プリムローズが咲いた日   作:かぼちゃの馬車

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マホウトコロの話 4

 

_________1989年4月27日

1年間研究やら鍛錬やらを続け、今日わたしは9歳を迎えた。マホウトコロでは3年生になり、青色のローブは緑色になった。

 

知識も格段に増えている、ギフトのおかげだが、知識だけでいえばもう図書室へ通わなくてもいいくらいだろう。

 

レオナルド「プリム、ちょっときなさい。少し話がある…」

レオナルドさんは少し暗い顔をしていた。

シルビア「プリム…マホウトコロはどう?」

プリム「どう…というと?学校生活は充実していますよ。友人もいますし、勉強も楽しいです。」

シルビア「そう…やっぱり、そうよね」

レオナルド「プリム…今から言うことは、そんなに深く考えなくていい、プリムの素直な気持ちを聞きたいからね。」

プリム「…どうしたんですか?」

シルビア「私の仕事については、分かるわよね?」

プリム「はい、魔法生物学者です。」

シルビア「…ドードー鳥の調査をしていると知ってるわね?」

プリム「はい、知ってます。」

2人は伝えたいことを言いづらそうにしている。

シルビア「…ドードー鳥がイギリスで目撃された情報があってね、学者としては今すぐに飛んで行きたいの。でも、ドードー鳥の調査は長期になるわ。…だから、プリムはイギリスへ行きたい?」

私の様子を伺うように見つめている。

これはもしや…ホグワーツへ行けるのか?

 

プリム「…マホウトコロはとてもいい学校です。日本という国も、そこまで悪くないです。」

レオナルド「…シルビア、やはり諦めよう。学者としての探究心はわかるが…」

プリム「ちょっと待ってください、全てを話してません。…確かにマホウトコロはいい学校です。でも、私は母上の探究心も理解しています。それに私にはイギリスに会いたい人がいますし…ホグワーツにも興味があります。」

シルビア「…無理していない?」

プリム「友人がいるので寂しくはなりますが、何かを得る為には何かを犠牲にしなくてはいけません。イギリスへ行きたいのは本心です。」

シルビアさんが、ごめんなさいねと言って私を抱き締めた。

プリム「でも、ひとつ条件があります。…ホグワーツには卒業までいたいのです。」

 

____________

 

 

その日の学校は騒がしかった。

先ず、誕生日を祝う言葉をかけられ、プレゼントもたくさん貰った。それはいい。嬉しいから。

 

日本を近いうちに離れると思うと伝えた。それが騒ぎの原因である。

 

恭史郎は泣いている。男の子なのに、情けないぞと言いたい。

恭史郎「プリム…僕達、っ卒業ま、で一緒だと、思ってたのに…」

泣きながら話すから聞き取りづらい。

賀茂「寂しくなるわ…いつ頃離れるの」

プリム「わからない…聞いてないけど、来年…それより前かもね、魔法生物の調査に行くんだ。」

そう遠くないわね…と明星は気が沈んでいる。

プリム「2人とも、暗くならないでよ。」

恭史郎「プリム…さ、びしく、ないの?」

寂しくない、訳じゃない。2人とも何の隔たりもなくできた友達だ。日本は物語に関わりが少ないから自分勝手にやれた。でも、目的がある…自分にも。だから…これは好機なことだ。

プリム「2人が私の分も悲しんでくれてるからね、私はもう平気。」

2人を強く抱き締めた。

賀茂「私、離れても忘れてあげないわ。あなたは私のライバルで、親友だもの。」

プリム「そうだね、私のライバルは明星で女の子の親友は君だけだ。」

恭史郎「僕だって…忘れないし、手紙も送るから!」

プリム「手紙は私が送るわ?…その方が安全でしょ?」

そうだね…と恭史郎は泣き止んでいた。

プリム「それと、恭史郎にはお願いがあるの。」

恭史郎「え?僕に?…な、なに?」

プリム「…恭史郎は、箒の才能があるわ。だからいつか選手になってくれたら…そしたらワールドカップとかで観戦できるかなって」

ちょっとした思いつきだ。もし選手になってくれたらまた、会えるかもしれない。

恭史郎「わかった…僕頑張るよ!」

ポートキーで会えると思いついたこともあったが、それは利用されたら2人も危険になると気付いたのでこれは論外だった。

 

