バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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天の光

再び水中都市。

 

 

用途が判らないアイテムを調べるためルフレとペルカと一緒に海中探索を始めた現在、俺の視界に移り込むものを紹介しよう。目の前に広がるのは相変わらずどこまでも続く水と、眼下に連なる高い山脈。そして、その周りをまるで嵐のように取り囲む荒れた水流だった。

 

水の流れはエフェクト付きで分かりやすくなっているが、それは間をすり抜けるためなどでは決してなく、むしろ近づき滅茶苦茶に流されて死んでしまわないように付けられた目印かもしれない。

 

―――だって、ルフレとペルカとその水流に巻き込まれて実体験をした上での感想だもの。

 

そんな水流に乗って流される体感を楽しんだ途中で、【皇蛇】のスキルで海を操作して水流から抜け水底まで沈むと、そのまま山脈の麓の方まで進んでいく。元は地上だった位の高度にはあの強烈な水流は存在しないようで、問題なく近づくことができていた。

 

目の前には山の中へと続いていく洞窟があった。外から見える限りは完全に水没してしまっている。

 

「気を引き締めて行こうか」

 

「フム!」

 

「ペペン!」

 

こうして俺達は足並みを揃えて水中洞窟へ入っていく。中は明るさが調整されており、特段暗いということもなく、視界に問題はない。

 

ダンジョンやモンスターの様子がまだ分からないため、一旦【身捧ぐ慈愛】も使わないで奥へと向かっていく。

 

「フムー?」

 

「何かいる?」

 

「ペン」

 

「んー・・・いるな。ちょっと見にくいけど」

 

ふわふわと漂うように水中を移動しているのは、三体の全身が水でできたスライムのようなモンスターだった。輪郭がわかるように周りの水より濃い色をしていなければ、見つけることも難しかっただろう。アメーバの間違いでは?

 

「先手必勝。ペルカ、攻撃だ」

 

「ペン!」

 

高速遊泳するペルカが嘴撃で一気に攻撃する。

 

それは雑魚モンスター程度なら基本容易く吹き飛ばせる一撃だったが、今回はそうはいかなかった。

ペルカが迫ってきたことによって戦闘状態に入ったスライムは、その体を薄く広げていきペルカの嘴を受け止める。スライムの体を貫くことなく勢いのまま引き伸ばすと、限界になったところで元に戻って跳ね返ってきた。

 

「ペーンッ!?」

 

よもや、跳ね返されるとは思いもしなかったペルカが驚愕の悲鳴を上げてこっちに戻ってきた。攻撃を受けたことで戦闘態勢に入った模様のスライム等が、三体で力を合わせるようにして青い魔法陣を形成し、そこから大きな水の塊を放ってくる。

 

「【カバームーブ】!」

 

素早く跳ね返されたペルカの傍に移動。前に出てそれを受け止めると、水の塊は直撃と同時に弾けて衝撃を発生させる。ペルカはルフレの身体に受け止められて落ち着いたようだった。

 

「物理を無効化するモンスターだったか。なら、今度は氷結纏いで攻撃してくれ。ルフレは他のスライムから一体遠ざけてくれ」

 

「ペンッ!」

 

「フム!」

 

嘴に氷結を纏うペルカの攻撃。今度は跳ね返されずスライムの身体に直撃した上に一部氷結状態になった。ルフレはスライムに近づき、むんずと両手で鷲掴みに捕まえて思いっきり洞窟の奥へと投げ放った。残りの一体のスライムも俺が捕まえたまま【精気搾取】でHPドレインをして倒した。

 

あれからペルカも単独でスライムを倒し、ルフレが投げ放ったスライムも軽々と撃破。

 

「しっかし、水の中にもスライムっているのか。なんだか溶けちゃいそうなのにな」

 

地上で跳ね回っている姿はよく見るものの、水中での活動には向いてなさそうなボディであるスライムだ。クラゲみたいに移動できるように見えないし、今回は水の流れに乗って漂っていたところに出くわしたのか?

