に相当していると思われるわ」
つまり、修復の大部分を依存しているその自己修復機能の詳細が分からない以上、もしその修復回路を損傷なり、破壊なりされれば、その時点でゼロの治療はほぼ不可能になるということだった。
「修復機能の効力そのものは絶大よ。現に、あれほどの連戦を経たゼロの体には傷が
ヨルハ部隊、機械生命体の大軍、そして超大型兵器相手に連戦したにも関わらず、今では傷一つない。赤いアーマーといった外装甲も、駆動部を始めとした内装も。
普通、修復される際は完全に元通りとは行かず、元と比べて多少歪みが生まれるものだ。ゼロにはその歪みすらもがないのだ。
「問題は、その効力が働く範囲が分からないことよ」
凄まじいことは間違いない。
だが、果たしてソレは腕をまるごと持って行かれても再生するのか――はたまた体の半分を持って行かれても大丈夫なのかもしれない。少なくとも、ソレを成してもおかしくないくらいの出力をゼロは持っている。
しかし、それ以上のダメージを負ってしまったら?
それ以下の損傷でも修復が働かなくなるのだとしたら?
「修復に費やされるエネルギーは間違いなく魔素よ。けれど、融合炉から供給される魔素が、無限とも限らない。一番の問題は、修復機能と、肝心の融合炉の構造が完全なブラックボックスであることよ」
つまり、その部分が致命的な損傷を負えば、ゼロの治療はほぼ不可能となる。
その部分を解析できない限りは。
「この問題を解決するためには、最低でも――私たちが記憶を取り戻すくらいしか、方法はないかもしれない」
「・・・・・・」
「勿論、ゼロに損傷を負わせられる存在は、機械生命体といえど多くはない。この修復能力に加えて、あの戦闘能力。けれど、万が一・・・・・・」
語り出せば、不安は止まらない。
想像は無限だ。分からないが故に、想像の余地がある。
だが、その想像の根源は未知故の“不安”だ。
万が一の、最低の事態を考えてしまう。
駄目だ、断じて駄目だ。せり上がる不安を自覚したアネモネは、己にそう言い聞かせる。
この不安が伝播するのは、皆を引っ張る者として断じて止めなければならない。
例えその不安を抱く者が“1人”であったとしても。
「・・・・・・ポポル、こうは考えられないか?」
唐突に、アネモネはポポルに問いかける。
「ゼロの技術を解析するためには、お前達が当時の記憶を取り戻す必要があると言ったが。――逆に、ゼロの解析を進めていけば、お前達の記憶が戻る手がかりになるんじゃないかと、私は思うんだが?」
口から出任せにいった、屁理屈であることは、アネモネだって分かっている。
だが、少しでもポポルが前向きな気持ちになってくれれば、と思って出た言葉だ。
効果はさして期待できない。
「・・・・・・」
しかし、言われたポポルは、何を思ったのか、顔を俯かせて瞳を揺らしていた。
当然だが、己の口から出任せに言った言葉が、彼女にとってどれだけ重いのか、アネモネには分からない。
――ゼロに対して抱いてしまう、他と比べても、どうしようもない程の罪悪感。
事故などでは済まされない、まるで踏み越えてはならない一線を越えてしまったかのような、感覚。
彼女たちに、事故を起こした当初の記憶はない。
だが、事故があったことは覚えている。
事故は、
一度目は、暴走。人類に関わる重要な計画を担っていた筈なのに、同型の暴走により破綻したということだけは、覚えている。
二度目は――厄災。覚えているのはそれだけで、一度目と違いまったく記憶が残っていない。唯一、これも同型が起こしたことであるとしか。
ゼロに抱く罪悪感の正体に、これらが関わっているのかは分からない。
けれど――もし、そうだとしたら。
「・・・・・・そうね。そうかも、しれない・・・・・・」
顔を上げ、そう言うポポル。アネモネから見た彼女は、悲しげに笑いつつも、目は決意で固まっていた。
そんな彼女の複雑な表情が、果たして己の言葉が失言だったのか、それとも逆だったのかがアネモネには分からなくなった。
――覚えていない。思い出せない。けれど・・・・・・
目を閉じてポポルは考える。
過去に起こした事故
ゼロへの罪悪感
自分たち双子がこうなってしまった原点。
実験兵器、0号・・・・・・
思い出すことすら、知ろうとすることすら烏滸がましいことは、理解している。
けれど、黙って本心から受け入れようとする程、彼女の器は大きくない。
今からでも、遅くはない。
知りたい、思い出したい。
思い出せ、思ひ出セ、オモイダセ――
狂気シテイル。狂喜シテイル。