 

 

 

 

____________1990年8月

 

ドードー鳥の情報が出てから、シルビアさんは慎重に、信憑性のある情報かとかイギリスへ行く準備とかでなんだかんだ1年ちょっとが過ぎた。

 

レオナルド「プリム!準備はできたかい?今回はポートキーを使えないんだ、マグルの移動手段で行くよ。乗り遅れてはいけない。さぁ、急いで!」

シルビア「魔法ってほんとに便利よね、プリムに言われたからポートキーは使えないけど、マグルの移動手段も珍妙で面白いわ!」 

私達は飛行機に乗っている。

2人にはポートキーはなるべく使わないで欲しいと言った。マグルが使ったり、悪巧みをしている人が使ったりして友人を危険に晒したくないと伝えておいた。嘘ではない。

 

プリム「…もう、走れん。」

私の欠点として、体力がない。運動はめっぽう駄目だ。かと言って食べるわけでもないので、肉付きはよくない。

 

倒れ込むように席についた。

 

シルビア「まぁ…こんなに汗をかいて、ふふ」

シルビアさんが優しく汗を拭いてくれる。

レオナルド「プリムは体力がないな、運動しなきゃ駄目だぞ?貧弱者は虐めの対象になってしまう。」

シルビア「レオ!プリムは虐められないわよ、他国でも友達のできる子なのよ?」

…2人だけだが。

プリム「運動は無理のないようにします…」

ホグワーツに行ったら、友達は作るべきなのだろうか…自分の弱点が増えてしまうだけではないだろうか…そう答えのでない疑問を沸々と考えていた。

 

 

____________

 

イギリスの自宅は、海沿いだった。

懐かしい気がした。

 

プリム「懐かしい感じがする…」

レオナルド「プリムは海沿いの孤児院にいたからね、この場所にしたんだ。」

家は相変わらず大きく立派だった。

 

ビーテ「プリム、僕は前より、こっちの家の方がすき。」

プリム「ビーテはアイルランドの不死鳥だからね」

大きく成長したビーテは、検知不可能拡大呪文がかかったトランクから出て飛び立つ。

ニュートスキャマンダーより素晴らしいトランクではないが、ビーテが窮屈しない大きさの空間はある。

 

シルビア「プリム、実はプレゼントがあるの。10歳の誕生日、私達忙しくて祝ってあげられなかったでしょ?だから特別なのを用意したわ。」

…砂浜に古びた本。まさか…。

プリム「これ、ポートキー?…どこに繋がるんです?作ったら駄目って言ったのに。」

レオナルド「ああ…だからこれは、一回使ったら破壊するさ。場所はお楽しみ。」

…3人でポートキーに触れた。

 

グワンと視界が歪む。

…今度は絶対地面に強打してたまるものかともがいたが、無駄だった。

 

プリム「っう、」

砂浜だ。ちょっと口に砂が入った。

2人は優雅に着地していた。

羨ましい。私も優雅に着地したいのに。

 

プリム「…どこだここ。」

懐かしい匂いだ。

もしかして…もしかして。

 

シルビア「プリム!気をつけるのよ!あなた走るのは苦手なんだから…」

シルビアさんの心配する声がした。

でも、振り向いて応答する時間も惜しかった。

 

プリム「っ、やっぱり…」

”オードルファス孤児院”

見たことのある看板だ。

見たことのある施設。

 

マリア「……プリム?」

2階の窓が空いて、懐かしい人の声が聞こえた。

プリム「っ、マリア!」

思わず大声でその人の名前を叫んだ。

ずっと会いたかった人、早く触れたくて、早くあの温もりに抱き締められたくて、勢いよくドアを開けた。

廊下の先にマリアがいた。

 