 

「んよし、この調子でどんどん探索して行こう。水の中はお前達だけが頼りだからな。不思議なもの、怪しいもの、気になるものを見つけて欲しい」

 

「フム!」

 

「ペン!」

 

さらに奥へしばらく進んでいると、スライムの他にも様々なモンスターが出てきた。ただ、それは鳥だったり獣だったり、水中より地上にいる方がらしいものばかりである。水中にいられるようにするためか、先程のスライムのような青いゲル状の体をしているのが特徴的だった。

 

ただ、水中で活動し、水の魔法を使って攻撃してくるが、魚系のモンスターのように素早く泳いで距離を詰めてきたりはしない。どのモンスターにも地上に適した能力のまま水中にいるようなちぐはぐさが見てとれた。それもあって、特に苦戦することなく進むことができていた。放ってくる水魔法は範囲も広く強力だが俺がいれば一切無意味であり、総じて脆いモンスターはペルカでも十分撃破可能な範囲である。

 

「お、レベル上がったなペルカとルフレ」

 

さすがに上がるか、他人事のように思いながら水中の通路をしばらく進んでいった俺達はいくつかの道に分岐していく広い空間を視界に捉える。慎重に一歩踏み入るものの、特に中ボスのようなものが出てくる様子もなく、分かりやすい分岐点というだけらしかった。まだ先は長そうだと、思った矢先に胸辺りが温かくなった気がした。

 

「・・・・・?」

 

気のせいか? 温かくなった感覚はもうなく、不思議な体感に首を傾げるも気にしては前に進めないと思い二人に尋ねた。

 

「どっちに行ってみたいか選んでくれるか?」

 

ルフレとペルカに選んでもらった道から行ってみようと考えた。直感、本能に従ってかどうかわからないが二人が選んだ道に、最初はペルカが選んだ道から進んでみたが、行き止まりだった。今度はルフレが選んだ一本の通路の前で立ち止まった―――また一瞬温かくなって首を傾げる。

 

「また? ・・・もしかして?」

 

隣へ移動するとまた同じ通路の前に戻ってきて意識を集中させる。すると三度目になってようやく確信した。胸が温かくなる方向に進めばいいのだと。

 

俺にだけ変化があるということは、その先には他にはない何かがあると察せられる。ここからは一度通路の前に立ってみて確認してから進む必要があるようだ。

 

「・・・アイテムか?」

 

インベントリから試しに一つずつ取り出して確認すると、同じエリアで手に入れた『天の光』が手の中で温かくなる変化を感じ取れた。これを元に通路を進むしばらく行くと、次の別れ道に続く広い空間に出る。また光の球で探ろうとしたところで、バチバチと光とも電撃とも取れる何かが中央で弾ける。

 

「構えろ。何か出て来る」

 

「フム!」

 

「ペン!」

 

ファイティングポーズの構えをするルフレとペルカの横で光の塊を仕舞い盾と兵器を構えるなか、激しい音と光は収まり、そこには沈むことなく静止している立方体があった。

 

石を組み合わせて作られているように見えるそれを観察していると、亀裂が走り幾つかのパーツに分裂し、内部には青い核のような輝きが見えた。

 

それと同時に上にHPバーが表示され、戦闘態勢をとったのかクルクルと回転し始める。

 

「材質的に、あの時のゴーレムにちょっと似てるな」

 

同じ石材というだけでなく、作りや色合いも似ていることには、あの水中神殿とこの場所の関わりを感じさせる。であれば、二人の目的地はこの先にある可能性は高くなる。

 

守っているだけあってただでは通さないと、同じように光が弾け先へと進む通路が石の壁で封鎖され、それに合わせるように立方体の周りに魔法陣が展開される。出方を見ていると、魔法陣の光に合わせて体がゆっくりと左へ流されていく。

 

「攻撃じゃない? あ、でも」

 

「フ、フムー!」

 

「ペーン!」

 

水の塊をぶつけられた訳ではなく、もっと大規模な変化がこの部屋全体に起こっていた。魔法陣の効果により、ボスの回転に合わせて水流が発生しており、問答無用で一定方向へと押し流され続けるのだ。

 

「【身捧ぐ慈愛】! ペルカ、この流れに逆らわずに乗るぞ。ルフレは俺の身体にしがみ付け」

 

「フム!」

 

俺達はペルカの身体にしがみ付く形で流れに逆らわずに加速すると円を描くように高速で距離を詰める。ボスもそれに反応して魔法陣から水の槍を生成するものの、ペルカの接近には間に合わない。

 

「【氷結纏い】! 【嘴撃】!」

 

「ペン!」

 

氷結を纏う嘴でボスに深い傷をつけるとそのまま水の流れと共に離れていく。

 

