プリムローズが咲いた日   作:かぼちゃの馬車

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波乱のダンスパーティー

ホグワーツ城はダンスのパートナー探しで男子はそわそわし、女子は誘われることを待つように色めき立っている。

 

「僕と一緒に踊りませんか?」

「はい!喜んで!」

 

廊下では、沢山の生徒がダンスの申し込みをしているのが目立つ。

 

プリム「…で、アリエッタはセドリックでしょ?」

アリエッタ「あー、うん…そうなの。ふふ」

アリエッタが頬を赤く染めて嬉しそうに笑う。

 

アリエッタ「プリムも、もちろんドラコでしょ?まさかスネイプ先生ってことはないよね?」

プリム「スネイプ先生も悪くないな。」

アリエッタ「ちょっと!冗談でしょ?」

プリム「ドラコはアストリアを誘う筈だよ。変わらないなら。」

アリエッタ「でも…あなたはドラコと踊りたいんでしょ?」

…踊れない。

 

 

プリム「チョウチャンは誰と踊るか知ってる?」

アリエッタ「さぁ…でもたぶん、ハリーかもね。」

 

______________

 

 

授業中もヒソヒソとダンスのパートナーの話ばかり聞こえる。授業に集中してくれ。

 

前の席のブレーズが先生の目を盗んで、メモを渡してきた。

“ダンスパーティー、一緒に行かないか?”

 

プリム「…」

なんでだろう。ドラコと行けないから、断る理由は無いのに…誘われるのを待っている自分がいた。

 

“私、ダンスパーティーには行かないの。”

 

しばらく考えて、そう書いたメモをブレーズに返した。たぶん…これが一番いい。

 

 

 

 

ブレーズ「プリム!…さっきのどういうことだ」

授業終わり、廊下へ出るとブレーズに肩を掴まれた。

 

プリム「あなた字が読めないの?そのままの意味よ。」

ブレーズ「パーティーに行かないなんて、そんな理由…認めないぞ僕は。」

プリム「私、パーティーって好きじゃないの。今までは家のこともあるから、参加してたけど。有難いことに代表選手じゃないから、参加は自由でしょ?」

唖然としたブレーズを置いて、次の授業へ向かうことにした。

 

______________

 

 

パンジー「プリム!パーティーに行かないって本気!?」

パンジーが近くで大きな声を出す。…耳が痛い。

プリム「あー…うん。行く理由がないしね。」

パンジー「そんなの、もったいないわ!」

ダフネ「…プリム、ドレス届いてなかった?着ないのはもったいないわ。それに、ご両親もせっかくご用意してくださったんでしょ?…嫌でも行くべきよ。」

ミリセント「プリムの家って名家じゃない?だから参加しないって知れたら…私なら外歩けないわ。」

…なんで純血の集まりでもないのに、こんなに面倒なんだ。

 

プリム「でも、もう断ったし、ブレーズはパートナーを見つけたでしょ?…パートナー無しで参加する方が恥ずかしいわ。」

パンジー「それなら私に任せて!1人知ってるわ、まだパートナーがいなくて、プリムをリードできる人。」

プリム「それ誰?」

 

____________

 

ドラコ「…」

プリム「…」

パンジー「ね?ほら!2人ならぴったりでしょ?」

プリム「パンジー…」

…やってくれるじゃないかと睨みつけた。

パンジー「え、なんで睨まれてるの私。」

じゃあ、お邪魔者は消えるわね?とパンジーが空き教室に2人きりにする。

 

ドラコ「…ブレーズに誘われたんじゃないのか?」

プリム「あら?知ってるの?パーティーに行きたくないから断ったの。…でも、パンジー達が行かないと家の恥だって。」

ドラコ「まぁ、そうだろうな。君の家なら。」

プリム「…アストリアは誘った?」

ドラコ「アストリア?なんでアストリアを?下級生だろ。あまり話したことがない。」

な、なんでだ。変わってる…それじゃあ、駄目だ。セドリックが…スコーピウスが…

 

プリム「アストリアはいい子だから、誘ってみたら?」

ドラコ「君は行かないのか?本当に。」

プリム「…行くわ。ドレスがあるし。…でもドラコとは行けない。」

ドラコ「っ、なんでだ。僕じゃ不満か?…あー、ポッターみたいに代表選手じゃないしな。僕じゃ確かに不満だろうな。」

ドラコが自分を貶すように言うから、私は止めるように言葉が出た。

 

