バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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神獣 その名は白虎

新大陸『南極』での活動は様々なモノを発見した。一部渇望していたペンギンを発見すればギルドメンバーのプレイヤー達に情報を共有し、さらに俺達が見出したクエストも情報にまとめ上げていた中。

 

「お、来たかヘルメス。トランスポーターを利用して来たな? フレンド機能は便利なもんだな」

 

「こんな裏技めいた方法が出来るのは【蒼龍の聖剣】だけよ。早速だけれど南極の情報を全部買うから教えてちょうだい! お願いします!!!」

 

「ふふん、今回ばかりは立場が逆だな? 言い値でOK?」

 

「お、温情を酌んでくれると凄く嬉しいのだけれど・・・・・?」

 

小猫のように震えるヘルメスはとても可愛かったので温情を酌んでやった。数千万Gはするだろう情報を半分にしてやった。全ての情報を開示した時には2時間も掛からなかった。

 

「んで、俺達が離れている間は旧大陸の方で第12エリアまで誰か進めた?」

 

「そう簡単な話じゃないわ。まさか一旦後ろに下がって寄り道しないと先に進めないなんて信じられなかったんだから。プレイヤー達は第12エリアを必死に探しているわ」

 

「そうなんだ。じゃあ、南極を調べ尽くした頃には見つかってるかな」

 

「きっとそうだと思うわ。ところであなたも新大陸に行くつもり?」

 

「一度は行くつもりだ。ただ、旧大陸に放置する形のホームが恋しいから新大陸からでも行き来できる解決を模索したい」

 

切なる願望を吐露した俺に分からなくはないと同感するヘルメスは頷いた。

 

「見つかったら高く売れるわね」

 

「売れるか怪しいがな」

 

「確かにそうね・・・・・でも期待してるわよ」

 

応えられるといいがな。とまぁ、ヘルメスとの話は終わりその後俺達は水瓏を介して旧大陸に戻り各々の生産職の作業に精を出し、南極に戻って探索を繰り返してしばらく経った。

 

「第十回、レイド戦お疲れ様ー!」

 

おおおーっ!!!

 

【八宝盤】の完成に至った。参加したい、欲しい能力だけ求めた【蒼龍の聖剣】のプレイヤーたちと最大十回も深海の神殿でレイド戦をしてきた。いやー。長かった!! タコとペンギン以外に出てきたモンスターはシロクマ、シャチ、巨大鳥、狼、アンデット、最後に冬将軍が出た時は本当にヤバかった。冬将軍は強すぎた。あの薙刀を駆使する鬼と負けない強さで、繰り出す攻撃が一々広範囲or必殺+装備破壊だから仲間があっさり死なれていくもんだよ。

 

「最後のラストアタッカー、ナイスだった」

 

「どもどもー」

 

「ハーデスも無茶する。わざと貫かれた身体で刀ごと冬将軍の身動きを止めるんだから」

 

「しょうがないだろ。HPが三割になった途端に射程距離と反射能力、攻撃速度が鬼すぎて動きを止めないと倒せないじゃん」

 

「まぁ、そのおかげで何とか倒せたけれどね」

 

結果が良ければ全て良しだ。はー、濃い戦いだった。浮上して町の港へ戻る船の甲板から海を眺める。

 

「ハーデス、戻ったらどうする?」

 

「全部揃えたからな。旧大陸に戻ってまだやり残している事でもしようかな」

 

「やり残したこと?」

 

「倒していない神獣、四神を挑戦すること。白虎と朱雀だな」

 

話しかけて来たイズにそう告げたその後。水瓏が港に到着すると俺だけ旧大陸に戻って西へと進んだ。場所はクエストのシステムで教えてくれるから迷わずモンスターがいるエリアで祠を見つけた。見つけたんだけど・・・・・ずーと気付かない振りしていたんだが、流石に最後まで無視できなかった。

 

「ペインさん等、俺に何か用か?」

 

