ゲーマーでコミュ障の引きこもりな魔王(のキャラを演じる青年)と、幻想の郷の青年がゲームに似た世界に召喚される話

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 異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術、第二期が来年に放映されると知り、この流れに乗じて小説を書いてみようと、とりあえず自分の好きな作品の一つである東方projectを(一応能力のみですが)混ぜてみました!

 ……もし好評だったら連載してみようかなぁ、って思ったり思わなかったり……(/ω・\)チラッ

 10/9 誤字報告 【優香 ×→幽香 〇】


異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術 ~幻想の郷の青年を添えて~

 これは、『もしかしたらあり得たかもしれない』世界線の御話……。

 

 ファンタジーMMORPG《クロスレヴェリ》──。

 

 このゲームに、真の魔王と呼ばれる存在がたった一人だけいる。

 

「あ、こいつらカップルじゃん。 殺そう」

 

 その真の魔王、名をディアヴロ──のプレイヤーである坂本拓真は、眼前の挑戦者の装備欄に結婚指輪(彼にとっては禁忌の装備)があり、拓真はそれを見るなり呟き、PCチェアに深く腰掛け直す。

 

「ゲームの世界に“恋愛”などという不純なものを持ち込む愚者は、魔王たる俺が裁いてやらねばならんな……!」

 

 彼は装備変更のショートカットキーを押し、魔王と呼ばれた由縁のアイテムを装備し、一方的な虐殺を始める。

 

「鏖殺だ! 結婚指輪などという防御も攻撃も上がらぬ屑アイテムを装備し、この魔王に挑む愚か者共め! この俺が爆発させてやろう! 盛大にな!」

 

 そう……この魔王、常に手加減しているが、カップルを相手にしたときは容赦なく本気を出すのだ。

 こうして、彼はまた一つのカップルにネトゲの恐怖を覚え込ませたのであった。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 忘れられた最後の楽園《幻想郷》──。

 

「魔理沙! お前と言う奴はまたパチュリーの本を盗む気か!?」

 

 《霧の湖》の中心の島に建てられている深紅の館《紅魔館》。 その地下にある大図書館《ヴワル図書館》にて、二人の男女が大小様々な弾幕を繰り出しながら言い争っていた。

 

「人聞きの悪いこと言うな! 私はただ、パチュリーの本を“借りてる”だけだ! 永遠にな!」

「それを“盗んでいる”と言うんだ、この平凡魔法使い!」

「……ッ! 言ってくれるじゃねぇか……このパクリ野郎!」

「馬鹿言え! 俺のはパクリじゃねぇ! “リスペクト”っていうんじゃい! それを言うなら、お前だって幽香さんのパクリじゃねぇか!」

「私の方はオマージュだぜ!」

 

 二人の弾幕は更に激しさを増し、被害は周囲の本にも影響をもたらしていった。

 

「はぁ……魔理沙もアルゴも、相変わらずね……で、パチュリーは大丈夫……?」

「……この惨状を見て、私が大丈夫だと思うのかしら……?!」

「……ごめんなさい……」

 

 二人の争っている場所から少し離れた所で、人形遣いのアリス・マーガトロイドとこの図書館の主パチュリー・ノーレッジがいつもの光景に呆れたり、悲嘆にくれていたりしていた。

 

 ここは、現代では忘れられた存在が最後に流れ着く最後の楽園。 現代での常識など通じない、『非常識』なことばかりが罷り通る幻想の郷。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 ゲーマーで(キャラとしての)魔王な彼と幻想の青年が、何かの因果か、はたまた神のイタズラによるものなのかは定かではないが、数奇な運命によって一つの世界に導かれたのだった。

 

「……彼等は、私が召喚したのです」

「違うもん! 二人はあたしが召喚したの!」

((なにこの状況……))

 

 なお、二人の美少女による召喚であるために、中々シュールな状況ではあるのだが。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

「お、お前は……何者なんだ!?ありえない……こんなこと、ありえない……!?」

 

 自身とその取り巻き達の召喚獣を圧倒的に倒され、ローブの男は震える声で目の前の男に問う。

 男は眼前に広がるローブの男達を睥睨する。そして、悪魔の笑みを向け名乗りを上げる。

 

「我が名はディアヴロ、異世界より来た魔王だ!」

 

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「……どうしてだ……陛下から賜りし矢が、効かない、だと?」

 

 エルフの精鋭達による一斉射撃、更に王家より伝わる至高の矢を一身に受け、かすり傷すら付かずにその場に立ち続ける男。 その男を見て、エルフの集団の先頭に立っている青年は愕然とする。 男は足元に落ちた矢を見て退屈そうにため息をつく。

 

「こんなもの、か……まぁ、聖さんの能力で強化してるから普通の矢とかで傷付かないし、今のだって、萃香や勇儀さんの拳に比べたら対したこと無いしな」

「な、なんなんだ……お前は、本当にただの冒険者なのか? 奴隷商人という話は……なんだったんだ?!」

「だから、奴隷商人じゃないと言うに……まぁ、ただの冒険者じゃないのは確かだな」

「……やはり……お前は、一体なんだ!?」

 

 エルフの青年が男に吠える。 男は左腕を後ろの腰に、右手を心臓部に添えて頭を下げる。

 

「俺……あ、いや……私はアルゴ・エスタロッサ。 こことは異なる世界より来た、ただの人間です」

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 城塞都市《ファルトラ市》を攻め落とそうと手前の砦《ウルグ橋砦》に迫る100体大群の魔族。 それに立ちはだかるように石橋の上に立つディアヴロとアルゴ。 ディアヴロは天魔の杖を、アルゴは拳を握りそれぞれ構える。

 

「退かぬか! よかろう! ならば──」

「蛮勇は勇気とは呼ばない。 それが分からないようなら──」

 

「殲滅してくれる!」

「殲滅するまで!」

 

 魔王と幻想の青年の物語の扉が今、開かれる。



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