プリムローズが咲いた日   作:かぼちゃの馬車

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魔法使いになる前 4

 

________1年後

5歳になった。

そして今日は、クロウリー夫妻が迎えに来てくれる日だ。

5年もいた孤児院を去るのは寂しいものだ。

 

荷物はそんなにないけど、トランクに詰めてみると意外にもいっぱいになる。

 

クレア「寂しくなるわ。プリムがいないと。」

抱き締められる。

プリム「クレア。つまらない話ばかりしてごめんね?」

クレア「ほんとよ!プリムって子供らしいこと何もしないんだもの!…でもそれがプリムなのよね。」

プリム「ふふ、クレアしか私のことわかってくれる人いないわ。手紙書くわね。」

クレア「もちろんよ。手紙は毎週書いてね!」

もう一度抱き締めて部屋を出る。

 

プリム「ペネロピ。」

部屋を出るとペネロピが佇んでいた。

ペネロピ「…ちゃんと挨拶しないと、院長に怒られるのよ。」

プリム「ペネロピ、私ペネロピのこと好きよ。」

ペネロピ「っ!当たり前でしょ。私は子供に好かれるタイプなのよ。」

プリム「…ぇ。そうだったかな?」

ペネロピ「なによ…」

プリム「んーん、手紙書くねペネロピにも。」

ペネロピ「ちゃんと綺麗に書かないと読んであげないわよ。」

プリム「ふふ、わかった」

抱き締めて手を振った。

 

マリア「プリム!」

マリアが駆け寄り、まだ身体が小さな私を抱き上げた。

プリム「マリア!マリア…」

沢山感情が溢れてくる。

涙も溢れてくる。

マリア「プリム、泣いては駄目よ?クロウリー夫妻がご心配なさるわ?」

マリアは泣いている私の頭を優しく撫でる。

プリム「…うん。マリア、私のこと忘れないでね?…」

マリア「忘れないわ、プリムは私の娘みたいなものだもの。手紙の書き方はわかる?」

プリム「うん。私、頭がいいの。」

マリア「ふふ、そうだったわね。…さぁ、院長とクロウリー夫妻がお待ちだわ。いってらっしゃいプリム。」

抱き上げた私を下ろす。

プリム「うん…マリアまたね。また会いにくるからね。」

マリア「ええ…待ってるわプリム。」

マリアの熱を、マリアの香りを忘れないように強く抱き締めた。

涙を拭って、孤児院を出た。

 

プリム「お待たせしました。」

院長「遅いわよプリム。…忘れ物はない?あなたの私物を残されても困りますからね。」

プリム「はい、私の物は少ないので。これだけです。」

小さなトランクを片手に上げてみせる。

院長「手紙の書き方はわかりますね?」

プリム「え?あ、はい。わかります。」

院長「…マリア達が寂しがるのでね。」

院長は、前よりもだいぶ穏やかになった。

相変わらず嫌味っぽい口調だが。

 

シルビア「プリム!みんなに挨拶はしましたか?」

プリム「はい。シルビアさん。」

シルビア「あら、シルビアさんってずっと呼んでちゃ駄目よ?私はあなたのママになるんだから。」

プリム「あー……はい。母上?」

院長の前だ、ママなんて呼べない。

 

シルビア「んー…ちょっと違うけど…まぁ許すわ!」

レオナルド「…なんだ?2人とも何を話してたんだ?」

シルビア「プリムったら、私のことまだシルビアさんって呼んでたから、ママって呼んでって話してたのよ。」

レオナルド「じゃあ、私のことはパパと」

プリム「……あの、恥ずかしいので、父上で勘弁してください。」

レオナルド「…シルビアはママなのに!」

シルビア「ふふ、私も母上だったわよ。安心してレオ。」

レオナルドさんは、なんだそうなのかという表情をした。

院長は気まずいのか、咳払いをした。

シルビアさんがレオナルドさんの事を肘で突いている。

 

……そういえば、ここからどうやってアメリカまで行くのだろう。ほうきは、無理がある。飛行機?魔法使いが?

