ギルド対抗戦から早一週間が経った。予定通りノーム以外の他の精霊達も複数、それもユニーク個体をテイムしたことでホームは賑やかになった。特にギルドメンバーの連中が色めき立って騒ぎ出す。そんな連中を他所に俺は今―――西の第7エリアのオアシスの町にセキトを乗って来ていた。観光がてら町中を移動して物見遊山気分でいると・・・・・。
「ひぃっ!? 逃げろぉっ!!」
「うわぁ~ん!! うわぁ~ん!!」
「と、盗賊だぁ~! 噂に聞く砂漠の赤トカゲ団がやってきたぁ~!!」
・・・・・50%の確率で生じるNPCに対する恐怖で逃げられる始末だ。
「ちょっと待てっ!? 誰が砂漠の赤トカゲ団だよ!! 俺はそんなんじゃないしそんな連中がいるのか!!」
NPCが逃げてしまい、町の通りも閑古鳥が鳴いたように閑散してしまって俺のツッコミに誰も返してくれない。
「・・・・・」
『どんまい』
『初心者装備の格好でNPCに怖がれるプレイヤーってマ?』
『マジらしいな。プレイヤーを怖がるところ初めて見た』
『子供なんてガチ泣きだったもんな』
今回も動画配信で視聴者の協力を得ながら探索しようとした矢先にこれだ。・・・泣くぞ?
「砂漠の赤トカゲ団・・・知ってた?」
『そんな盗賊のNPCがいるなんて初めて知ったところ』
『砂漠ならではの存在だな盗賊って』
『でも、オアシスの町に来たことあるプレイヤーでも盗賊すらかすりもしなかったと思うぞ?』
『もしかしたらNPCを怖がらせる必要があるんじゃないか? じゃなきゃ盗賊の存在が明るみになったタイミングがおかしいし』
『PKのプレイヤーは今どれくらいいるのか分からないけど、白銀さんみたいにあからさまに怖がられるプレイヤーは絶対にいないだろ』
『もしや白銀さんはPKですかね?』
全力で否定させてもらった。
「そこのお前」
「うん?」
馬上から視線を落とせば横に何時の間にかいた褐色肌の女性と老婆と視線が合った。
「お前は、砂漠の赤トカゲ団ではないのか?」
「質問を質問で返す不躾を許してほしいが、何を根拠に俺がその赤トカゲ団だと言うんだ?」
「やつ等は砂漠に生息する大きな赤いトカゲや赤いモンスターを飼い慣らして、町という町を襲って金品や食料・・・奴隷に男や女を浚っていると聞く」
『赤いモンスター・・・・・』
『なるほど、白銀さんの馬は赤いから盗賊の一員と間違われたのか』
『別に白銀さん自身が怖がられていなかったのかな?』
そう言う理由だったら嬉しい反面、勘違いされてとても複雑な心境だぞこっちは。
「その盗賊団と間違われる真似をしてしまったのならば申し訳ないが、俺は異方からやってきた冒険者だ」
「冒険者・・・か。では・・・私の頼みを聞き受ける気はあるか?」
「頼み? 俺が出来る事ならば。教えてくれるか?」
「私の夫はこの砂漠に眠ると伝えられている、伝説の秘宝を探しに出かけてもう一月以上帰ってこないのだ。もしかすると砂漠の赤トカゲ団に捕らわれているのかもしれん。夫を救えたならばお礼は私の身体で払おう」
「いや、お礼はいらない。それでもと言うならば、手作り料理を一品用意してくれるかな? オアシスの町の料理はまだ食べたことが無いからさ」
『さらりと受け流しながら優しい要求をする白銀さんは紳士』
『私の身体が報酬、と言われてちょっと心がドギマギしちゃった・・・・・』
『断るなんてかなりもったいない気が・・・・・冗談だから最低とか言わないでくれよ』
『さいてー!』
『さいてー!』
『サイテー!』
『いると思った女の配信者から凄い非難の嵐が起きたな』
『いや、本当に女なのかも怪しいぞ』
個人的にはどーでもいいです。砂漠の赤トカゲ団・・・どこにいるかわからないかな?