プリム「そんなことない!…あなたがハリーじゃなくても、代表選手じゃなくても、あなたに誘われたら踊るわ。…でもできないの。アストリアと踊って?お願いだから。」

ドラコ「アストリア、アストリアって…なんでそんなに彼女を勧めるんだ。僕は君と行きたいのに。」

プリム「え?」

ドラコが、私と行きたいと言った。…しまった、とドラコが口を塞いで顔が赤くなる。面白いことになった。少しいじめるか。

 

プリム「なんでブレーズより早く誘わないのよ。私が受けてたらどうするつもりだったの?」

ドラコ「な!それは僕はブレーズが君を誘っても君は断るだろうから、君に申し込みの言葉を僕は慎重に考えてたんだ!」

…ああ、なんて僕は馬鹿なんだ、とドラコがもっと顔を赤くする。…感情的になってるとはいえ、全部言うなんて馬鹿だな。

 

プリム「ふーん…どんな言葉を考えてくれたの?」

ドラコ「…僕以外じゃプリムを上手くリードできない。僕と踊るべきだ、そうだろう?」

プリム「ドラコらしい申し込みね?…でも、ドラコはアストリアと行って?お願い。」

ドラコ「…なんでだ。」

プリム「…時がくれば…ドラコにもいつかわかるわ。私があなたと踊れない理由が。」

私はドラコを置いて教室を出た。

 

_____________

 

パンジー「なんで!ドラコと!踊らないの!」

本を読んでいると、パンジーが駆け足で近づいて本を取り上げられた。

 

プリム「ぱ、パンジー…まぁ、落ち着いてよ。」

…そして、本返して。

 

ダフネ「ドラコはアストリアを誘ってたわ…もうみんなパートナー決まってるわよ?大丈夫?」

パンジー「そうよ!もう残りはポッター達とあなたくらいだわ!」

プリム「それ本当?…不味いな。」

パンジー「やっと気づいた?ほら!ボサッとしてないで!もうポッターでもいいからあなたから声かけてきなさい!」

は?無理だ!無理!それはできない!チョウチャンと踊る筈だ。

 

 

プリム「あーでもまだ、1日あるし…」

パンジー「1日しかないのよ!プリム!」

パンジーの怒りは収まらない。…本返して。

 

____________

 

 

ロン「まずいよ…この調子じゃ相手が居ないのは僕らとネビルだけだよ」

ハリー「ネビルは一人でも踊れるから…」

ハーマイオニー「ネビルならもう相手を見つけたそうよ」

ロン「あ〜…それって落込むなあ」

 

スネイプ先生が目を光らせて徘徊してるのに、ダンスのパートナーの話をするハリー達。

 

 

ロン「…”早くしないと、いい子はみんな売れちゃうぞ”…そういうお前は!」

ジョージがアンジェリーナを誘って、なんなくパートナーになる。…あー、そんなに簡単ならいいのに。

 

ロン「ハーマイオニー…女の子だよね?」

ハーマイオニーが「…よくお気付きですこと」

そんな誘い方じゃ失礼だ。…全く。

 

ロン「僕等とどう?」とジョージの真似をして誘うが、後ろからスネイプ先生に本でゴツンと殴られる。

スネイプ先生が何事も無かったように歩いていった。

 

ロン「ほら…男なら一人でも平気だけど、女の子は惨めだよ」

ハーマイオニー「一人じゃないわ!お生憎、もう申し込まれているの!」

 

スネイプ先生にノートを渡し戻ってくるとハーマイオニーは、「イエスって返事をしたわ!」と言い捨て教室を出て行った。

 

 

ロンが「おい…まさか…うそだよな?」

ハリー「どうだろうね」

 

ロン「こうなりゃ歯を食いしばってがんばるしかないよ。…こんや談話室に戻るまでにパートナーを見つけること…いいか?」

ハリー「うん。」

背後にいたスネイプ先生に2人は頭を下げられた。

 

______________

 

 

教室を出ると、恭史郎に呼び止められた。

恭史郎「プリム!…やぁ、あの、えっと…ちょっと、こっちきて。」

プリム「え、あ…ちょっと」

恭史郎が私の手を掴んで、人気のない廊下で止まる。

 

プリム「ちょっと!…なんなんだよいきなり。」

恭史郎の手を振り解いた。

 

恭史郎「あ、ごめんね?痛かった?」

プリム「あー…ちょっとね。大丈夫よ。」

 

恭史郎「あー…えっと、プリムって、まだパートナー決まってないって本当?」

ん?…もしかしたら、これ。あれか?