 

ちょっと歩くと海沿いに……ティーポット。

花柄のティーポットがある。

あー…なるほどポートキーか。

 

レオナルド「さぁ、これを見るのは初めてだね、プリム?」

プリム「ティーポットですね。見たことありますよ。」

シルビア「あら、ただのティーポットじゃないのよ?」

プリム「…?」

何を言ってるんだという表情をした。

演技は上手くないが、表情をつくるのは上手くなってきたんじゃないかと自負している。

 

シルビア「これは、ポートキーといってね。特定の位置に移動ができるのよ。これは私達の家と此処にね。」

レオナルド「最初は姿現しを使ってたけど、プリムには危険だからね。作っておいたんだ。」

姿現しって危険なのか。ルダ…。なんてことをしたんだ。

 

レオナルド「さぁ、ティーポットに触れて。我が家にプリムをご招待しよう。」

ティーポットに3人の手が触れ。

瞬間、景色がぐるぐると回った。

目が回りそうだ。

 

プリム「…うっ!」

地面に叩きつけられた。

柔らかい芝生だ。もう海の匂いがしない。

シルビア「あら、吐かなかったの?プリムはやっぱり強いこね。」

プリム「…これくらいは大丈夫です。」

2人は優雅にゆっくりと降りてきた。

初めて見たときからお金持ちそうな身なりだと思ってたが、目の前の光景が推測を確信に変える。

 

プリム「…っでかい」

生唾を飲んでしまった。おもわず。

凄い豪邸だ。ご貴族かな。クロウリー家って。

レオナルド「クロウリー家にようこそ。プリム。」

シルビア「プリム·ウルバッハ·クロウリー。あなたの新しい名前。そして由緒ある魔法使いクロウリー家の1人になるのよ。」

…ご貴族だ。絶対そうだ。

なんだかとても面倒くさそうだ。

 

 

 

_______1年後

 

クロウリー家の娘になってから、1年が経った。そして1年でいろいろあった。

 

シルビアさんは魔法動物学者で、今はドードー鳥の調査をしている。透明になれるから調査が長引くらしい。

レオナルドさんは、いつも魔法薬学の研究を家でしている。イルヴァーモーニーでたまに教えているらしい。

クロウリー家はご貴族か何かだと思っていたが、純血一族だったらしい。

とは言っても、シルビアさんとレオナルドさんは古典派な考え方はもっていない。

それは腑に落ちた。

古典派な考えなら私を養子にしない。

……そしてシルビアさんは、イルヴァーモーニーの創設者、イゾルトセイアの遠縁の血族にあたるらしい。

シルビアさんにはスリザリンの血筋を絶やす為の一族の呪いが出ており子供が出来ない身体だったのだが、周りの古い純血一族の圧力に耐えかね私を養子にとったのだそうだ。

純血一族なんてどこまでが本当に純血なのか定かでないなと思った。

 

私の見た目が2人に似ていたこともよかったが、開心術で私が生まれてまもないうちに強い魔力を放った姿を見て、魔女であることがわかった為、養子として迎えたという。

確かに、私の瞳はレオナルドさんに似た琥珀色だし、髪はシルビアさんに似た黒髪だ。

世間には実子として伝え愛情を沢山注いで育ててくれている。

とてもありがたい。

_________

 

 

プリム「母上…ちょっと庭で遊んできます。」

シルビア「ええ…プリムは肌が白いから、本を読んでばかりでは駄目よ?」

レオナルド「学者の君が言うのか?変な話だ。」

プリム「母上、肌が白くて綺麗だよね。」

シルビア「まぁ!褒めるのが上手ね。プリム。レオも見習って頂戴?」

レオナルド「僕はいつも君に愛を伝えてるからね。」

プリム「……」

気まずいから、隙をみて庭に出た。

 

さて…

プリム「誰と話そうかな。」

 

カサカサ…

 

…ん?…蛇か。んー、まぁいっか。

プリム「あなたは名前はなんて言うの?わたしはプリム。」

蛇「…蛇舌か?…珍しいやつ。」

プリム「…お名前は?」

蛇「ローナ…」

プリム「ローナ!綺麗な名前ね!」

ローナ「変なやつ…ローナなんて珍しい名前じゃないさ。」

 

シルビア「……プ、プリム…あなた蛇と」

プリム「…母上」

ローナ「…じゃあ、失礼するわよ」

 