マリア「そんな…ほんとに、プリムなの?」

駆け寄って強く抱きついた。

変わらない温かさに包まれた。

プリム「マリア…会いたかった…」

マリア「ああ、プリム…私もよ。あなたにどれほど会いたかったか。…大きくなったわね?いくつになったの?」

プリム「10歳だよマリア。ペネロピはいるの?」

マリア「ええ、もちろんよ。呼んでくるわね?」

そう言って奥の部屋へ行った。

シルビアさんとレオナルドさんはすぐ後に孤児院へ入った。

シルビア「プリム、プレゼント気に入ってくれた?」

プリム「もちろんです!今までで最高のプレゼントです。ありがとうございます、父上、母上。」

レオナルド「シルビアが考えたんだ。僕が家を建てた後にそれならってね。プリムの喜ぶ顔が見れて嬉しいよ。」

 

ドタバタと階段を降りてくる音がする。

クレア「プリムが来たってほんと?」

プリム「本当だよ。クレア」

クレアが勢いよく抱きついてくる。

クレア「私、ずっとあなたを待ってたのよ、いつか来てくれるって」

プリム「うん、待っててくれてありがとうクレア。」

 

ペネロピ「…もう、嘘でしょ?日本に行ったのよ?」

マリア「本当よ、ほら。」

話しながらマリアがペネロピを連れてくる。

プリム「やぁ、ペネロピ。」

ペネロピ「…」

開いた口が塞がらないとはこういうことだな。

 

院長「なんの騒ぎですか一体…」

騒ぎを聞きつけて院長先生が来た。

レオナルド「オードルファス院長、お久しぶりです。連絡をせずに突然押し掛けてしまい申し訳ございません。イギリスに住むことになりましたので、立ち寄らせていただきました。」

シルビア「ずっとプリムも皆さんに会いたがっていましたから…」

院長「…ご連絡をくだされば、此方も歓迎の準備をしましたのに。紅茶とクッキーをお出し致しますので、ゆっくりしていってください。」

シルビア「ありがとうございます。プリム、皆さんきっとあなたと話したいことがいっぱいあるわ。ゆっくり話してらっしゃい。」

プリム「…はい!」

 

 

 

クレア「でね、ペネロピってば、プリムのことばかり話すのよ。あの子だったらもっと物わかりがよかったとか、日本でうまく過ごしているかしらとか。」

ペネロピ「ちょっと!それはクレアもでしょ?クレアはね、プリムに会いたくて週末は必ず泊まりに来るんだから。近所なんだから来なくてもいいのに!」

プリム「ふふ、みんな元気そうでよかった。手紙あまり送れなくてごめんね?」

ペネロピ「いいのよ、きっと日本が楽しくて私達のことなんか忘れてたんでしょ?」

プリム「忘れたことなんてないよ、日本が楽しいのは間違いではないけど。」

マリア「プリムは、今どこに住んでいるの?近く?」

プリム「んー…海沿いだけど、たぶん景色が違うから離れてると思う。」

マリア「そうなのね…」

クレア「近くなら会いに行けたのに。」

 

 

昔のこと、最近のこと日が暮れるまでずっと話していた。

 

レオナルド「…プリム、そろそろ帰らないといけないよ。」

プリム「はい、父上…」

クレアが強く抱きつく。

クレア「また、来てくれるわよね?」

プリム「…どうだろう、わからない。」

きっとこれから危険になる。巻き込みたくはない。

マリア「プリムを困らせては駄目よ、クレア。…会えるときに会いに来ればいいわ。でしょ?」

プリム「うん…」

ペネロピ「…手紙は時々寄越すのよ?」

プリム「ん、わかった」

みんなを抱き締め孤児院を離れた。

 

 

シルビア「プリム…別れるのは、寂しい?」

プリム「はい…でも、これから魔法の世界に深く関わります。マリア達には危険ですから。」

シルビア「そうね…」

レオナルド「別れはつらい。…でもこれから出会いも増えるだろう。」

プリム「はい…父上」

 

