バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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南極大陸2

 

 

水瓏を南極大陸にある国の船着き場に置いた俺は【蒼龍の聖剣】の皆ともう一度国に戻った。ペイン達は早速NPCへ話しかけに行ったり町中を散策していく中、俺は―――寒中水泳を臨んだ。是非ともできるならテイムしたいモンスターがいるなら探すためだ。

 

「そう言うことだから、よろしくなペルカとルフレーズ」

 

「ペン!」

 

「「「「「フム!」」」」」

 

「ペルカとルフレは俺と行動だ。お前達は散らばって食材や他のモンスターを見つけてくれ。見つけたら俺に教えに来てくれ」

 

「「「「フム!」」」」

 

やる気を示してくれる六人と共に、いざ海へ飛び込んだ。うはっ、マイナス温度の海は冷たいぃー!! だというのにうちの従魔は冷たさを感じない元気な姿を見せてくれるな。さーて、もっと沖の方へ移動しないと会えないだろうな。国が見えない所までどんどん泳ぎ、海底遊泳していれば様々な生物やモンスターと出会えた。お、あれは桜のチェーンクエストで戦ったクリオネさんではないか。でもちっこい! よし、あれはゲット!

 

数分後―――。

 

「クリ~♪」

 

一番優秀なユニーククリオネを探し続けて、拘って選んだのをテイムに成功した。そして意外なことにこのクリオネさん・・・種族は(幼)天使なのだ。リアルのクリオネと同一させたか運営よ。お、あそこにもユニークのクリオネが・・・・・。ゲット!

 

「ペンペーン♪」

 

「フム~!」

 

おーおー、はしゃいじゃって。やっぱり広く泳げる場所は嬉しいんだろうな。

 

「フムー!」

 

お、一人のウンディーネが戻ってきた。モンスターを見つけてくれたのかな? 案内してもらうと結構泳いだ先には広く蠢く赤がいた。あ、あれはっ・・・・・!? 地底湖にもいたが、レア度が凌駕しているカニさんではないですか! しかも・・・・・

 

「た、大漁―――!」

 

是非ともたくさん収穫したい! いや、する! 他のウンディーネが来るまで乱獲祭だ!

 

 

南極ガニ

 

品質☆8 レア度9

 

 

全てのカニの王様。その身が美味であれば、宝石のような輝きを放つ強硬な甲羅は外敵から守り、長く生きた南極ガニは高額で売買される。

 

 

そんなカニ達をルフレが腕一杯に抱えて集めていく。ペルカは一匹だけども、一生懸命集めてくれる。

 

「フムフムー!」

 

また別のウンディーネが何かを見つけ報告をしに来たようだ。カニ漁を中断して遠くまで案内してくれる彼女について行くと・・・・・海底に奈落の底を彷彿させる割れ目があった。どうしてここに連れてきたのか分からないが、きっと何かを見つけたのだろう。

 

「この下か?」

 

「フム!」

 

頷くウンディーネ。そう言うことなら何があるのか確かめないとな。海溝に皆で潜り新発見を臨む。

どんどん潜ると光が差さらなくなる途中で壁際に顔を出す綺麗な青色の結晶を発見した。しかも採掘が可能なのだから無視はできないではないか・・・・・え?

 

 

アポイタカラ

 

品質☆10 レア度10

 

アポイタカラはヒヒイロカネを指すともいわれる鉱石。地上にはヒヒイロカネより出回らないため何時しか人類の記憶から消えた忘れ去られた幻の鉱石。

 

 

「・・・・・マジで?」

 

まさかこんな所で幻の鉱石を見つけられるとは。不壊のツルハシを装備しながら驚嘆する俺は、感激をツルハシに込めながら採掘を始めた・・・よし、アポイタカラゲットだぜ!!

 

「他にもこれがあった?」

 

「フム・・・」

 

見つからないと首を横に振られた。まぁ、そう簡単には見つからない物か。それでもここにあったという情報は凄いラッキーだ。

 

「よし、ペルカ達。他のウンディーネ達を呼んでここに連れて来てくれ。フリムは俺と一緒な」

 

「ペン!」

 

「フム!」

 

「クリ~」

 

この辺りに間があるかもしれないという思いで、もう少し探してみたくなった俺のお願いを、聞き受けてくれたペルカ達は直ぐに行動してくれた。戻ってくるその間、フリムと更に下へと進みながらアポイタカラを探すのだった。その途中―――。

 

 

『称号【ダイビングマスター】を取得しました』

 

 

なんか称号が手に入ったし。・・・潜水している間の泳ぎの速度が速くなる効果付きか。お、アポイタカラみーっけ!! お、これは見たことのない採取できる海草だ。おーこれも畑に育てられるのか?