蛇は去ってしまった…私とシルビアさんを残して。

 

________

その夜ヴォルデモートの子ではないかと2人で話していた。

 

もちろんギフトのせいである為、蛇舌ではない。

仕方なく蛇以外の動物と話せることをバラすことにした。

 

「……!!…っ!」

2人の話はよく聞こえないけど、だいたいはわかる。私のことだ。

 

ゆっくり扉を開けた。

 

プリム「…母上、父上。話をしてもいいですか?」

シルビア「…ええ、問題ないわ。今話が終わったところよ。」

プリム「私…蛇と話せます。それはもう知ってますよね?」 

レオナルド「…ああ、シルビアから聞いたよ。」

プリム「実は…蛇以外の動物とも話せます。信じてくれないと思って秘密にしてました。」

レオナルド「他の動物?例えばなんだ?」

プリム「今まで話したのは、小鳥とか。カエルとか。いろいろです。」

 

シルビア「…そんなことってありえるの?レオナルド」

レオナルド「わからない…でも魔法が影響しているのは間違いないと思う。」

プリム「…私やっぱり変な子なの?」

不安そうな表情をした。

ギフトだから話せてるだけで、そんな深い話じゃないんだけど。

 

シルビア「変な子なんかじゃないわ。プリムは魔法使いだもの。不思議なことが普通なのよ?」

優しく抱き締められた。

レオナルド「…恐らく、プリムが小さい時に大きな魔力を持っていたから、可能なことなのかもしれない。」

シルビア「もういいわ、レオナルド。プリムはプリムだもの。私達の娘。愛しい子。それに変わりはないわ。」

プリム「母上…」

強く抱き締めた。

シルビアさんが頭を撫でる。

レオナルド「…そうだな。プリムはプリムだ。私達の愛しい娘。」

レオナルドさんが私とシルビアさんを優しく抱き締めた。

 

疑惑はでたものの、2人は愛情を絶やすことなく変わらず育ててくれている。

私は2人が好きだ。血が繋がっていなくても、本当の家族だと思えるのは2人が愛情深く育ててくれたからだと思う。

 

_______ 4月27日

今日は6歳の誕生日だ。

クロウリー家に来てから初めての誕生日。

盛大に祝ってくれるらしいのだが、どうやら純血一族の集まりもあるらしい。

…面倒くさそうだ。

 

レオナルドさんによれば、私の顔を見たい人が沢山いると。

…前言撤回、絶対面倒くさい。

 

シルビアさんが選んでくれたドレスを着せられながら、孤児院のみんなからのバースデーカードを読んでいた。

プレゼントはみんなで選んでくれたらしい。

辞書みたいに分厚い本だ。

“子どもの心理と成長”

…センスがいいな。

 

“プリム!6歳の誕生日おめでとう!

びっくりするニュースを教えてあげるね。

なんと、プリムがアメリカに行った後、私も養子にとってくれる人が来たのよ!

絵のことを沢山褒めてくれたわ!

プリムもクロウリー夫妻と仲良くね!

 

あなたの親友 クレア”

 

“6歳の誕生日おめでとうプリム

あなた小さい時は可愛くなかったけど、成長したら可愛くなったのかしら?

写真くらいよこしなさいよ。

手紙ばかりじゃ面白くないわ。

 

ペネロピ”

 

“プリム、6歳の誕生日おめでとう。

私のかわいいプリム。もうあれから1年なのね。時が経つのは早いわね。あなたがいないと、とても寂しいわ。

クロウリー夫妻とは仲良くしていますか?

アメリカで友達は沢山できましたか?

動物とばかり話しては駄目よ?