ポートキーで家に戻り

使えないように破壊した。

 

プリム「父上、そういえば思ったのですが、私はホグワーツに通えるのでしょうか?」

レオナルド「それについては話してあるよ、何も問題はない。元より君は孤児院で魔法を使っただろ?ホグワーツには間違いなく通えるよ。」

ああ…魔法を使うと名前が登録される、みたいなことがあったような。それか。

プリム「そうだったのですね、なら、よかったです。ドラコに手紙を出したいので、フクロウをお借りしますね。」

レオナルド「ああ、構わないよ。自由に使いなさい。」

我が家のフクロウはアルファというメガネフクロウだ。

 

“親愛なるドラコ·マルフォイ殿

 

10歳の誕生日お祝いできず申し訳ございません。

実は、日本から離れイギリスへ来ました。

母上の、ドードー鳥の調査で来ることになりました。モーリシャス島にいるドードー鳥がイギリスでも見られることがわかれば大発見です。

ドラコはホグワーツに通うの?私はホグワーツに通うことになったわ。もし、一緒なら嬉しいな。

 

プリム”

 

プリム「アルファ、ドラコに届けて」

アルファ「かしこまりました。」

 

アルファが飛び立つ。

 

さて…

部屋に鍵をかけ、変身術に関する本を開く。

 

プリム「…動物もどき。」

過去の記憶から、やってみたいことがひとつあった。アニメーガスになること。

これは難しい魔法でジェームズポッター達も習得に数年かかったものだ。

 

プリム「杖も呪文も必要ない。これは使いこなせれば便利だ。…どうせなら人を守れるような力強い動物がいいんだけど。守護霊みたいなものなのかしら。」

牡鹿や、犬、ネズミ。姿にはいろいろあるみたいだから、特に縛りはないのだろう。

 

プリム「…なりたいもの。具体的に。」

生物の図鑑を広げて考えていた。

何になりたいかと考えていると、アルファが窓をつついた。

 

プリム「…早いな。ドラコの家は近いのかな。」

アルファ「返事を授かりました。」

プリム「ありがとう、アルファ」

 

“親愛なるプリム·クロウリー殿

 

イギリスへ来たって本当かい?

今はどこに住んでいるんだ?

君の母上の調査は難しそうだな、応援している。

それと、僕もホグワーツに通う予定だ。

同じ学校に通えると思うと楽しみだよ。

 

誕生日については、6月に僕と君の11歳の誕生日を我が家で祝わないか?父上にはもう話したから、近くに招待状が届くだろう。

 

ドラコ”

 

ま、マルフォイ家に…ご招待された…

 

プリム「ち、父上!母上!大変です!」

シルビア/レオナルド「何事なの!?/何事だ!?」

 

 

 

_________1991年5月

 

私は11歳を迎えた。そして無事ホグワーツから入学許可証も4月に届いたのだが、今はそれよりクロウリー家には大事なことがあった。

 

シルビア「もう、マルフォイ家も自由気儘よね。私達の方が身分としては上なのに。あ、これは差別じゃないのよ?ただマルフォイ家が余りにも自分勝手だから身分を出したの。」

レオナルド「まぁ、我々もドラコの誕生日をお祝いできていないんだ、お互い様だろう。」

プリム「私は、ドラコに会えるなら嬉しいですよ。」

シルビア「女の子は準備に時間がかかるのよ!好きな子に会うなら尚更ね!」

プリム「好きな子ではないですよ。母上」

シルビア「あら?ふふ、誤魔化しても駄目よ?女の勘は当たるんだから。」

 

そう、マルフォイ家から11歳の誕生日パーティーに招待され、今はドレスを仕立てにきている。ドレスはマグルの方が綺麗に仕立ててくれると、母上が一番気に入っている仕立て屋に来た。

 

