マグマ風呂に押し付けたら、死に戻ったプレイヤー達の置き土産のアイテムを回収した後、ホームに戻るとなんかイカルと佐々木痔郎がいた。何でいるんだ? と思い話しかけて質問をすると、俺の一連の出来事が既にプレイヤー達の間で話題になってて、滅茶苦茶になった俺の畑の手入れの手伝いをしているのだとか。無断で入った謝罪を受けたので許した。それよりも情報が早いな。
「お帰り、遅かったね?」
「礼儀知らずの連中をマグマに落として来たからな」
「あ、そう。ま、自業自得だねん」
「慰謝料として奴らが持っていたGとアイテムを回収したが、PK行為も案外こういう楽しみ方もあるんだな」
「自重するんだよ?」
当然するさ。俺を討伐しようとするプレイヤー以外はな。
「まったく、人の畑を滅茶苦茶にしてくれたよあいつ等」
「ムーッ!」
「お前もそう思うかオルト。お前が一番頑張ったんだからお前が一番怒るべきだ」
他のノーム達とせっせと新しく苗と種を植え替え―――途端に急成長するのは何故かな!?
「おい麒麟か黄龍の力か? 成長が早過ぎるだろこれ」
『以前、この地に施した力です。私達がいたにも関わらず畑に損害を与えてしまったことに申し訳ないです』
『すまない資格ある者よ』
「謝れると何も言えなくなるじゃないか。お前達も止めてくれたのに。というか、話し合いは終わったのか?」
四神と集まって戦う場所について話し合うとか言ってた。それが終わったからここにいるんだろうけど。
『うむ、その通りだ。これから説明しよう』
麒麟と黄龍から用意した黄金の林檎ジュースを飲みながら俺とイッチョウは説明を受けた。
『四方のいずこかに玄武と白虎、朱雀に青竜が待ち構えている異空間に通ずる洞窟を設けることにした。その場所もわかりやすく印を施したので資格ある者以外にも挑戦が出来よう。異空間の中で全力の戦いをするがよい』
「わかった。ありがとう黄龍。因みにわかりやすい目印って?」
『私と黄龍があなた方に課した試練に含まれています。それを挑戦すれば自ずと辿り着けます』
「人数制限は?」
『お前達が青竜を打倒した人数と同じ30人までだ。しかし挑戦できない時もある。挑戦できる一体の四神と戦うがよい』
もう一度首肯して理解した。
「質問なんだが。俺は魔王になってしまった。それでも資格ある者なのか?」
『勇者であろうが魔王であろうが、私達は人間が定めた物事など関係ないのです。四神に挑戦するに値がある者のみ資格ある者と呼称しているのですよ』
『麒麟と同じ考えだ。しかし、勇者が魔王になってまで挑む資格ある者はお前が初めてのことだ。やはり時間と共に変化はあるものなのだな麒麟よ』
『ええ、これからも変化する人間達を見守りましょう』
なんか妙に照れくさい。ふと、視線を感じて横へ見るとイカルと佐々木痔郎がこっちを見ていた。
「どうした?」
「いや、凄い話をしていると思ってた。もっとレベルをあげなくちゃ白銀さんの足手纏いになるな」
「エスクと一緒に頑張りますハーデスさん!」
「ムー」
「ん、期待しているよ。自分のペースで頑張って強くなってくれ」
さてさて、獣魔国のイベントの報酬を見ようじゃないか。まだ確認をしていないんだよな。インベントリから報酬として得た宝箱を取り出し、開けると中身は―――。
『虹色の進化の種×5』
どんなモンスターでも一体に一つだけ進化を促す特別な実の種
虹色に輝くヒマワリの種のような形の種・・・・・これが俺の報酬か?宝箱の中身の報酬を見ていた俺に後ろから覗き込んでくるイッチョウ達。
「ハーデス君の報酬はそれ? 私は別のだったよ」
「俺もだ」
「私もです!」
という三人の報酬は、イッチョウが従魔用の経験値増幅の薬。佐々木痔郎が従魔の新しいスキルを覚えさせるスクロール。イカルは土属性の進化の実。報酬の基準は?