駄目元で訪ねようと思ってみたら、ドドドドッ! と何かの足音が聞こえてくる。
「いたぞ、あそこだっ!」
振り返る間もなく馬に乗る武装した女性NPC達に囲まれた。
「貴様が砂漠の赤トカゲ団の輩だな! 大人しく拘束されるのだ!」
「人違い! 俺は冒険者だから!」
「問答無用だ! 捕らえろっ!」
「止めよっ!」
女のNPCが一喝。武装したNPC達が動きを硬直した瞬間に彼女が声を張り上げた。
「この者は私が依頼した異邦の冒険者だ。勝手な真似は許さぬぞ!」
「しかし姫様! いまこの輩は姫様に愚行を!」
「話し合っていただけなのにどこからどう見れば私に愚行したように見えるのだ脳筋どもめ!」
「お言葉ですが砂漠の赤トカゲ団ではありませんかこの輩は! 赤いモンスターに騎乗している人間は砂漠に置いてあの盗賊団以外おりませぬ!」
「砂漠の世界の外にも赤いモンスターなどいくらでもいるわ!」
それと姫様・・・・・だと? 重要的なNPCがこんなところにいたってことか?
「すまぬな冒険者よ。やはり正式に依頼をせねばこの者達のように融通も利かん結果になりかねないようだ。すまぬが私達の国まで同行してもらえぬか」
「えっと、了解」
「助かる。では・・・・・」
身軽な動きで、俺の後ろに乗り出す姫様とやら。兵士達の上官らしきNPCが騒ぎだすも、姫様の一喝で黙らされ恨めしそうに俺を睨む彼女が馬を走らせるので、セキトも追いかけてもらう。
「ふむ、我が国が保有する馬より乗り心地がよいな」
「ペガサスだからな」
「ペガサス? 馬の種族名か。翼がある馬など砂漠にはおらんから珍しいぞ」
「砂漠にいる珍しくない生物はいるか?」
「砂漠を滑るように移動する小動物がよく見かけるな。ペンペンと鳴き鳥のような見た目は愛らしいのなら」
『ペンペンと鳴く鳥のような生物?』
『ちょっと、気になりますねぇ?』
まさかの話だが、見られるなら見てみたいところだ。
「国とはどこまで進んだところに?」
「半日も過ぎる頃には着くだろう。その間まで退屈だな。・・・ふむ、男の体など見慣れてるが触れたことがないからいい機会だ。お前の身体で確かめさせてもらうぞ」
どんな機会だよ! おいこら、人の身体をまさぐるなくすぐったい!
「ほほう。鍛え過ぎず均等的に無駄に筋肉がない良い体つきなのだな。筋肉だるまよりもこれは私好みの体つきであるな」
「筋肉だるま?」
「この砂漠の世界に置いて私が統治する国と筋肉だるまが統治する国がある。筋肉だるまから求婚を強いられるようになって拒絶しているが、飽きもせず私に迫ろうとして来るのだ」
あの町にいたのは筋肉だるまと会わないためだった、と告げる姫様はげんなりとしていた。
彼女を見ている俺の視線と姫様の視線が合うと、少しばかりの見つめ合いを経て何だか悪い笑みを浮かべらっしゃる。・・・・・見なかったことにしよ。
セキトを走らせて半日も経つと本当に砂漠の国に辿り着けた。道中、何度かモンスターと遭遇し撃退。フィールドボスらしき『サバクサソリ』というモンスターをセキトと攻略して姫様達に実力を示した。
姫様の国は隆起した岩石の上に築かれていて、長い石造りの階段を登って行かなくちゃならないようだ。
「大きいなー」
「名前はルナマリア。私の自慢の国だ。宮殿に案内したら玉座の間で正式に依頼を・・・・・」
「お待ちください姫様。こちらに接近する者達が」
女兵士が言うように国から出発してきた大人数の人達が近づいてきた。誰かが判ると「また来ておったか」と心底嫌そうな低い声が後ろから聞こえて来た。