ワタシノ目ノ前ニハ、巨大ナ■■ガ――立ッテイル。
『・・・・・・く、・・・・・・やく、■■■が完成・・・た!! これで・・・・・私たちの汚名を・・・・・・!!』
ワタシハ、マルデ、自ラ作リ出シタソレヲ、アタカモ“救世主”ノ如ク見上ゲ――
積ミ上ガッテイル。
屍ノ山ガ積ミ上ガッテイル。
広ガッテイル。
血ノ海ガ広ガッテイル。
人形タチモ、異星人タチモ、ソノ駒タチモ
等シク、血ノ海二沈ンデイル
空気ハ血ノ色二、空ハ魔ノ色に満チ
――ソノ目下、屍ノ山ノ上ヲ、巨大ナ剣ヲ持ッタ“救世主”ガ佇ンデイル
思イ描イテイタ通リノ光景ノ筈ダッタ
ソコニ、人形タチノ屍サエ混ザッテイナケレバ
違ウ、コンナ、コンナ筈ジャ――
「――ポル、ポポルッ!!」
「・・・・・・ぇ・・・・・・あ・・・・・・?」
気が付けば、ポポルの目の前には必死に自分に呼びかけるアネモネの顔が映った。
まだ意識がハッキリとしないポポルは、今の自分の状況を確認する。
自分は頭を抑えて、機材置き場の壁にもたれ、そのまま崩れ落ちていた。
アネモネの顔が目の前にあったのは、彼女がしゃがみ込んで目線を合わせてくれていたからだ。
「アネモネ・・・・・・私は・・・・・・ッ!?」
ズキリと、頭脳回路を締め付けるような痛みがポポルを襲いかかる。
今までも周囲のアンドロイドからの虐待で痛めつけられることはあれど、こんな、いつもならば心の臓を締め付けるような罪悪感の痛みが、そのまま頭に来たかのような痛みだった。
「どうしたんだ、ポポル?」
かがみ込み、自分の顔を覗き込んでくるアネモネを手で制し、ポポルは傍にあった手すりに捕まってゆっくりと立ち上がる。
「分からない・・・・・・何か、思い出そうとして・・・・・・それで・・・・・・」
アネモネの言葉をきっかけに、ダメ元で必死に自分の記録回路を探り当てて見せた所まで、ポポルは何とか思い出す。
そして――その間が、思い出せない。
何で、こんなに苦しいのか。
何で、こんなに悔しいのか。
――何で、こんなに憎いのか。
何か、忘れてはならないモノを見た気がするのに、まったく思い出せないのだ。
分からない。
今までは何かも分からぬ罪を責め続けられて、それでも受け入れてきたが。
分からないことが――こんなに苦しいなんて、初めてだった
「ごめんなさい・・・・・・少し、休ませてもらうわ」
「・・・・・・分かった。無理はするなよ」
アネモネも、これ以上ポポルに無理をさせるのは危険と判断したのか、これ以上踏み込む気はなかった。
もしかしたら――己のいらぬ発言でポポルが余計に苦しんでしまったかも知れない。
――やはり、私では彼女たちを救うことができないのか・・・・・・?
胸中の苦しみを押し殺しつつ、持ち場へ戻っていくポポルの背中をアネモネは見送った。
なんとも言えない空気になったその時、ゼロのデータを映していた端末から着信音が鳴った。
そして――現地担当のヨルハ二機の到着の連絡を受け、アネモネは彼らを迎え入れんと持ち場へ向かうのだった。
◇
「――とまあ、こんな感じだ。正直、ゼロに話していいのか迷ったんだが、その前に相談も兼ねてお前に教えることにしたんだ」
場所は打って変わって、11Bが治療を受けている部屋。
憂鬱になっていた11Bに所にデボルが訪れ、同じようにゼロの解析結果を見せられていた。
見せられた11Bの反応は、アネモネと同様のものだった。
いや、アネモネ以上に動揺していた。
ゼロが出鱈目な存在であることは既に知っていたが、ここまで現在では解析できないオーバーテクノロジーの塊とあっては、息を飲み込む他なかった。
「ここまでは不安要素ばかりの説明だったが、何もそればかりじゃない。これを見てくれ」
「・・・・・・これは?」
デボルが画面の表示を変えると、そこに画像付きの一覧が表示される。
「ゼロが持ち帰った情報を復元したデータさ。まだ全部じゃないが、復元できた分だけそこに乗せておいている」
画面をスクロールしてみせるデボル。
「これは、武器?」
スクロールされていくデータを流し見て、キョトンとして呟く11B。
槍の形状であったり、ブーメラン状であったりと、様々な形をした武器のデータが数多くそこにあったのだ。
「これってもしかして、全部ゼロが使っていた武器!?」
目を見開き、驚いてみせる11B。
万能戦闘タイプである11Bとて大剣や槍、ナックルなど多くの武器を使ってきた経験があるが、これほどの数の武器を扱ったことはない。
にも関わらず、かつてのゼロは、これほどの数の武器を使いこなしていたというのか?
