水中神殿の一件以来。あれからイッチョウも三つの【救いの手】を確保できたある日のこと。NWOの運営側が正式に俺達プレイヤーの格付け、各職業と全プレイヤーに対する総合ランクが発表される。リアルで俺達三人はテレビの前に設けた横長椅子に座ってNWO放送局のニュース番組を見る。
『いよいよ発表されます全世界中のプレイヤーの皆様の格付けが! いやぁ、各国のプレイヤー達の誰が国の代表として公表されるのでしょうか楽しみですな』
『国の代表者として発表された上位10位内のプレイヤーは、オリンピック選手のような存在となりますからね。さらに各国のプレイヤーと切磋琢磨した中で頂点に上り詰めた総合ランク1位のプレイヤーは世界的にも有名になりますし、そのプレイヤーの出身国も大きな注目を浴びることになるでしょう』
『ゲーム内でも無視できない存在になるでしょうからね。しかし、NWOの運営側はどういった方法でランクを付けたのでしょうか?』
『それについて運営側からお知らせが届いております。一つはレベル。初期の頃からプレイをしておられる数千万人のプレイヤーの中で最もレベルが高いプレイヤーを選り抜きされます。もう一つは知名度。ゲーム内に存在するNPC達がプレイヤーの皆様の活動や貢献をどれだけ知っていることが重要になるそうです。そして最後は戦績。ゲーム内で様々なイベントやモンスターに対してより優秀的な結果を残したプレイヤーを選んだそうです』
『なるほど。わかりやすい格付けですね。今後も順位の変動があると思われますが、それとは関係なくプレイヤーの皆様には是非とも頑張りつつゲームを楽しんでもらいたいですな』
『そうですね。今後はプレイヤー同士の個人の戦いや集団での戦いもあるでしょうが、上を目指せる楽しみを加えてNWOで活動を続けて欲しいですね』
『さて、いよいよ全世界のプレイヤー達の中から各職業と総合ランクの格付けが発表されます! テレビで御覧なられてる皆様方には総合ランクの身をお伝えします。各職業の発表についてはネットや携帯でお調べしてください。それでは総合ランク10位のプレイヤーから発表されます!』
と―――発表されるプレイヤー達の中には当然のように知り合いの名前があった。
「イッチョウ、おめでとう上位10位内に入っていたとはな(職業ランク重戦士1位)」
「そういうハーデス君は堂々の1位だったねぇ。2位はペインじゃなくてフレデリカだったのは驚いたけど(職業ランク軽戦士2位)」
「レベルの差で決まったかもね。私は上位に入れなかったけど、職業ランクじゃ1位だったわ(職業ランク鍛冶師1位)」
鍛冶師プレイヤーの中で1位は凄いだろ。なので、媚びを売るように瑠海に土下座をする。
「これからもお世話になりますイズ様」
「どうか素晴らしいアイテムを作ってくださいイズ様」
「息ピッタリね二人とも」
『ここで運営側からイベントの発表が入りました。次のイベントはギルド戦、プレイヤーとプレイヤー同士の真剣勝負だそうです! これは熱くなるイベントになりそうですね。内容は以下の通りです』
ギルドごとに配備された自軍オーブの防衛。また他軍オーブの奪取。
自軍オーブが自軍にある場合、六時間ごとに1ポイント。
ギルド規模小の場合、2ポイント。
他軍オーブを自軍に持ち帰り、三時間防衛することで自軍に2ポイント、また奪われたギルドがマイナス1ポイント。
ギルド規模小に奪われた場合、オーブを奪われたギルドはマイナス3ポイント。
ギルド規模中に奪われた場合、オーブを奪われたギルドはマイナス2ポイント。
他軍オーブはポイント処理が終わり次第元の位置に戻される。
防衛時間三時間以内に奪還された場合、ポイントの増加や減少はなし。
同じギルドメンバーの位置と自軍のオーブの位置はステータスと同じく、パネルに表示されるマップで確認することが可能。
奪取したオーブはアイテム欄に入る。
ギルド規模が小さいほど防衛しやすい地形になる。
ギルドに所属していないプレイヤーは参加申請をすることで複数作成される臨時ギルドのどれかに参加可能。
死亡回数について。
一回。ステータス5%減。
二回。さらにステータス10%減。
三回。さらにステータス15%減。
四回。さらにステータス20%減。
五回。リタイア。
死亡回数四回時点、ステータス50%減。
プレイヤーが全滅したギルドからはオーブが発生しなくなる。
同じギルドから奪えるオーブは一日に一つきり。
「とうとうきたかぁ・・・・・どうすっかな」
「総合ランクでますます有名になっちゃったもんねぇ」
「ギルドを設立したら、絶対に入りたがるプレイヤーは1000人超えそう。そもそも何人まで入れるんだっけ?」
「確かギルドホームを持っている分・・・・・王様、どれぐらい入ります?」
「んー1000人以上。天空の城と洋風の城が数百人も入れる大規模のホームだったからな」
だけど、次のイベントに参加するかどうかは悩んでいる。ペインは絶対に参加するだろうが、一緒にやるかやらないかで決まりそうだ。
「ギルド作るなら名前は何にします?」
「蒼龍」
「さらりと言う辺り、前々から決めてたのね」
下準備は大切だろ?