 

プリム「あーうん…もうハリーに声をかけてみるしかなさそう。それかロン…最悪はクラッブとゴイル。」

恭史郎「あ、あの、僕も決まってないんだ。よかったら…その、僕と一緒に行かない?」

やっぱり。…なんでだ?日本のシーカーなら選びたい放題だ。

 

プリム「本当に?恭史郎が?…なんで?ワールドカップシーカーなら人気だろ?」

恭史郎「そう、あ、えっと…断ってたんだ。ずっと。だって…ギラついた目で女の子が迫ってくるんだ。怖くてさ…特にパンジーって子が…で、そしたらいつのまにか誰もパートナーがいなくて。へへ」

…クラムじゃないのかパンジー…日本じゃない経験だな、確かに。

 

プリム「あー…なるほど。有名人も大変だね。…恭史郎がいいなら、喜んでパートナーになるよ。」

恭史郎「本当!?やった!…僕、ダンスできないけど、大丈夫?」

プリム「な、そうなのか?…私がリードするよ。仕方ないな。」

恭史郎「ありがとう!…じゃあ、ダンスパーティーで。」

 

______________

 

 

 

夜、湖に浮かぶ大帆船のかがり火の灯る大広間に、美しく着飾った男女が続々と集まってくる。

 

プリム「これは…はぁ…母上…」

 

見たことがある…それはそうだ。これは11歳のときマルフォイ家のパーティーで着た青いドレスと同じ布を使っている。綺麗だけど…とても綺麗だけど…

 

“プリムへ

 

プリムはきっとドラコとダンスパーティーに行くでしょう?だから11歳の時に着たドレス と同じ布で作って貰うように頼んだの。ドラコもプリムも驚く顔が目に浮かぶわ。ダンスパーティー楽しんでね。

 

シルビア”

 

一緒に入っていたカードをみると、シルビアさんがサプライズで作ったのだろう。ドレス の採寸の時は何もわからなかったから。

 

プリム「はぁ…」

これを着たらドラコと踊らないといけない気がして、しばらく着れなかった。

 

 

パンジー「やだ、プリム!まだ準備終わってないの?」

プリム「えっと…なんか気が重くて…パーティーってやっぱり苦手なんだ。」

パンジー「ほら、さっさとしないと、最後の方は目立つわよ?」

着替えなさいほら、とドレスを押しつけられた。

 

___________

 

ドレスを着ると…前とデザインが変わっていたので、少し驚いた。

プリム「ねぇ…これ私に似合うかな?パンジー。私にはもったいないような…てか、ドレスで幽霊感が増したような…」

パンジー「わぁ…あなたとっても綺麗よ…フラーにも負けないわ!」

プリム「それはいいすぎだよ。ドレスが綺麗だから、髪型は適当にできないね。」

パンジー「私に任せて!」

ダフネ「あら…プリムそのドレスとっても綺麗…」

プリム「ありがとう、ダフネも綺麗だよ?」

パンジー「ちょっと、あなた手伝って!」

ダフネ「へ?」

 

_____________

 

パンジー「…どうよ!私達の力作は!」

パンジーが私の髪を巻いたり、編んだりしてくれた。ダフネはパンジーを手伝いながらメイクをしてくれた。

 

鏡をみると…自分じゃない自分がいた。

 

プリム「わぁ…凄いよ2人とも…」

パンジー「あたりまえよ!」

ダフネ「魔法じゃこうはならないわね。」

 

 

パンジー「さて!仕上げは、これね!」

プリム「え…それ、あるの知ってたの?」

パンジー「知ってるわよ、あなたいつも寝る前に一度見るじゃないこれ。」

…クリスマスにプレゼントされた琥珀色の宝石のネックレスだ。付ける機会はあまりないからジュエリーケースに入れていた。…ドラコからのプレゼントだ。

 

プリム「…っ、」

パンジーがネックレスをつけてくれた。…でもこれは。

プリム「執着心の塊みたい、」

パンジー「なんかいった?」

プリム「んーん、」

 

_____________

 

 

【挿絵表示】

(プリムのドレス)

 

パンジー達と会場へ向かうと、途中アストリアとドラコがいるのが見えた。…すごく綺麗だ。ドラコと視線があった気がした。…気のせいかもしれない。

 