 

マリア”

 

…写真撮らないとなぁ。

 

プリム「母上…家族写真を撮りたいのですが、いいですか?孤児院のみんなに送りたいのです。」

シルビア「ええ、もちろんよ!髪を整えたら3人で撮りましょう!」

 

_________

 

びっくりするほど人がいる。純血一族ってこんなにいるのか。どこにいたんだよ。

アメリカだけか?…マルフォイもいたりしてな。はは。

 

プリム「……」

シルビア「ふふ、緊張しているわねプリム」

プリム「…あ、いや、人が沢山いるから…」

…なにぶん本と動物がお友達だったので。

 

レオナルド「緊張することないぞ、私達の娘なのだから、堂々としていい。」

シルビア「それは女の子として品がないわ。レオナルド」

プリム「……父上と母上の側にいてもいい?」

シルビア「もちろんよ、あなたはまだ6歳だもの。…同じ歳くらいの子なんて、イギリスのマルフォイ家の子だけね。でも古典派だからあまり深く関わらない方がいいわ。」

…なに!?…マルフォイいたのか。イギリス代表みたいな純血一族だもんな。おかしくはないか。…推しだけど、ちょっと今は会いたくない。…貴族らしい振る舞いは身についてない。完璧な姿で会いたかったのに。

 

とかなんとかプチパニックになってたら。

悩みの種が目の前にいた。

 

プラチナブロンドがキラキラと視界に入った。黒いドレスローブを纏っていて威圧感があった。…マルフォイ家だ。

 

レオナルド「これはこれは…遠いところを来てくださるとは、ルシウス。娘のバースデーパーティーへようこそ。心より歓迎しよう。」

ルシウス「レオナルド…こちらこそお招きいただき感謝するよ。…ところでご息女にご挨拶したいのだが?どちらに…」

レオナルド「あー…失礼した。…プリム、ご挨拶なさい。こちらはルシウス·マルフォイ殿で遠方のイギリスから来てくださった。」

 

…レオナルドさんの後ろに隠れていたが、どうやらそうもいかんらしい。

 

プリム「…イギリスから…私の6歳の誕生日をお祝いに来てくださり、有り難う御座います。本日、6歳になりました。プリム·クロウリーです。」

よろしくお願いします。とゆっくりお辞儀をした。

 

…うまく挨拶できてなくても、子供だから、許してくれ。と願うことにした。

ルシウス「とても礼儀の正しいご息女だな、レオナルド。プリム殿、私はルシウス·マルフォイ。…そしてこちらは息子のドラコ。…ドラコ、ご挨拶を。」

ドラコ「…ドラコ·マルフォイです。プリム殿6歳の御誕生日おめでとう御座います。心よりお祝い申し上げます。」

お辞儀をして彼が顔を上げた。

スカイグレーの瞳が私を視界にいれた。

…プラチナブロンドがキラキラと輝いた。

会いたかった登場人物に会えたことが嬉しかった。凄く綺麗な子だと思った、見惚れてしまった。

 

ナルシッサ「子供同士で遊んできてはいかが?ドラコ」

シルビア「それがいいわ、プリム。ドラコと庭で遊んでらっしゃい。」

…しまった見惚れてボーッとしてしまった。

どんな会話をしていた?

プリム「あ…はい、母上。ドラコ殿…庭はこちらです。行きましょう。」

私は彼の細い手首を掴む。離れないように。

彼の手首は女の子みたいだった。

人混みを抜けて庭に出る。誰もいない。

2人だけだ。

 

プリム「パーティーは息苦しいね、ドラコ。」

私は彼の方を見て微笑みかけた。

 

ドラコ「…」

プリム「どうしたのドラコ?具合悪い?…あ、私のことはプリムって呼んでね。同い年?でしょ?」

ドラコ「具合は悪くない。それとまだ僕は6歳じゃない…6月に同じ歳になる。」

プリム「ふーん。じゃあ学年は一緒か。さて、何をしようか。庭で遊べなんて酷いよね、私の誕生日なのに。」

ドラコ「子供だから仕方ないさ。それに大人達は、プリムの顔を見たらそれで満足なんだよ。」

プリム「そうなの?どうして?」

ドラコ「君は由緒あるクロウリー家の子だ。顔を覚えてもらう為に挨拶をする。そして縁をつくる。それが目的だからな。挨拶が終われば君は普通の子供と変わりない。」

プリム「…酷いねそれ。一族の顔を見たのは、今日が初めてだったから知らなかった。ドラコは何度もご挨拶してるの?」

ドラコ「5歳の誕生日の時に挨拶したさ。…でもあれは縁作りの為。僕の為じゃないと気づいたね。」

…ドラコはやっぱり頭がいいし、勘が鋭い。

 

