新たな神の名が付いた職業に至ったプレイヤーの誕生を目の当たりにした後は、三匹のクリオネのレベル上げを(水晶蠍で)一日中続けたことで目的が達成した。進化先の項目を選ぶとき俺は目を疑った。
「・・・・・天使?」
え・・・人の姿になるのか? これがあれに? と。どれだけレベルが上がっても攻撃は【バッカルコーン】だけだったのに運営は何を考えているんだか・・・まぁいいか。取り敢えず進化だ。三匹が光に包まれ小さかった体が大きく人の形になり純白の翼を背中から生やした幼児が誕生した。
「おお、可愛い」
金髪と銀瞳の中性的な容姿の天使達が俺を見上げて来る。ステータスの方はどうだ?
ハレルヤ
LV5
HP 22/22
MP 26/26
【STR 1】
【VIT 6】
【AGI 5】
【DEX 4】
【INT 4】
装備
頭 【なし】
体 【天使の衣】
右手 【天使の笛】
左手 【天使の笛】
足 【天使の衣】
靴 【天使の靴】
装飾品 【空欄】【空欄】【空欄】
スキル:【バッカルコーン】【天使の祝福】【堕天】【守護の盾】【浮遊】
ヘイン
LV5
HP 22/22
MP 26/26
【STR 1】
【VIT 6】
【AGI 5】
【DEX 4】
【INT 4】
装備
頭 【なし】
体 【天使の衣】
右手 【天使の笛】
左手 【天使の笛】
足 【天使の衣】
靴 【天使の靴】
装飾品 【空欄】【空欄】【空欄】
スキル:【バッカルコーン】【天使の祝福】【堕天】【守護の盾】【浮遊】
ノイズ
LV5
HP 22/22
MP 26/26
【STR 1】
【VIT 6】
【AGI 5】
【DEX 4】
【INT 4】
装備
頭 【なし】
体 【天使の衣】
右手 【天使の笛】
左手 【天使の笛】
足 【天使の衣】
靴 【天使の靴】
装飾品 【空欄】【空欄】【空欄】
スキル:【バッカルコーン】【天使の祝福】【堕天】【守護の盾】【浮遊】
あーうん・・・・・進化先に【堕天使】があるな。だとしたら外見が変わるのかな? それはそれで楽しみでもあるわけで。
「ハレルヤ、ヘイン、ノイズ。よろしくな」
「「「・・・・・」」」
無言。でも、表情は笑顔。喋らないタイプか。よしよし、可愛いなお前達。さーて・・・・・お触れ込みしに行こうか。
「ということで、へーいヘルメス。新しい従魔を連れて来てやったぞー! 懐事情は大丈夫かなー?」
「!? !? !?」
宙に浮く天使達を見て声も出ないほど絶句するヘルメスを見て、意地の悪い笑みを浮かべる俺。
「そ、その子たちは・・・・・?」
「種族:天使の・・・モンスターと呼んでいいのか疑問だがな」
「て、天使・・・・・どこかでテイムできたの?」
「進化させた」
「進化!? ―――ちょっと、もっと詳しく!」
はいはい教えてあげるから落ち着きなさい。ほら、深呼吸して。うん、落ち着いたな?
「はい。これが3人のステータスだ」
「・・・・・。・・・・・ねぇ、スキルに妙なのがあるのだけれど? まさかだけど、進化前のモンスターって・・・クリオネだったりする?」
「それが証拠でもあるんだよなー」
「し、信じられない・・・! でも、現にこんなスキルが持っていそうなの一種類しかいないし・・・・・それにこの【堕天】ってスキルはもしかしなくても」
お気づきになられたか。無言で頷く俺にヘルメスも思考の海に飛び込み黙った様子。
「可能性を考慮すれば大天使、特殊進化先には熾天使がありそうね」
「それまでレベル上げが大変そうだー。クリオネから天使に進化させるのだって50まで掛かったんだからな。しかもそれまで使えるスキルはこれだったぞ?」
【バッカルコーン】を指して教える。
「実際、攻撃力はどのぐらい?」
「めっちゃくちゃ弱い。初期のどのモンスターよりもじゃないかってほど。苦行コースになる。俺は神獣使いだから早く進化させられたが」
「他のプレイヤーだと一週間やそこらで進化させるのは難しいわね。従魔の編成枠を一つ使い潰すみたいになるわ」
根気が必要になりますねこれは。でも、その分の価値はあると思いたい。
「とまぁ、三人の考察・情報はこれでお終いだ」
「・・・まだ何かある意味深なことを言わないでくれる?」
「ぶっちゃけ、抱えている称号とか神獣使いの情報は教えていないし」
「そうだったぁ・・・・・!!」
「それ以外にも教えていないことまだあるしなー」
「ほ、本当にもう・・・! もうあなたって情報の宝箱みたいになっちゃってぇ・・・・・!」
フハハハハッ!!! 優・越・感!!!
