僕はスリザリンのシーカーになった。
ポッターにできて、僕にできないことはない。そもそも、僕は運が悪かった。
あの日、箒を飛んでるところを見たのはマクゴナガル先生だった。もし、もしもあの時…いや、もう考えるのはやめよう。思い出しただけでも腹が立つ。
さて、今日は初めての練習だ。…それに、この新しい箒。父上にずっと頼み続けた甲斐がある。
ドラコ「スリザリンの優勝は間違いないな…」
僕は輝く箒を見つめて小さく呟いた。
チームと競技場へ向かうと、ちょうどグリフィンドールと鉢合わせた。…まぁ、スネイプ先生の許可証がある。有無を言わせずスリザリンが使えるだろうな。
ウッド「どこ行くんだ?フリント。」
フリント「競技場さ。」
ウッド「今日はグリフィンドールが予約してる。」
フリント「どっこいお墨付きがある。」
ウィーズリーとグレンジャーが話を聞きにくる。揉めると思ったんだろう。プリムとパーキンソンも来た。
ウッド「私、スネイプ教授は、スリザリンが新しいシーカーを教育する必要を認め、競技場の使用を許可する。…新しいシーカー?誰だ?」
グリフィンドールのオリバーウッドがスネイプ先生の許可証を読み上げると、僕は前に出た。
ハリー「…マルフォイ?」
…なんだその間抜けな表情は。僕がシーカーなのがそんなに信じられないのか、ポッター。
ドラコ「その通り。新しいのはそれだけじゃない。」
僕は自慢の、黒く輝く箒を見せつける。…
ロン「ニンバス2001だ。…どこで手に入れた?」
…馬鹿な質問をするなウィーズリー。
フリント「ドラコの父上がくれた。」
ドラコ「どこかの親と違って、父上はいいものが買えるからね。」
…フン、ウィーズリーには縁遠い代物だ。
ハーマイオニー「でも、グリフィンドールの選手はお金じゃなくて、才能で選ばれてるわ。」
…こいつ、僕が金で選ばれたって言うのか。グレンジャーのくせに。…汚れた血のくせに!
プリム「ドラコは才能がある。」
パンジー「プリム?」
…っ!
プリム「お金で選ばれたんじゃない、ドラコは才能で選ばれたんだ。私が6歳の時には、ドラコは箒に乗れてた。」
…そうだ。プリムの言う通りだ。僕はポッターよりも前に乗れてたんだ。僕は、プリムのおかげで自信が持てた気がした。
ハーマイオニー「そんなの信じられないわ。」
ドラコ「お前の意見なんか聞いてない。この…汚れた血め。」
「うわぁ…ひでぇ」
スリザリンチームが哀れむ声を上げる。
お似合いの言葉だ、汚れた血のことなんか哀れまなくていい。
グレンジャーが鋭く僕を睨む。
ロン「よくも言ったなマルフォイ!ナメクジ食らえ!」
ウィーズリーの呪文が跳ね返る。無様だ。
「ハハハハ…。」
僕達は嘲笑う。無様すぎる。…折れた杖を使うほど、ウィーズリーの財産は無いのか。同じ純血とは思えない。
ハーマイオニー「大丈夫?ロン!何か言って!」
ロン「うっ…うっ…うぇっ!」
ウィーズリーの口からナメクジが出る。…気持ちの悪い呪いだ。僕は喰らわなくてよかったと心底思った。
カメラのフラッシュが眩しく光る。
コリン「わぁ!ロンをこっち向かせて。」
ハリー「コリン、どいてくれ!ハグリッドのとこへ行こう。何とかしてくれる、大丈夫だ。」
「ハハハハ…」
面白くて仕方がない。ウィーズリーにはお似合いの呪文だ。
プリム「汚れた血はどうかと思うよ、ドラコ。」
パンジー「グレンジャーにはお似合いだわ。」
ドラコ「ああ、そうさ。それにあいつ…僕がお金で選ばれただって?」
…思い出してまた腹が立った。くそ。
プリム「それはもう私が言ったじゃない。あなたは才能があるわ、ドラコ。」
パンジー「そうよ、ドラコ。シーカーなんて凄いわ。」
…パーキンソンはプリムと同じように僕に自信を持たせてくれる。悪い気分じゃない。
プリム「…とにかく、ドラコはもっと発言には気をつけたほうがいい。言った言葉は一生取り消せないんだ。紙に書いた文字と違ってね。」