「たぶん、イベント内で活躍した成績じゃないかな?」
「拠点を破壊して1000人のNPCを倒したからか?」
「そんなに倒してたのか。虹色の進化の種が報酬なのも頷けるわ」
「凄いです、ハーデスさん!」
因みにオルトさん。これは育てることができる? あ―――できちゃうのか。
「「「できる!?」」」
『虹色の種か。大昔に群生していた懐かしい植物の実を実らせていたな』
『とても幸運ですね資格ある者よ。今となっては見かけなくなり絶滅したものだと思われていました』
神獣すら滅多に見掛けない実なのか。それなら育てて見る甲斐があるな。
「じゃあオルト、畑に植えてくれ」
「ムー!」
畑へ向かうオルト。完全に育つまでどのぐらい時間が掛かるんだろうな。実のるまでが楽しみだ。・・・・・いや待て? あの成長速度からして、案外すぐか? 気になってオルトを追いかける。オルトは空いている畑の畝に種を植えて水を与えていたところだった。
「終わったか?」
「ムムム」
五つ全部植えたようだ。オルトと一緒にちょっと見守ってみたが、特に何の変化が見当たらない。すぐには成長しないアイテムと判断し、背を向けた直後。オルトに引っ張られて後ろに振り向く俺の視界が上にずれる。これが、虹色の進化の実を実らす植物か? 思いっきり形が虹の樹にヤシのように生る巨大な果実で、形はトマトにも桃にも似ているがオパールのように七色に輝いている。いやあの、何といえばいいんだろうか? 現存している果実より大きくやないか? 野菜よりも大きいぞこれ。
「これが虹色の実? 従魔の進化を促すって実なのか」
「ムー」
オルトも驚いているっぽい。この実を丸かじりさせればいいのか? 扱い方が判らないんだが。
『虹色の進化の実』
品質10 レア度★10
太古の昔に群生していた幻の実。神獣への供物として捧げられていたが絶滅してしまった。一体に一つだけどんなモンスターでも進化を促す力が秘めている。そのまま齧るのも良しゼリーにするのも良し、人間の食用にもなる。
「何でゼリー? いや、あり得なくはないんだがな? ―――うん?」
すんごい視線の圧が感じたような・・・・・。気のせい―――。
『・・・・・資格ある者よ。一つだけでよい、我等に果実を分けてもらいたいのだが』
『懐かしい果実がまた食べられる時が来るとは・・・・・』
『おお、久しぶりに見たぞ凰よ』
『うむ、一体いつ振りであろうか』
じゃなかったです。はい。後ろに振り向きたくないぞこれ。
「うんと、生のままでいいなら、一人一つでもいいぞ?」
『『『『感謝するッ!!!』』』』
凄い食いつき。神獣達の供物にしていたってのは本当だったのか。その当の神獣達は、完全に熟成したと思われる果実に群がりかぶりついている。鳳凰が鶏じゃなくて大きな火の鳥に変化してまで食べている。
『にゃーお』
「ん、お前も食べたいのか」
『にゃーお!』
そう言えばこいつも神獣だった。ネコバスにも果実を取って目の前に置くと大きな口で齧って食べる。
「ハーデス君。これ、どういうことなの? 神獣達が凄く美味しそうに食べているんだけど」
「これ、古代の果実の実だ。神獣の供物として与えられていた絶滅した果実だよ」
「神獣の供物の果実? だからあんな美味しそうに食べているんだ」
「美味しそうです。私達も食べれるんですか?」
イカルの質問はイッチョウと佐々木痔郎も同じ気持ちのようで、俺の返事を待っていた。
「食べれるみたいだ。お勧めはゼリーらしいがな。生でもイケるらしい」
「ゼリーか、パティシエの出番だな。掲示板で調べれば直ぐにわかるぞ」
「よし探そうか」
【料理】ここは料理について語るスレ【大好き】
未だに取得者の少ない料理の地位を向上させるため、皆で協力しましょう
今ならすぐにトッププレイヤーになれるよ!
・食材情報もとむ
・レシピの情報もね!
・失敗談でもオーケー
565:アスカ
獣魔国のイベントが終わって色々と情報が浮上してきてるよね。
566:石田
参加したのがテイマーとサモナーだけど、解放されてからテイムしていなくてもテイマーと一緒なら入れるようになったからな。
567:ウサミ
なので未知の食材を探しに行ったんだけど、従魔関連の食材しかなくてプレイヤーが食べられる食材は皆無だったのが残念。
568:エネルジー
私はモンスをテイムしたのでイベントに参加しましたが、報酬は従魔の好感度を上げる食用アイテムでした。
569:アスカ
やっぱりテイマーとサモナーのイベントだから報酬もそうだったんだね。
570:石田
料理系にテイマーって言えば子供のフェンリルをテイムしたふーかの衝撃が凄まじいな。これ以上の衝撃はないと思いたい。
571:ウサミ
白銀さんに関わると驚きの連発だからね。
572:エネルジー
その人の畑はファーマーの間では聖地だの聖域だの、凄い有名な場所ですけど実際どんな感じなんですかね。
573:アスカ
白銀さんを中心にファーマー達は希少なアイテムを育てているらしいからね。しかも、彼女ふーかさんは彼からレア度と品質共に10の肉のアイテムを無償で貰えたという事実に震撼したよ。
574:石田
しかも、その肉で作る料理のレシピが凄まじく有用な物ばかりで、料理プレイヤー界をまた震撼させた。
バフが付くことは判明していたけど、あれだけ効果の高いバフは初めてだった。
575:ウサミ
それだけ凄い食材アイテムがあるなら、他にも何かあったりして・・・・・。
576:アスカ
白銀さんだからあり得るね! スーパーでも売っているけどまだ売っていない物があるなら、是非とも売って欲しいものですなー!