「おそらくな。けど、正直どれも復元することは難しそうだ。どれも魔素を扱った兵器らしくてな、データの復元だけが精一杯だった・・・・・・」
「それって・・・・・・」
何の意味もないんじゃ、と言おうとした11B。
しかし、先ほどのデボルの発言を思い出し、それだけではないのだろうと思い、口から出かけた言葉を飲み込んだ。
「だが、一部に関してはそうでもないんだ。見てくれ」
デボルが再び画面を操作すると、今度は条件が絞り出されたのか、先ほどまでズラリと画面に並んでいた一覧が、今では二つの武器のデータしか表示されていなかった。
しかし、この2つが重要なのだと、11Bは即座に理解した。
「これは・・・・・・"トリプルロッド"? "シールドブーメラン"?」
見せられた武器の名前を読み上げた11Bに、デボルは「ああ」と頷く。
「確かに一からの復元は難しい。だから、アイツの手元に唯一残っている
Zセイバーは、ゼロの手元に唯一残っていた魔法武器だ。
だが、同じ魔素エネルギーを使用する武器ならば、何らかの形で形状を変えて再現できないかとデボルは踏んでいるのである。
一から作るよりかは、元からある物に手を加える方が手早い。
「あたし達のモデルにも、かつては魔法技術が搭載されていたんだ。当時の記憶はほとんどないけど・・・・・・何とか手探りでここまで来れたよ」
今ばかりは自分が旧型であることに感謝しているよ、とデボルは付け足す。
「・・・・・・すごい」
気が付けば、11Bの口からはそんな言葉が漏れていた。
確かに解析不能なブラックボックスまみれのゼロの身体データには驚嘆したが、そんなゼロのデータをある程度解析し、更には武器の復元までこぎ着けている双子の姉妹の腕には驚嘆するばかりだった。
こんな真似、ヨルハのアンドロイドたちすらできるかどうかは怪しい。
旧型故の、豊富な知識と経験があってこそ成せる業なのだ。
故に、11Bは、余計に己の無力感を募らせることになった。
戦闘しか取り柄のない自分とは違い、ゼロの力になっている双子に対して――11Bはみっともないと自覚しつつも、嫉妬せざるを得なかった。
未だに、自分はこんな体たらく。
それに比べてこの双子は、自分の治療とゼロの解析を同時並行でこなしている。
・・・・・・11Bは、両手ぐらいしかまだまともに動かせるようになっていない。
ゼロは現在、自分の義体の修理の材料を集めるために、廃墟都市を奔走しているという。
・・・・・・ほら、また彼に助けられてばかりいる。
ゼロにも、この双子にも、11Bはまだ何も返せていない。
無力感と、焦燥感が、募る。
「デボルたちは、すごいね・・・・・・」
「・・・・・・11B?」
絞り出すように呟かれた11Bの言葉に、デボルは思わずキョトンとなる。
「私、ゼロと貴女たちに、何も返せていない。仕方ないことだし、これからだっていうのは・・・・・・分かっているんだけれど。・・・・・・分からないの・・・・・・」
――ゼロに、何をしてあげられるのかが。
「貴女たちみたいな、すごいことができる訳でもない。ただ、他より少し戦闘が得意なだけ。人類軍にとっての私の価値は、ゼロの鎖である事だけ」
重要な役割ではあるのだろうが、なら、ゼロはそれで何を得するのだ?
己のことを何も思い出せない、自分が知らない世界の中で、何も分からず戦い続けることを強いるのか?
・・・・・・あんな、悲しげな姿を、表に出さず、押し殺しながら。
「私は、ゼロを目覚めさせるべきじゃなかったのかな・・・・・・? ゼロを縛る鎖ということでしか、私の価値はないのかな・・・・・・?」
「・・・・・・」
デボルは、何も言えなかった。
確かに、ゼロを目覚めさせた11Bの功績は大きい。少なくとも、レジスタンスにとっては。
だが、ゼロにとってはどうなのだろうか?
