プリムローズが咲いた日   作:かぼちゃの馬車

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ドラコマルフォイの思想 6

 

 

暖炉の側で隠れて座っていると、スリザリンの寮の扉が開く音が響く。

 

ドラコ「…」

まただ。満月の夜、プリムが寮から出る。

気になってついて行くことにした。

 

プリムは時計台で佇んでいた。…何をしてるんだろうか。

プリム「…今夜も満月ね。…こんなに綺麗なのに、悲しいわ。」

ドラコ「プリム…何してるんだこんな夜更けに。」

月明かりが彼女の肌を照らしている。

プリムの瞳に僕が映る。

 

プリム「…月が綺麗だから。…スリザリンの寮からじゃ見れないでしょ?」

ドラコ「もう消灯時間は過ぎてる。月夜を楽しむならもっとはやく出ろ。」

プリム「…それはドラコもでしょ?私は1人になりたかったから夜遅くにきたのに…もう1人じゃなくなったから意味ないわ。」

プリムが月を見つめる。

 

プリム「腕はもう良くなったの?」

ドラコ「…まぁ」

プリム「本当は大したことなかったでしょ?」

ドラコ「な!そんなことない!…大怪我だったんだ!」

プリム「そう?マダムポンフリーだもの、どんな怪我でも治してくれるわ。」

治ってよかった、と彼女が微笑みを僕に向ける。

 

プリム「ドラコは、月明かりは好き?…日の光の方がいい?」

ドラコ「考えたことないな…でも月は好きだ。」

プリムを綺麗に照らしてくれるから。

…っ?今僕は何を考えた?

 

なんでこんなに心臓が速く動くんだろう。パーキンソンと話してる時にはこんな風にならないのに。…変だ。

 

プリム「そうなの?ドラコは太陽が好きだと思ってた。クィディッチが好きだから。…それにあたたかいし。」

ドラコ「…嫌いじゃないさ、どちらかと言えば、月の光が好きだ。」

プリム「…そういえば、ドラコの髪は月の色ね。初めて会った時も、キラキラ輝いていて綺麗だと思ったわ。」

 

僕はあの時、君の夕陽のような瞳が綺麗だと思った。…ん?

 

ドラコ「…プリム、君…目の色が変わったか?」

プリム「っ、ドラコには何色に見えるの?」

…緑だろうか。元々の琥珀色も薄いけど見える。

ドラコ「緑が濃いな。…前は琥珀色だっただろう?」

プリム「そう、緑なのね…」

プリムが深く考え込む。

ドラコ「プリム?」

プリム「…琥珀色を忘れないでね」

彼女が哀しそうに笑うから、なんだか不安になった。でも僕には深く聞けなくて、聞いたらいけないような気がして…

 

ドラコ「ああ…」

そう言うしかなかった。

 

____________

 

外は大雨だ。雷が鳴り響く。

 

ハッフルパフとグリフィンドールのクィディッチの試合の為に、学校中の生徒が芝生の競技場に集まった。

 

プリム「大雨なのに、こんなに集まるのね。」

ドラコ「当たり前だ。クィディッチだぞ?」

パンジー「ハッフルパフとグリフィンドール、どっちが勝つと思う?ドラコ」

ドラコ「…グリフィンドールじゃないか?僕といい勝負をするからな。」

ポッターが勝つだろう。…面白くはないが。

 

ブレーズ「ハッフルパフはアリエッタがビーターになったらしいぞ、そうだろプリム?」

プリム「ええ、まぁアリエッタは運動神経がいいから、当たり前よ。」

アリエッタがビーター?…大丈夫なのか?

 

フィールドにいる、ハリーとアリエッタが目に入る。

フーチ先生が試合開始のホイッスルを吹いた。

 

ポッターは急上昇したが風にあおられた。 

アリエッタはブラッジャーを難なく打ち返している。…力があるな。…アリエッタが逆手でブラッジャーを後方に打つ…ブラッジャーの逆手打ちだ!上手い。…初試合の筈なのに。

 

プリム「…」

ブレーズ「寒くないかプリム?」

プリム「大丈夫、このくらいは。」

ブレーズがそうか、と何もしない。…そこは無理矢理でもローブを掛けるんだ。馬鹿なのか。

 

パンジー「ドラコ、私なんだか寒いわ。」

パーキンソンが寒そうにブルブルと震える。

…仕方ないな。

ドラコ「…ローブ羽織るか?」

寒い…仕方ないよな、レディーの為だ。

 

 

稲妻が容赦なく落ちる競技場。

アリエッタは素早く交わしている。…速い…ビーターにはもったいない。シーカーならもっと輝いていただろう。

 

 

ポッターが上空で向きを変えると目の前で稲妻が走る。スピードを上げてスニッチに突進した時、ディメンターが襲い掛かる。ポッターはニンバスから落ちていった。

 

ドラコ「おい!あれ…」

まずいんじゃないか…あの高さ…

プリム「…」

 

沢山の叫び声が上がる。

 

ダンブルドア「アレストモメンタム…」

 

 