「おおっ、太陽より威光溢れ月より幻想的なその美しさは俺様の花嫁のシャルジャーザではないか! こんなところで会えるとはまさに運命だ!」
「誰が花嫁だ筋肉だるま」
「ふほほほほっ!! 我が鍛えしこの肉体美を褒めてくれるとはやはり俺様に気が合うようだなシャルジャーザ!!」
ムッキーンッ!! と褐色肌で上半身裸の筋骨隆々の大男が、筋肉を隆起して誇らしげに見せつけて来る。腰には双剣、両手には盾を装備していた。奇抜な戦闘をしそうだな。
「なるほど、言い得て妙だ」
「なんだ貴様。俺様の花嫁と密着しおって。この俺様でもされたことがないのにぃっ! 花嫁から離れろ!」
「ふん、貴様なんかの筋肉よりもこうして私の腕が回せる身体の方が好みなのだ」
姫様=シャルジャーザの腕が後ろから伸びて胴体に巻き付きながらさらに身体を密着させて来る。筋肉だるまはそんなことされる俺に対して酷く羨ましがり、癇癪を起こした子供のようにわめきだす。
「それと筋肉だるま。貴様は軍隊を率いてどうした。よもや、私達と戦争を起こすつもりであるか?」
「何を言う! 俺様の花嫁の国に戦争を仕掛ける筈がなかろう!? 他の国や町などは我がサンラクの領土にしてくれたが、大陽神に誓って戦争はせん!」
「では、私の領土に無断で押し入った理由はなんだという。ことによっては、ただではすまさないぞ」
筋肉だるまの男はシャルジャーザの問いかけから、苦虫を噛み潰したような苦い顔をした。
「・・・・・助けてほしい。我が国と領土は一夜にして滅ぼされた。大量のアンデッドを従わせる黒魔術師と黒い竜によって」
「黒い竜、だと? まさか、あの言い伝えは真だったのか!」
話が見えないけど、この後起きる展開は読めてくるな。シャルジャーザが天を見上だした。釣られるように俺も空を見上げると、燦々と暑い日差しを放つ大陽に陰り・・・日食が起きようとしていた。
「っ・・・よかろう、お前達を助ける。だが、馬のようにコキ使うから覚悟しろ」
「おおっ、感謝する俺様の花嫁よ!」
次いで俺に振り向く。
「すまないがお前の力も借りることになる」
「教えてくれよ?」
「理由は直ぐにわかる」
ボゴッ
ん? なんか這い出てきたな・・・・・骸骨、スケルトン? もう盾と剣を装備してる。
「行くぞ。直ぐに迎撃を整えねば筋肉だるまの国のようになる」
「お、おお・・・?」
倒さなくていいのかあれ、と馬を走らせる皆に遅れてはならない雰囲気に俺もセキトを走らせる。
宮殿内は慌ただしくなった。筋肉だるまが持ち込んだ情報は他人事ではないとルナマリアの全兵士を総動員して厳戒態勢に整えていく。
「サンラクが滅ぼされただと、何かの間違いではないか?」
「だが、物見の報告ではルナマリアの周辺にアンデッドが多数出現しているそうだ。サンラクが滅ぼされていようがいまいが、日食が起きてる時点でやることは変わらん」
「かの言い伝えが現実になるとは・・・・・」
「弱気になってはならん! 我らが黒竜を倒さねば砂漠の生命という生命が消えてなくなるのだ!」
玉座の間に集いし重鎮達が緊縛した空気の中で話し合っている様子を見せられていたが、シャルジャーザ隣に座っていた女の一言で静まり返った。
「静まれ」
静寂になった玉座の間は、誰も口を開かせない彼女が王として許さず話を切り出す。
「言い伝えなどどうでもいい。我等はルナマリアを脅かす驚異に立ち向かうことだけ意識すればよいのは誰でもわかること。サンラクの残存兵士と協力し、黒魔術師と黒竜を討伐せよ」
「女王、発言の許可を」
「許す。なんじゃ」
「この場に似つかわしかないこの者の対処は如何いたしますか」