 

「ペペーン!!」

 

ペルカ達が戻ってきた。でも何でか焦ってるな。こっちに来る従魔達を見つめてると、巨大な影が視界に飛び込んできた。ソレは、南極大陸でお世話になったあのクジラのモンスターだ。

 

 

ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!

 

 

「またお前かぁー!?」

 

口を大きく開けて突っ込んでくるクジラと戦っても意味がない。HPバーが無いなら倒せないんだ。くそ、こうなったら・・・・・。逃げながら探索だ! ここまで来たんだからもっと下へ! 迫るクジラからもう一度逃走劇をしなくてはならなくなった俺達は深海へ目指した。どこまで奥深く潜ろうと追いかけて来るクジラ。これ、いつまでどこまで続くんだ? あのクジラはしつこいな! 喰われたらEXクエストが発生するって聞いたけど、今それどころではないというのに―――!

 

「フム!」

 

ルフレが俺の腕を掴んで深海にはあるはずのない、海中に浮かんでいる神殿に指した。明らかに隠しギミックですね~!

 

「ありがとうルフレ、あそこへ行こう!」

 

「ペン!」

 

さすがにあそこまで入ってこないと思うが、白亜神殿の中には何が待ち構えているかわからない。そうでなくても一難去ってまた一難だろうと倒せないモンスターから逃げ続けるよりはマシだ。もう目と鼻の先まで口を開けて迫るクジラの影に覆われながらも、全力で神殿まで泳ぎ進み、転がる勢いで開けた扉を閉めた直後。激しい衝撃の音が響いたものの、壊れることはなかったからクジラの追撃が止んだ事に深い溜め息を吐いた。

 

「疲れる・・・・・それにしてもここは?」

 

外見は白亜の神殿だった。中の方は大理石で敷き詰めた床と空色の大きな玉が浮かんでる台座のみ。

 

「ペペン?」

 

「クリー」

 

「フムー?」

 

ルフレ達もここが気になっている様子だ。他に何もないようだが、すごく怪しい。

 

「抜いたら戦闘モードになるかな」

 

玉を触れろもばかり、そこにある玉。逆なことをしようとすれば扉が開かずの扉と化している。ふー・・・・・わかったよ。

 

「みんな、戦うぞ」

 

「ペン!」

 

「フム!」

 

あ、クリオネさんは俺の懐にいな。みんなと一緒に台座へ足を運び、伸ばした手が玉を触れた瞬間。

 

『汝、試練を受けよ』

 

玉から閃光が迸り、その光の中からか、それとも玉からなのかどうでもいいが、出てくる山のごとく一匹の海の生物と闘わされるようだった。

 

「・・・・・最近、何かと縁があるな―――蛸と戦うなんて」

 

ただ言わせて欲しい。今回のタコはレインボー、虹色の足+白い足なのだ。頭部の方は桃色と運営の悪ふざけを感じさせてくれる。さて、この蛸さんは何を仕出かしてくるんだろうか?

 

「タッコゥー!」

 

ほうほう、最初は天井に張り付いた状態でタコ足を駆使して物理攻撃か。巨大な分、リーチの長さと攻撃速度が早くて回避が難しい。横凪ぎの払いをされたらさすがに受け止めるか、上に回避、来る前に本体へ近づいて逃げる他ないかな? でも単純な上からの突きで躱すことはできる。だが、ペルカ達はそうではなく。

 

「ペギャー!?」

 

「「「「「フムー!」」」」」

 

「お前らー! ごめーん!」

 

懐にいるクリオネさん以外、たった一回の触手の突きであっという間に倒されてしまった! ええい、先ずはタコ足を切断してやらぁ!