「白虎に挑むなら俺達ももう一度挑戦したくてね。例の『勇者の光輝』をまだ白虎から手に入れてないからさ」

 

「初めて挑むお前よりも何度も戦った経験がある俺達なら助言も出来るぜ」

 

「そんで一人よりも五人なら戦いやすくもなるさ」

 

「そうだよー、一緒に戦おうよハーデス」

 

パーティの申請も送ってくるし・・・・・ああもう、ソロで戦ってみたかったんだけど次の機会にするか。

 

「ほら、これでいいだろ」

 

「ありがとう。それじゃあ挑もうか」

 

祠に腕を伸ばし触れると祠の扉が開きだして放つ光に俺達は包まれた。視界がクリアして何も見えなくなったのも束の間。数秒後、目を開けると真っ白な空間に立っていたのは俺達だけでなく。巨大で真っ白な毛並みの虎が不敵にこっちを見て笑っているのか牙を剥いていた。

 

『おうおう!! 誰かと思えば俺を打ち破った資格ある者共じゃねぇかよ!! しかも今度は初めて玄武をその気にさせた資格ある者も連れて来るとは嬉しいねぇ!!』

 

「・・・・・テンション高いな」

 

「これが白虎なのさ」

 

しかも奴さん。毛並みを逆立てて放電(スパーク)してませんか?

 

『表の人間界じゃあ力を抑えないと何もかもぶっ壊しちまって黄龍と麒麟に説教を食らっちまうからよぉ、この中だったらそんなの気にせず戦っていいから・・・・・最初から全力で行くぜ?』

 

「っていうことは、ペイン達は手加減された状態で勝ったってことか」

 

「言っておくが、かなり強かったからな」

 

「だが白虎の全力は俺達も体験したことがない」

 

「じゃあ、私達の知っている白虎の助言は意味ない?」

 

「そうだったら悪いなハーデス」

 

おいっ!!

 

『行くぜ、【電光石火】!』

 

白虎が一瞬の火花を放った瞬間に稲妻の如くき―――はやっ!? 図体のデカさで踏み込みからの初動から一気にトップスピードで突っ込んできた白虎の頭がトラックを彷彿させてくれる。立っていた場所から飛び引いて白虎の突進から躱し。

 

「攻略情報!」

 

「白虎は見ての通り【STR】と【AGI】が特化している。だけど動きが停まると【VIT】と【INT】が高くなる。ダメージを与え続けるなら動いている最中でだ」

 

「それがわかってどうやって倒した?」

 

「ドレッドとドラグのスキルを私の【多重転移】でペインに付加したんだよ」

 

「結構ヤバかったがな、っと!」

 

「前にも言ったが白虎の攻撃は雷属性のスリップダメージがある。まともに食らうと厄介だから気を付けろよ」

 

情報提供感謝! 【トリアイナ】で短刀を大剣に変えて右前脚を振り下ろす白虎に合わせて下から打ち上げた。

 

「【連結】【灼熱地獄の誘い】と【紫外線】!」

 

一筋の赤いエフェクトが大きな猫の手から溢れる。同時に炎上して白虎の手が燃える。でも、攻撃後に一瞬硬直した俺の横から巨大な虎の肉球が俺を弾いた際、もう片方の足にも斬りつけてやった。

 

『やるじゃねぇか! しかも納得だぜ。玄武が絶賛するほど硬ぇなっ!』

 

両足が赤いエフェクトを漏らしても白虎はまだまだ余裕だ。

 

「ハーデス、まだ行けるか」

 

「もう一度白虎の肉球を触れたい!」

 

「うん、欲望に忠実しているなら大丈夫みたいだね」

 

「ははは、タンクがいるのといないのとじゃあ大違いだな」

 

「攻撃に集中できるってもんだ」

 

こっちもまだ余裕だ。お互いにらみ合い、一斉に距離を縮めて駆け出す。

 

「【挑発】!」

 

『のってやらぁ!』

 