「んじゃ、ログインしてペイン達と話をして来るわ。向こうもそうかもしれないし」
「じゃあ、私達もいこっか」
「ええ」
ログイン。
日本家屋の居間で起きた俺はペインがログインしていることを確認した。連絡を入れてみるとすぐに繋がった。
「総合10位内おめでとうペイン」
『そっちもおめでとうハーデス。お互い3位内に入ってたね』
「そこにいるだろうフレデリカにレベルの差で3位という結果だけど、ペインなら直ぐにランクを繰り上げて来そうだな」
『ランクに関しては興味ない、と言ったら嘘になるけど俺はまだまだ強くなるつもりだからね』
新大陸も実装される。そこで対人戦がもっと自由にできるからペインも更に強力になるのは必然的だ。
「それは俺もそうだ。一応な。で、ニュースを見たならギルド戦のことも知ってるよな」
『ああ、俺達はギルドを作るつもりだよ。ハーデスは?』
「ギルドを作る視野は入れてる。が、ペイン達と一緒に楽しむか強敵として楽しむかで悩んでいるんだよ」
『なら、勝負をしないかい? 俺は是非ともハーデスをギルドに引き入れたい。勝ったら俺のギルドに入ってくれないか?』
「俺が勝ったら俺の自由に、か?」
訊くと肯定するペイン。ここで勝負を申し込まれるとは思いもしなかったな。でも俺もその提案に了承してペインと戦う場のフィールドへと向かった。猫バスに乗って移動し、指定した場所へ赴けばペイン一行が待って佇んでいた。
「お待たせ―」
「いや、そんなに待ってないよ。流石に早いね神獣は」
「だろう?」
初心者装備から今現在の最高の装備を装着して、戦意を示す。ペインの目つきは変わり、俺の装備を注視するようになった。
「また新しい装備だね」
「これはユニーク装備同士を融合させた新しい姿の装備だ」
「装備の融合・・・・・君一人だけで何でもできてしまう勢いだね」
「流石に一人は無理だって。言っただろ、NPCの協力は不可欠だと。NPCの協力を得てるから今のおれが在る」
鞘から抜かれるペインの剣も、見知ったものではなかった。
「オリハルコン製か?」
「手に入れたオリハルコンを真っ先に剣に作ってもらったよ。ドワーフの神匠にね」
「ユーミルか。なら、気を付けなくちゃな。勝負は決闘で?」
「ああ、ここはモンスターが出る。ドレット達が対応してくれると言っても他のプレイヤーの目に入ってしまう。野次馬に邪魔をされたくないからね」
決闘の申請が送られ、承諾した俺はペインと共に決闘をする専用のコロシアムへと転送された。一対一の模擬戦。短刀と大盾を構える俺に開始の合図を待たずペインから攻撃を仕掛けに来た―――。
剣と短刀がぶつかり合う。刃の長さが違おうともハーデスは剣を振るうペインの動きを見切って対応していく。最初はどちらもまだ、スキルを使わず武器のみで戦っていたがペインが先に使いだした。
「【断罪ノ聖剣】!」
「【紫外線】! 【溶解】!」
ペインの身体が炎に包まれるだけでなくハーデスとペインが立つ足場がマグマに塗り変わった。そして敢えて胴体で受け止めたペインの技の威力の90%の反射ダメージを受けた。
「俺にもダメージが?」
「反射ダメージだ。お前が攻撃するたびにお前の攻撃が返るぜペイン」