 

 

イズside

 

 

ハーデスが見掛けない。連絡にも繋がらないしログイン状態なのだけれどどこにいるのか皆も分からないらしい。唯一判りそうなサイナちゃんのところへ足を運んで尋ねて見たら・・・・・なんでそんなところにいるのだろうという場所を教えられた時は信じられなかった。

 

「マスターは現在巨大な蛸と戦っております」

 

「蛸・・・・・?」

 

「南極海の未知を発見してくる、と申しましたマスターが深海にて発見した神殿の中で試練を受けました。今は少々苦戦を強いられておるようです」

 

ああ・・・なるほど。海の中は盲点だったわ。でも、凄く冷たいだろうから覚悟が必要よね。耐冷のアイテムを作ろうかしら。・・・・・でも、巨大な蛸と戦闘だなんて想定外だわ。

 

「彼はどの辺りいるのかわかる?」

 

「申し訳ございません。分かりかねます」

 

「ううん、謝らなくていいわ。ところでサイナちゃんは寒さに平気?」

 

「問題ございません。マスターの【耐寒】スキルで常時活動できます」

 

「ハーデスのスキルがそのままサイナちゃんも使えるなんて強いわよね」

 

心なしか褒められて嬉しそうに「インテリジェンスですから」とドヤ顔を浮かべるサイナちゃん。ハーデスの防御力もあったら、もう確実にハーデスの分身と言っても過言じゃないわ。

 

「ハーデスの、ベヒモスに変身するスキルは使えないの?」

 

「当機は機械ですので生物上の肉体とは異なり不可能です。しかし、加えて言うならば機械の兵器を作り出すことは可能です」

 

「例えば?」

 

「採掘用の機械兵、海中の探査機、偵察機などほかにも様々な機械を生み出せます」

 

実際に彼女の掌から一振りの金属の拳銃が生み出された。一体どういう仕組みなのか少し興味があるところだわ。

 

「ところでマスターに何か御用のようですがどうしましたか?」

 

「あ、うん。ただ姿が見えないから気になって探しに来ただけなの。特に用って程じゃ・・・・・」

 

言いかけた私の声を遮るプレイヤーの声。その人の名前はペインだった。フレデリカ達もいる。でもフレデリカちゃんは寒そうね。

 

「やぁ、イズもいるということはハーデスのことを訊いているのかな」

 

「ペインもハーデスを探しに?」

 

「山に城があったから、その行く方法を探したいんだ。彼もしているなら一緒にか、情報を共有したいと思っている」

 

なるほど。合理的な理由ね。でも今の彼は・・・・・。

 

「マスターは現在、深海で巨大な蛸と戦闘中です」

 

「ハーデスの奴、何で深海でモンスターと戦うことになっているんだよ」

 

「あいつの行動はいつも俺達の思いもしないことをしてくれるぜ」

 

「それがハーデスでしょ? というか、一人で深海って大丈夫・・・だから行っているんだよね」

 

防御力極振り+溺死しない+満腹度が減らない彼だからこそできる深海の探索。正直言って羨ましいところがある。どんな環境にも左右されないなら自由に色んな場所へ移動できるから。

 

「ちょっと待って? どうして離れているのに、深海にいるってこともモンスターと戦っていることもわかるの?」

 

「開示:私とマスターを繋げるモノがございます。それを介して情報を共有しております」

 

「それってハーデスの言動が筒抜けってこと?」

 

「肯定:こういうことも出来ます」

 

そう言うサイナちゃんが立体的な映像を映し出す機械を作ると、戦闘中の彼とモンスターの姿が浮かび上がった。

 

「マスター、お話をよろしいでしょうか」

 

『は? なんでサイナの声が聞こえる!?』

 

「現在、マスターの姿を映し出す機械を創造しました。現状の説明をお願いします」

 

『説明って・・・八色の足を持つ蛸と戦っているところだよ。タコ足にダメージを与えたところで今は・・・あ、天井に張り付いていた蛸が降りてきたな』

 

その蛸のモンスターの姿は私達も見れた。リヴァイアサンより大きくはないけれど、巨大なモンスターであることは変わりない。深海でこんなモンスターがいるところにまで潜ったのねハーデスって。

 

『示せ、汝の生き様を』

 

「生き様を示せ?」

 

「なんだ? ハーデスは何かのクエストをしているのか?」

 

『あ? ドレッドとドラグの声が聞こえるけどそこにいるのか。てっことは、人が苦労しているところを観客気分で見ているのかー!』

 

ああ、そうなっちゃっているわね確かに。ごめんねハーデス。と内心謝ってたら、蛸の背後に五つほどの黒く渦巻くブラックホールのような魔方陣が浮かび上がって、そこから私達が見たことのない海の生物がたくさん出てきた。クジラやイルカ、シャチ、サメ、マグロやカツオにタコやイカにペンギンにオットセイやアザラシ―――なにこれ?