僕を貶したんだ。グレンジャーにはぴったりだ。取り消すつもりはない。
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夕食が終わって、寮へ戻ろうとすると、何やら通路が騒がしい。人集りを分けて前に出ると、面白いことが書かれていた。
「秘密の部屋は開かれたり。継承者の敵よ気を付けよ。」
壁には血文字でそう書かれていた。
ハリー「…フィルチの猫だ…ミセスノリスだ。」
ドラコ「”継承者の敵よ気を付けよ” 次はお前達だ、汚れた血め。」
フィルチ「何の騒ぎだ?どけどけ通るぞ。」
フィルチが来た。…ポッター、痛い目に合うぞ。口元がにやけた。
フィルチ「ポッターお前何を…ミセスノリス!…お前…私の猫を殺したな?」
ハリー「違う!僕じゃ…」
ドラコ「ふっ…」
ポッターのこういうときが一番面白い。
フィルチ「殺してやる。…殺してやる!」
ダンブルドア「アーガス!何事じゃ?…諸君みんな速やかに寮に戻るのじゃ。」
ダンブルドア「そこの3人は残りなさい。」
…ポッター達は残された。退学にでもなればいい。
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リー「またまたゴール!スリザリン!90対30でスリザリンリード!」
…フン、スリザリンの優勝は間違いない。
それに今日は父上が来てくださっている。
スリザリンが、僕が栄光を手にする瞬間を見せつけたい。絶対に。
ドラコ「バレエの練習かい?ポッター。」
…っ!ブラッジャーが変な動きをしている。
くそ、先にスニッチを見つけられた。…でも、この箒なら。
ドラコ「追いつけやしないだろ。」
僕はポッターの前に出た。フン、ほらな。僕の勝ちだポッター!…ポッターが横から僕を追い越す。ブラッジャーの邪魔も相まって、僕はバランスを崩してしまった。…地面が近く見えた。
ドラコ「うっ…ごほっ、」
…ポッターはスニッチをまだ追いかけているのが視界の端で見えた。…痛い。地面に打ちつけられたんだ。空が青い。
リー「ハリーポッターがスニッチをつかんだ!グリフィンドールの勝利!」
歓声が煩い。静かにしてくれ。…目頭が熱い。
プリム「ドラコ…大丈夫?」
ドラコ「あぁ…」
怪我よりも、痛みよりも、ポッターに負けたことが情けない。僕は、勝てなかった。今すぐここから立ち去りたい。…僕は、立ち上がって、マダムポンフリーのところへ向かった。
パンジー「ドラコはよくやったわ」
…煩い。
ブレーズ「新しい箒に慣れてないだけさ、そうだろドラコ?」
…煩い。…僕は勝てなかった。ポッターよりも前に乗れたのに。ポッターよりもいい箒なのに。…くそ。
ドラコ「うぁ…」
ポンフリー「呻かなくてよろしい!あなたは大丈夫です!どいてどいて」
呻きたくもなる。呻くことくらい許されてもいいだろう。
ポンフリー「なぜすぐ来なかったの?骨折なら簡単でも、骨を生やすとなると…。」
ハーマイオニー「でも治せますよね?」
ポンフリー「もちろん治せますとも…痛みますけどね。今夜はつらいですよ、骨の再生は荒療治です。」
ハリー「ぶっ!…うぇ。」
ポンフリー「かぼちゃジュースとでも思ったの?」
ポッターのところの方が騒がしい。僕はまた呻く。
ドラコ「うぅ…」
パンジー「大丈夫?ドラコ…」
パーキンソンが僕の手を握って心配している。…悪い気分じゃない。あたたかいし。…プリムが変な表情をしているのが気になるが。ブレーズとクラッブとゴイルも僕をそれなりに心配している。
プリム「これ、チョコレート好きでしょ?…食欲が出たら食べてね。」
僕のテーブルの上にプリムが蛙チョコを置いた。…プリムはチョコを食べない。アリエッタに貰ったか?僕の為に買ったのか?どっちだろう。