プリムローズが咲いた日   作:かぼちゃの馬車

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動く影

 

生徒の集まった広間で、ダンブルドアが新学期の挨拶をする。

ダンブルドア「いよいよ新学期が始まる。まず皆に知らせがある。…宴のご馳走でボーっとなる前に話しておこうかの。…はじめにR·J·ルーピン先生を紹介しよう。…空席だった”闇の魔術に対する防衛術”の担当をしてくださる。ルーピン先生じゃ!」

 

ルーピン先生が軽く挨拶をし、先生や生徒が拍手で迎える。スネイプ先生は…少しは拍手をしてくれたみたいだ。

 

ハーマイオニー「だからチョコレートが効くって知ってたのね。」

 

ドラコ「ポッター!…ポッター!…気絶したって?」

ブレーズ達が気絶するフリをする。

…なかなか上手いじゃないか。

 

ドラコ「本当に気絶したのか?」

ロン「うるさいぞマルフォイ!」

ハリー「なんで知ってるんだ…」

ハーマイオニー「…ほっときなさい。」

ドラコは面白くてたまらないという表情だ。

 

ダンブルドア「”魔法生物飼育学”の先生が退任されることになった。手足がまだ無事に残ってるうちに余生を楽しまれたいそうじゃ。…幸いその後任として皆もよく知っている先生があたってくれる。…ルビウス·ハグリッドじゃ。」

ハグリッドがマクゴナガル先生に突かれて立ち上がる。急に立ち上がったので、大きな身体が机を押す。

 

ドラコ「…森番が教師だって?」

ドラコは眉間にシワを寄せる。

グリフィンドールからは歓声が上がった。

 

ダンブルドア「最後に深刻なお知らせじゃが…魔法省の申し入れでアズカバンのディメンターが我が校の警備に当たる。シリウスブラックが逮捕されるまでじゃ。」

「アズカバンのディメンター?」

「シリウスブラックだって?」

生徒がざわつき始める。

 

ダンブルドア「ディメンターは学校への入り口を全て見張る。ディメンターがいることで毎日の学校生活には何ら影響はない筈じゃが、ひとついうておく…ディメンターは凶暴じゃ。狙う相手も邪魔する者も容赦なく襲う。くれぐれも注意するのじゃ。あの者達が危害を加える口実をあたえるでないぞ。…ディメンターに許しを乞うても耳を貸さん。」

生徒が静かになり、固唾を呑んで聞いている。

 

ダンブルドア「じゃが、暗闇の中でも、幸せは見つけることができる。…明かりを灯すことを忘れなければな。」

 

 

 

広間を出ると、何やらグリフィンドールの寮がある階段が騒がしい。…

 

ハーマイオニー「太ったレディーが通してくれないんですって。」

プリム「っ!…やぁ、ハーマイオニー。」

後ろにいたハーマイオニーに気づかなかった。…びっくりした。

 

太ったレディーの叫び声が響いた。…何がしたいんだろうか。

ハーマイオニー「3年間もこんな感じなのよ…スリザリンはどう?」

プリム「…滅多にないかな。」

そうよね、そこは羨ましいわ。とハーマイオニーが階段を登る。

 

______________

 

スリザリン女子寮

 

パンジー「でね、ドラコってばエスコートまで完璧なの!流石よね。」

プリム「…まぁ、由緒ある純血一族様だからね。それもかの有名なマルフォイ。出来なきゃお父上様が怒るだろうね。」

ガールズトークなるものが繰り広げ始めた。ことの発端はパンジーがドラコの自慢話を始めたからだ。

 

ダフネ「そういえば、私の妹も今年入学したのよ、無事にスリザリンだったわ。知ってる?」

プリム「ええ、見たわ、ダフネと似て綺麗な子だった。」

アストリアが今年入学した。…ドラコの結婚相手になるかもしれない子だ。

 

プリム「アストリアだっけ?…」

ダフネ「ええ、そうなんだけど…ドラコのことばっかり話すのよ。純血の集まりがあるから、前からドラコのこと、知ってはいた筈なんだけど…最近は特に酷いというか…」

パンジー「ちょっと!ドラコは私と付き合ってるのよ?妹でしょ?なんとかしなさいよ!」

…未来の結婚相手だ。たぶん無理だけど。

 

ミリセント「私はまだ男の子って理解できないわ…」

みんな早いわね、とミリセントが猫のノアールを撫でる。

 

プリム「私もわからない。」

パンジー「え?プリムにはブレーズがいるじゃない!」

うんうんとダフネとミリセントが頷く。

 

プリム「ん?…ブレーズ?なんで?」

パンジー「ちょっと…気づいてないの?ブレーズはプリムのこと好きなのよ。」

……あー。そうなのか?

