プリムローズが咲いた日   作:かぼちゃの馬車

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ドラコマルフォイの思想 7

______________ 8月25日

 

今日はクィディッチワールドカップの観戦日だ。すでに会場は沢山の魔法使いで溢れかえっている。今回はプリムのご家族と一緒に観戦することになっている。…そろそろ来る筈だ。

 

ドラコ「父上、母上、プリムを迎えに行ってきます。」

ルシウス「ああ、気をつけなさい。…それから失礼のないように。」

ドラコ「はい、父上。」

父上にネクタイを直されてテントをでた。

 

賑わっている通りを歩いてプリムの姿を探す。確か深いブルーのワンピースを着ていると言っていた。…道の先に深いブルーが目に入る。…心臓が跳ねた気がした。

 

 

ドラコ「プリム、ここにいたのか」

プリム「やぁ、ドラコ。元気だった?」

ドラコ「まぁね、こっちだ。僕のテントに案内しよう。…レオナルドさん、シルビアさんお久しぶりです。」

シルビア「ええ、久しぶりねドラコ」

レオナルド「プリムとは変わらず仲良くしてくれてるみたいだね?」

プリムの両親はプリムに似て不思議な雰囲気を漂わせている。学者だからだろうか、薬品の匂いも微かにする。高い香水の匂いと混ざって妙薬のように引き寄せられるようだ。

 

ドラコ「もちろんです。…みなさんもこちらです。」

テントへ案内すると、プリムは感嘆の声をあげた。…珍しいだろうか?…まぁ、感動されるのは悪くない。ほとんど父上の趣味だが。

 

ルシウス「おや、ドラコ…ああ、クロウリー殿お待ちしていました。」

ナルシッサ「どうぞゆっくりして行ってください。まだ試合まで時間がありますから。」

プリム「お久しぶりです、ルシウスさん、ナルシッサさん。お言葉に甘えさせて頂きます。」

 

それからプリムとは夏休みのことを話した。他愛もない話が心地よかった。

 

 

 

クィディッチワールドカップがまもなく始まる。会場に入るとウィーズリー達の声が上で聞こえてきた。…ポッターもいる。

 

ロン「凄いや、一番上の席だ。」

ルシウス「こうとも言えるな…雨が降れば真っ先に濡れる。」

ドラコ「僕等は魔法省の貴賓席さ。大臣じきじきのご招待でね」

ルシウス「自慢するなドラコ!…相手にする価値はない」

父上のステッキが腹部にあたって少し痛かった。…先に声をあげたのは父上なのに、あんまりだ。それにプリムの前で叱るなんて…あぁ、やっぱり気まずそうな顔をしている。…そんな顔で見ないでくれ。

 

 

会場はすでに大変な盛り上がりようだった、風船や紙吹雪が舞っている。シーカーの編隊が妙技を公開している。

 

日本のチーム、トヨハシテングは新しいシーカーを導入したらしい。…名前は覚えてないが、マホウトコロで前シーカーがその才能を見つけたと記事に載っていた。

 

プリム「父上、母上、日本のシーカーはやっぱり恭史郎です。」

プリムが両親に興奮しながら日本のシーカーを指差す。目が輝いている、僕の試合の時はそんな目…しないのに。

 

ドラコ「プリムの知り合いか?」

プリム「ああ、ほら、日本で箒が得意な子がいたじゃない?その子よ。」

ドラコ「な、なに?…そんなに若いのか」

あのシーカーは僕等と同じ歳ということか?…そんなに若いのに試合で追いつけるのか?怪しいところだ。

 

ファッジ「ようこそ、みなさま…大いなる喜びをもって、歓迎のご挨拶をさせていただきます。…第422回クィディッチワールドカップ決勝戦です。…それでは”試合開始”」

 

魔法省大臣の杖が振られ、杖の先から火玉が飛んでいった。

 

 

試合は思った以上に白熱した試合だった。ブルガリアのシーカー、ビクトールクラムは、しつこく付き纏われるもののブルガリアチームはブラッチングやコビングは当たり前のようにしていた、でも反則行為はクィディッチでは割と多い。

一方で日本のシーカー、五領恭史郎は稲妻のようなスピードに自在に方向転換する高度なバランス能力、それは…僕よりも、いやポッターよりも優れた技術だと感じた。ブルガリアチームの反則も物ともせず、華麗にスニッチを手にする瞬間はまさに花形選手だった。

 

結果は日本が260点ブルガリアは180点だった。

 

ドラコ「なぁ、プリム、恭史郎のあの稲妻のようなスピードを見たか?僕もいつかあれだけ飛べたらな…クラムの技も素晴らしかった!…試合には負けたけど、あそこまで研ぎ澄ますのは何年もかかるんだ、わかるか?」