パンジー「もうみんな集まってるわ、ほら、早くしないからよ!もう」

ダフネ「ボーッとしてた子がいたからだわ。」

プリム「ご、ごめん…」

 

 

【挿絵表示】

(アリエッタのドレス)

 

アリエッタ「プリム!…わぁ…とても綺麗だわ。プリム」

プリム「ありがとう、アリエッタも綺麗だよ。」

アリエッタ「ありがとう、セドリックと上手く踊れるかな…」

プリム「大丈夫よ、踊れなくても、リードしてくれるわ。」

アリエッタ「ふふ、そうね」

じゃあ、また後でね!と代表選手のところへ行った。

 

パンジー「私のパートナー、セオドールなの!…あ、いたわ。ブレーズも一緒ね。」

ダフネ「ブレーズは私と踊ることになったの。」

プリム「私のパートナー…まだみたい。先に行ってて?」

 

_______________

 

 

しばらくして、ドレスローブ姿の恭史郎が現れた。

恭史郎「ご、ごめん。僕こういうの着慣れなくて…待った?」

プリム「うん。…ねぇ、ちょっと、もっとちゃんと着ないと踊れないわよ。」

私は恭史郎の緩んだ襟や、ローブを直した。

 

恭史郎「…っ、ありがとう」

プリム「さぁ、もう行かないと。もう代表以外は会場に集まってるわ。エスコートしてくださる?パートナーさん」

恭史郎「も、もちろん!」

恭史郎は不器用に腕を差し出した。私はその腕を組んで会場に入った。

 

会場には沢山の人がいた。視線が痛い。恭史郎が遅れてくるからだ!

 

「キョウシロウのパートナーってプリムクロウリー?」

「あの子とっても綺麗…」

 

…恭史郎がパートナーだから目立ってる。そりゃそうか。恭史郎はクラム並に人気だ。

 

恭史郎「プリムが綺麗だから、皆見てるね。」

…な!さらっとそんなことを言うのか?

プリム「…」

恭史郎「プリム?大丈夫?」

プリム「私じゃなくて、恭史郎が有名人だからだよ。」

恭史郎「んー、そうかもね?」

 

 

しばらくすると、ファンファーレが鳴り響き、広間のドアが開いて、代表選手たちが入場した。ハリーのパートナーは…チョウチャンではなく、パーバディパチルだった。…じゃあチョウチャンは誰と踊るんだ?私はチョウチャンの姿を探した。チョウチャンの姿は代表選手の中にいた。…パートナーは一ノ瀬宗介だ。…そうなったのか。

 

 

パドマパチルがクラムにエスコートされて入場した女性を見て「あれ、ハーマイオニーグレンジャー?…クラムのパートナー…」と驚きの声を上げる。

 

ロン「まさか、そんな訳無い…」

ロンは目の前の光景が信じられないというように瞬きを激しくしている。

 

アリエッタもセドリックと一緒に入場し、広間中央まで進んだ。

 

演奏が始まって選手達が踊り始める。

ハリーのダンスは頑張ってはいるが…いまいちだ。ハーマイオニーはダンスを楽しめているみたいだ。とても嬉しそうな表情をしている。アリエッタは動きが強張りながらも、セドリックが上手くリードしている。

 

しばらくして、ダンブルドアとマクゴナガル先生が踊りの中に加わる。

 

次々とカップルが進み出て踊り始める。

 

 

恭史郎と私も前に出て踊る。

 

プリム「…っ、恭史郎、力抜いて。」

恭史郎「う、うん…」

緊張しているのだろう。恭史郎の動きは固くてリードしづらい。…ハリーといい勝負だ。

 

___________

 

やがて音楽は、激しいロックのリズムに替わり、全員が狂気のごとく踊り楽しんでいる。

 

プリム「…嫌だ。この曲は踊りたくない。無理よ。」

恭史郎「ええ…踊ろうよ。僕はこっちの方が好き。今度は僕がリードするから。」

恭史郎が腕を強く引っ張るので、私は狂気のダンスの中に入ってしまう。

 

プリム「…楽しいか恭史郎?」

私を困らせるのが恭史郎は好きなようだ。

 

恭史郎「うん、楽しいよ!…ほら、みて?皆僕達のことに気づいてない。プリムも気にしなくていいんだ…好きに踊ろう?」

プリム「…確かに、それはそうね。」

皆が目の前の異様な格好をしたバンドに夢中だ。跳ねたり、髪を振り乱したりまさに狂気だ。…私もしぶしぶ踊るものの、そこまでは私には無理だ。

 