プリム「…私はそういう感情はないよ。」

パンジー「なんだ…つまらない」

つまらないとは失礼じゃないか?

 

プリム「…昔、好きだと思った相手はいる。」

きゃー!だれだれ?と近づく皆の顔。…そんなに面白い話じゃないんだが。

 

プリム「あー…ドラコだよ。でもでも!6歳の時だし…今は普通に友達だから、心配しないでよ、パンジー?」

パンジー「プリムじゃ…私敵わないわよぉ…うぅ」

…泣いてしまった。

プリム「あー、パンジー。パンジーはとても魅力のある女の子だよ、私よりも貴族の振る舞いができるし、それにかわいいし、だから…ドラコもパンジーが可愛げのある大事な恋人だと思ってるよ。」

パンジーの頭を優しく撫でながら、褒め称えた。

 

パンジー「本当?…私ドラコに相応しいかな?」

ダフネ「もちろんよ、私達が認めるわ。」

パンジーが、よかったぁ…と涙ぐみながら安慮の表情を浮かべる。

 

…ドラコは、パンジーやアストリアと一緒にいるべきだ。アズラエルの仕事量も増えるしな。

 

_____________

 

翌朝の授業は、バスシバ·バブリング先生の古代ルーン文字学だった。トレローニー先生の占い学じゃない。3年生は古代ルーン文字学と、占い学は同じ時間の選択科目だった。ハリーの様子を見る為に占い学を選択しようとしたけど、パンジー達がイースター休暇中に手紙で古代ルーン文字学を選択するから、皆で合わせようと言われた。アリエッタは占い学かもしれない。

 

正直なところ、先生のことも記憶にないし、占い学しか記憶がない。それもそうだ…ハリーの物語しか知らないのだから。

 

ハーマイオニー「プリム!あなたもこの授業選択したのね?一緒で嬉しいわ。」

プリム「やぁ、ハーマイオニー。…ハリー達は一緒じゃないのね?いつも一緒なのに。」

ハーマイオニー「あー…私はこの授業が面白そうだと思ったけど、ハリー達は占い学の方が楽そうだって。」

…映画では占い学にハーマイオニーいたよな。あー…逆転時計か。

プリム「…」

胸元で輝くタイムターナーが見えた。

アルバス達は来年来るのだろうか…

 

ハーマイオニー「プリム?」

プリム「あー、占い学はハーマイオニーにはつまらないかもね。頭では考えないらしいから。こっちを選んで正解だよ。」

ハーマイオニー「頭では考えない?そんな授業あるの?」

プリム「後でハリー達に聞いてみるといい、居眠りしていなければだけど。」

居眠りをしている姿を思い浮かべてお互いに笑った。

 

パンジー「プリム、こっちで授業聞きましょう?」

プリム「あー、じゃあ…また後でね?ハーマイオニー」

ハーマイオニー「ええ、またね?」

 

スリザリンとグリフィンドールには壁がある。悲しいかな、これは記憶通りだ。

 

バブリング「…私はバスシバ·バブリング。古代ルーン文字学を教えます。…古代ルーン文字は”呪術や儀式に用いられた神秘的な文字”と紹介されることもありますが…実際には日常の目的で使われており、ルーン文字で記された書簡や荷札なども多数残されています。」

…結界術や式神学と似ているか?…古代ルーン文字学の派生なのかもしれない。意外なところと繋がりがあるな。

 

バブリング「ルーン文字の起源説としては、学者の間では、北イタリア説が最も有力です。…世界最古のルーン文字は、北ドイツで出土した1世紀の遺物のブローチに彫られたものであるといわれています。その他には、ブラクテアートと呼ばれる薄い黄金製の円盤にルーン文字を刻んだものが多数発見され、護符を兼ねた装飾品として扱われていました。…」

 

 

 

 

 

パンジー「プリム、グレンジャーと話すのは、もうやめた方がいいわ。」

ハグリッドの授業に向かいながら、パンジーが話しかけてくる。

 