「強力的なスキルだね。だけど、そんなスキルにこそ制限はあるんじゃないかな?」
「知りたくば確かめてみろ。ただし、それまでお前のHPが保っていればのはなしだがな」
ペインの身体から溢れ出る赤いエフェクトが俺の身体に吸収され、減らされたHPが満タンになっていく。
「【不屈の守護者】を持っていそうだし、二撃入れないと駄目だろうな」
「・・・そういうハーデスも持っているんだろう【不屈の守護者】を」
ハーデスが敢えて沈黙で返し、短刀を【トリアイナ】で大剣に変え、斧盾と結合する。
「因みに聞くけど、何て名前にするつもりだった? ギルド名だ」
「【集う聖剣】だよ。ハーデスは?」
「【蒼龍】だ」
聞くだけ聞いたハーデスはマグマ耐性を身に着けているペインへ【超加速】で懐に飛び込み、ペインもまた【超加速】で引き寄せられるようにハーデスへ飛び出して、二振りの剣が交差してぶつかり合った。
勝敗の結果は―――。
「まっ、ハーデスが勝つと思ったよ。一目見た瞬間、見ない間にまーた凄い経験をして来たんだろうなぁって悟ったもん」
「右に同じく」
「俺は勝敗関係なくいい線行くと思ったんだがよ、ペインを圧倒するほどだとは思いもしなかったけどな」
決闘から戻ってきた俺達を迎えたのは達観と驚嘆のフレデリカ達だった。
「いやいや、俺も【不屈の守護者】と回復効果のある装飾品アイテムがなければ危うかったのは事実だ。今度は装飾品アイテム無しで決闘してみるよ。というか、いつの間に【マグマ無効】のスキルを取得したんだ。割と驚いたぞ」
「ハーデス対策に色々と模索しているんだよ俺達。だけどハーデスは俺達の想像を軽々と超えたスキルを増やしていることも予想していたが、やはりまだまだ勝てそうになかったか」
ふふん。他にも色々とあるもんねースキル。これからももっと増やしていく予定だし?
「流石総合ランク1位のプレイヤーだな」
「総合ランク4位のドレッドさんに褒められちまった」
「ランクといやぁ、お前とイッチョウが蒼天出身のプレイヤーだとは思わなかったな。てっきり日本人かと思ったぞ」
「逆に俺とイッチョウ以外の上位10位内の殆んどが日本人だがな。蒼天のプレイヤー、他にも居る筈だろうに。ゲーム大国の日本には敵わないか」
「11位から下はちらほらと外国のプレイヤーがいるけど、日本人のプレイヤーが多いから総合ランクも日本人が多いのは必然的だよ」
むぅ・・・・・この事実、華琳はどう思うことやら個だけ優秀な結果は満足しないだろうな。
「で、ハーデスはどうする。ペインに勝ったんなら決定権はお前にあるぞ」
「ん? ああ、そうだな・・・・・。じゃあ、俺のギルドに入ってくれ。【集う聖剣】と【蒼龍】のギルドの名を足して【蒼龍の聖剣】にな」
・・・・・。・・・・・。・・・・・。
・・・・・。・・・・・。
・・・・・。
「ということで、ペイン一行を我が【蒼龍の聖剣】に加入することになりました」
「うん、予想してたよん。これからもよろしくねー」
「私とセレーネもハーデスのギルドに入ることにしたわ」
「よろしく、ね?」
セレーネもとは意外だった。でも大歓迎! これで8人!