ポッターは医務室に運ばれた。試合はハッフルパフの勝利。

ポッターの自慢の箒は、暴れ柳にぶつかって壊れてしまったらしい。

 

 

____________

 

 

僕はクィディッチの試合後、ハッフルパフ選手の背中を探した。

ドラコ「…おい…おい!…アリエッタロリス!」

こいつ…僕をなめてるのか?呼ばれたら振り向くだろう。

 

アリエッタ「ああ、ドラコ…もういい加減名前を呼んでよ。」

馬鹿ね、と僕の前に立つアリエッタ。…こいつ…僕を苛つかせるのが上手いじゃないか。…しかし、ここは冷静になれドラコマルフォイ。

 

ドラコ「ゆ、友人になってやろうじゃないか。…僕と友人なんてお前の身分じゃ誇らしいだろう?」

…アリエッタがジーッと僕の目を見てくる。

な、なんだ。やめろ、気分が悪い。

 

ドラコ「…な、なんだ。」

アリエッタ「ああ、そういうこと?ドラコが友達になるなんて急に言うから怪しいと思った。…私を利用して、魔法を使おうとしてるなんて、スリザリンらしいわね。」

な!なんでバレた。…思考を読んだみたいだ、こいつ危ない。気持ちが悪い。

 

アリエッタ「気持ちが悪いなんて失礼ね。一応女の子なんだけど?あ、私には嘘つけないわよ?わかるんだから。」

アリエッタが口の端を上げて笑う。

なんなんだ…魔法か?くそ、厄介だ。手強い…汚れた血のくせに、やるじゃないか。

 

アリエッタ「…でも、いいよ?騙されてあげる。」

ドラコ「なに?どういうつもりだ」

アリエッタ「私はあなたと友達になりたい。あなたは高度な魔法が知りたい。…目的は明確でしょ?だから騙されてあげる。」

ドラコ「…」

アリエッタ「ただし、私はあなたに教える立場になるんだから、失礼な態度は許さないからね?」

ドラコ「…フン、汚れた血に失礼な態度だと?相応しい態度じゃないか?」

アリエッタ「ほら!そういうのよ!…それなおさないなら教えないわよ。」

 

ドラコ「っ、教えてくれ…と、友達だろう?」

アリエッタ「っ!…もちろんいいわよ!」

今夜8階で待ってるわ、とアリエッタが去って行った。

 

…8階?

 

______________

 

 

広間で夕食を済ませた後、アリエッタに言われたとおりに8階に向かおうとした。

 

パンジー「ドラコ、どこに行くの?寮はこっちよ?」

ドラコ「…あー、先に行っててくれ、用事がある。」

パンジー「用事?…なんの?」

ドラコ「図書室で借りたい本がある。」

パンジー「なら、私も行くわ」

…なんでそこまで首を突っ込む。

 

ドラコ「…ハッフルパフの奴と行くから、お前は先に寮へ行け。」

パンジー「ハッフルパフ?…まさかアリエッタ?」

な、なんでわかるんだ?

ドラコ「ああ、アリエッタだ。」

パンジー「なんで汚れた血なんかと…行かせないわ!ドラコは純血一族でしょ?アリエッタと関わるべきじゃないわ!あなたのお父様が知ったら…」

ドラコ「父上は関係ない!…もう寮へ戻れ。」

パンジー「…」

 

僕はパーキンソンを見ずに8階に向かった。

 

_____________

 

8階ではもう、アリエッタが待っていた。

アリエッタ「ドラコ!遅かったね?…何かあった?」

ドラコ「…別に。お前には関係ない。」

今は何も話したくないんだ。

 

アリエッタ「…あー、じゃあちょっと待ってね、今開けるから。」

しばらくすると、扉が目の前に現れる。

…っ、

ドラコ「これ…プリムが」

アリエッタ「あれ?プリム教えたんだ?いいのかな、後から面倒な気もするけど」

まぁいっか、と先に進むアリエッタ。

 

アリエッタ「ようこそ、”必要の部屋”へ」

ドラコ「…ん?前と違うな。」

アリエッタ「必要の部屋は目的によって変わるから。」

ドラコ「そうか…だから」

魔法の訓練ができるような内装だ。

アリエッタが咳払いをする。

 

アリエッタ「じゃあ、今からドラコに教えるのは、守護霊の呪文”エクスペクトパトローナム”よ。パトローナスはプラスのエネルギーで、うまく使えればディメンターの盾になってくれる。列車で使ったのはこれ。」

 

ドラコ「エクスペクトパトローナム…」

アリエッタ「呼び出すには想い出が必要なの、幸せな想い出、強い想い出がね。」

幸せな想い出…箒に乗れたときだろうか。

 

アリエッタ「じゃあ、やってみようか。やらないとわからないし。…目を閉じて、集中して…幸せな想い出で心を満たして…そしたら呪文を唱える”エクスペクトパトローナム”…」

僕は箒に乗れた時のことを思い浮かべて、心を満たした。

ドラコ「…」

アリエッタ「心の準備ができたら、杖を構えて唱えてみて。」

 

ドラコ「…エクスペクトパトローナム」

白いモヤのようなものが出てきたが、すぐに消えた。

 