プリム「…どうせ、私に相応しくない、だろ?」

パンジー「ええ、相応しくない。汚れた血なのよ?」

この会話何度目だ?…血への執着が強いなスリザリン。

 

プリム「そんなことで少ない友達を失いたくないね。」

パンジー「…友達?グレンジャーが?」

プリム「ええ、何かおかしなこと言った?」

パンジー「…あなた血を裏切るの?」

プリム「そうじゃないよ。純血であることには誇りに思ってる。」

パンジー「じゃあやっぱり、グレンジャーといるべきじゃないわ。」

プリム「…パンジー、クラッブやゴイルを見て?純血だから優秀で優れていると思う?私に相応しいかどうかは、血を見るんじゃない、才能を見てるの。」

そういうと、パンジーは黙ってしまった。

 

プリム「…だからパンジー達が一番の友達ってことに変わりないわ。私はスリザリンだしね。」

パンジーは何も言わず微笑んだ。

 

 

 

ハグリッドが小屋の外で待っていた。

 

ハグリッド「いいか皆…おしゃべりはやめてもっと近くによれや。今日は皆にいいもんを見せる。すごい授業だぞ。ついてこいや。」

奥に進むと、開けたところがあった。

 

ハグリッド「さてと、そこに集まれや…49ページを開いて」 

ドラコ「どうやって開くのさ!」 

ハグリッド「ただ、背表紙を撫でればいいんだ…やれやれ」 

皆が背表紙を撫でて開く中、ネビルは撫でずに本を縛っているベルトを取ったから本が暴れだす。

ネビル「わああぁあ!」

ドラコ「喚くなロングボトム」

…ネビルは話を聞いてなかったのか?

 

ハーマイオニー「面白い本ね。」

ドラコが「ああ、面白いね、笑えるよ。あのウドの大木が教えるなんて、この学校も落ちたもんだな。…父上が聞いたらなんとおっしゃるか。」

ハリー「黙れよマルフォイ」

ハリーとドラコが視線を交わす。

ほっとけばいいのに。

 

ドラコ「っ!ディメンターだ!」

はっ!とみんなが後ろを振り向く。

まぁ、当然そこには居ない。とことんスリザリンらしいな、ドラコは。

 

「ハハハハ…」

スリザリン生が嘲笑う。

パンジーやブレーズがディメンターの真似をする。

プリム「…パンジー、女の子でしょ?ディメンターの真似なんて。」

パンジー「あら楽しいじゃない。」

プリム「…」

ぼろぼろの姿のネビルが視界に入り、そっちに目線がいった。

 

 

ハグリッドが咳払いをして皆が注目する。

 

ハグリッド「タッタラターン!さあ、みんな美しかろ…バックビークに挨拶しよう」

…奇妙で…美しい生き物を見せる。 

胴体、後ろ足、尻尾は馬で、前足と羽根と頭部は巨大な鳥のように見える。

ぎらぎらした目とくちばしは鷲にそっくりだ。

ロン「ハグリッド…それ何なの?」 

 

ハグリッド「ヒッポグリフって言う生き物だ。最初に言うとくが、こいつらは誇り高い。…すぐ怒るから絶対侮辱しちゃなんねえぞ。そんなことしたら…おしめえだからな。さて、誰から挨拶する?。」 

ハリー以外が後ろに下がる。…っ、狭い。後ろに立ったのは間違いか。

ハグリッド「よし、ハリーいいぞ」

ハリー「っ!」

 

 

ハグリッド「いいか、ヒッポグリフが先に動くのを待つ。それが礼儀だ。…そばまで行ってお辞儀をして、向こうがお辞儀を返すのを待つ。…返したら触ってもいいと言うことだ。返さなかったら、まぁ…その話はあとだ。」 

ハリーはバックビーグの前にゆっくり出て行く。

ハグリッド「それ、おじきだ」

ハリーが丁寧なお辞儀をする。

バックビーグが近づくなというように、前足を上げる。

 

ハグリッド「下がれ!下がれハリー…そのまま…そのままだ」

ハリー「…」

バックビークが前足を折ってお辞儀を返した。

 

ハグリッド「ええぞハリー、やったな。…ようしよし、いい子だ!…そんじゃ今度は触ってみ。…さぁ、遠慮せんで。ゆっくりだぞ…ゆっくり。…あせるなハリー。…近づくのを待て…」