プリム「…ええ、どちらも素晴らしかったわ。」

 

試合が終わってすぐ、僕はまだ熱が冷めずにプリムに話しかけたが、聞いてるのか聞いてないのかわからない顔だ。

 

ドラコ「それにしても、恭史郎が僕等と同じ歳だなんて信じられないな。」

プリム「…そうね。」

プリムがふと立ち上がり父上に話しかけた。

 

プリム「ルシウスさん、少しお話が」

ルシウス「ああ…なんだね?」

父上は先程から具合が悪いようだった。顔が青白い。

 

プリム「…左腕を見せてください。

ルシウス「…なに?…何故左腕を?

プリム「…失礼します。…っ!やっぱり…

ルシウス「…っ、見たな。

プリム「…大丈夫です、誰にも言いません。もう時間がない。…失礼しますね。

何を話しているのか聞き取れなかった。けど、2人共何やら深刻な表情を浮かべている。父上に至っては…プリムを殺しそうな眼差しで見つめていた。覚えがある、ポッターに対する眼差しだ。

ドラコ「…」

たまにあることだ、珍しくはない。

 

…と思っていると、プリムが急に父上と僕の腕を掴んだ。プリムの両親は母上の腕を掴む。…急になんなんだ。

 

ドラコ「おい、プリム、何するんだ!…何をする気だ!…聞いてるのか!?」

プリム「…」

…プリムが僕の話を無視して…姿現しをした。視界が歪んで身体もぐるっと回った感じがした、とても…気持ちが悪いがここは堪える。…そこは海辺で、近くに大きな屋敷が聳えていた。…我が家に似たような雰囲気を感じる。

 

ドラコ「…ぅ、」

ルシウス「こ、ここは…君姿現しが?」

少し遅れて母上とプリムのご両親も現れた。

 

プリム「みなさん…こちらへどうぞ。ご招待します。」

今まで何も無かった場所に急に建物が現れて、プリムがその先へ招く。…プリムが怪しい笑みを浮かべている気がした。

 

 

プリム「さて、みなさん。第二のクロウリー家へようこそ。我々はみなさんを歓迎します。」

ルシウス「…なんのつもりなのかね?」

ドラコ「…」

父上に続いて入ったが、第二のクロウリー家だと?…どういう意味だ?いや…先程の屋敷が本館か?クロウリー家は多大な財産があると聞いた、ありえるな。

 

プリム「突然連れて来てしまったので、混乱されているでしょう。しかしご安心ください、ここは誰にも見つからない。そういう結界を張っていますので。」

ドラコ「結界?」

ナルシッサ「なんなの?どこなのここは」

 

プリム「落ち着いてください。全てお話ししますから。…時間がないので、要約いたしますが。今魔法界では大きな動きがあり、死喰い人が動き出しました。闇の帝王は時期に復活するでしょう。」

ナルシッサ「そんな…」

ドラコ「まさか…ありえない」

ルシウス「…」

変な屋敷に招かれたと思えば、プリムが信じられない事を話し始めた。…しかし父上が黙って聞いている。何故だ?…どういう事だ?

 

プリム「ここは闇の帝王が復活した時の為に、破れず、見つからず、強力な結界を施した隠れ家です。…招待されないと入れません。そして、場所を知ったみなさんはこの家に関して口外した場合、苦しみながら死ぬことになるでしょう。」

僕達は固唾を飲んで静かに聞いた。

 

レオナルド「信じられないかもしれないが、家に関しては本当だ。プリムが日本で学んだ魔法陣型結界を少し組み替えて、この家に施した。」

な…なに!、なら僕達は今脅迫されているようなものだ。

ドラコ「なんでそんな危険な家に僕達を入れたんだ!」

僕はレオナルドさんの襟を掴んだ。

 

 

プリム「マルフォイ家を守るためです。闇の帝王は自分の為に、如何なる犠牲を払っても目的を成し遂げようとします。犠牲を犠牲だと思わない彼に救いを求めても救ってはくれない。死喰い人も数ある駒のひとつとして扱うでしょう。」

ルシウス「…」

ドラコ「僕達になんの関係があるっていうんだ。」

信じる信じないにしても、僕達には関係ない話だ。なにしろ純血一族だからな、闇の帝王が復活したところで狙われることはない。

 

 

プリム「マルフォイ家は由緒ある純血一族ですから、闇の帝王は手に納めて置きたがる。だから、私はマルフォイ家がそちらへ行く前に、同盟を組みたい。我々は帝王にも、ダンブルドアにもつかない。どっちつかずの二重スパイのような感じですかね…いかがですか?まぁ、この家に入った時点で答えは決まっているのですが。」

ルシウス「…」

…なるほど、プリムの考えはありえる話だ。それでもし、駒の一つとして扱われるとする…いい気分ではないな。…だが、プリムに何ができる?結界を施した家をシェルターとして使うのか?…たかが未成年魔法使いと、学者達の集まりに何ができる?何もできないだろう、闇の帝王の力の前では。

 

 

プリム「あ、マルフォイ家のみなさんのことですから、こんな小娘に何ができるとか思っているでしょう?」

…っ!