アリエッタ「安定した守護霊の姿にするには、強さがないといけないの…でも初めてでモヤが出るのは流石って感じね。私は何も起きなかったもの。」

ドラコ「当たり前だ。僕は純血だからな。」

 

消灯時間前まで練習をした。

 

____________

 

 

雪の降るホグワーツ。学期の最後の週末、みんなはホグズミード行きが許され、クリスマスのショッピングの計画で大騒ぎしている。

 

 

ブレーズ「ドラコ、パーキンソンとは行かないのか?」

ドラコ「ああ…ちょっといろいろあってな」

クラッブ「なんか喧嘩したんだろ?」

ドラコ「…まぁ、」

ブレーズ「まぁって…はやくなんとかしろよ?」

ドラコ「…」

 

ゾンコのいたずら専門店で、伸び耳やパンチ望遠鏡を見て店を出た。

 

 

プリム「ドラコ!」

ドラコ「っ!プリム?…どうしたんだその荷物。」

プリム「あー、これドラコに。…ブレーズ達も食べる?」

クラッブとゴイルは食いつくようにプリムが持った袋を見つめる。

 

プリムがはい、と僕に蛙チョコを渡す。

ドラコ「…蛙チョコ?」

ブレーズ「プリムがわざわざ買ったのか?」

プリム「うん。ドラコは蛙チョコ好きでしょ?」

ドラコ「…」

僕の為に買ったのか?…まさかな。

 

クラッブとゴイルのせいで、お菓子はほとんどなくなっていた。

 

ブレーズ「そうだ、これから叫びの屋敷に行くんだ。プリムも行かないか?行きたがってただろ?」

 

プリム「行くわ。もちろんよ。」

 

 

 

誰かの話し声が聞こえた。

ハーマイオニー「ねえ…イギリスいち怖い幽霊屋敷よ…”叫びの屋敷”まで行ってみない?」

ロン「えぇ…いいよ…僕ここで十分」

 

 

ドラコ「誰かと思ったら…新居でも買うつもりかい。…ここじゃ大きすぎないか?」 

ロン「うるさいぞマルフォイ」

パーキンソンの話をされた僕は今気分があまりよくない。

 

ドラコ「その態度はなんだ。こいつに目上の者を敬うことを教えてやれ。」

ハーマイオニー「あなたが目上?」

ドラコ「僕に口をきくな!この…汚れた血め!」

 

突然僕の顔に雪玉が飛んでくる。 

…な、なんだ?

 

ドラコ「誰だ!」

クラッブとゴイルとブレーズ達は、ズボンが脱がされ、押し倒される。

僕は引き摺り回される。

意味がわからない…何が起きてるんだ。

 

僕は恐怖で逃げてしまった。

 

___________

 

 

僕らは森番の小屋を岩陰から覗いた。

 

ドラコ「ヒッポグリフの首をもらって、やつらの寮に飾ってやろう…」

ゴイル「ああ!」

クラッブ「いいな」

ブレーズ「処刑は見ものだぜ。…おいドラコ、見ろよ」

 

後ろを見るとグレンジャーが怒りに満ちた顔で近づいてきた。

 

ドラコ「おやおや、君達も見物かい?」

ハーマイオニー「あなた達!なんて下劣なの!ゴキブリ以下よ!」

グレンジャーがそう叫んで僕の首に杖を向ける。

ブレーズ達は突っ立ってなにもしない。…役立たずめ。

 

ロン「ハーマイオニーやめろ!そいつにそんな価値ないよ。」

杖がゆっくりおろされる。

助かった、そう思った。

 

ドラコ「っ…ぐぁ、」

グレンジャーが僕の顔を殴りつけるまでは。

痛い…鼻血が出てくる。

 

ブレーズ達がやっと動く。

クラッブ「マルフォイ、大丈夫か?」

ゴイル「行こう!」

ドラコ「くそ、誰にも言うなよ!」

 

僕は痛い鼻を押さえながら、廊下に走った。

 

 

 

逃げ帰った先には、プリムがいた。

 

プリム「そんなに慌ててどうしたの?」

ブレーズ達はあー…その…と何も話せない。

ドラコ「なんでもない…」

プリム「…あー、なるほどね。…鼻血出てるわよドラコ。」

っ、くそ…見られたくないところを見られた。僕は上を向くが、喉を唾たる血が気持ち悪い。

 

プリム「鼻血が出たら下を向いた方がいいわよ。はい、これ。汚れてもいいから使って。」

プリムが白い花の刺繍のハンカチを渡してくれた。

 

ドラコ「ああ…すまない。」

プリム「ハーマイオニーのパンチはどうだった?」

ドラコ「な、なんでそれを!」

お前達…とブレーズ達を見たが違うというように横に首を激しく振る。

 

プリム「ハリー達の姿が見えたから、そうかなって。殴りつけるのはハーマイオニーよね。他の2人はきっと呪文をかけるもの。」

ドラコ「…誰にも言わないでくれ。」

プリム「言わないわよ、面白くないもの。」

処刑の見物なんてするからよ、と額を押された。

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