ジムチャレンジ、セミファイナルで敗退した私は、パートナー達とのんびり暮らそうと思う 作:村上シズク
3話目書き上がるのは…いつになるかな…。
「はぁー、終わったぁー。私ほんとに人に教えるのって向いてないなぁ…」
ジムトレーナーの育成という仕事の後、肩を落としながら家の裏の崖に立つシズク。
そこで溜息をついてから、腰につけた六つのルアーボールを海に向かって投げた。
そこから元気に飛び出したパートナー達は大きな水しぶきを上げながら着水し、こちらを見る。
「みんなお疲れ。自由に休んでていいよ。ご飯が欲しかったら窓に水飛ばしてね」
そう言うと元気に鳴いて、思い思いに泳ぎに行った。
その様子を微笑みながら見送り、家に入る。
朝少し残しておいた刺身を取り出し、バターで焼いてから皿に移す。そして残ったお米を茶碗によそって炊飯器の電源を切り、スマホロトムを操作しながらのんびりと食べる。
食べ終わってから食器を流しに移し、今日一日分の使った食器をまとめて洗い始めた。
全て洗い、洗剤を流そうと水道から水を流した時、スマホロトムから着信音が鳴って、それを聞き流しながらシズクは今日何度目になるのか分からない溜息をついた。
「…はい、もしもし」
『あ、シズク?これから行ってもいい?』
電話の相手はユウリであった。最近はいつも夜に電話かけてくるのである。
溜息をついてから、相手をする。
「仕事は?」
『終わっt』
「嘘だね。ユウリがちゃんと終わらせるわけが無い」
『ちょっ、酷くない!?ねぇ!聞いてた!?終わらせるわけないって!!』
『まあチャンピオンの行動を知ってる人からしたらそうでしょうね』
『な、みんなしてもう!!終わったよ!!終わったでしょ!?』
『えぇ、今日は珍しく終わりましたね』
『ほら聞いた!?終わったの!』
なんだか必死に誤解を解こうとしているユウリ。なんだか面白くて黙って聞いていたらこちらに誇るように言ってきた。
「へぇ、珍しいこともあるんだね。明日は雪かな?オーロラやハマグリが喜びそう」
『なんで!?私だって頑張れば終わるの!!』
「じゃあいつも頑張ってください」
『たまに頑張るから褒められるんでしょ?』
「それをリーグ関係の人がいるとこで言えるのは私は尊敬するよ」
『なにそれ、……あ、違うの、いつも頑張ってるよ?いつも頑張ってます。だからそんな怖い顔しないで下さいお願いします』
…電話越しに土下座をするユウリの姿が想像出来てしまって、思わず笑ってしまった。
「それで?要件はなんだっけ?ユウリ」
『うぅ…酷いよぉ…。ほら、ちゃんと仕事したらお話聞いてくれるんでしょ?だから会いに行きたいなぁって』
「恋人?」
『違うよ!?』
「…まぁ、いいけど。ご飯ないよ?」
『大丈夫。行きながらどこかで買ってくから。今日天気いいし星見ながら話をしようよ。みんなもいるでしょ?』
「分かった。じゃあ私も飲み物とか買っとくよ」
『お願い〜。じゃあ今から向かうねー』
そう言ってユウリは電話を切った。
「…さて、飲み物買いに行く前に洗い物終わらせないとね。洗濯もしなきゃ。…いや、明日の分の服はあるから洗濯は明日でいいかな。後はユウリはみんなと遊ぶだろうしマリンスーツも用意しなきゃかな。夜の海は肌寒いからユウリの分も上着を用意して…と」
どこか抜けている所があるユウリを思い浮かべながら、微笑みつつ急いで準備をするのであった。
ドアをノックする音が聞こえてくる。
きたか、と思い駆け足でドアに向かい、開けてユウリを出迎えた。
「いらっしゃいユウリ。今日は歓迎するよ」
「ありがとー。つまめるものとかも買ってきたよ〜」
「ありがとね。すぐ裏行く?ご飯食べてからなら温めてあげるよ」
「じゃあご飯食べてからにしよっかなー。はいお弁当。温めお願いしまーす」
「お願いされましたっと。じゃあ座ってゆっくりしてて〜」
はーい、と言いながら椅子に座ってテーブルに突っ伏し、だらけながらスマホロトムを操作するユウリを見て微笑んでから、渡された弁当を電子レンジに入れて温める。
「あぁそうだ。ユウリ」
「んー?」
「海入ってみんなと遊ぶでしょ?マリンスーツ用意しておいたから後で着といてね。服の下にでも」
「ありがとー!泳いでいいの?」
「海の波の様子を見てからだけどね。まぁ荒れててもシャークンやカロちぃいるし溺れる心配はないけど、念には念を、ね。オーロラは私しか甲羅に乗せたがらないし」
「やったー!!波落ち着いてるといいな〜」
雑談をしつつ待っていると、電子レンジが温め終了の音を鳴らして止まった。
温まった弁当と家にある箸をもってユウリに持ってってあげると、ありがとうと言ってから弁当を食べ始めた。
「…ご馳走様でしたっと」
「じゃあこの弁当は捨てておくね」
「ありがとー。おなかいっぱいだぁ〜」