 

プリム「…今は2つの指輪によって魔力を抑えていますが、ひとつ外しますと…」

レオナルド「プリム駄目だ!」

シルビア「よしなさい!」

 

プリムの両親が血相を変えて止めようとするが、言うことを聞かずに指輪らしきものを外した。

瞬間床に亀裂が走り窓ガラスが割れ、部屋は荒れる。僕達はレオナルドさんが咄嗟に放った守護呪文で守られた。…なんという魔力なんだ。…プリムはこんな力を持っていたなんて。

 

プリム「…とまぁ、こんな風になりますので、抗う力くらいはあるかと思います。どうぞご安心ください。」

 

プリムは指輪をはめ、何事もなかったかのように部屋を戻す。…ご両親に叱られながら。

 

 

 

ルシウス「…いいだろう、そもそも答えはひとつしか用意されてない。」

プリム「では、決まりですね。我々は必ずマルフォイ家をお救いします。組織名は…そうですね…第三の眼なんていかがでしょう。」

ルシウス「…私はなんでも構わない。」

父上はプリムの手を掴み契約をするように握手をした。

 

プリム「第三の眼は、クロウリー家、マルフォイ家、そしてアリエッタロリスが今のメンバーです。」

ルシウス「っ、汚れた血も招いているのか」

プリム「アリエッタは特別なのです。…そうですね、私の共犯者というか。…まぁ、それはどうでもいいですね。」

 

プリム「では、これで話は以上です。お戻りいただいて結構ですよ。なにか聞きたい事は?」

ルシウス「…結界を破る方法はないのか?」

プリム「ひとつありますよ、術者である私の血です。でも時が来るまで結界は解くつもりはないです。」

父上は何か考えた顔をした。

 

 

プリム「…結界を解こうとしているならやめた方がいいですよ。ドラコが死喰い人になる未来から救おうとしてるんですから。

プリムが父上の耳元で何か囁くと、視線を僕に向けた。

 

ドラコ「父上?」

ルシウス「…帰るぞ。」

 

プリム「ではマルフォイ家のみなさん、絶対にこの家に関しては他言しては駄目ですよ?待っているのは…死ですからね。」

…フン、僕の家より立派な屋敷だ。もちろん皮肉だ。

 

 

我が家へ帰宅すると、重苦しい空気が漂った。

ドラコ「父上…プリムの話、本当だと思ってらっしゃいますか?」

ルシウス「…ああ、お前にはもう話すべき事かもしれない。…クロウリー家が知っていることだ、遅かれ早かれお前の耳にも入るだろう。」

ナルシッサ「…あなた、まだドラコには早すぎます。」

ルシウス「いや、早く知らねば…ドラコの身にも危険が及ぶかもしれん。」

ドラコ「…何の話です?父上、母上。」

父上と母上は僕をまっすぐ見つめてくる。

 

父上は左腕を捲り、しるしを見せた。…死喰い人の印だ。

 

ルシウス「私は、死喰い人だ。…あの方に仕えている。プリムクロウリーが話したことは本当だ。印が濃くなっている…あの方はもうじき復活なさるだろう。」

 

僕の父は死喰い人だった。

 

ドラコ「…っ、」

ルシウス「プリムクロウリーは予言者かもしれない、未来のことも知っているような口振りだった。…クロウリー家は我々を守ると言っていた、殺す気ならあの場で殺せた。その力があるからな。…ドラコ、あの方に気をつけろ、我々はあの方に抗えない決して。目の前で仲間が殺されても、家族が殺されても動じてはいけないのだ。…もし、もしも望みがあるとするなら…プリムクロウリーが我々を守ってくれるかもしれないということだ。」

プリムクロウリーの側にいろ、と父上が肩を掴んでまっすぐ見つめてきた。

 

ドラコ「はい…父上」

 




本編である「プリムローズが咲いた日」不死鳥の騎士団編に入る前に、「ドラコマルフォイの思想」を数話ほど投稿致します。本編「プリムローズが咲いた日」を楽しみにされている読者の皆様申し訳ございません!どうか引き続き次話の投稿をお待ちいただけると嬉しいです❁⃘*.゚
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