仕立て屋「お嬢ちゃんは、色白で髪が黒いから、この青いドレスが映えるだろうね。」

そう言って青いドレスを合わせる。

悪くない、光にあたると金にも見える。綺麗だ。刺繍も細やかに施されていて、本当に綺麗なドレスだ。

プリム「…綺麗だけど、私には合わないわ。」

シルビア「いいえ!プリムにぴったりな綺麗なドレスよ。私はこれが気に入ったわ。」

プリム「もっと地味な方が私は好きです。」

シルビア「駄目よ!地味なドレスなんて、あなた11歳になったのよ?5歳や6歳とは違うの、綺麗な姿を見せなくてはもったいないわ。」

プリム「…でも、こんな綺麗なドレス」

シルビア「これにするわ!このドレス以外は買ってあげませんからね。」

プリム「…では、父上にも見せてからで。」

シルビア「いいわ、そうしましょう。レオ!どう?プリムのドレス」

シルビアさんはネクタイを見ていたレオナルドさんを連れてくる。

レオナルド「…僕は、ドレスについてはあまりわからないけど、プリムに似合っているよ。」

シルビア「ね?レオもこう言ってるわ?」

プリム「…そうですね、なら、これにします。」

綺麗だけど、もったいないと思った。私が着るより、もっと綺麗な子が着た方が映えるだろうに。

 

 

 

 

 

_________1991年6月

 

シルビア「プリム?ドレスは着れた?」

プリム「はい、母上」

シルビア「まぁ…やっぱりプリムにぴったりだわ、そのドレス」

プリム「そう…かな」

シルビア「ふふ、きなさい。髪を結ってあげるわ。」

シルビアさんは杖を使って髪を編んでいく。

プリム「母上は、久しぶりに会う友人に、どういう顔を見せますか?」

シルビア「そうね…とっても仲のいい子なら、きっと抱きついてしまうかもね。でも貴族なら、挨拶をして、昔の話や最近の話をして笑いあうんじゃないかしら?」

プリム「私は、ドラコにどんな顔を見せればいいのかわかりません。」

シルビア「あら、ふふ、緊張しているのね?大丈夫よ、あなたは賢くて強くて優しい子だもの。それにとってもかわいい!だから、あなたらしく、そのままでいればいいのよ?」

プリム「…嫌われないでしょうか、何年も会ってないのに」

シルビア「心配ないわ、縁とは不思議なものでね、何年も会ってなくても、つい最近のことのように感じるものよ。」

シルビアさんは、見てプリム、あなたとってもかわいいわ。と鏡を見せた。

プリム「…別人みたい。」

シルビア「それと、これで仕上げね。」

シルビアさんは、ジュエリーケースを出して、イヤリングとネックレスを私に付けた。

シルビア「これはね、私がちょうどあなたくらいの時に付けたの。魔法がかかってるから、今も綺麗なままでしょ?」

プリム「…とっても綺麗」

ダイヤモンドがキラキラとひかり、ネックレスは中央に黒い宝石が輝いていた。

プリム「母上の髪と同じ色ですね。」

シルビア「そうね?あなたとも同じだわ。」

コンコンと部屋をノックする音が鳴る。

レオナルド「レディー達、準備はできたかい?」

シルビア「ええ、今出るわ。」

ドアを開け、レオナルドさんの前でくるりと回った。

プリム「父上…どうですか?」

レオナルド「プリム、とても似合っているよ、今日は一段とかわいい。」

私は少し照れ臭くなった。

シルビア「レオ、私のことは?」

レオナルド「ああ、君は僕の眼にしか映したくないほど綺麗だよ。マルフォイ家の眼に入るのがもったいない。」

ふふ、ありがとうとシルビアさんも照れている。

レオナルド「さぁ、レディー達、マルフォイ家を待たせてはいけない。そろそろ出よう。マルフォイ家がポートキーを作ったみたいだから、そこへ向かうよ。…どうやら盛大にしたらしい。純血一族らしいね。まったく。」