「よーしよし。この調子でガンガン行くぞ。ルフレも俺達の泳ぐ速度に合わせてコントロールしてくれ。今のお前が俺達の翼だ」

 

「フム!」

 

「ここで初披露の【勇者】スキル発動! 【従魔よ永遠に在れ】!」

 

テイマーの勇者奥義のスキル。従魔のステータスを何倍にも底上げして強化する効果だ。それでもプレイヤーには劣るが、何倍も強化された従魔は確かに強くなったのは間違いない。二人の身体が柔らかく神々しい光に包まれた。

 

「フムーッ!!」

 

「ペーンッ!!」

 

力が漲る―!! と言った感じなルフレとペルカの速さと力が、奥義を発動する前と比べて段違いだった。ジェットコースターの比じゃないスピードで水流に乗りながら駆け回り、【炎纏い】+【嘴撃】で攻撃に仕掛けるペルカと俺達を狙って放たれた何本もの水の槍が水流に乗って迫ってきた。

 

「フム!」

 

翼の役割となっているルフレが、横へ移動する風に水の槍から躱してペルカを補佐する。そのままペルカの一撃が直撃に成功した。

 

「おお~。威力も上がってる。流石だぞペルカ」

 

「ペンッ!」

 

「ルフレもこのまま頼むぞ」

 

「フム!」

 

でも・・・何だか翼の生えたペンギンになった気分だな。

 

それからもペルカを主軸にした攻撃により、立方体が跡形もなく消し飛んで消滅したのと同時に部屋全体の水流も停止し、元通りの穏やかな水中が戻ってくる。

 

戦闘終了後、反応がある方へと進路をとりつつ水中を泳いでいくと、モンスターが明らかに変化したのが見てとれる。今までは水でできたモンスターばかりだったのが、今度は無機質な石材や金属でできたゴーレム系統がほとんどになったのである。

 

それらは水中でも機敏に動き的確に攻撃してくるうえ、魔法も物理攻撃もこなす器用なモンスターだったが、攻撃を跳ね返してくる能力がなくなってしまったため、俺にとっては倒しやすくなっただけだった。

 

「【攻撃開始】!」

 

今もまた惜しみなく展開された兵器によって生み出された弾幕が近づいてくるゴーレムを一体光に変えていった。

 

与えられるダメージは変わらないため、階層が増えモンスターが強くなる度物足りなくなっていくことは確定しているものの、それでも正面からまともに弾幕に突っ込んで生き残れる者はまだまだ少ないのが現状だ。

 

モンスターは弱いというほどではないが、俺の脅威となるようなものでもなく、特に策を練らずとも正面から突破することができていた。

 

俺達は山々の内部を上へ上へと進んでいく。外に出ないため正確な位置は掴めないものの、緩やかに登っていることだけは確かである。

 

こうして、俺達は目の前に現れるモンスターを一体残らず撃破し、連なる山々の内の一つの頂上へと辿り着くと辺りを見渡す。

 

遠くから見た時はエフェクト付きの水流が邪魔でよく見えなかった山頂は、特に何かがある様子ではないものの、上から衝撃がかかったように平らで広くなっていた。

 

「うーん、あんまり山頂って感じじゃないけど・・・・・ここから直接別の場所へ移動していくのは無理だし、反応はど・・・・・う?」

 

『天の光』を取り出す前に俺の胸の辺りが発光しており、ルフレとペルカが慌てて無事かどうかを確認してくる。

 

「大丈夫だ。急に光りだしたけどな」

 

「フム?」

 

「ペン?」

 

「すごい反応してるってことだ。何かあるかもしれないし、手を繋いで歩き回ってみてみよう」

 

俺は見逃しがないように端から歩いて広い山頂を調べ始める。ルフレとペルカは俺の手と繋いでついていきつつ、何かあった際の緊急避難に備えていた。特に敵影もなく、問題ないだろうと予測していた矢先―――動かしていた足を一歩踏み出すと、見えない壁をすり抜けたように膝から先が見えなくなる。しかし、ダメージなどはなく見えないものの足の感覚もあり向こうで地面を踏みしめているのが伝わってくる。

 

不思議な現象だがそのまま前に歩いていき見えない壁をすり抜けると、そこでは眩しい光が降り注いでおり、水中との差に反射的に目を閉じるが、光に目を慣らすようにゆっくりと開いていく。

