バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

147 / 326
天への挑戦

 

 

「白銀さん、すまないが倒されてくれ!」

 

「レベルをリセットされたくねぇんだ!」

 

「運営のバカやろー!! なんでこんなイベントを作ったんだよー!!」

 

「覚悟!」

 

 

「【エクスプロージョン】」

 

 

「「「「ぐわぁあああああああああー!!?」」」」

 

赤いドラゴンと別れ溶岩魔人に挑戦をして火山エリアに長居したら案の定、俺を襲うプレイヤーが後を絶たない。運営に対する気持ちは痛く共感するがな。

 

「はぁー、面倒。ホームと畑に被害はないのが幸いなんだけどやってくれるわ」

 

後で知ったことだが、〈恐怖の大魔王〉の俺の居場所が随時更新されて特定もされるのは当たり前。それから俺がいる場所は例え城の中だとしてもイベント期間中にだけ他のプレイヤーも入れる厄介さが加えられた。

 

しかも特定のエリアには3時間しか留まれないのが何とも面倒な。

 

「掲示板の情報通りいたぞー!」

 

「者共であえであえー!!」

 

そしてたかがレベルされどレベルのリセットされたくない必死なプレイヤー達は情報を共有してる模様。なお、魔王の俺は掲示板等の利用が出来なくなってる。あまつさえ本当にギルドから脱退扱いされてやがる。副マスのイッチョウには、しばらく頑張ってもらう他あるまい。

 

「面倒な・・・・・」

 

攻撃を仕掛けてくるプレイヤー達の目の前で【相乗効果】を介して溶岩のベヒモスに変身した。連中は目と口を大きく開けて呆然を晒す。

 

「やべっ!?」

 

「白銀さん本気になったぞ!」

 

「ムリムリ!! って、溶岩の塊がくるぞぉ~!!?」

 

「た、退避ぃ~!!」

 

フハハハ!! 見ろ人がゴミのようだ!! ・・・・・そうだ、どうせならコンプリートを目指してみるか。数多のプレイヤー達を引き倒しながら町へと目指した。弱体化した今、苦戦は否めないがそれでも倒せない相手ではない筈だうん。いざ挑戦だ―――待っていろジズ!

 

 

タラリア~~~。

 

 

「白銀さんは火山エリアから逃走中! 場所の特定を急いで!」

 

「こんな形でプレイヤーの大半が一致団結になるとはの」

 

「それもこんな状況下で逃げ回らなくちゃならないあのプレイヤーも不憫だね」

 

レベルのリセットをされたくないプレイヤー達に交じって私達もあのプレイヤーの特定に精を出す。今回は事が事だから倒す側になってしまうのも仕方ないと諦めて欲しいか許してほしいわね。

 

「【蒼龍の聖剣】は?」

 

「沈黙を貫いている。副マスのイッチョウさんからの話では、白銀さんが脱退していて理由を聞こうにも連絡が取れないらしい。〈恐怖の大魔王討伐〉の影響を受けてるかもしれない」

 

「イベントに参加は?」

 

「レベルがリセットされようとも構わない、白銀さんの味方の姿勢でいるぞ。あのギルドのほとんどは生産職業のプレイヤーだから戦闘系のプレイヤーよりも焦ってはいないな」

 

カルロの言い分を聞き私は脱帽した。生産職だろうとレベルが初期化されるのは同じだ。今まで積み重ねた時間と労力が泡と化するよりも個人を尊重する【蒼龍の聖剣】のメンバーの強い繋りを感じた。

 

「生産職の活動は育成と作るのが主だから、白銀さんの協力を得れば困ることは殆どないじゃな」

 

「〈恐怖の大魔王討伐〉のイベントで一番消極的なのは【蒼龍の聖剣】かもね」

 

他のギルドはその真逆。必死な形相を浮かべてあちこち走り回っている。えっと今の彼は・・・・・ギルドに入ってきて、え?

 

「ジズに挑戦してる?」

 

「なんじゃ?」

 

「ハーデスがジズ討伐のクエストをしてるって目撃者が」

 

「クエストで時間稼ぎをしてるんじゃ?」

 

「あり得るけれど、ハーデスよ? 別の思惑があるって私の勘が告げてるわ」

 

「勘、というより周知の事実じゃな」

 

後で水に沈めてようかしらこのカナヅチドワーフ。だけど、件の彼はジズを倒してまで何を得るつもり? まさかジズに変身するスキル・・・・・あああ!!?