ハリーがバックビーグの嘴に触れた。

ハグリッド「ハリー…ようやった」

静かに従うバックビークにみんなが拍手する。 

ハグリッド「背中に乗せてくれるぞ」

ハグリッドがハリーをバックビーグの背中に押し上げる。 

ハリー「ちょっと…ああ」 

ハグリッド「羽根を引っこ抜かぬようにな。それッ…」

ハグリッドがバックビーグの尻を叩くと走り出し羽根を大きく広げて大空に舞い上がった。学校の上から山を超え、湖で遊ぶ。ハグリッドが口笛を吹くと元のところに舞い降りた。

ハグリッド「ようやったぞハリー」 

ハグリッドがほめながら「オレの初日はどうだ」と聞く。 

ハリー「最高だよハグリッド」  

 

 

ドラコ「やってられないね…」

影口を叩くドラコ。…あ、そうだ。怪我するんだ。…

ドラコ「何だよこいつぜんぜん危険じゃないな」

…どうする。…いやでも大したことない筈だ。

プリム「…」

バックビークが立ち上がりドラコが前足で蹴られる。皆がパニックになる。わかってて何もしなかった。…胸の辺りがズキズキした。

 

ハグリッド「…バックビーグ!全く…馬鹿なやつだ」

 

ドラコ「死んじゃう…死んじゃうよ…」 

ハグリッド「落ち着け…かすり傷だ。」

ハーマイオニー「ハグリッド早く医務室に!」

ハグリッド「…ああ、先生だから俺が…授業はこれまでだ」 

ハグリッドがドラコを抱えて医務室に運んだ。 …美女と野獣みたいだな。想像して吹き出した。ごめんドラコ。

 

 

 

パンジー「ひどく痛む?ドラコ」

ドラコ「時々ね、でも運が良かったよ…マダムポンフリーの話だと、下手すれば腕が取れてたって。…これじゃ宿題も出来ない」  

プリム「…」

ブレーズ「おい、変な顔になってるぞプリム。」

プリム「…りんごが酸っぱくて」

手にしていた青りんごをかじった。

 

 

ロン「よく言うぜあいつ…大したこともないのに大げさに」 

ハリーが「…大したこと無くてよかった」

ハーマイオニー「でもドラコのお父さんがかんかんだから、まだ分からないわ…」

3人はハグリッドが首にならないか心配しているみたいだ。

 

 

グリフィンドールのシェーマスフィネガンが日刊予言者新聞を広げて「あいつが目撃されたって」と叫ぶ

「誰が?」

「シリウスブラック…」 

ハーマイオニー「ダフタウンで?ここから遠くないわ!」

ネビル「ほ、ホグワーツに来るの?」

シェーマス「ディメンターの目をくぐって脱獄したやつだぞ。またくぐるかも知れないだろ」

 

___________

 

地下 魔法薬学教室

 

プリム「…蔵書。半純血のプリンス蔵書はどこだ。」

スネイプ先生が居ない教室で、半純血のプリンス蔵書を探していた。…スラグホーン先生の時にはすぐにあったのに。どこにも見当たらない。

 

プリム「…もしかして、こっち?」

スネイプ先生の机が目に入る。

プリム「いやいや…無かったらどうする。見つかって減点ならいい方だぞ。」

……さっと見てなかったら諦めよう。

 

プリム「…っ!、これは。」

蔵書だ。…サインもある。…半純血のプリンス蔵書。それにこの書き込み。本物だ。

 

“Geminio”(そっくり)

 

双子の呪文をすかさずかけた。するとそっくりの本が一冊できる。…中身もよくできてる。…魔力のおかげか?本物みたいだ。

 

プリム「…案外楽勝じゃないか。」

本物の蔵書を元の位置に戻す。瞬間、教室の扉が開いた。…まずい。

 

スネイプ「…何をしているのかね?ミスクロウリー、」

…まずい。…どうする。

プリム「忘れ物をして…でもこの教室じゃなかったみたいです。」

忘れ物?馬鹿か?…バレバレだ。おしまいだ。

プリム「あの…じゃあ、これで失礼します。」

スネイプ「…気をつけたまえ。」

 

 

 

プリム「し、心臓に悪い…」

でも、蔵書を手に入れた。まぁ…偽物ではあるけど。だいたいは同じだろう。あとは…幸運の液体の材料を集めて…作るだけ。

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