フリットウィック「こら!おろしなさーい!…ああ〜…」

頭上をフリットウィック先生が通った。

 

プリム「ねぇ、今の…っ、」

恭史郎が私の腕を引っ張って身体が近づく、顔が近い。…こんなに背が高かったか?いや、14歳だ。背は伸びるな。

 

恭史郎「…僕、本当はプリムと踊りたくて他の子のこと断ってたんだ。」

音楽が煩くて何を言っているかわからない。

プリム「ごめんなさい、もう一回言って?」

 

恭史郎の顔が更に近づいて、耳元で囁いてくる。

恭史郎「言っただろ?僕はラッキーなんだ。」

どういう意味だろうか?よくわからなかった。

プリム「…そうね?」

 

 

曲が終わって、次の曲に変わった。

プリム「ちょっと…休みましょう?私…もうヘトヘトだわ。」

私は体力がない。運動も得意じゃない。踊りは得意だが、こんな踊りは初めてだ。ヒールを履いた足はもう…生まれたての小鹿のように震え始めている。

 

恭史郎「そうだね、じゃあ僕、飲み物とってくるから、そこで座ってて?」

プリム「ええ…ありがとう。」

 

 

プリム「…足がもう限界だわ。」

恭史郎のあの様子じゃ…もう一回踊るな。

靴ずれした痕にハナハッカをかけて治した。

 

 

 

ドラコ「…怪我したのか?この匂い、ハナハッカだろ?」

ハナハッカをかけていると、ドラコが目の前に立っていた。

 

プリム「あー…ちょっと靴ずれして」

ドラコ「…まぁ、あれだけ派手に踊ってれば、靴ずれするだろうな。」

プリム「え、見てたの?」

ドラコ「嫌でも目に入るさ。君達は代表選手並に目立つ。」

プリム「ああ、そうかもね…恭史郎は有名人だし。」

ドラコが隣に腰をかける。

 

ドラコ「だから断ったのか?僕の申し込み。」

プリム「え?違うわよ…恭史郎はたまたまパートナーがいなかったの。ラッキーよ。じゃなきゃハリーか、ロン…最悪クラッブかゴイルと踊ってたわ。またはスネイプ先生?」

ドラコ「冗談だろ?」

プリム「…冗談よ。」

何に対してか、笑いが溢れる。

 

ドラコ「そしたらなんで断ったんだ?」

プリム「聞きたいの?そんなに」

ドラコ「ああ、聞きたいさ、そのドレスも、そのネックレスも…僕がパートナーじゃなきゃ勿体無いね。」

…気づかれた。気づいてた。それはそうだ…ドラコだから。

 

プリム「っ、ドレスは母上が用意したのよ。…断った理由を話すのはまだ早いわ。」

ドラコ「それはどういう…っ、」

恭史郎「プリム!…待たせたね。君、僕のパートナーになにか?」

恭史郎が駆け寄って笑顔で話す。怒ってる。

 

ドラコ「ああ、僕達は話してる途中なんだ。話を遮るなんて、随分とお偉いようだなシーカー殿。」

恭史郎「家柄はそこそこいいよ。有難いことにね。…ところで、君のパートナーはどこに行ったのかな?まさかパートナー無し?」

ドラコ「っ!、お前…」

プリム「やめてドラコ!」

ドラコが殴りかかりそうだったから、2人の間に立った。

 

 

恭史郎「ドラコ?…あー、君がドラコか。…プリムが言ってたよ。君って箒が上手いんだろ?…僕より上手いの?」

プリム「やめてったら!」

煽るように恭史郎が言う。…2人の影響か?苛つかせるのが上手くなってる。今は喜ばしくないが。

 

ドラコ「…プリムはお前に相応しくない。…くそ」

ドラコが舌打ちをして去っていく。

…なんでこんなことになったんだ。

 

_______________

 

プリム「なんであんな事いうのよ。」

恭史郎「僕は君のパートナーだよ?他の男がいたら追い払うだろ?」

…まったく。

 

プリム「馬鹿なんだから…」

恭史郎「僕一応金色のローブなんだけど?優秀なんだけど?」

プリム「はいはい…」

 

 