「でも、なんでまだギルドを設立してないのさ?」
「した途端に一気に我先と加入したがるプレイヤーの対応をしなくちゃならんのだぞフレデリカ君。主に俺の従魔関連でだ」
「・・・納得。静かに人を増やすんだね」
「うん、主に生産職のプレイヤーをな。戦闘職のプレイヤーは正直いらん。絶対にではないけど」
「ハーデス君を頼りにしちゃうプレイヤーもいなくないだろうからねぇ。知り合いぐらいが丁度いいんじゃない?」
その通りだ。だからこれからある程度の知人友人に声を掛けに行こうと思うのさ。
「生産職のプレイヤーって・・・スケガワも誘うつもり?」
「一応な。性格はアレだが、鍛冶師プレイヤーとしての腕前は腐ってないから誘うつもりだ。仲良くしてくれとは言わないけど協力が必要な時は協力しあってくれ」
「ええ、それはもちろん」
「うん、ハーデスには色々とお願いすることもあるしね」
ならいいな。
「ねぇねぇ、ハーデス君。誘いたい子がいるけどいい?」
「いいぞ構わない。俺もイカルを筆頭に生産職のプレイヤーを誘うつもりだからな。ペイン達も誘ってみたい奴がいたら声をかけてくれ。できればエルフイベントで上位になったプレイヤーを探して誘ってくれ」
「わかった。いい返事を貰ったらメールでするよ」
「私達も同じ鍛冶師プレイヤーに声をかけるわね」
皆が強力的になってくれるので、その日はギルドメンバー集めに精を出すことになった。イカルは畑にいたので声をかけたら。
「私もギルドメンバーに? はい、ハーデスさんの力になれるなら是非とも入らせてください!」
「ありがとうなイカル。エスクもこれからよろしくな」
「ムー」
続いて、佐々木痔郎達はメールで伝えると二つ返事で送られてきた。他の生産職のプレイヤーにも声を掛けたいというメールもあったから内密に、そして他言無用で生産職のプレイヤーだけ声を掛けるようにお願いした。
「マーオウ。お前も入らないか?」
『自分のギルドに? 方針はどうなん?』
「自由かな? イベント参加も個々の自由で」
『そんなんだったらウチも入らせてもらうで。アイテムを作る方に集中できるんなら、大将のギルドだったら喜んでな』
身内も確保できた。
「ふーか。ギルドを作るつもりだけど入らないか?」
『白銀さんのギルドにですか? 戦闘は得意じゃないですけどいいです?』
「今色んな生産職のプレイヤーだけ誘っているから問題ないぞ。戦闘はしなくてもいい。個々の自由だ」
『でしたら入らさせてください! 因みに他のプレイヤーにも誘ってもいいですか?』
「俺がギルドを作ったことを生産職以外のプレイヤーに他言無用に釘を刺す上でならな」
こうして半日ほどで、初期からNWOをしてる大体の生産職のプレイヤーが後に設立した【蒼龍の聖剣】に集ったのであった。あの花火祭りのプレイヤーも含めてな。残りの2割は俺の知り合いで埋めた。
『うぉー! 待ってました白銀さん! 喜んで入ります!』
『これからよろしく頼む』
メタスラ達、テイマーのオイレンシュピーゲル達、俺の友人リストに入っているプレイヤーを中心に声をかけまくったおかげでジャイアントギルドが誕生したのだった。まぁ、生産職ほどいない戦闘系のプレイヤーだけど―――。
『ギルド【蒼龍の聖剣】のプレイヤーが100人以上になりました。領主クエストを受けることが可能になりました』
・・・・・んんー? なんだ領主クエストって。そんなのあるのかよ? 今すぐしなくてもよさそうだけど皆と相談した方がよさそうだな。
「領主クエストってなに?」
「あれ、そっちも通知が届いてた?」
「ギルド用のクエストはギルドメンバー全員に通知として送られるみたいだ。クエストするかどうかはマスターのハーデスが決めるようだね」
半日過ぎた現在。日本家屋に再び集結したイッチョウ達と合流して直ぐにクエストのことで話題になった。
「領主、国を運営するクエストでもあるのか。面倒だな。国同士の戦いのイベントもありそうで」
「勇者はNPCを倒しちゃいけないもんね」
「恐怖の大魔王になるんだっけか? だったら参加しない方がいいだろ」
「勇者じゃなきゃ、クエストを受けていたかもな」
「答えは語るまでもないわね」
「うん」
全員、満場一致でクエストは否と答えた。
「で、サブマスのイッチョウが誘いたいって言うプレイヤーはその二人なんだな?」
「うん。メイプルとサリー。皆も顔だけは知っているから誘ってみたくてね」