失念していたかもしれない。今までレジスタンスはゼロと11Bをよくも悪くも一纏めに考えていた。だが、考えてみればこの2人はまだ会って間もない。
ただ他の者より少し長く一緒にいただけの仲だ。
レジスタンスの者達は、11Bを救う事=ゼロを助けることと無意識に考えてしまっている。考えてみれば、必ずしもそうではないということは、誰もが気付くことだ。
だが、ならばとデボルは思う。
「・・・・・・じゃあ、どうしてゼロは、お前のために戦い続けているんだろうな」
「・・・・・・え?」
「本当に、お前にそんな価値しかいないっていうのなら、ゼロはとっくにお前を見限っていると、あたしは思うんだが」
それは、と11Bは言い淀む。
彼女は最新のヨルハタイプ。ヨルハの中でならばともかく、レジスタンスの中で見れば経験不足もいいところの小娘だ。
何を思うにも、どうにか理屈から入って考えようとする癖がある。
「1つ教えてやる。あたしとポポルはこれまで仲間である筈のアンドロイドたちから迫害されていた」
「・・・・・・え?」
「原因は、過去にあたし達の同型で暴走して事故を起こした事だ。それ以来、あたしとポポルは同胞のアンドロイドたちから逃げ続ける生活を送っていた」
当てもない放浪生活。
レジスタンスの目に入ろうものならば、罵倒はされるは、石を投げられるのは優しいものだ。いくら治療役として貢献しようと役立たずと罵られ、更には言いがかりをつけられて切りつけられたりもした。
「辛かったけど、それでも、あたしにはポポルがいた。ポポルはあたしの代わりにいつも怒ってくれた。いつもあたしの傍にいてくれた。
どんな目に遭おうと、あたしには、ポポルがいてくれるだけでよかったんだ」
「・・・・・・」
デボルの口から語られる彼女たち双子の過去に、11Bは唇を震わせながら聞くことしかできなかった。
――ああもう、何を言ってるんだあたしはッ!?
心中でそう毒づくデボルであったが、言い始めた以上は最後まで言い切らなければ気が済まなかった。
「こういうのは、理屈じゃないんだ」
ゼロと11Bの関係は、まだ始まったばかりだ。
今まで長い間ずっと一緒に生きてきた自分とポポルの関係とは違うかもしれない。
それでも、これだけは言いたい。
「"ただそこにいてくれるだけでいい"、戦う理由なんて、それだけで十分だとあたしは思う。・・・・・・そう考えられない?」
「わ、私は・・・・・・」
何も言い返せずに11Bは俯く。
実際、無理もないことだ。ゼロがどのような理由で11Bのために戦っているにせよ、ゼロはともかく口数が少なく、己の感情を表に出すことがない。
彼が何のために戦っているのか分からないのは仕方の無いことだ。
「今は焦らず、自分ができることを探していけばいいさ。ゼロとは、機会を見て話し合ってみるといいんじゃないか?」
「・・・・・・私に、できること・・・・・・」
「あたしの所見だけど、ゼロにとって11Bは"そこにいてくれるだけでいい"・・・・・・そんな存在だと、きっと思ってるよ」
言い終わると、デボルは端末を11Bの傍に置き、「好きに見ていいよ」と言い残して部屋から出て行った。
実際の所、デボルは11Bの気持ちを分からないわけではなかった。
ゼロへの罪悪感を自覚した自分とポポルは、それこそ必死に、彼に償おうと、ようやくここまで来たのだ。
自分たちの抱く罪悪感と、彼女の抱く無力感を一緒にするのは失礼だろうが、『何かをしてあげなければ気が済まない』という根っこの感情は同じ物だからだ。
「・・・・・・」
取り残された11Bは、デボルが置いていった端末を見つめながら、彼女の言った言葉を思い出す。
「そこに、いてくれるだけでいい。私は・・・・・・」
11Bは思い返す。自分がヨルハを抜け出すに至った経緯を。
偽りだらけの基地、決して嫌いではなかったけれど、嫌いになりたくなかったから、あそこを抜け出した。
もう少しで、嫌いになりそうだった。
やり残したことだってある。16Dにはまだ謝っていない。
そんな思いをあの場所に残しつつも、11Bは偽りを嫌い、己の存在意義を定義できる真実と、居場所を求めて、抜け出した。
抜け出した先で、ゼロと出会った。