重鎮の一人が訝し気な目でそう言いながらこっちへ視線を送ってくる。あっ、俺のことか? 女王も俺を奇異的な視線を向けてくる。
「ふむ、それもそうであるな。先ほどから私の視界に入り込むそなたはなんじゃ? 我が娘と仲睦まじく来たそうだが、よもや娘の伴侶の者か?」
「・・・発言の許可を」
「許す。答えよ」
答えますよー。
「俺は異邦の冒険者、死神ハーデス。世界から勇者の称号を承った神獣使いです女王陛下」
「ほう・・・・・風の噂で聞いた勇者とはな。随分と素寒貧な出で立ちであるが何故だ?」
「勇者である以前に俺は一人の人間、オアシスの町を楽しむため郷に入っては郷に従え、と砂漠に生きる者の格好をしようと思ったまでです」
「殊勝な考えをするのだな勇者とは。我が娘と出会いの経緯は?」
砂漠の赤トカゲ団の関する依頼を話し合っていたことと打ち明ける。女王は何だか期待外れだというつまらなさそうな顔を浮かべた。
「娘を拐かす勢いで禁断の恋愛をしていた者ではなかったかこの玉無しめ」
「・・・そこは止めるべきでは?」
「この私の娘ぞ? 恋愛も性行為も自由奔放なところも濃く受け継いでいるアマゾネスの者を止める理由はあるか? 止められることが出来るのか?」
「・・・・・アマゾネス?」
『アマゾネス?』
『アマゾネス!』
『アマゾネスゥ~!?』
『アマゾネス、キタァー!!』
まさかのアマゾネスだったとは。褐色肌は太陽で焼けたものじゃなかったんか。何という伏兵が潜んでいたものだ。気付かなかったぞ。
「アマゾネスとやらは砂漠に生きているのですか?」
「勇者はアマゾネスを見聞していないのか? まぁ、無理もないか。本来アマゾネスは砂漠に生きておらんからな。ルナマリアにいるアマゾネスは僅か100人しかいない。その昔、私達の先祖のアマゾネスが性奴隷としてこの国へ奴隷商人に売られたのが始まりだ。当時の国王がその時のアマゾネスを見初め、毎夜毎夜それはもう肉欲の宴を繰り返し、アマゾネスの子を多く作ったそうだ。その問い生まれた子供のアマゾネスの子孫は今この国にいるアマゾネスになる」
「そして一国の女王となっていると・・・・・凄い出世ですな」
「砂漠の世界に生きるには力が必要であるからな。王を決める武の大会において私が連戦連勝だ」
『どんだけ強いんだこの女王様は』
『その足で蹴られてみたい。踏まれてみたい』
『変態が湧き出て来たぞ』
『足を組み替える瞬間がいやらしいです』
変態は黙れ。
「であるから、シャルジャーザの恋愛は好きにさせている。どこの馬の骨とも知らぬ輩と恋愛をしようが性的行為をしようが構わん。それで痛い目に遭ったのなら自業自得よ」
「国同士の連携を図るため政略結婚とかは?」
「私以外の王だったらするかもしれんが、そういう政治的なものはアマゾネスが出来る筈がなかろう。私はこの玉座で退屈な時間を毎日過ごすのが仕事だからな。政治的な仕事は大臣達に全て丸投げだ」
「働けよ」
「だが断る。私は女王であるぞ? 勇者より立場が上であるぞ?」
『王に対してツッコミを入れる白銀さんパネッすわ』
『あっちもあっちで傲岸不遜だ』
『よく見たら白銀さんが「働けよ」と言った時のおっさんたちが思いっきり頷いてたぞ』
『同じ気持ちだったんだなぁ・・・・・』
「が、今なら政略的な仕事を私でもできそうであるな」
「うん?」
女王がニヤリと意味深に笑みを浮かべだした。娘の親なら親も同じ笑い方をするのだな。そして嫌な予感もするんだが。
「話を戻そう。勇者よ。その力を現在未曾有の危機に晒しているこの国の為に使う気はあるか」