俺に意識を向けている間にペイン達はそれぞれ動いていた。

 

「【水分身】」

 

ドレッドが三人に増え、同時にスキルを発動して白虎から赤いエフェクトを咲かせる。

 

「【海大砲】!」

 

「【土石流】!」

 

リヴァイアサンのより縮小してるが、人一人は軽く呑み込む膨大な水の塊に岩石が混じって白虎に迫る。当然の気付いて回避することはお見通しだ。

 

「【破壊の聖剣】」

 

『【雷斬】!』

 

回避した先にはペインが待ち構えていた。強力な一撃を振るったものの、雷の斬撃に防がれて白虎のしなる太い尻尾に真上から叩きつけられようとしていた。

 

「【カバームーブ】【八艘飛び】!」

 

瞬時でペインの傍らに移動、回収したまま空中を蹴って尻尾の叩きから逃れ、白虎の横腹に飛び込んだ。

 

「【悪食】!」

 

「【断罪の聖剣】!」

 

『遅いっ!』

 

ちっ! やっぱ獣は速くて難儀するな! 動きを止めさせようとしても【VIT】が高くなるようだし、あの巨体に乗っても攻撃するしかないか?

 

「【色彩化粧】【超加速】!」

 

「あん? ハーデスがドレッドの【神速】みたいに消えたぞ」

 

「あれれ、ドレッドのお株が奪われちゃったー?」

 

「そんなわけあるか!」

 

なんか聞えてくる会話だが、白虎の懐に潜り込めたところ【飛翔】で飛び上がり白くて大きな背中に乗れることに成功できた。

 

「防御力関係なくダメージを与える方法は他にもある。【精気搾取】【生命簒奪】!」

 

『ぬぅっ? 何時の間に背中に・・・降りろ!』

 

「はははっ! 白虎の毛皮はもふもふー! 絶対に離れないぞー! 全身で堪能してやろう!」

 

『なんか気持ち悪いから止めろォッ!!?』

 

巨大な暴れ牛の背中にしがみ付く格好になっている俺は、激しい揺れや背中と地面の間に押し潰されようと、尻尾で叩かれようと絶対に離れず白虎のHPを徐々に削って行く。―――そこ! ノミとかダニみたいなとか言うんじゃありません! 獅子身中の虫でもないからな!

 

「あんなことできんの、ハーデスだけだな」

 

「「同感」」

 

「だが、ハーデスばかり意識を向いている今ならこちらの攻撃の通り易くなっているのも事実だ」

 

攻撃の手を緩めないペイン達。ほぼ半ば一方的に白虎に攻撃を繰り返し、白虎は俺を身体から振り払うことに意識を集中してて、全力で駆け出そうとも決して離れなかった俺に対し。

 

『いい加減に離れろオオオオオオッ!!!』

 

全身の体毛を逆立て、自分を中心に放電しだしたので俺は雷の奔流に呑み込まれ感電してしまって、防御貫通の能力があるのかHPが減っていく。

 

「―――だがッ!」

 

俺も負けられん! 【悪食】っ! 【エクスプロージョン】っ!

 

『ぐあああっ!?』

 

悲鳴を漏らす白虎の背中に爆裂。その衝撃で俺は吹き飛んで離れてしまった。空中で体勢を立て直し着地して白虎を視界に入れる。

 

「ハーデス、大丈夫か」

 

「あの雷は厄介だ。本当の【VIT】だろうとHPが減ってる」

 

「白虎もそれなりに減ってるよ」

 

「だが、あいつはすばしっこくて攻撃が当たらねぇ」

 

「まずはどうにかして動きを封じるしかないがな」

 

動きをか・・・・・。

 

「よし、獣相手なら獣で行こうか」

 

「ベヒモスで?」

 

「そう言うことだ。だけど、あの二つのスキルが【相乗効果】であんな風になるなら・・・・・更なるアレンジができそうだぜ」

 

