継ぎ接ぎのローブを着たルーピン先生。
今日は、闇の魔術に対する防衛術の授業だ。
洋タンスが先程からガタガタ音をたてて揺れている。
ボガートが入ってるのだろう。
私は…どうなるんだろうか、何になるんだろうか。
スリザリン生もグリフィンドール生も、近ず離れずといった位置にいる。
ルーピン「面白いだろ…たんすの中にいるのは何者か、分かる人はいるかな?」
ディーン「まね妖怪ボガート」
ルーピン「そのとおりだよ…では、ボガートはどんな姿をしているかな?…」
ハーマイオニー「誰も知りません。」
ハーマイオニーが現れて発言する。
ロン「いつ来たんだ!?」
ハーマイオニー「形態模写妖怪です。…相手が一番怖いと思うものに姿を変えます。だから…」
ルーピン「だから、とても怖い…そのとおりだね。…幸いボガートを退散させる簡単な呪文がある。…じゃあ練習しよう…あー、杖なしでいいよ。言ってみよう…”リディクラス!”」
「リディクラス」
ルーピン「いいね、次は大きな声ではっきりとこんな風に”リディクラス”」
「リディクラス!」
ドラコ「”馬鹿らしい”授業だ」
馬鹿げたという意味のridiculousとかけてるのだろう、ユーモアがある。…クラッブとゴイルは理解してないだろう。
ルーピン「…とてもいい。ここまでは簡単だけど、呪文だけでは十分じゃないんだよ。…ボガードを本当にやっつけるのは笑いだ。…ボガードをひどくこっけいな姿に変える必要がある。ネビル前に出て。…恥ずかしがらずにネビル、君が一番怖いものは?」
ネビルロングボトムがゆっくり前に出る。
背中を丸めて、自信なさげだ。
ネビル「…イプ…生…」
ルーピン「なんだって?」
ネビル「スネイプ先生です」
笑い声が響く。
ルーピン「そうだね…スネイプ先生は皆怖いよね…」
怖いというか、グリフィンドールにはあたりが強い。
ルーピン「ネビル…君はおばあさんと暮らしているね。」
ネビル「はい。…でもおばあちゃんに変身されるのもいやです」
また笑い声が上がる。
ルーピン「そうじゃない…おばあさんの服装を想像してごらん」
ルーピン先生はどうなるか知ってる?ネビルのおばあさんって有名なのか?
ネビル「赤いハンドバックを持って…」
ルーピン「声に出さなくても、思い浮かべるだけでいい。私がタンスを開けたら君はこうやるんだよ。」
ヒソヒソとネビルの耳元で話すルーピン先生。何か指示したんだろう。
ルーピン先生が杖をたんすの取っ手に向けて構えた。
ルーピン「出来るかな。…じゃ、杖を構えて…いち、にの、さん、」
ルーピン先生が杖を振り洋たんすが開くと、スネイプ先生が現れた。
ルーピン「さあ、思い浮かべて」
ネビル「り…”リディクラス”」
…スネイプ先生はスネイプ先生のままだけど…これは。
長いレースで縁取りしたドレスを着て、高い先のとがった帽子を冠り、手には大きな真っ赤なハンドバックを持ったスネイプ先生に代わっていた。
教室が笑いに包まれる。
…あー、酷く滑稽な姿のスネイプ先生だ。
ルーピン先生は後で怒られるんじゃないか?ネビルも何か言われそう。
ルーピン「素晴らしいよネビル!最高だ!…さぁ、じゃあ一列に並んで!」
ルーピン先生は生徒を洋たんすの前に一列に並ばせた。
ドラコが怪我した腕を使ってグリフィンドール生を押す。…スリザリン生はグリフィンドール生の後ろに並んだ。
ルーピン「自分の一番怖いものを思い浮かべて、それをどんなおかしな姿に変えるか。…では次!ロン!」
先生がテンポの良い曲をかける。…楽しい授業だ。やっぱり好きな授業だ。惜しいな…。
ロンが前に出る。
ルーピン「杖だ…杖を構えて」
ボガートがロンの怖いものを選ぶようにぐるぐると身体を変える。毛むくじゃらの大蜘蛛が飛び出しロンに向かってきた。
ロン「うぅ…り、リディクラス」
ロンが杖をかざし呪文を唱えると、大蜘蛛はローラースケートを履いた姿になる。どっと笑いが起きた。
ルーピン「見たかい?上出来だ!」
ルーピン「さあ、次はパーバディ!君の番だ」