椅子の背によしかかってお腹を摩っているユウリを横目に、弁当の容器を水で洗ってから捨て、箸も洗って食器カゴに入れる。
それから飲み物を持ってユウリの元へ行き、渡してあげた。
「ありがと!シズクは可愛いし良い奥さんになりそうだなぁ〜」
「なにそれ。きもいよユウリ」
「えへへ〜、そう思っただけ〜」
そんなことを話しながらユウリの愚痴を聞き、かれこれ一時間位たった頃、ユウリはマリンスーツに着替え始めた。
「そろそろ行く?」
「うん。上から服も着たほうがいい?」
「寒いしそうしときなー。上着もあるから羽織ってね」
「はーい」
「おぉー、海って広いなぁ」
視界を埋める大海原に思わずそう言うユウリに笑って、なにそれと言いながら崖のふちに座った。
それに続いてユウリも座り、足を揺らしながら袋からお菓子を取り出した。
「星も綺麗だね〜」
「少し街から離れてるからね。小高い所にある分、星がよく見えるでしょ。少し辺鄙な所にあるからか家賃もやすいし、この時間は電車も通らないから快適なんだ〜」
そう言いながらも家から持ってきた飲み物をユウリに手渡して、シズクも飲む。
喉を潤してから改めて海に目をやり、水面で揺らめくようにオーロラが佇んでるのを見ながらぼーっとした。
「…なんか、不思議だよね〜。私とシズクがちゃんと話したのって、セミファイナルの決勝戦が初めての筈なのに」
「ほんとだね〜。私からしたらびっくりしたよ。この家契約して引っ越した当日に、まさか押しかけてくるなんて。家の場所、ルリナさんに聞いたんだってね」
「うん。家の場所知らなくてあちこち見てたらルリナさんが来て。この家紹介したのルリナさんだってね〜」
「そうなんだよね。帰ってきてからルリナさんと仲良くなってさ。ほんとにありがたかったなぁ」
そう言って思い出すのは、セミファイナルの後の事だ。
ユウリがファイナルリーグを勝ち抜き、元チャンピオンとのバトルを観戦したあと、清々しい気持ちで帰ってきてそのまま親に一人暮らしをすると言ったのだ。
最初は戸惑った親だったが、物件は一人で選ぶ事、家賃などは払うが食費などは自分で稼ぐことを約束し物件探しを始め、いい家を探して不動産屋を巡っていた時、偶然ルリナさんと会ったのだ。
そこで水タイプで手持ちを埋めている事に嬉しかったのか話しかけてきてくれて意気投合し、物件で迷っていることを打ち明けると今の家を紹介してくれた。
条件として時々ジムトレーナーになることを提示されたが二つ返事で飲み、この家に引っ越してきたところをユウリが押しかけてきた。
「しかしほんとに何事かと思ったよ。わけも分からず相手してたら永遠愚痴ってきて、追い出してやろうかと思ったよね」
「えっ、そんなこと思ってたの!?ひっどいなー!私は話しやすいからって逃げ込んだのに…」
「酷いって…、正当な評価だと思うんですけど…」
「でも追い出さなかったよね。シズクって。私が言うのもなんだけど、損な性格してると思うよ、シズクは」
「ほんとにあんたが言うのか」
「えへへ〜」
溜息をついた。そんなシズクに、でも、と続け、
「私は好きだよ?その性格。実際助けられたしね」
「…告白?」
「違うよ!?」
耐えきれずに笑う。そんなシズクを恨めしそうにジト目で見つめた後、
「私明日休みなんだ〜。明日遊ぼうよ。私がなんでも奢ってあげるから」
「え、ほんと?明日ターフタウンに行くんだけど私の分のお米買ってよ。五キロで良いから」
「任せてよ〜。お給料貰ったからなんでも買うよ〜!例えばヤローさんのお米とか!」
「後明日ルリナさんの分のお米も買うから荷物持ちもよろしく〜」
「そこはエースバーンに頼むから大丈夫!」
「いいね!じゃあ二人分のお米持ってもらおう!」
そう言って二人で笑う。エースバーンの入ったユウリのボールが抗議するようにガタガタと震えるのを見て更に笑った。
「さて、じゃあ泳いでこようかな」
「準備運動はちゃんとしてね。シャークン、カロちぃ!ユウリの事お願いねー!!」
そう海に向かって言うと、シャークンとカロちぃは近くの水面に寄ってきて元気に鳴いた。
「…よし、じゃあ行ってくる!」
「波が高くなってきたらすぐ戻ってね」
「はーい」
返事をしてからユウリは海に飛び込んで行った。
人物紹介
ユウリ 女 15歳
髪型:ボブ
前髪:流し
髪色:茶色
目の色:茶色
顔:素のユウリそのまんま。(なんて書けばいいかわからんかった)
身長:155cm
体重:52kg
バストサイズ:C
手持ち
エースバーン(エースバーン)♂
パルスワン(パルスワン)♂
コオリッポ(コオリッポ)♀
ブリムオン(ブリムオン)♀
バッチラゴン(パッチラゴン)♀
ザマゼンタ(ザマゼンタ)不明
あくまで、バストサイズ、手持ち達は私の想像です。