「教えてほしければそれなりの資金を用意してもらおうか」
「・・・・・分割払い、とかダメ?」
「一括だ」
魔王の断言の一撃で一人のプレイヤーが意気消沈した!
「というか、そっちはそっちで耳寄り情報とかない? 種類は問わないから」
「第11エリアの情報ならそれなりに集まっているわよ?」
「じゃあ、それで。何分こっちは南極にいるから」
長々と教えてくれた後、畑に戻り―――ルルカに訊いた。
「ルルカ、港がある第12エリアの場所は知っているか?」
「はい、ご所望のであれば喜んでご案内いたします!」
ネコバスで第11エリアまでひとっ飛び。買った畑の納屋を介して日本家屋にいるサイナやリリアにアカーシャ、全ての従魔を呼び一緒にルルカの案内で誰よりも紆余曲折でレイドボスを倒し、誰よりも早く先に先駆者として第12エリアに辿り着き・・・・・崖から大海原を拝んだ。
「海だー!」
「ムムー!」
そして眼下の先にはあそこが新大陸へ向かう港町か! 広くて港町らしく酒場のような店があるし、何よりデカい船がある!
「奇麗・・・・・これが海」
「見たことが無かったのか?」
「冥界には水源があっても海がないし、この人間界の大陸の端まで来た事がないもの」
「私もです」
「以下同文」
エルフと征服人形も同類だった。そんな彼女達を連れて崖から降り港町に足を運んだ。まぁ、俺は魔王なのでNPCに嫌われており新大陸向けの船の情報はサイナとリリアに頼まずともルルカに訊いたところ。
「ここから新大陸までの航海は現在不可能なんです。それでも向かうのであれば一年もかかります」
「ながっ!? え、何で不可能なんだ?」
「航海には危険が付きものなのです。悪天候に遭ったり、船乗りを魅了する人魚に襲われたり、幽霊船に出くわしたり、海賊に襲われたり―――大海蛇もといシーサーペントやクラーケンに船を壊されてしまいます」
幽霊船と海賊が存在しているのが凄く興味あります。
「ですので、もしもそれを承知して海を渡りたいのであれば最善と安全のため、大きく迂回して航海するのが船乗り達の決まり事なんですよ」
「なるほどなー。それらの問題を解決出来たら航海の期間は短縮される?」
「そうですね。おそらく一週間にまで下がりますよ」
一週間か・・・水瓏だったらどのぐらいかかるんだかな。というか、そろそろ南極から戻すべきか? 新しく船を建造してもらうのも手でもあるが。であれば取る手段は一つしかないというわけで・・・・・。
「イズ先生、セレーネ先生。また船の建造をお願いしたく存じます」
『はぁ~、もう第12エリアに着いたのねハーデス』
『新大陸に向かうためには船が必要なのはわかったけど、水瓏があるよね?』
「そうなんだがな。今絶賛ギルドメンバーが南極で活動中だろ? 新大陸に向かうためにまた船を戻さないといけないわけだから」
『そうね。私とセレーネももう少し南極の素材を見つけておきたいから、今船を戻させられるのは困るわ』
『鉱石類が全然見つからないなー』
「海底の絶壁にならアポイタカラってヒヒイロカネと同じぐらいレアな鉱石があるぞ?」
『『それを早く教えて!!』』
【海王】のスキルを持っているのにまだ海の中を泳いでいなかったのか。
『ところで港町に造船所はないの?』
「見て回ってNPCにも聞き込みしたが、造船所はないようだぞ」
『そうなんだ。それでハーデスは今何しているところ?』
何をしているか・・・チラッと壁に向かってクワを振るオルト達を見た。
「オルト達が第12エリアで見つけた鉱石を採掘している様子を見守っている」
『『ズルい!!』』
ズルいのか。それはそうと。
「新しい船を造ってもらう素材なんだが、オリハルコンはどうだ?」
『待って、待って? オリハルコンってそうポロポロと採掘できて採取できないんじゃなかったっけ? それ以前にオリハルコンを売っているわよね?』
「あれは売買用で、他にも自分用に十万個ぐらい抱えているんでまだ在庫は十分潤っている」
『だ、だからユニーク装備の融合を可能にする秘薬が作れちゃったのね・・・・・』
そういうことだから時間が空いた時だけお願いしたら了承してくれた二人に感謝。さて、俺達は俺達で砂浜を見つけたからそこで遊び始めた。海を見たことないのだからこの機に知ってほしいし。
【新発見】NWO内で新たに発見されたことについて語るスレ PART64【続々発見中】
・小さな発見でも構わない
・嘘はつかない
・嘘だと決めつけない
・証拠のスクショは出来るだけ付けてね
124:佐々木痔郎
白銀さんがまた何か発見した可能性がある模様。
125:ヨイヤミ
理由は?