 

『なにこれ?』

 

「もしかして、南極海にいるモンスターとか生物とか全部召喚しているの?」

 

「南極にマグロはいないだろ」

 

「召喚されている魚は冷凍されたように白く凍っているみたいだね」

 

「案外、アイテムとして手に入れたりするのか?」

 

ハーデスを囲うように円を描いて宙を泳ぐ召喚された魚たち。それらが一斉にハーデスという一点へ集中して突っ込んで襲い掛かるけれど―――【相乗効果】でラヴァ・ゴーレム+ベヒモス+【金炎の衣】を一つにした姿である、溶岩とマグマで赤熱したベヒモスの姿になったハーデスの前で魚達が自ら焼かれて行く形で焼失していった。あの大きなクジラさえ、ベヒモスの爪の一振りで

 

「えっぐ・・・!」

 

「やべぇ、やべぇってこれ・・・・・」

 

「走ることができるマグマの獣って・・・・・」

 

「倒し甲斐があるよ」

 

どこまでもプレイヤーだねペイン。今のハーデスを見ても倒してみたいだなんて。私達をドン引きさせてくれる彼はその姿でタコ本体に直接攻撃を仕掛けダメージを与える。するとここで新たな展開が繰り広げようとした。

 

『汝、理不尽に抗え』

 

という音声が聞こえると白色の触手が蛸の胴体の部分を太鼓のように・・・・・。

 

『イヨ~イ、ポンッ!』

 

叩いた瞬間。ハーデスの姿が前触れもなく元に戻ってしまった。

 

『は?』

 

次に赤の触手が胴体を叩くと、その赤い触手でハーデスの身体を打ち払った。

 

『んなっ!? 今の一撃でHPが1まで・・・・・即死攻撃か今の!?』

 

次は青の触手が彼を、性別を変えた。

 

『あ、性別が戻った?』

 

『イヨ~イ、ポン!』

 

『・・・・・。・・・・・? 今度は何をされた? ・・・・・あ、ステータスか。って【VIT】の数値が【INT】極振りになってるー! いよっしゃ【エクスプロージョン】ッ!!』

 

『タコッー!?』

 

「なるほど。見るからにして、あのタコの八色の足はそれぞれ効果があるみたいだね。赤は即死攻撃、白はスキルの解除、もしくは無効化。青は性別反転。緑色はステータスのパラメータを変える」

 

「んじゃあ、残りの四色も効果があると言うことだな」

 

「私的には即死攻撃とステータスのパラメータを変えられるのは厄介すぎるよ。」

 

「そいつは全プレイヤーも同じだぞフレデリカ」

 

それからも私達は彼の戦いぶりを見守り続けた。さすがのハーデスでも九死に一生を得る場面もあって、見ているこっちがハラハラドキドキさせられる。それでも彼は笑みを絶やさず戦いを楽しんで、蛸のモンスターを戦っていた。そしてHPが一割になった蛸に対して―――ハーデスが胴体に噛みついて食べ始めた。

 

『あ、タコ焼きの味がするー!』

 

「「おいっ!!!」」

 

「・・・・・モンスターに味があるのって本当なんだ」

 

「そうみたいだ。少し興味が湧いてきたよ」

 

「あははは・・・・・」

 

タコのモンスターが倒れるまでモンスターの肉を食べるプレイヤーを、しばらく見ることになった私達は何とも言えない気持ちになった。けれど、そういうやり方でドレインした扱いになったみたいでタコのモンスターはポリゴンと化してハーデスの勝利という形でいなくなった。

 

「お疲れハーデス。何か手に入った?」

 

『ちょっと待って、確認中・・・・・なるほど』

 

「どういうのだ?」

 

『【八宝盤】という物が手に入った。八個の宝玉を埋め込む円盤でな、どうもこいつは何度も周回して八個の宝玉を集めれそうだわ』

 

「周回して集めるアイテムか。俺達もその蛸のモンスターと戦えるか?」

 