「女王陛下の為にこの力を振るうことを誓います」
「私のため、か・・・・・ふふっ。若い燕が、可愛いことを言うではないか」
EXクエスト『黒竜討伐』
という青いパネルが出てきてクエストを受理した。
「ところで、噂では勇者は複数いると聞く。その者達の協力を得ることは可能か?」
「都合が良ければ力を借りることも可能かと」
「ならば、一時間以内にどのような手を使ってでも更なる戦力の増強をするのだ。敵は黒竜。アンデッドなど我らの敵ではないが、黒竜に当てる戦力はこの国にない。勇者達と冒険者達にやってもらう。異論はないな?」
「寧ろ、喜々として立ち向かってくれるでしょう。ただ、冒険者達に対する褒美をお願いします」
「私の目に留まるような戦果を挙げた者のみに褒美を授けることにする。そうだなぁ・・・・・私と一夜を共にする、というのも悪くなかろう」
豊かな自身の胸を組んだ腕で持ち上げつつ強調し、股を開いて艶やかに誘惑する女王に重鎮たちはすごく呆れ果てた。
『ファー!?』
『一夜を、と、とととともにぃ・・・!?』
『アレですか、アレなんですかぁー!?』
『うぉおおおおおおおおおっ!! 滾って来たぁー!』
「勇者にはオアシスの町から打って出て、サンラクから攻めてくるだろう西へ赴き敵を食い止めてもらう。黒魔術師は黒竜を封印から解き放とうが、黒竜を制御できるとは限らぬからな」
「理由は?」
「黒竜は生命という生命を食らう化け物で、かの魔王ですら危険視する怪物だったゆえに、敵も味方も関係なく黒竜を討伐・封印する連合を結成して膨大な数の犠牲をだしてやっと封印したときく。どんな優れた魔法使い・魔術師だろうと黒竜を支配下に置けるとは考えにくい」
となると、解放だけしておいて放置ってことか。はた迷惑すぎる黒魔術師だな。
「二つの国を滅ぼした後、黒魔術師にとって得する事とは?」
「何を得するかは分からぬ。特別な秘宝があるわけでもなく、過酷な砂漠で生きる私達は特別な人間でもない」
皆目見当がつかない女王だったが重鎮の一人が口を開いた。
「あります。秘宝」
「なに?」
「しかし、真実かどうかまでは・・・サンラクとルナマリアは元々一つだった王国から二つに分かれて築き上げられた国であると、王を除いて私達だけの間で語り継がれている言い伝えがございます」
自分だけでなくこの場にいる重鎮全員が自分達もそうだと一人の重鎮が打ち明けた言葉は女王から催促をかけられた。
「何故に王である私や歴代の王に語られておらなんだ」
「野心が強い王に秘宝を公にすれば砂漠の世界を支配しようとする危険な思考を持つからです。実際、他の世界も征服せんとしたサンラクの初代の王の子孫の暴走により黒竜は封印されたのです」
―――もしやすると、黒竜を封印から解いて敢えてサンラクとルナマリアを滅ぼさせ、秘宝を後で手に入れることが出来るならば支配下に置くことが出来るでしょう。
続けて語られた新事実に場は沈黙し、女王は眉間を険しく寄せ「秘宝はどこにある」と重鎮に問い質した。
「わかりませぬ。今となっては王を支える我々の先祖から継承され続け、後世の子孫のみに語られる言い伝えなのです。姿形すらもどういったものなのかも私達は見聞したことがございません」
黒魔術師とやらの狙いが輪郭に浮かび上がってきたな。
「敵の狙いは黒竜を支配下に置くことが出来る秘宝とならば、尚更それを阻止せねばならないということだな勇者よ」
「封印と言う生温いことはしません」
「当然だ。お前達勇者の活躍をこの目で確かめさせてもらおう」