レオナルドさんは、自分が派手なことをするのは好きだが、他人の事は違うみたいだ。

 

街中へ出て、路地裏へ入ると、割れた手鏡の前で止まった。恐らくこれだろう。

 

レオナルド「プリム、僕と手を繋いで。ドレス姿で転んではいけないからね。」

それは、ごもっともだ。お言葉に甘えよう。

 

手を繋ぎポートキーに触れる。

グワンと視界が歪む。もう慣れた感覚だ。

 

プリム「…マルフォイ家様だな。ほんと。」

でかい屋敷が目の前にあった。映画より綺麗で大きい気がする。

シルビア「私達の家より広いみたいね。」

レオナルド「…帰ったら家を大きくしよう。」

プリム「え、父上、もう十分では?」

レオナルド「いや、クロウリー家としては、マルフォイ家に負けていられない。」

勝ち負けなのか?これは。

 

マルフォイ家の門を潜り、玄関をノックすると、ドビーが迎えてくれた。

プリム「こんばんわ、招待されたのだけど、わかるかしら?クロウリー家よ。」

ドビー「く、クロウリー様ですね、クロウリー様が来たら、ドビーはすぐにご主人様にお伝えしなければいけません。」

パチンと指を鳴らして消えてしまった。

奥の広間には沢山の人が集まっている。

玄関で待っていていいのだろうか。

レオナルドさんを見つめた。

レオナルド「ルシウスが来るだろうから、待っていよう。」

シルビア「玄関で待たせるなんて…」

 

ルシウス「…広間にお通しするのが先だ、使えないやつめ。」

ドビー「申し訳ございません!」

うぅっ!とドビーが呻いていた。屋敷しもべから自由になるのはちょっとあとだ。今はつらいと思うが、ハリーが助ける。

ルシウス「私の屋敷しもべが無礼をしてしまい、申し訳ない。…クロウリー家のみなさん、歓迎します。息子の誕生日パーティーに来てくださりとても嬉しい限りだ。」

ナルシッサ「…広間には皆さん集まっていますわ。どうぞゆっくり楽しんでくださいな。」

レオナルド「屋敷しもべの無礼は気にしてないよ、ルシウス。娘プリムも11歳だ、一緒に祝えてこちらも嬉しいよ。」

プリム「ご招待くださり有り難う御座います。ドラコ殿の11歳の誕生日心よりお祝い致します。」

シルビア「ドラコ殿は、ホグワーツにご入学だそうですね、娘もホグワーツなの。仲良くできたら嬉しいわ。」

ナルシッサ「ええ、ぜひ。ささ、広間へどうぞ。」

プリム「あの、ドラコは…」

ルシウス「ああ、ドラコは後から来るよ。プリム殿と一緒に広間へ来るように伝えている。」

…目立つ!すこぶる目立つぞそれは!

プリム「では、ドラコを待ちますので、みなさんはお先に。」

レオナルド「ああ、では広間で待っているよ、プリム。」

 

 

沢山の人が広間へ入っていく。階段下で待ってると、足音がした。

ドラコ「…プリム?」

プリム「やぁ、ドラコ。11歳の誕生日おめでとう。」

ドラコは黒いドレスローブ姿をしていた。マルフォイ家って黒好きだよね。まだ幼い顔立ちだけど、似合っている。

ドラコ「ああ…待たせてすまない。君こそ、誕生日おめでとう、プリム。」

プリム「ありがとう、黒いドレスローブ似合うね?」

ドラコ「…君も、綺麗だ。」

ハリーには毒を吐くのに。なんか毒が抜けたドラコには調子が狂う。

プリム「あ、ありがとう。そういえば、ホグワーツに通うんでしょ?」

ドラコ「ああ、プリムもだろう?」

プリム「そうよ、入学許可証が届いたの。」

ドラコ「僕も今朝届いた。ホグワーツでは、寮をわけるのは知ってるかい?」

プリム「ええ、あなたはスリザリン?それともレイブンクロー?」

ドラコ「スリザリンだろうね。父上もそうだから。」

プリム「私はどこだろう。日本では青龍だったわ、でも友達と一緒がいいって望んだの。だからだと思うわ。」

ドラコ「…じゃあ、ホグワーツでもそうしたらいいさ。僕と…いや、なんでもない。」

プリム「…そうね、ドラコと一緒ならいいな。」

 