 

「これは・・・・・」

 

「フムー・・・」

 

「ペペン・・・」

 

目の前に広がっていたのは八層ではどこにもみられなかったような地上の景色だった。地面は草花に覆われ、動物が駆け回っている様子が見られ、鳥の囀りも聞こえてくる。そして何より違うのはこの場所は水に沈んでおらず、見上げればそこには遮るもののない空が見えた。

 

「完全に隔離された空間なのか? 転移したわけではないみたいだけど。俺達の後ろ辺りから外に繋がってるみたいだな」

 

動物達も敵対的ではないようで、俺達に気付いてこそいるものの攻撃してくる様子はない。あまりにも不思議な場所なので記念にスクショを撮り始める。

 

「で、それはそれとして・・・・・明らかに怪しいものがあるな」

 

他の層と変わらない地上の景色とそこに住む生き物達以外に、ここには見逃しようもないものが一つ配置されていた。

 

それはボロボロになってしまっているものの、確かにそれと分かる形を残す木製の大きな船だった。側面に大きな亀裂が入り、植物に侵食されてしまいすっかり動物の住処となっているが、飛び上がるなり亀裂に入るなりすれば内部も探索できそうである。

 

「また光が強くなった? ちょっと眩しい・・・・・」

 

「フムー」

 

「ペーン」

 

二人も眩しそうに手で目を隠す仕草をするぐらいだ。変化が起こっていることから何かに近づいており、明らかに雰囲気の違うこの場所からその何かまではもうそう遠くないことが予想できる。

 

「よし、あの船に行ってみよう」

 

「フム!」

 

ここまで来て探索を躊躇う理由はない。

モンスターがいないなら、急いで登らなくとも問題ないのだ。船に乗り込むためルフレとペルカを身体にしがみ付かせ【飛翔】で浮かび、そうして上昇していくと甲板部分が見えてくるが、そこにもモンスター等がいる気配はなく草花の絨毯の上で動物達が眠っているだけである。

 

甲板の高さまでゆっくりと高度を下げて、船へと移るとルフレとペルカを降ろした後、内部へ続く階段を下りて様子を窺う。ただ、外まで広がっていただけあって船の内部も植物で溢れており、本来あっただろう家具などは最早見る影もない。

 

「中もモンスターはいないみたいだけど・・・一応警戒はしておくように」

 

大きな船ではあるものの、探索できる場所は限られており、俺が反応の変化に合わせて移動していけば大きく迷うこともない。そうして、目的の場所は程なく見つかった。俺の胸元の光に呼応するように淡く光を放つのは、船の中心部にあったため未だ壊れずに残っていた壁のレリーフだった。

 

「ボス・・・・・って感じではないみたい。近づくぞ」

 

レリーフに近づいていき、それに手を触れた瞬間、俺の体から発せられていた光は一気に強くなって船室内を照らし出す。

 

それに合わせて地響きがして、今乗っているこの船が大きく揺れる。

 

どうやらそれは山が揺れているのではなく、船自体が未知の動力で動こうとしているためらしかった。

 

「フムっ!?」

 

「ペペン!?」

 

互いの姿も見えない程の光の中それぞれが体勢を整えて揺れに対処するものの、しばらくして光は収まっていきやがて船の揺れも完全に収束した。

 

『スキル【救済の残光】を取得しました』

 

そんなアナウンスが聞こえて来たのでアイテムを確認すると『天の光』が無くなっていた。

 

「『天よりの光』がなくなってて、代わりにスキルが・・・・・うん、一つ増えてるな」

 

それから効果を読んだ上で発動を試みる。

 

「【救済の残光】!」

 

スキルの宣言と同時、先程と同じような強い光が放たれ。俺の頭上に今まで見慣れたものとは違う尖った光が集まってできた輪が出現し、髪の色は金に目も青へと変わり、背には計四本の白い羽が生えて地面が発光し始める。思っていた以上の俺の変化にルフレとペルカは目を丸くしていた。

 

「【身捧ぐ慈愛】に近いな・・・・・それが進化したって感じか? 【身捧ぐ慈愛】」

 

試しに続けてスキルを宣言すると、もう二本白い羽が伸び、既にあった光の輪の内部に今まで通りの丸い輪が生成される。

 