広間ではゆったりした曲が流れ始めるが、2人の口論の後で恭史郎と踊る気分ではない。廊下に出ると、ロンがハーマイオニーと言い合っているのが聞こえた。

 

ロン「君、利用されているんだよ」

ハーマイオニー「なんてことを言うの!…私、丸め込まれたりしないわ」

ロン「どうかな、向こうは年上だし」

ハーマイオニー「そんなこと考えてるわけ!?」

ロン「ああ、そうだよ」

ハーマイオニー「いい解決方法があるわよ」

ロン「なんだよ…」

ハーマイオニー「この次は他の人が申し込む前に申し込んでよ!最後の手段じゃなくて…!?」 

ロン「何言ってんだよ…勘違いもいいとこだぜ。…ハリー」

 

そこにハリーがやってくる。

ハーマイオニー「どこに行ってたの?…もういい!二人とも帰って寝れば!」

ロン「女って年々恐くなるよな…」

ハーマイオニー「どうして何もかも…無茶苦茶にするの!!」

ハーマイオニーは階段でしゃがみ、泣いていた。

 

 

恭史郎「…あの子、クラムの…大丈夫かな?」

隣の恭史郎のドレスローブを見て、いいことが浮かんだ。

 

プリム「…ねぇ、ちょっと、そのドレス ローブ貸してくれない?」

恭史郎「うん。…え?」

プリム「早く脱いで。」

 

 

 

その場で追い剥ぎはできなかったので、恭史郎と私は、宿泊しているマホウトコロの生徒の部屋へ行き、恭史郎は制服姿に着替える。

恭史郎「いいけど…絶対返してね!、全く何に使うんだか…」

プリム「内緒…あと靴も貸して。」

恭史郎「…」

 

_____________

 

私は恭史郎のドレスローブを借りて、近くの空き教室に入った。私はドレスを脱ぎ、借りたローブを着た。…ぶかぶかだ。

 

プリム「さて…早くしないとな…使わないと思ったけど。」

私は性転換薬の瓶を出す。

プリム「えっと…1時間だから、半分くらいでいいか。」

性転換薬を半分飲む。…吐き気がした。…そうか、身体が変化する薬は、吐き気を伴うんだ。大きかったローブが身体にあっていく。

 

プリム「…っぅ、軽く毒だな。っ!」

声を発すると、男性の声がした。ドラコより低い。変な感じだ。

 

プリム「…これは、なかなかの美男子になったな。」

持っていたコンパクトを開いて見ると、黒髪の美男子がいた。…複雑ではあるが、トムリドルと似ている気がする。目の色は違うが。

 

 

プリム「さて…急がないとな、パーティーが終わってしまう前に涙を晴らさないと。」

 

——————

 

 

 

階段下で、まだハーマイオニーが泣いていた。

ハーマイオニー「っ、…ぅっ、…」

プリム「…君に涙は似合わないよ。」

私は後ろからハンカチを渡す。

 

ハーマイオニー「…っ、ほっといて。」

と言いながらもハンカチを受け取るハーマイオニー。

プリム「ハーマイオニーは笑っていた方がいい。」

ハーマイオニー「っ!…ほっといてってば。誰なの!」

ハーマイオニーが後ろを振り向いて、驚いた表情をする。

 

ハーマイオニー「だ、誰?…私のこと知ってるの?」

プリム「ああ、よく知ってるよ。ハーマイオニーグレンジャー。…僕と踊っていただけませんか?」

私は純血一族直伝の、キザなダンスの申し込みをした。

 

ハーマイオニー「…悪いけど、気分じゃないの。それにあなたのこと知らないもの。」

プリム「僕のことは知ってる筈だよ?ずっと一緒にいたもの。…それに気分じゃないなら、変えればいい。」

ハーマイオニーの手を引いて広間に入った。…よかった、まだ音楽は終わってない。

 

ハーマイオニー「ちょっと…待って、あなたのこと本当に知らないわ。あなたみたいな知り合いならすぐわかるもの。」

プリム「本当に?ちっとも?…残念だな、僕はずっと太陽のような君を見てたのに。」

ゆったりした曲に合わせて、ハーマイオニーの目を見ながらリードして踊る。男性のパートが覚えられるくらい経験があることはラッキーだ。

 