ギルドのマスターとサブマスターの権限で他のプレイヤーをギルドに勧誘することが出来る。サブマスにイッチョウを選んだから彼女は知り合った新規のプレイヤーを誘った。
「二人ともよろしくな。俺は白銀さんって渾名で言われてるプレイヤーだ」
「メイプルです! よろしくお願いしまーす!」
「サリーです。まだレベル的に弱いけどよろしくお願いします」
「ああ、レベルに関してはどうでもいい。これから上げていけばいいんだからな。サリーに関してはこの中で俺がお前の実力を知ってるし問題ない」
イッチョウ以外、小首をかしげる。知り合いなのかという奇異の視線のそれを向けて来る。
「私のこと知ってるの?」
「そりゃあ、現実のゲーム大会で優勝を争ったほどだぞ。忘れる方がおかしいだろ」
「っ! あなた・・・ノーフェイス?」
意味深な笑みを浮かべて頷く俺をサリーは信じられないと言った表情のまま、人の顔を見つめたその後。
「このゲームを遊んでいたのは予想していたけど。まさか総合ランク1位のプレイヤーがノーフェイスだったのは驚いた。今度リアルで私と勝負をしてくれない?」
「おう、いいぞゲーム界で一輪の桜花と渾名を付けられたサリーちゃん」
「それを言わないでくれるかなぁっ!?」
ほんのりと顔を赤らめて恥ずかしがるサリーの相棒からも「一輪の桜花って可愛いね」って言われ、ますます羞恥になった。
「ハーデス、リアルで知り合いだったの彼女と?」
「ゲーム大会には必ず顔を出して必ず優勝争いをする程度には。まぁ、俺が全戦全勝するもんだから一輪の桜花ちゃんからライバル視されてますけどねぇー」
「だからその二つ名を言わないでってば!」
「男だらけのゲーム大会に流星のごとく現れた可憐な少女が、優勝まで快進撃で上り詰めた事実は消せないぞ」
ああ、それじゃあ言われてもしょうがない敵な雰囲気が漂い、メイプルから「そんなことしてたんだ」という目でサリーを見つめられる。
「動体視力と反射神経も並みの人間以上だからすぐに頭角を現す。だから即戦力になるのも時間の問題だ」
「ふーん、ハーデスがそこまで買ってる相手なら、特に言うつもりはないけどね」
でもなんだかおもしろくなさそうな顔をしているフレデリカさんは、皆が見えないテーブルの下で俺に触れてくるのはどうしてでしょうかねぇ?
「納得してくれたようで何よりだ。でもってメイプルの方は、よもや防御力極振りのプレイヤーだったとはな。もしかしなくとも【絶対防御】のスキルを持ってる?」
「えっ。何で解っちゃったんですか?」
「俺も持っているからだ。【絶対防御】のスキルをな。今の俺も【VIT】の数値は五桁だからさ」
「おおっ! 凄いですね! あの痛くはありませんか?」
「いや? あんまり痛くないぞ」
ああ、イカルと同じ理由で防御力極振りにしたのかメイプルも。【破壊成長】の装備がもう手に入らない以上、彼女のプレイが苦労しそうだな。
「なぁ、ハーデス。装備同士の融合ってもうできねぇのか?」
「できるぞ。興味あるのなら実演してやろうか」
「興味あるからおねがーい」
ならば実演してあげようではないか。ここに用意する物は三つです。
「イズから貰った『生命の指輪Ⅷ』と魔王から貰った『血液捕食者の指輪』を用意します。続いてこれ、錬金術を極めたNPCの魔神が作成した『融合の秘薬』。これを二つの指輪にどぱっと振りかけます」
するとどうでしょう。二つの装飾品アイテムが輝き、光が一つになると新しい指輪に融合しました。その名も『真・生命捕食者の指輪』でーす。
効果は『血液捕食者の指輪』の時と同じHPドレインと【HP+200】に加えて新スキル【吸血者降臨】が増えた。いや待て、なんだこれ?
【吸血者降臨】
所有者のHP1000を対価に『真・生命捕食者の指輪』を媒体に真祖吸血鬼を完全召喚。HP1000の状態で召喚される真祖吸血鬼の存在の間は『真・生命捕食者の指輪』の効果は使用不可。
「本当に装備が融合しやがった。しかも新しいスキルが追加されたのか」
「ハーデスが強くなった原因の一つがこれだったんだねぇ」
「さっきの『融合の秘薬』ってのはまだあるのか? 俺も試してみたいな」
オリハルコンを素材に使うらしいからあまり数が・・・・・。
「イズ、お前のユニーク装備のスキルで作れないか? 新しいアイテムの製造が可能にするんだろ?」
「うーん。やってみないと分からないとしか言えないわ。出来たら教えるわね?」
よろしく頼む。出来たら遠慮なく頼らせてもらうな。―――同じ装備を身に着けているセレーネ共々な?