効果は20メートル近くある光るフィールドを展開し、範囲内の味方の状態異常耐性の上昇と被ダメージの減少をさせ、徐々に回復させる・・・か。動ける【天王の玉座】みたいなスキルってことか。いいね。

それに【毒竜】みたいな感じでもう一つ内包されててあと・・・やっぱり【反転再誕】もできるんだな。

 

「お疲れ。今日は頑張ってくれたな。ホームに戻ろう」

 

 

 

 

 

 

誰もいない日本家屋の訓練場。ホームに戻って新スキルの把握を試みた。

 

スキルの試し撃ち用に設置されていた人形に向かってスキルを発動する。

 

「【救済の残光】」

 

スキルの宣言とともに周囲の地面が輝き俺の背に四本の羽が生え、今までとは違う天使の輪が頭上に出現する。

 

「【方舟】」

 

続いて内包されてるスキルの宣言と同時に地面を照らす光が強くなり、数秒して俺は光に包まれるとふわっと空中に浮き上がる。

 

 

【方舟】は【救済の残光】発動中にのみ使用でき、5秒の待機時間の後浮き上がって大量の水で攻撃するスキル。ただ、攻撃はあくまでおまけと言えるもので、20メートル近くある【救済の残光】の範囲内の任意の場所に効果を受けている味方と共に転移するというものが主なのかもな。

 

それでも、発生した水によってスキルの試し撃ち用に設置されていた人形をボロボロにする威力なら、防御力が低い相手には十分脅威になるだろう。【方舟】を使うと【救済の残光】の効果は切れてしまうものの、俺にとっては特に問題のないことだ。

 

「ノアの方舟のつもりか運営?」

 

さて、次は連結だな。

 

【連結】は待機再使用時間が一時間になる代わり、最初に選択したスキルの効果を他のスキルに反映することが出来る効果だ。つまり―――【連結】に【悪食】を選択したら他のスキルに【悪食】の効果が反映される。

 

仮に【反転再誕】を選択したらHP500の消費と使用時間五分という制限がなくなり、特定のスキルを異なるスキルに変更することが可能になる。

 

「【連結】【反転再誕】【届かぬ渇愛】【滅殺領域】【堕天王の玉座】」

 

【身捧ぐ慈愛】と【救済の残光】を同時に発動する際は、【身捧ぐ慈愛】で生える白い羽が二本生え、【救済の残光】で生える白い羽は四枚。頭上に浮かぶ光の輪は外部と内部に今まで通りの丸い輪が生成される。それらが反転したら―――?

 

宣言すると共に足元からは見覚えのある輝きではなく、黒い光が円形に広がっていく。そして、俺の背中からは黒い翼が生え、頭上には同じく黒く染まった天使の輪が出現した同時に、さらにまた背に二本の黒い羽が伸び頭上に赤黒い光を放つようになった既にある輪の内部に今まで通りの丸い輪が生成される。黒い光は装備の色すら黒く変化させていき、バチバチと赤黒いスパークが散る中、地面は二重に黒く染まりそこを同じ色の光が広く駆け回る。スキル名とエフェクトからして踏み込んだ者はただでは済まないことが分かる。

 

真後ろで黒い光が収束し、【天王の玉座】と異なる意匠の、俺に合ったサイズまで小さくなった玉座が出現した。そこに座ると地面を這うように黒い輝きが伸びていく。また、ほんの僅かではあるものの、体の表面を覆うように黒い光の膜ができていた。俺の背中の黒い翼は【天王の玉座】と同じようにするりと背もたれを通り抜けて後方で輝く。

 

「ん-ふふふ・・・・・我、堕天の王なりって台詞が似合いそうな感じになったな」

 

自分の姿をスクショした映像を見てそんな感想を抱くのも無理はないだろう。試し打ち用の人形が再出現したところで黒い光の領域の中で伝わる光により弾け、ダメージを与え続ける。

 

 

なお・・・・・これを実戦で見た皆の反応が。

 

 

「「完璧に魔王にじゃないか」」

 

「あの黒い光のゾーンに入ったらダメージが食らうし、離れたところから攻撃しようならば反射ダメージで食らうし」

 

「プレイヤーを引き寄せるスキルもあるから逃げられないよね」

 

「いったい、どうやってハーデス君を倒せばいいのかな?」

 

「ハーデスが味方なら頼もしいけど、敵だったら絶望ね」

 

「うん・・・・・」

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