ニヤリと不敵に笑む俺を、また何かとんでもないことをする気だって顔をするドレットとドラグや期待の眼差しを向けてくるペイン。

 

「というわけで、俺が動きを止めたら最大の一撃をお願いするよ。フレデリカの【多重転移】で」

 

「わかったよ」

 

頷くフレデリカ。そして俺はスキルを口にしたのだった。

 

「【相乗効果】【覇獣】【溶岩魔人】【金炎の衣】!」

 

駆け出しながら溶岩の体を得たベヒモスと化した俺に突っ込んでくる白虎との距離はあっという間に縮まりお互いの額がズガンッ! とぶつかった。が、力は白虎が勝って押し戻されるも溶岩の体に触れたので綺麗な毛並みが燃え、炎熱のダメージが入った白虎が俺から飛び下がった。

 

 

フレデリカside

 

 

『ガアアアアアアアアアアッ!!』

 

『オオオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

牙と爪、雷と炎が荒れ狂い幾度も交差し縦横無尽に動きながら攻撃する白虎とハーデス。まるで演舞を観させられている感覚になる。だけどいつまでも観客でいるつもりないのは私だけじゃない。ハーデスが白虎に首を噛まれた状態で組み敷かれてしまった。HPもかなり減らされていると思うのに、この瞬間を待っていたようなハーデスが白虎の脚を噛みついた。

 

「「―――――」」

 

ハーデスがこっちを見て、私たちは彼の視線の意図を察した。

 

「【神速】!」

 

「【バーサーク】!」

 

「【多重転移】!」

 

ドレッドとドラグのスキルをバフとして白虎へ駆けだしたペインに付与する。当然、ペインに気付いている白虎だけどハーデスが手足を使ってまで動きを封じる。

 

「【悪食】【生命簒奪】【精気搾取】!」

 

「【光輝の聖剣】!」

 

ペインの攻撃が白虎の顏に当たる―――!

 

『―――【雷神の怒濤】!』

 

ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

 

「「「!!!」」」

 

また白虎からすごい雷が発生してハーデスとペインを呑み込んだ。それどころか、ペインのHPがかなり減ったエフェクトが漏れてるし、ハーデスがマグマの獣から元の姿に戻ってる!

 

『面白ぇ・・・・今まで戦ってきた資格ある者と一線超えてんな。玄武と青竜が全力出した気持ちが判って来たぜ』

 

二人のもとへ駆け寄る私達に不適の笑みを浮かべる白虎。

 

「じゃあ、お前も【天変地異・海】を使うのか?」

 

『俺は空を飛べれねぇから使わねぇよ。泳げなくはないがそれじゃあ戦うことができねぇ。だから俺の全力ってのはよ・・・・・上を見ろ』

 

言われて見上げると、真っ白な空間の天井を埋め尽くす星の数の光が出現した。これ、全部攻撃の・・・?

 

『これが俺の全力―――【天川流星群】!』

 

天井の光が全部降り注いで私達のところに豪雨の如く落ちてきた。

 

「【大地の護り】!」

 

私達を護る巨大な岩壁が覆い被さるドラグのスキル。光弾の雨を防げたけど長くは保てなかった。絶え間なく聞こえてくる衝撃音と罅が入り、守りの岸壁が瓦礫と共に崩れた。

 

「【身捧ぐ慈愛】【イージス】【生命の樹】!」

 

第2の守りとしてハーデスもスキルを使った。天使の姿になって光の広範囲防御の結界の中にいる私達を光弾から守ってくれる。HPも回復しているから二人ともまだ前線に立てれる。

 

「【イージス】の効果時間は」

 

「ぶっちゃけ判らない。攻撃を無効化にするだけだし」

 

「もしかして余裕?」

 

「おいおい・・・とんでもねぇ防御スキルを持ってやがったのかよ」

 

ただ、とハーデスが漏らした。

 

「防御に徹している限りじゃあ倒せない話なんだよ」

 

「じゃあどうする? 二人の勇者奥義で倒せるような相手でしょ?」

 

「俺達ばかり働かせる気か。お前らも勇者奥義を使えよ」

 

「おういいぜ」

 

「ペインとドレッドもな」

 

ハーデスは? との指摘にハーデスも盾使いの勇者奥義を使う気でいる。

 

「タイミングは各々の自由で。OK?」

 

「「「「わかった」」」」

 

やってやろうじゃん。初めて使う勇者奥義、いつでもいけるよ!