プリム「ねぇドラコ。ちょっと悪いことしない?」

ドラコ「…悪いこと?」

プリム「ふふ、ドラコも私と同じこと考えてると思って。」

ドラコ「…どういうことだ?」

プリム「大人達に、自分が居ないように人形のように扱われるのが嫌なんでしょ。」

ドラコ「…」

プリム「ドラコは箒に乗れる?」

ドラコ「…ああ、一応な。練習中だが。」

プリム「よかった。私乗れないから任せるね。」

ドラコ「待て!何をしようとしてるんだ。」

プリム「…大好きな父上の箒を盗んで、飛んでみようと思って。庭で遊べっていうんだから、間違ってないよね?」

ドラコ「…箒に乗るのは危ないんだぞ、大丈夫なのか?」

プリム「んー、それはドラコ次第。それに、しちゃいけないことをするのってドキドキしない?」

こっち!とレオナルドさんとシルビアさんの箒が置かれている小屋に案内する。

 

…鍵がかかってる。

 

ドラコ「…鍵がかかってるんじゃ、作戦失敗だな。杖がなきゃ魔法は使えない。」

プリム「私、杖がないって言った?」

ドラコ「っ!?あるのか?」

プリム「ない。」

ドラコ「……」

プリム「でも開け方ならわかるんだ。頭がいいから。」

ドラコ「…それ、自分で言うと信憑性がなくなるぞ。」

まぁ、みてなって。と腕をまくって。鍵穴に手をかざし、ゾクッとする感覚を思い出した。

 

“Alohomora”(開け)

 

ガチャッ

 

プリム「やった!成功した!」

ドラコ「…君いったい何者なんだ。」

プリム「名前忘れたの?プリムだよ?」

ドラコ「そうじゃない!杖がないのに魔法を使うなんて!ありえない!」

プリム「杖を使わない魔法使いもいるわよ。」

ドラコ「なに!? そうなのか、どこにいるんだ」

プリム「わたし」

ドラコ「……」

ドラコの視線がちょっと痛い。

 

プリム「さて!鍵が開いたし、ドラコ。あなたの出番よ。」

ドラコ「待て。練習中だと言っただろ。これは…クリーンスィープだ。僕はコメットに乗ってる。」

プリム「うん、だから?」

ドラコ「…箒が違うとどうなるかわからない。」

プリム「でもこれ、乗りやすいって言ってたから大丈夫だと思う」

ドラコ「…うまく乗れなくても笑うなよ?」

プリム「なんで笑うの?乗れるだけ凄いじゃない。わたし乗れないからドラコに頼ってるのに。」

ドラコ「…っ、」

 

ドラコは頬を染めて、箒に跨った。

やっぱり大人用だから、サイズは合ってないようにみえる。

 

地面を蹴ってフワッとドラコが浮かんだ。

10m…20m…

高く高く飛んでいる。

 

スピード感はないけど、安定して飛べているみたいだ。よかった。

 

しばらくしてドラコが空から降りてきた。

ドラコ「プリムも後ろに乗りなよ。たぶんこの箒なら乗せて飛べそうだ。」

プリム「えっ…いいの?でも…私、ほんとに乗ったことないの。危ないからって。」

ドラコ「おい、箒の楽しさを知らないなんて、魔法使いじゃないな?それに危ないことはドキドキするんだろ?」

プリム「そうだけど…」

ドラコ「僕は君の共犯者だ。乗らなきゃいけないよ。」

プリム「…わかったよ。」

私は箒に跨って、ドラコの背中に抱きついた。

汗とドラコの香水なのかムスクのような香りがした。引き寄せられるような気がした。

ドラコ「手を離すなよ?絶対に」

プリム「うん、わかってる」

ドラコは地面を蹴って、箒が浮かんだ。

 

…凄い。魔法使いみたいだ。

いや、魔法使いなのだが。

 

風が心地よく頬を撫でる、ドラコがゆっくり飛んでるからだ。ムスクの香りが強くなる。…スピードを出したらどうなるんだろう…どんな感じなんだろう…

 

プリム「ねぇ、ドラコ」

ドラコ「っ…なんだ?」

耳元で話しかけたから、ドラコの耳が赤くなった。

 

プリム「もっとスピード出せる?」

ドラコ「…しっかり捕まっておけ。」

 