577:オカーン
同じく同意。あの茶葉だって飲むと凄いMP関係で凄い効果がある。もっと集めて研究したい。
578:ウサミ
私も! 白銀さん、テイマーで大盾使いの重戦士なのに食材の発見が上手いんだろう?
579:オカーン
他のプレイヤーと逸脱しているのは確か。
580:石田
激しく同意。今じゃ魔王になってるけど。
581:死神・ハーデス
料理を語る掲示板はここであってる?
582:アスカ
一体どうやって魔王になったんだろう? 大丈夫かな白銀さん。
583:エネルジー
はい、ここであってますよ?
584:アスカ
え・・・死神・ハーデス?
585:死神・ハーデス
魔王になった白銀さんだ。ちょっと質問があって来た。
586:石田
白銀さんがここに顔を出して来ただと!?
587:ウサミ
え? え? 嘘、本物?
588:エネルジー
え、白銀さんなんですか?
589:死神・ハーデス
本当だけど、信用するかしないかは自由で。ここに集まっている料理人プレイヤーに尋ねたいんだが。
590:アスカ
な、なんでしょうか?
591:石田
ここに顔を出したってことは料理関連?
592:死神・ハーデス
そういうこと。実は古代の果実を育てたんだけどゼリーがお勧めらしく、パティシエがいるなら作ってもらえないかと。ゼリーを作れる前提で。
593:エネルジー
古代の果実・・・・・?
594:アスカ
ま、またとんでもない食材を抱えていたのこの人?
595:死神・ハーデス
因みにレア度と品質ともに10の奴。これスクショ。
596:ウサミ
ふぉおおおおお!! すごいっ、きれいっ、虹色のヤシの実みたい! こんな果実が存在しているなんて初めて知りました! 私パティシエでゼリー作れますよ!!
597:死神・ハーデス
おっ、作れるのか。じゃあゼリーを作ってもらえるか? 報酬はこの虹色の実を3つと一億Gでいい?
598:ウサミ
全身全霊で作らせていただきます白銀さん! やった! 欲しかった高い調理器具が買える!
599:オカーン
すごい羨ましい。
600:石田
白銀さん、板前のプレイヤーなんだけど古代の魚のアイテムってないかなーなんて。
601:死神・ハーデス
ボスモンスターとしてなら知っているが、アイテムはないな。見つけたら教えるよ。
602:石田
古代魚のボスモンスター? ちょっと詳しく教えてくださいお願いします。
603:死神・ハーデス
どっちかは教えないが、地底湖に潜るとボスに通じる扉があるからそこ行ってみるといいぞ。【水泳】と【潜水】を最大値まで高めることを勧める。
604:石田
情報感謝! ちょっくら探して捌いてきます!
605:アスカ
白銀さん、私はシェフですけどふーかさんに譲ったお肉ありますか? あったら売ってくださいお願いします!
606:死神・ハーデス
売ってもいいが、正規の値段が判らないぞ。だから少しだけ譲る。
607:アスカ
ふ、太っ腹・・・!?
608:オカーン
出来れば俺も・・・・・。
609:死神・ハーデス
―――いったん全員俺のホームに来い! 話はそれからだ!
610:エネルジー
わ、わかりました!! すぐに伺います!!
「人のこと言えないが、ものすっごい強請って来たな。こいつらもギルドに入れるか?」
「入る気があるなら、な。にしてもこっちはこっちで凄いことになってるし」
「うん。お腹が膨らんでいる神獣、初めてみた」
「凄く幸せそうに顔が笑ってますね」
本当に腹が膨らんでいるから神獣の威厳がない。四神のみんなもそうなのか? 試してみたくなるな。
「取り敢えず、鳳凰達が食べ切れなかった果実を生で食べてみるか」
「いいのか? ゼリーを作ってもらえるまで待たなくても」
「それはそれ、これはこれだ。もしよかったら他のみんなにもわけよう」
「ハーデスさんは優しい魔王様ですね!」
「だからみんなの人気者なんだよん」
褒めるな褒めるな。というわけで早速実食してみたところ。
「あっまっ! うん? 味が変化していくなこれ?」
「お、おお? 噛めば噛むほどあらゆるフルーツの味が感じる」
「うわ、すっごい不思議な味だね」
「凄い、とても美味しい! こんなの初めてです!」
まさにフルーツの王様だ。糖分もかなり濃くて高いんじゃないかこれは。
「この味でゼリー・・・・・非常に興味深いな」
「白銀さんは作らないのか?」
「作れはするが経験がないだけ。それに作るなら自分用だ。他人に作ってもらった方が交流も出来る」
「コミュニケーション目的で敢えてそうするのか。世渡り上手の人なのか?」
ふふ、どうだろうな? それじゃそろそろ表に出ますか。