 

「じゃあ、行くぞ。【勇者】【神ノ鏡盾】!」

 

思いっきり上に放り投げた大盾がまだ降り注ぐ白虎の流星群を吸収し始めた。白虎がその様子に驚いた声を上げ、私たちに降り注ぐ光弾の脅威がなくなった頃合いを見計らう。

 

『俺の技を無効化したか。勇者のみしか使えない技を見るのはこれで二度目だ』

 

「まだまだ見せてやるよ【大地の怒り】!!」

 

茶色の淡い光に包まれたドラグが巨大化した武器を床に叩きつけた直後。白虎程の巨体が沈むほどの穴が出来たのだけど、直ぐに穴から飛び出して宙に踊る白虎にハーデスが。

 

「おっと、穴が出来るんなら好都合じゃん?」

 

システムを利用して上に放り投げた自分の盾を回収していたハーデスが白虎に盾を突き出して叫んだ。

 

「【解放】!」

 

ハーデスの声に呼応して大盾から吸収した宙にいる白虎の光弾が放たれた。上からではなく下からの光の弾幕は白虎も躱すことは難しい。

 

『ぐぉおおおおっ!? お、俺の【天川流星群】だと・・・!?』

 

「フレデリカ!」

 

「いっくよー! 【勇者】【星の魔法】!」

 

私を中心に白虎のところまで広がる幾重の魔方陣。しただけじゃなくて上の方にも同じ魔方陣が展開していて白虎が着地しても私達に攻撃するためのスキルを使おうとしなかった。ううん、使えなくなった。神獣でも通用するんだねこのスキル。

 

『・・・・・俺の技を封じたか!』

 

「よそ見してていいのか?」

 

『ぬっ?』

 

白虎が落ちて来る地点を予測して佇んでいたドレッドが話しかけた。下にいるドレッドを見下ろした瞬間。

 

「【神速】【勇者】【暗技】」

 

姿が掻き消えるほどの速度で走り出しながら白虎の体に二本の短剣でダメージを与え、様々なデバフを発生させていく。白虎は自分の身に起きた状態異常に当惑した。でも、そんなこと光のエフェクトを剣に集めていたペインが気にする筈もない。

 

「【相乗効果】【断罪の聖剣】【破壊の聖剣】【勇者】【エクスカリバー】」

 

剣から解き放たれた極光の奔流が一本の剣のように白虎へと私の【海大砲】みたく迫って呑み込んだ。

 

『ぬぅあああああああああああああああああああああっ!!!』

 

決まったー!! さすがの白虎もペインの一撃の無視できないダメージを負ったはず!

 

『―――【破天荒】』

 

・・・え?

 

【エクスカリバー】をモロに食らった白虎が炎に包まれ白い毛並みを真っ赤に染まり、怖い意味で凄い顔つきになった。というか、スキルを封じているのになんで使えているの!?