ドラコ「もう行かないといけないな、父上と母上を待たせている。」

そういって、ドラコが手を出してエスコートしてくれた。

 

 

 

 

プリム「…やっぱり苦手だ、人が多いのは。部屋に篭りたい。」

純血一族の集まりなんてろくなもんじゃない。ましてや、純血主義を高々に掲げているマルフォイ家贔屓の家ばかりだ。きちんと挨拶をしないといけないし、気を張ってばかりだ。

これからスリザリンになる人もちらほらいた。ドラコの周りにはビンセントクラッブ、グレゴリーゴイル、あと少し離れたところにはセオドールノットがいた。

私とさっきまで話していたのは、パンジーパーキンソン。パンジーは今はダフネグリーングラスと話している。私の記憶は映画の知識がほとんどで小説の方はそんなにない。どうやら、11歳には読みづらかったらしい。つまり小説よりの世界なら、不安しかない。

 

プリム「…にしても、ほんとに知った名前ばかりだな。」

???「知った名前?知り合いが多いの?」

独り言を聞かれて驚いた。人気のない壁に寄ってたから気づかなかった。

プリム「…あなた誰。」

ブレーズ「僕はブレーズ·ザビニ。ブレーズって呼んでくれ。プリム。」

プリム「私あなたに名前言ったかしら。」

ブレーズ「いや?でも知らない人はいないだろ。このパーティーの準主役だしね。それにクロウリー家って有名だろ?」

プリム「さぁ、自分の家のことはあまり知らないの。」

ブレーズ「ところで、知った名前が多いって聞いたけど、君イギリスは初めてだろう?なんで知ってるんだい?」

しまった。あまり聞かれてはいけないことだ。

プリム「ドラコが教えてくれたのよ、名前や家柄は覚えておくべきってね」

ブレーズ「ああ…ドラコね。あいつなんでも話すからな。」

うまく逃げられたか。よかった。

ブレーズ「プリム、僕は君に少し興味がある、もっと君について聞かせてくれないか?」

プリム「え…あ、いいけど、話すことなんて何もないわよ?」

ブレーズ「日本へ行ったそうじゃないか、その話をぜひ聞きたいな。」

プリム「な、なんで知ってるのよ。」

ブレーズ「ドラコが話してるのを聞いた。」

プリム「…」

 

 

 

 

ブレーズ「日本ってなんだか珍妙だな。」

プリム「そう?礼儀正しくて私は好きよ。」

ブレーズ「そうなのか?僕のイメージと違うな。」

プリム「あなたのイメージはわからないけど、私は実際行ったからわかるわ。」

ブレーズ「今、日本の魔法使える?」

プリム「使えるけど、未成年は使えないでしょ?」

ブレーズ「大丈夫だよ、マルフォイ家は特別だから。」

プリム「特別って?」

ドラコ「魔法を使ってもいいことになってる。父上が使った魔法として処理されるんだ。」

ドラコが後ろから聞こえるように話しかけてきた。

ブレーズ「やぁ、ドラコ。せっかくプリムと話してたのに割って入らないでくれないかな。」

ドラコ「僕の誕生日パーティーだ。僕と話すべきじゃないか、ブレーズ。」

わぁ…一触即発って感じかな。

プリム「ドラコ、魔法を使えるの?」

ドラコ「ああ、使っても大丈夫だ。日本の魔法を見せてくれるのか?」

ブレーズ「ドラコはプリムと仲がいいから、もちろん見たことあるんだろ?」

ドラコ「…ない」

プリム「ああ…その、大したことないけど、簡単なやつなら見せるわ。」

 

“変化の術…大蛇”