126:佐々木痔郎
北の第11エリアにネコバスが現れたからだ。白銀さんが乗っていてもおかしくないから他のプレイヤーがこぞってネコバスを追跡してるが追いつけないだろう。
127:トイレット
予想してやろう。ズバリ、あの人は全プレイヤーより速く第12エリアに到達したと!!
128:ふみかぜ
新大陸に向かう船がある港町にか。他のプレイヤーはともかくあの人だった場合はその可能性も極めて高いな。
129:アカツキ
数々の隠しエリアやクエストを発見した有力プレイヤー! 疑う余地はない! むしろ―――。
130:ロイーゼ
白銀さんだから、またやらかした、サスシロ。が定番だから・・・・・。
131:佐々木痔郎
それから最近定番になって来た俺の聞き込みで白銀さんから教えてもらったぜ。
132:佐々木痔郎
予想通り、第12エリアに到着していた。
133:トイレット
あ、やっぱり? 定番のサスシロだー
134:佐々木痔郎
だけど、まだ情報を公開しないと言われた。
135:メタルスライム
公開しない? あの彼が情報を公開しないのはかなりレアだな。
136:ロイーゼ
最初に一番乗りしたエリアをしばらく独占したいからじゃないか? そこんとこどうだ? 理由も聞いてきたんだろう?
137:佐々木痔郎
抜かりなしだ。ほら、新大陸って船が必要じゃん。【蒼龍の聖剣】の船って今どこにある?
138:アカツキ
あ・・・・・(察し)
139:ヨイヤミ
南極に停泊しているな。そしてその船を戻すとなれば。
140:ふみかぜ
まだ南極にいるプレイヤー達が置いて行かれるか、二度とではないにしろしばらく南極に行けなくなるな。
141:メタルスライム
なるほど。先んじて辿り着いた第12エリアは船が必要だ。白銀さんはもう一隻の船を用意するための時間が欲しいから情報の公開をしないのだろう。
142:佐々木痔郎
しかもそれだけじゃない。航海中は自然やモンスター、NPCに襲われるようだぞ。明らかに船を所持していないと先へ進めない設定だこれ
143:トイレット
リヴァイアサンレイドで購入した諸々な船はー?
144:ヨイヤミ
あれはイベント限定のアイテムであってだな・・・・・。
145:アカツキ
あ・・・・・誰も自前の船が持っていない?
146:ロイーゼ
運営の悪意は極まっている。新大陸に行きたいなら自分で船を用意しろと。個人で作れるのは筏が精々ななんだよ。
147:メタルスライム
商人が乗っている船が存在しないのであればギルド独自に船を造らなければならない。
148:佐々木痔郎
つまり、白銀さんはそれを見越して自前の船を造ったと? 俺達は彼の努力と浪費の上で支えられていると?
149:アカツキ
いいなー。俺も【蒼龍の聖剣】に入りたーい!
150:ロイーゼ
羨ましい。新大陸に行くならギルドを結成、もしくは入らないといけないなんて。筏で海を渡るなんて無謀過ぎるから!!
151:トイレット
NPC用の船を探さなきゃ(謎の使命感)!!
152:ヨイヤミ
仮にあったとしてもプレイヤー全員を乗せることは無理じゃないか?
153:メタルスライム
乗船するための抽選がありそうだ。さて、乗り損ねたプレイヤーは一体どれだけ待たされるのやら。
154:佐々木痔郎
あー、白銀さん言ってたけどさ。さっきの海の事情でそもそも航海は不可能なんだって。それでも行くなら新大陸まで着くまで―――一年はかかるって。
155:アカツキ
ぎゃあああああああああ!?
156:ロイーゼ
待って、一年も!? そんなことあるはずがないよな!?
157:ヨイヤミ
あり得ないことだが、それに関するクエストを成功していけば期間が短くなるんじゃないか?
158:佐々木痔郎
そこまでは本人もまだ把握していないから俺も分からないぞ。だけど、白銀さん曰く「NPCの船がありそう」と漏らしていたのはしっかり聞いた。
159:トイレット
船があろうがなかろうが、結局は第12エリアの道の情報はしばらくお預けの形で公開されないから行くことも出来ないんだよ~。
160:アカツキ
しかも辿り着いたら着いたで船が航海できないしで新大陸に行くことができない状態じゃん!
161:佐々木痔郎
まぁ、他のプレイヤーはそうだろうな。
162:メタルスライム
なんだ、意味深なことを言う。他にも言うことがあるのか?
163:佐々木痔郎
【蒼龍の聖剣】のメンバーのみ、来たければ来てもいいぞーって感じで第12エリアの道を公開するお話がございます。ってことで俺はここいらでお暇しまーす! あ、同じメンバーのメタスラさんも来る―?
164:メタルスライム
そうさせてもらう。誘ってくれてありがとうな。
165:アカツキ
ちょ、待てぇえええええええええええええええええ!!?
166:ロイーゼ
急いで北の第11エリアに集まれ!!
167:トイレット
絶対に捕まえてやる!!
168:ヨイヤミ
逃がさないぞ!!