ハーマイオニー「あなた…プリム?」

プリム「よかった、涙は晴れたみたいだね?」

ハーマイオニー「あなたその姿どうしたの?…ポリジュース薬ね?」

プリム「違うよ、性転換薬さ。面白そうだから父上から拝借したんだ。…役に立ったね?」

ハーマイオニー「でも、なんでそんなこと…」

プリム「ハーマイオニーは僕の大事な友達だから。…それにせっかくのパーティーを涙で終わらせるのは勿体ない。」

私はハーマイオニーの崩れかけた髪を耳にかけてあげた。

 

「ハーマイオニーと一緒に踊ってるの誰?」

「見たことないよな?ホグワーツ生?」

 

ハーマイオニー「やだ…皆集まってきたわ。メイク崩れてるのに…」

廊下にいた生徒が集まって、私達のダンスを見ている。

 

プリム「ハーマイオニーはそのままでかわいいよ。…ちょっと悪戯しようか。」

私をハーマイオニーの身体を回転させて、引き寄せ、顔に手を添えを近づけた。…たぶん遠くから見たらキスしてると勘違いするだろう。

ハーマイオニー「っ!ちょっと!」

プリム「やりすぎ?」

 

「きゃー!」

「凄いとこ見ちゃった…」

 

プリム「やっぱりやりすぎた。ふふ」

ハーマイオニー「あなた、髪伸びてきてる…」

プリム「しまった、もう時間だ…じゃあ、いい夢を!おやすみハーマイオニー」

私は伸びた髪を隠しながら、「きゃー!こっちに来たわ!」「彼、私と踊らないかしら!」とうるさい人集りをわけ走って、ドレスの置いてある教室に向かう。

プリム「ごめんね、通してくれ、急いでるんだ!」

まずい、薬が切れそうだ。髪が伸び続ける。

身体をねじ込んで、必死に人集りを後にする。

 

ドラコ「おい!お前これ落としたぞ!」

プリム「え?…あー、ごめん時間がないんだ。」

 

…この時コンパクトを落としたのを気づかなかった。

ドラコ「これ…あいつ…」

 

_________________

 

 

 

プリム「はぁ…美男子すぎるのもつらいな。はは」

性転換薬が切れかけていて、声が高く聞こえる。…ん?あれ?ない…、ない!

プリム「…っ、コンパクトがない!」

 

ドラコ「これを探してるのか?美男子殿。…いや、プリムだろ?」

気づくと、ドラコが後ろにいた。手には探していたコンパクトを持っている。

 

プリム「それ…どこに」

ドラコ「拾ってやったのに礼も言えないのか?」

プリム「あ、ありがとう。…それ返してくれる?」

ドラコ「駄目だ。」

…は?

 

プリム「…な、なんでよ。」

ドラコ「グレンジャーと踊るなら、僕と踊れ。じゃなきゃ返さない。元々、僕がプレゼントしたものだしな。」

プリム「…ドレスがないもの。」

ドラコ「おや?そこに置いてあるのは、ただの布か?」

…しまった、ちゃんと隠すべきだった。

 

 

プリム「わかった…着替えるから、外に出て。」

ドラコ「あ、ああ…」

ドラコが外に出たのを確認して、ドレスに着替えた。

 

プリム「…なんか今夜だけで、一生分踊った気分だわ。」

解いた髪は、魔法で纏めた。パンジー達ほど綺麗ではない。メイクも落としたからな。

 

 

プリム「…ドラコ、入っていいわよ。」

ドラコが教室に入ってくる。

ドラコ「…」

 

プリム「いまいちよね、メイクしてないし。髪も…」

ドラコ「綺麗だ。…今夜は特別に。」

プリム「え?」

ドラコ「…何度も言わせるな。」

お互いの顔が赤くなる。

 

ドラコ「僕と、ラストダンスを踊っていただけますか?」

ドラコが蓄音器に魔法をかけて、音楽をかける。そして丁寧に私にダンスの申し込みをする。

 

プリム「…はい、喜んで」

私達はいつものように一曲踊った。

 

 

ドラコ「で?なんで男のふりを?」

プリム「秘密。」

ドラコ「…じゃあなんで、最後は踊ってくれた?パートナーは駄目なのに」

プリム「秘密。」

ドラコ「…君、秘密が多くないか?」

プリム「女の子は秘密が多いのよ。」

 

音楽と私達のステップの音だけが鳴り響く。

ドラコが私をターンさせて引き寄せる。

顔が近い。…

 

 

プリム「ドラコ?…」

ドラコ「僕の秘密を話そうプリム。…君が好きだ。」

心臓の音が聞こえた気がした。

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