 

『ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

 

これって、レイドボスモンスターが体力が低くなった時に見せるパワーアップ+凶暴化!? 今までより速度が上がってまず狙われたのがペイン。

 

「なっ―――く!」

 

「「ペイン!!」」

 

危険度が高いプレイヤーから狙い始めたのか、パンチとは思えない音を出して遠くに殴り飛ばしたペインに追いつき、その牙で噛み砕いた。

 

「【金晶戟蠍(ゴール・D・スコーピオン)Ⅳ】【黒晶守護者(ダーク・ゴーレム)Ⅳ】【緋水晶蛇(ヨルムンガンド)Ⅳ】【百鬼夜行】!」

 

ハーデスのスキル、三体のモンスターを召喚した。他にも赤と青の鬼も召喚して白虎に攻撃した。

でも・・・・・白虎は全ての召喚したモンスターを一蹴した後、流れるようにドレッドとドラグを爪で引き裂いた。

 

「ふ、二人とも!?」

 

「フレデリカ! 後ろだ!」

 

「っ!?」

 

倒された二人に意識を向けていたら白虎に背後を取られていて、ハーデスの声が聞こえた時はもう巨大な爪が迫っていた。私も三人に続くように負けて―――。

 

「【カバームーブ】【カバー】!」

 

そんな私の前に一瞬で移動したハーデスに大盾と身を挺して白虎の爪から守ってくれつつ、一緒に吹き飛んだ。ハーデスのHPが減るエフェクトに目を見張り、思わずと叫んだ。

 

「ハーデス!?」

 

「・・・は、はは・・・・・なんとか、ギリギリだ」

 

「え?」

 

不敵の笑みを浮かべているハーデス。視線は白虎の方で・・・・・。

 

『―――見事だ』

 

理性を失っていたと思っていた白虎から称賛され、白い毛並みに戻る最中で横に倒れた。

 

 

『神獣の一角「白虎」を撃破しました死神・ハーデス、フレデリカは【勇者の光輝】を獲得しました』

 

 

そんなアナウンスが聞こえても私達はその場から動けなかった。

 

「白虎、生きてるかー?」

 

『この程度でくたばるヤワな体じゃねぇよ』

 

何事もなかったかのように起き上がる白虎。だけど、どうやって倒したのかな。

 

「ハーデス、白虎に攻撃したんだよね?」

 

「ああ。【VIT】を【STR】に変換した上で大剣で突き刺した。おまけに反射のスキルが発動したから白虎を倒せた」

 

『肉を切らせて骨を切るってやつか。いい度胸じゃねぇか』

 

「そいつはどーも」

 

立ち上がるハーデスに釣られて私も立ち上がったら新しいスキルが手に入った。【天川流星群】だ。

 

「ハーデス、スキルが手に入った?」

 

「ん、中々使いどころが大変なのが」

 

私のスキルも敵味方関係なく巻き込んじゃいそうなスキルだから似たような感じかな。あとで試してみないと。

 

『楽しかったぜ資格ある者達よ。俺の全力を受け止めてなお倒したのはお前達が初めてだった』

 

「またいつか挑戦しに来るよ。あ、そうそう戦う前に渡そうと思っていたものだけど食べられるかな」

 

『なんだ?』

 

ハーデスがインベントリから取り出したのは古代の果実。あれ、ビャッコのようすが・・・・・?

 

『そ、それは・・・・・!?』

 

「黄龍と麒麟も絶賛した古代の果実。神獣の御供物らしいけど、白虎も食べ―――」

 

最後まで言わずとも巨大な虎が大きな果実に飛びついては、鼻息を荒くしてしっかり両手で掴んで果実の匂いを嗅いで猫のようにゴロゴロと喉を鳴らす。うわぁ、嬉しそうだし幸せそう・・・・・。

 

『懐かしい果実~!!! ああ、この匂いがたまらんにゃ~ん!』

 

「「にゃ、にゃん・・・・・」」

 

『・・・待て、黄龍と麒麟が絶賛? あいつらもこの果実を知っているのか?』

 

唖然としている私達に何か気付いて話しかけてくる白虎は果実を放そうとしなかった。まるでマタタビを与えられた猫のように。

 

「というか、果実を食べるために俺の家に留まっている方だぞ」

 

『はっ? ―――なんだそりゃああああああ!?』

 

白い毛並みが赤くなった! 白虎がすっごい怒っているー!? うわ、もしかしてこれ・・・・・。

 

「・・・・・波乱のよかーん」

 