『深海に来れないといけない前提だぞ? でも・・・多分だが潜水できる水瓏なら来れるかも? これたとしても再戦できるかわからないし』

 

「サイナ、実際どう? 深海まで行けるこの船で?」

 

「肯定:可能でございます」

 

「俺達も挑戦できるといいんだがな」

 

「あ、そう言うことなら【蒼龍の聖剣】の皆も誘う?」

 

「あのタコのモンスターがレイドボスなら、そうするべきだろう」

 

『先に俺はここから離れているからなー。レイドボスの場所ならまだ残るはずだし』

 

それもそうか。残らなかったらレイドボスじゃないってことになる。まずはその確認をしなくちゃ。ハーデスが神殿の扉を開け深海へ出ると神殿は・・・・・1分経っても消えることはなかった。

 

「よし行こう、今すぐ行こう」

 

「規制されてもあの効果のアイテムが手に入るならなおさらな」

 

私達はすぐに行動を取った。ハーデスが手に入れたアイテムをレイドボスと戦えるかもしれない旨を皆に教えると、疑心暗鬼と驚きながらも是が非でも欲しいと言う返事が返って来て、全員が水瓏に戻ってから深海へ出発。時間をかけてハーデスが見つけた神殿を発見すると、疑問の声が聞こえた。

 

「そう言えば、深海って水圧が凄いんだよな。このゲームもその水圧の影響ってあんのかな」

 

「あー確かに。白銀さんは防御力極振りだし、水圧の影響を受けつけないから深海まで泳げたんだろうなぁ」

 

「・・・・・ってことは、そうじゃない俺達はどうなる?」

 

「・・・一瞬で死ぬわけ、ってことはないよな」

 

―――どうしよう、それは盲点だったわ!? ペイン達にこの事を教えると彼等も気が付かなかったようでサイナちゃんにも深海の水圧の影響はあるか訊いたら。

 

「影響はあるかと思われます。それに加えて水瓏は深海も潜航可能としますが、深海へ出るための空間設備はございません」

 

「・・・・・そうだった」

 

「ですが、問題ございません。あの神殿と繋がる水晶の通路を作り伸ばすだけで解決します」

 

舵輪を握るサイナちゃんが何かのスキルを水瓏に使ったようで、彼女から「繋げました」という発言を聞き本当に出来たのか場所を教えてもらい確認しに向かうと、誰もいない通路で本当に白亜の扉と繋がる水晶の通路が出来上がっていた。有能過ぎるサイナちゃんに感謝して皆を呼び集めて神殿の扉へ続く水晶の通路を歩き、私達もレイドボスに挑戦できる扉を開け放った。

 

中は大きな空色の玉しかない空間。彼はきっとアレを触ってレイド戦を始めたのよね?

 

「では、触るよ。準備は良いか」

 

ペインの確認の声に皆は頷いた。玉を触れるペイン。そして・・・・・。

 

『汝、試練を受けよ』

 

玉から閃光が迸り、その光の中からか、それとも玉からなのか、出てくる山のごとく一匹の海の生物と闘わされるようだった。―――だけど、ハーデスが戦っていたタコじゃなくて。

 

「ペン、ギンッ!!!」

 

ハーデスのペルカを10メートルほど巨大化させて、柔らかそうな身体をボディビルみたいな筋骨隆々にしたペンギンのモンスターが出てきた。

 

「・・・・・うわぁ、マッチョな巨大ペンギンが出てきたね」

 

「タコじゃないのかよ?」

 

「試練は一つじゃないってこと?」

 

「もしかすると試練を乗り越えたら、ランダムで別のモンスターと戦わされる設定かもね」

 

「もしくは、挑戦するプレイヤーの人数に応じてかも」

 

どちらにしろ、このモンスターを倒せば何かしらの称号かアイテムを貰えるかもしれない。そういう気持ちで私達はレイド戦の火蓋を切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・で、結果は辛勝だった?」

 

「あと一歩のところで小っちゃいボディビルのペンギンを大量召喚されて、足場がヌルヌルにする液体で塗りつけられて思うように動けず、結局ペインが倒してくれたんだけどね」

 

「当然のペインさんだったか。それで何か手に入ったか?」

 

「あなたと同じ【八宝盤】よ」

 

「そうか。なら次からは皆で挑戦しに行こう。出来る限り揃えておきたい」

 

「ええ、頑張りましょう」

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