ゼロには、11Bが求めている真実を持っている気がした。ゼロが記憶を失っていると知った今でもそれは変わらない。
頼もしくて、何も言わずに守ってくれて。
けれど、その時点ではゼロに対する認識は、まだ自分を助けてくれた恩人止まりだったように思う。
だが、ポッドを持ち帰ってくれたあの時、自分が目が覚めた時に、向かいのベッドで寝ていた彼の、どこか悲しげな姿を見た。
放っておくと、何もかもを1人で背負ったまま、消えていくんじゃないかと思う程に。
自分はゼロに消えて欲しくない。
――そのための、鎖でありたいと。
――ああ、そうか。
ようやく、デボルの言葉の意味を11Bは理解する。
――私は、ゼロがいてくれれば、それでいいんだ。
自分は己が安心したいために、ゼロのことが知りたいのではない。
ゼロのために、ゼロのことを理解したい、彼の失われた記憶を取り戻してあげたい。もし、彼が取り返しのつかない所まで行きそうになったら、それを引き留める鎖でありたい。
ゼロに、"そこにいてくれるだけでいい"と思われるような存在に、自分はなりたいのだ。
「・・・・・・我が儘だなぁ、私って・・・・・・」
いっそ、自分に呆れそうになる。
けど、悪くない。
こんな感情――バンカーにいた頃では、考えられなかった。
虚ろな、白黒だった自分の世界が、今では少し色あせて見える。
――私は、生きている。
ならば、少しでも、ゼロのために生きよう。もう、迷いはしない。
迷いは振り切った11Bは、デボルが置いていった端末を持ち上げ、中にあるゼロのデータを閲覧する。
焦ることはない。
今は少しずつ、ゼロのことを知っていけばいい。
そう考えて、データを閲覧すること数十分。
「・・・・・・あれ?」
あるデータを閲覧し、11Bはそこでナニカが、引っかかった気がした。
データの内容は、ゼロの動力源である魔素についてのデータ。
動力炉に関しては解析不可能だったが、外に放出される魔素については別。
その魔素に関するデータを見た11Bは――
「――――」
急いで、あるデータを探しだし、ゼロの魔素に関するデータと見比べる。
「これは・・・・・・代用、できる?」
あくまでゼロのデータに集中していたデボルとポポルでは決して気付かなかったこと。そして、長い間、"相棒"と過ごしてきた11Bだからこそ、気付けたことだった。
数値を、見比べる。
――似ているのだ、ゼロの扱う魔素と、ポッドのエネルギーの性質が。
「もしかして・・・・・・!!」
思い立った11Bは、完治した腕を即座に動かし、横にあった包みをつかみ取る。包みを解くと、そこにはゼロが持って帰ってきてくれた、モノ言わなくなった11Bの"相棒"がいた。
11Bはその箱体を隈無く観察し、状態をチェックする。
「頭脳回路と人格データは、無理よね。けれど射撃機能は、何とか修復できそう。これなら・・・・・・!」
今まで、この相棒のメンテナンスは11Bが自力でやってきた。
このポッドに関してだけは、どのスキャナータイプのメンテナンスにも引けを取らないと11Bは自負している。
そして――11Bは見つけた。
己が今、ゼロにできることを。
ゼロに、今一番足りていない部分を11Bは知っている。
それは、先ほどデボルが見せてくれた再現可能な武器ですら補えないもの。
あの超大型兵器の時も、ゼロが苦戦していた理由はまさしくソレだった。
ゼロには、遠距離攻撃の手段がない。
だがもし――ゼロの魔素を銃弾として放つ手段があるのだとしたら、間違いなく強力な武器になる。
11Bは自分の手の調子を確認する。
足は動かないけれど、手は動く。ならば十分だ。
今の自分でもできる。
ポッドを、
「ポッド、ごめんね・・・・・・まだ、休ませてあげられなくて」
優しく、箱状のヘッドを撫で、11Bは謝る。
「お願い。どうか、ゼロの力になってあげて・・・・・・」
モノ言わなくなった相棒に11Bは懇願する。
今では、少しでもゼロの力になってあげたい。そのため、力を貸してくれと。
"了解"
そんな返事が、聞こえたような気がした。
ようやく回収できたバスターショットフラグ。
Q.Re[in]carnationをプレイしてでの感想は?
A.とりえあず、何故か猛烈に『檻』にオメガをぶっ込みたくなった。