蜘蛛がまたぐるぐると選び、大きな蛇に変わる。首を前後に動かし、パーバディは青ざめる。
パーバディ「リディクラス!」
蛇は大きなからくり仕掛けのピエロになった。
ルーピン「よーし…いいぞ!どんどん行こう!」
生徒が次々に出て呪文を唱えボガートはその都度変身した。
…ハリーの番になる。
ボガートはディメンターになった。
だけど直ぐにルーピン先生が前に出る。
ルーピン「…っ、こっちだあ!」
ボガートは満月になる。
…先生はやっぱり、狼人間だった。
プリム「…」
ルーピン「リディクラス!」
ボガートは風船になって洋タンスの中に消えた。
ルーピン「さあ、今日はここまでとしよう。…みんな教科書を忘れずに授業はこれでお終い。残念だが、次のお楽しみ。」
ルーピン先生は意図的にハリーがボガートと対決するのを止めた。ヴォルデモートになることを考えたんだろう。
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マクゴナガル「よろしいですか、ホグズミードへの外出はご褒美ですから。ホグズミードで悪い行いをすれば、二度と外出の許可は出ません。 」
ハリーが許可証を出す。
マクゴナガル「…許可証にサインがなければ出かけられません。規則ですから…」
フィルチ「許可証のあるものは付いて来い。 無いものは残れ…いいな」
プリム「…」
許可証はある。サインも。…
パンジー「許可証早く出しなよプリム」
プリム「…」
ハリーは叔父さん達がサインをしてくれていないのだろう。…まぁ、それはそうだな。
ハリー「でも先生…先生がサインをしてくだされば僕も…」
マクゴナガル「無理です。…サインできるのは親か保護者だけ、私はそのどちらでもありません。…残念ですが最終決定です」
ハリー「行けないや…またね」
プリム「あの…先生。許可証はあるんですけど、残ってもいいですか?」
ハリーとパンジーが驚愕した表情をする。
…ハリーの為じゃない。今はやることがあるんだ。
プリム「…今日は体調が優れないので、」
あからさまに嘘をついたが。許してくれるだろう。
マクゴナガル「そうですか…安静になさってください、許可証は預かります。」
うまくいった。
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3階 女子トイレ
マートルの嘆きが響いている。見つかると厄介だ、目眩し術をかけておこう。
プリム「…」
1人で使うなら必要の部屋より、こっちの方がいい。臭くて汚いところ以外は。
プリム『扉よ開け』
パーセルマウスじゃないけど、秘密の部屋は開ける。ロンがハリーの寝言の真似で開いたんだ。当然だな。
プリム「…うぅ、くさい。汚い…最悪。」
魔法で綺麗にするか?…毎回汚れた姿になるのも嫌だ。
“Scourgify”(清めよ)
おお…一瞬にして骨だらけだったあたり一面が綺麗になる。流石だ。タウリン様ギフト様だな。…汚れたローブにもかけておこう。
プリム「さて…バジリスクの牙は採取しておかないとな。」
骨となったバジリスク…なんてデカいんだ。素晴らしいな。
バジリスクの牙を1本もぎ取った。
プリム「…まぁ、使うか使わないかはわからないけど。あるに越した事はない。」
牙を持っていたトランクにしまった。
プリム「…あー、難しい」
半純血のプリンス蔵書に似た教科書を広げて項垂れる。
“1、アッシュワインダーの卵を大釜に入れ、セイヨウワサビを加えて火を通します。
2、カイソウの汁を入れ、大釜に加えて勢いよくかき混ぜます。
3、マートラップの裏面にアネモネを刻み、混ぜたものを加えて熱します。
4、チンキ剤を少し加えてゆっくりかき混ぜてください。
5、オカミーの卵の殻をすりつぶして混ぜます。
6、ゆっくりかき混ぜてから大釜を温めます。
7、粉状のコモンルーをふりかける。
8、強めにかき混ぜて、最後にもう一度火を通します。
9、8の字で杖を振って呪文「フィリックスエンプラ!」と言いましょう。”
プリム「いや…でも、間に合う。私なら。できるさ…材料もあるし、蔵書もある。」