「うん、そう思うよ」

 

予想は的中。―――後日、というかその日の内に。

 

『ここかぁあああああああああああああっ!!!』

 

『ぬおっ!? びゃ、白虎!? 青竜と朱雀、玄武も何故お前達がここに!!』

 

『てめぇらだけ古代の果実を好きなだけたらふくに食えるってのはどういうことだぁー!!』

 

『白虎から聞かされた事実を確認をしに来た。どうやら本当だったとは・・・な』

 

『眉唾物の話だと思っていたが、あの資格ある者と関わっているならば話は別でな』

 

『黄龍と麒麟、それに鳳凰・・・独占は許しませんよ?』

 

私とハーデスは他の四神のところへ駆けまわり黄龍と麒麟に直談判する光景を白虎の背中から見せつけられた。因みにこうなることを予測して空を飛べない玄武と白虎には体を小さくしてリアルのカメと虎並の大きさになってもらってる。日本家屋の庭に着くと、大きな果実を食べてる神獣達がいたから、現場を押さえた白虎達は問い詰めた。

 

『独占とは失礼な。これは対価として果実を得ているのだぞ』

 

『我々に黙っていたのは?』

 

『語るまでもないことであろう。語れば今のようにお前たちまでこの場に揃って来て資格ある者の迷惑をかけるからな』

 

『正論で語ろうと、神獣の供物をお前たちだけ与えられるのは許されんではないか?』

 

『『要は、揃いも揃って我々の環境が羨ましいから嫉妬しているのか』』

 

『てめぇこら鳳凰!!』

 

うわー、一触即発じゃん。ハーデスどうするのかな。

 

「・・・・・あー、白虎達も古代の果実を御供えするからここで暴れないでくれよ。はい、青竜と朱雀も身体を小さくする! 畑に入りきれないから!」

 

『むっ、むぅ・・・わかった』

 

『今回の資格ある者はこうも我々を集わせ従わせるとは・・・認めるしか得るまいな・・』

 

どっちかっていうと、果実を食べたいから素直に言うことを聞いているだけじゃないかな? それからハーデスが古代の果実を四神達に御供えをしたら、歓喜で食べ始め何度かお代わりも要求されて。

 

「果実のゼリーも食べてみるか?」

 

『ゼリー・・・・・?』

 

出された果実よりも小さくても、虹が掛かった甘いお菓子を見て神獣達は感嘆の息を吐き、丸飲みした途端。

 

『!?!?!?』×8

 

全員、絶句した。果実を好むなら、その果実で作った料理が美味しくないはずかないよね。

 

『し、資格ある者よ! こ、これは何と言うものだ!?』

 

「『虹色のゼリー』だな」

 

『これは、お前が作ったのか?』

 

「いんや、これを作るのに長けた人間に頼んだ。味の感想は聞くまでもないか」

 

『ああ・・・・・果実も美味であるが、我々に驚かせるさらに美味なるものに作り替えるとは』

 

あ、この展開って・・・・・。

 

『皆、異論はないな?』

 

『あったらおかしい方だ』

 

『では、決まりだな。資格ある者よ。虹色のゼリーを作った者をここに呼んでほしい』

 

「いいけど、相手も都合があるからこれなかったら次の機会な」

 

『うむ、構わない』

 

その後、神獣達の前に来させられたパティシエのプレイヤーが称号【神獣が認めしパティシエ】。職業【神の料理人】を得てしまった。

 

「お、神の名が付いた職業のプレイヤーが俺以外に増えたか! おめでとう!」

 

「え、えっとこれってどんな状況・・・・・?」

 

「簡単に言えば、古代の果実で作ったゼリーが神獣達を喜ばしたから新しい称号と、神の名がついてる最上位の職業にランクアップした。俺のテイマーとサモナーの最上位である神獣使いと同じだ」

 

「ふえええええええええええええええええ!!?」

 

うーん。ハーデスの傍にいると驚くことばかりが起きるね。

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