「秘薬は・・・・・最後の一本だけあるな。ほれドラグ」
「おっ、ありがとうよ。早速使わせてもらうぜ」
試してみたいと言ったドラグは二本の大斧を用意して本当に早速使った。大斧が一つになった姿は柄が短い方天画戟みたいなのに変わり、追加されたスキルは全ての攻撃に【ノックバック】が付与されるものそうだ。
「うわぁ、防いでも吹っ飛ばされるんじゃあ近づかれなくなるわな」
「ようは当たらなきゃいい話なんだ。だったら余裕で近づけるぜ」
「まぁ、究極的な話では確かにそうだけど。大盾使いの天敵になるなドラグ」
「それでも天敵にすらならねぇお前に勝てそうにないぜ。その指輪の効果がえげつないんだからよ」
ははは、何のことやら。
「でも、HP1000も対価にするって・・・ハーデスのHPってどのぐらい?」
「この指輪も含めて900以上になるな」
「アイテムの力でそこまで、ね。じゃあ、新しいスキルもしばらくはお預けかな?」
「いや、そうでもないんだよなこれが。日食か暁の境界のスキルで他のHPを高める装備を吸収して増やせることが出来る。それにイズに作ってもらった純白の装備はHP1000以上超えてるし」
「そうだった・・・本人の強さだけじゃなくて装備も強いんだった」
それが総合ランク1位のプレイヤーの強みでもあるのだ。俺のようになりたくば強力な装備とスキルを手に入れることが肝心だぞ諸君!
「ハーデスの強さなんざ今更なんだが、ギルドメンバーになった連中も濃くないか?」
「・・・俺の従魔達と触れ合うがためにギルドに入ったプレイヤーが大半だからなぁ」
「暴徒にならないのかそれで」
「他のプレイヤーより身近になれたと言えど、マナーだけは弁えているから大丈夫だ。この日本家屋のホームも俺が招いたプレイヤー以外入らせない厳命をしたし、破ったら即追放だとも伝えた。オルト達には日本家屋以外のホームにも自主的に足を運んでもらうように頼んでいるから、他のメンバーとも交流できるだろうよ」
その辺の配慮も忘れていない。だから今頃は・・・・・。
「クママちゃーん!」
「クマー?」
「うきゃー! 可愛いー!」
「オルトちゃん、一緒にお散歩しましょう?」
「ムー」
「ズルいわよ! 私もオルトちゃんと手を繋ぐ!」
「俺もゆぐゆぐちゃんと触れ合いたいっ。でも、でもぉっ・・・!」
「―――?」
「はぅわっ!? ゆぐゆぐちゃんから触ってくれている! や、柔らかい・・・!」
「メェー・・・・・」
「おお、凄いモコモコ・・・このまま抱きしめながら寝たいぜ」
『にゃはははー! 最高の気分にゃー! もっとおいらを愛でるがいいにゃー!』
「フレイヤちゃん可愛いー!」
「食べ物は何が好き? お魚を用意してあるわよ?」
「はぁー、綺麗な毛並みだわ。白銀さんにケアされてるのかしら?」
「おーおー、皆凄く満喫してるニャー」
「そりゃあ白銀さんのギルドに入れただけでも幸運なのに、白銀さんの従魔を触れ合うことが出来るんだ。この瞬間をレベル上げとかスキルの熟練度を上げて強くなるより、こっちの方を優先するって。俺達もその一人だがな」
「今こうしていられる俺はリアルで人生の全ての運を使い切ったような気分だ」
「俺達もそんな気分です!」
「凄い、ここがこれから俺達のホームの一つになるんだ・・・・・」
「白銀さんってこんなホームを手に入れるためにどれだけ費やしたんだろう」
「「「そりゃあ、億万長者だから数億Gだろう」」」
と、こんな感じでにぎわっているだろうな間違いなく。ホームに入り浸ることのないといいが。