ビュンッとさっきよりも数倍早いスピードだ。風がうるさい。

凄く早い。

プリム「ドラコ!箒って楽しいのね!」

ドラコ「やっと魔法使いになったな。」

 

…やっぱりドラコは箒に乗るのが上手い。

 

しばらくして、パーティーが終わって私達を探していたレオナルドさん達に見つかって、怒られてしまった。

でも凄い楽しい経験をしたから、満足だ。

やっぱり危険なことはドキドキする。

 

プリム「ドラコ凄いね、あんなに早いスピード出せるんだもの。クィディッチの選手になったら?」

ドラコ「…クィディッチの選手は僕より、もっと早くて凄いさ。」

プリム「そんなことないよ、私の中ではドラコが1番早い!」

ドラコ「それは…初めてだからだろ?」

プリム「でもまた乗りたい。乗せてくれる?」

ドラコ「どうだろうな、君のご両親の怒りが収まれば乗せてあげるよ。」

プリム「やった!約束よ?」

私はドラコを強く抱き締めて、またね?と別れた。

 

…それにしても、6歳でドラコに会うなんて思いもしなかったし最初は緊張したけど、いい思い出ができた。推しはやっぱり尊い。

 

ん?

…6歳?

…もう6歳!?

しまった。やりたいことを忘れていた。

 

_______

 

プリム「父上、母上…誕生日プレゼントの件なのですが。」

シルビア「ふふ、ええ、もう用意してるわ!」

 

ゴトゴト…

箱が動いている…

 

プリム「…」

…視線をレオナルドさんに向けたが、気づいてないふりをされた。

 

レオナルド「わたしは本人に好みを聞いてからの方がと言ったんだが、シルビアが聞かなくてね。」

 

…おそるおそる箱を開けた。

……鳥?

 

グァァ!!

 

シルビア「かわいいでしょ!オーグリーの子供よ!」

プリム「…ありがとうございます、母上」

さすが魔法動物学者というべきか。

…オーグリーがプレゼントなんて想像もしていなかった。

 

グァ!!

……確か不死鳥だよな。アイルランドの。

いいんだろうか、私のペットで。なつくだろうか。

 

首ら辺を優しく触ると気持ち良さそうに目を閉じている。案外かわいい。

 

プリム「ところで父上、父上からのプレゼントは?」

プレゼントは?なんて図々しく聞いたのは訳がある。

前の記憶の中で、やりたかった事があるのだ。

 

レオナルド「あー、オーグリーは気に入らなかったかい?」

プリム「いえ、オーグリーは母上からのプレゼントです。父上からではありません。」

レオナルド「…すまない、オーグリーは私達2人からのプレゼントだったのだが…」

プリム「では、お願いを聞いてくださいませんか?」

レオナルド「あー、いいよ、お願いってなんだい?なんでもいいなさい。誕生日なんだから。」

プリム「なんでもいいんですね?では…日本に行ってマホウトコロに通いたいです。」

レオナルド「……なんだって?」

プリム「日本に行ってマホウトコロに通わせてください。」

レオナルド「…」

シルビア「…」

オーグリー「グァッ!!」

 

静まった部屋にオーグリーの鳴き声が響いた。その日の夜は雨が降った。




米国純血一族 
父 魔法薬学研究者 レオナルド・クロウリー/ 母 魔法動物学者 シルビア・クロウリー(故イゾルトセイアの遠縁の血筋)
2人とも古典的な純血主義ではない。シルビアにはスリザリンの血筋を絶やす為の一族の呪いが出ており子が出来ない身体であるが、周りの純血一族の圧力に耐えかねプリムを養子に取る。プリムの見た目が2人に似ていたこともよかったが、開心術でプリムの生まれてまもないうちに強い魔力を放った姿を見て、魔女であることがわかった為、養子として迎える。世間には実子として伝え愛情を持って育てるが、ある日蛇と話す姿を見つけてしまいヴォルデモートの子ではないかと悩む。ギフトのせいである為、純粋な蛇舌ではない。疑惑はあったものの、2人は愛情を絶やすことなくプリムを育てる。共に、アメリカのイルヴァーモーニー出身。実子ではないがプリムはシルビアに似た髪、レオナルドに似た目の色をしている。
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