プリム「どうかしら?…」

 

ブレーズ「プリム、君動物もどき?」

ドラコ「大きな…蛇だ」

 

プリム「よかった、成功して。」

変化を解く。

プリム「これは変化の術。動物もどきじゃないわ。変身術と似てるかもね。でも杖は使わないの。言葉も話せるわ。」

ブレーズ「でも、似てるな。動物もどきと。」

ブレーズは、あまり面白くないといった感じの顔だ。

プリム「…んー、じゃあ、式神術は?ドラコは知ってると思うけど。」

ドラコ「ああ…手紙のやつか?でもどんな魔法かはわからない。」

 

“我に従い、我に仕えよ”

夢喰い獏を出す。

 

獏「プリム、ここはどこじゃ?日本ではないな?」

プリム「ここはイギリスだよ」

 

ドラコ「…カバ?」

ブレーズ「魔法生物が、突然現れた?」

プリム「違うよ、私が呼び出したの。」

 

獏を式札に戻す。

プリム「元はこの式札。」

 

ドラコ「奇妙な魔法だな。」

ブレーズ「な?日本って珍妙だ。」

プリム「さっきのは夢喰いって言って、夢を喰う妖怪。私が使役してるから、だいたいのことは言う通り動いてくれる。」

ブレーズ「プリムといると楽しいことが起こりそうなのはわかった。」

ドラコ「…プリムは優秀だからな。」

 

プリム「あ、そうだ。ブレーズちょっとドラコと2人で話したいんだけどいいかな?」

ブレーズ「…構わないよ。」

ドラコと庭に出た。

 

ドラコ「どうしたプリム、話したいことって?」

プリム「ドラコ、約束。覚えてるよね?」

ドラコ「約束?…」

プリム「忘れたの?箒!乗せてくれるでしょ?」

ドラコ「ああ!…もちろんだ。ちょっと待ってろ、箒持ってくるから。」

 

 

 

プリム「これが、ドラコの箒?かっこいいね?」

ドラコ「…そうか?普通の箒だぞ?」

プリム「さ!乗せてくれるんでしょ?ずっと楽しみにしてたんだから!」

ドラコ「ああ…ほら、後ろに乗れよ。」

ドラコが箒を跨ぎ手を引く

抱きつくとき背中が広く感じた。

プリム「…ドラコ成長したね、前より背が伸びた?」

ドラコ「当たり前だろ、君を乗せたのは何年も前だ。」

捕まってろ、と言って飛び立つ。

風が頬を撫でる。

ムスクの香りが鼻をくすぐる。

あの時と同じだ。

プリム「私、恭史郎にも後ろに乗せてもらったことあるの。」

ドラコ「…ああ、日本の箒が得意だってやつだろ?僕よりも上手いのか?」

プリム「さぁ。クィディッチとかのことならわからないよ。でも、私はドラコの箒の方が好きだなぁ。なんか、心地がいいんだ。」

ドラコ「そうか…ならいい。」

プリム「ねぇ、もっとスピード出して?」

ドラコ「…落ちるなよ?」

 

ビュンと風が強くあたる。

鼻先が冷たく感じる。

 

プリム「すごい速いよ!ドラコ上手くなったね?」

ドラコ「君からスニッチをもらったからな。」

 

ドラコと初めて会った時、綺麗だと思った。

たぶんこれは…この感情は…

でもドラコは、パンジーやアストリアと一緒にならないといけない。知ってるのは、そういう話だ。

私はこれ以上、深く関われない。水面下で守らないといけない。

…そのときまで。時が来るまでこのひと時を楽しみたい。

プリム「…ずっとドラコと箒に乗っていたい。」

小さく吐いた言葉。

ドラコ「?…なんか言ったか?」

プリム「ドラコと箒に乗るの楽しいって言ったの」

ドラコ「それは光栄だなプリム嬢」

まだ幼いドラコには、私の抱いている気持ちなどわからないだろう。

どうか、気づかれずに散れますように。

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