セイヨウワサビやコモンルーは禁じられた森で見つけた。
それでも見つからない珍しい材料はスネイプ先生から拝借した。
プリム「さて…手を動かさないと。」
トランクから大鍋を出して幸運の液体を作り始めた。
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学校中、ホグズミードから生徒が帰ってきたばかりで、楽しかった思い出話でにぎやかになっていた。
パンジー「ハニーデュークスのお菓子は最高だったわ!プリムも今度行きましょう?」
ドラコ「プリムはお菓子は苦手なんだ、ゾンコのいたずら専門店は楽しかったよ。行かないと損だ。具合はもう大丈夫か?」
具合は悪くない。幸運の液体を作ってた。
プリム「うん、大丈夫よ。ホグズミードって楽しそうね?」
ブレーズ「ホグズミードはそれだけじゃない、叫びの屋敷は知ってるか?イギリス一の幽霊屋敷さ。…行く暇がなかったが。」
セオドール「ゆ、幽霊屋敷は僕は行かなくて大丈夫。」
セオドールが青ざめる。
プリム「私は見てみたいわ。今度みんなで一緒行きましょう?」
ふと階段を見ると、グリフィンドールの生徒がすし詰め状態になって前に進めないみたいだ。太ったレディーの肖像画が閉まったままになっている。
プリム「どうしたのかしら。」
ドラコ「…またロングボトムが合言葉をわすれたんだろ」
パーシー「通して…僕は主席の監督生だ。…調べが済むまで誰も寮に入らないで…」
ジニー「太ったレディーが消えちゃった!」
パンジー「今の聞いた?太ったレディーが消えたんですって。」
プリム「…」
みんなが騒いでいるところにダンブルドアが来る。
ダンブルドア「ミスターフィルチ…ゴーストを呼んで城中の絵を集めて調べてくれ。婦人を探すのじゃ」
フィルチ「ゴーストを呼ばなくても、太ったレディーはあそこです。」
婦人は5階の風景画の中で見つかる。
グリフィンドール生が階段を上がる。
パーシー「おいこら!主席の言うことを聞け!戻りたまえ!」
ドラコ「見に行かないか?面白そうだ。」
私達は階段を5階まで上がった。
ダンブルドア「誰がこんなことをしたのじゃ」
太ったレディー「悪魔のような瞳でした…名前のとおり真っ黒な魂…あいつが来たんですここに。…この城のどこかにシリウス・ブラックが…」
泣き崩れる婦人。
ブレーズ「シリウスブラックだって?」
ドラコ「ディメンターが警備してるんじゃないのか?」
セオドール「ホグワーツにシリウスブラックがいるってこと?」
パンジー「そんな…」
プリム「…」
ダンブルドアが「みな大広間に集まるのじゃ。…今夜はそこに泊まってもらう」
生徒が全員青ざめていた。
大広間のドアには何重にもカンヌキがはめられ、寝袋に入って寝た。
プリム「…」
寝袋は寝心地が悪い。眠れない。
しばらくすると扉が開いて、足音がした。
複数人いる。…先生達だろう。
フィルチ「天文台の塔も、フクロウ小屋も探しましたが何もなしでした。」
ダンブルドア「ご苦労じゃった。」
フリットウィック「3階もくまなく調べました。」
ダンブルドア「ご苦労。」
スネイプ「地下牢にも、城のどこにもブラックの姿はありません。」
ダンブルドア「いつまでも残っては居るまい」
スネイプ「たった一人で気付かれずにホグワーツに入るとは、たいしたものですな。…どんな手を使ったと思われます?」
ダンブルドア「どれもありえないことだ」
スネイプ「新学期の前にご忠告申し上げましたが、校長が新しくお雇いになった…」
スネイプ先生の言葉を打ち切るようにダンブルドアが話す。
ダンブルドア「城の内部のものがシリウス・ブラックの手引きをしたとは思わん。この城の中は安全じゃ…もう生徒たちをそれぞれの寮に戻しても良かろう…」
スネイプ先生はルーピン先生を疑ってる。
そういえば、ルーピン先生は薬を飲み忘れるんだ…それで…
スネイプ「…ポッターに警告は?」
ダンブルドア「…今は眠らせておこう。夢の中の世界は自分だけのものじゃ。深い海を自由に動き、空高い雲に乗ることもできる。」