 

 

 

フレデリカside

 

 

「お前ら、本当にいいのかよ! レベルがリセットされるんだぞ!?」

 

「【蒼龍の聖剣】も協力してくれれば倒せる」

 

「手伝ってくれよ頼むから!」

 

攻略組と前線組のプレイヤー達が私達に協力を求める話はこれで何度目だろう。ペインの答えは変わらないのにね。

 

「手伝わないと言ったが、ハーデスを倒さないと言った訳じゃない。ただ、協力して戦うつもりは今はないだけだよ」

 

「俺達も都合があるってんだよ。あいつを確実に追えることができるなら、俺達は今すぐ倒す必要ないと考えている」

 

「ハーデスが近くにいたら俺達で倒すから問題ないだろ」

 

「そーいうことだよ。私達だって予定あるんだからね。ハーデスを倒すのは二の次だし」

 

二の次にするとはいえペインでも勝てなかった相手が、レベルと【VIT】が初期化されたとイッチョウから聞いた時は私達は驚いた。今なら私でも・・・・・無理だよね。ハーデスの真の強みは数多くのスキルだし。スキルを封じるスキルが無ければ今のハーデスでも倒せない気がする。

 

「・・・まさかだと思うが、【蒼龍の聖剣】のメンバーだからってレベルのリセットの対象外だから焦っていないんじゃないだろうな」

 

「事実無根だなそりゃあ。同じギルドの奴じゃなきゃわからないことを勝手に決めつけてくれるなよ」

 

「あいつはギルドから脱退しているぞ。理由を訊こうにも連絡が出来ない状態になっているからこっちも分からず仕舞いなんだよ」

 

「時間はまだまだ残されている。今焦ってハーデスを倒すだけの時間を費やすより、今を楽しんだ方がいいよ」

 

「できるかよ! お前らみたいにお気楽でいられるか! プレイヤー全員のレベルがリセットされたら【蒼龍の聖剣】に責任を負わせてやるからな!」

 

「現実の方でも特定して徹底的に追い込んでやる!」

 

「お前、それは犯罪だろそれだけは止めておけよ」

 

悪態吐きながらどこかへと行くプレイヤー達の背中に向かって呆れ混じりの溜め息を吐いた。

 

「レベルが重要じゃないっての、わからないのかな」

 

「無理もないぜ。俺達とあいつらの違いはハーデスと関わっていることだ」

 

「一芸を極めればかなりの強敵になることを俺達は知っているからね」

 

「そもそもレベルが下がっても、ステータスのすべてまで初期化するわけじゃないだろうに」

 

したら憤慨ものだよ。

 

「さてと、クリアしておきたい大きなクエストがある。フレデリカ、イッチョウに伝言を頼めるか」

 

「なんて?」

 

「ハーデスに朱雀の討伐の誘いをだよ」

 

ペインらしい考えだね。その願いを断る理由がないからリアルでお願いすることになるけど問題ない。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

フッフッフ・・・・・目的のスキルが読み通りに手に入った。いやぁ、それまでの苦労がすごかったぜ・・・・・(汗)。だがしかし、俺は成し遂げてやったのだ。レベルが下がろうとステータスが下がろうと持ち前のスキルで俺は勝ったんだ!! さて、少しのんびりしてからホームに戻るか―――。

 

「ようやく戻って来たか」

 

「ウェルカ~ム」

 

「年貢の納め時だぜぇ~」

 

・・・・・・あっ。

 

ガシッと戻って来た所を狙われて他のプレイヤー達に捕まってしまった。直接手を握られログアウトもインベントリの操作もさせてはくれない。

 

「えっと、解放してくれるとありがたいんだが」

 

「そいつは無理な相談だ。俺達も譲れないものがある」

 

「レベルだけリセットされるぐらいならいいじゃん。俺なんて所有しているもの全てなんだぞ? たぶん、俺の従魔達も譲渡される可能性があるんだが」

 

「是が非でも樹精ちゃんが欲しいから望むところだ!」

 

「ウッドちゃんが俺のものに!」

 

「クリスたんが欲しい!」

 

・・・・・ダメだこいつら。目先の欲望で我を忘れている。

 

「せめて懺悔の時間を・・・・・」

 

「連行しろ」

 

「イエッサー」

 

「性転換する時間でも?」

 

ピタリと俺の手を握るプレイヤーが動きを止めた。俺を囲うプレイヤー達も例外ではない。ふむ・・・意外といけそうだ。

 

「【飛翔】」

 

「「え?」」

 

放してくれないならそれでいい。動きを止めた一瞬の隙を突いて空へと舞い上がった。

 

「フハハハハハ!!! このままお前らを地面に叩きつけてやるぜ!!」

 

「「ちょっ!?」」

 

どんどん空高く昇る。それに伴い減っていくMPはアイテムをショートカットで使用できるアイテム欄に設定した、イズ手製のポーションで相殺しながら太陽に向かって飛んだ。さて、そろそろこの辺りに落として・・・・・ん!?

 

「うわっと!」

 

「はっ!?」

 

「あぶっ!」

 

三人して太陽から放たれたと思しき光の矢を目にして、慌てて回避した。しかも一本だけじゃなく豪雨を彷彿させる大量の矢が太陽から落ちて来る。

 

「太陽から矢が撃ち込まれてくる!?」

 

「誰かがいるのか!?」

 

「誰か? 太陽・・・・・矢・・・・・あ、もしかして」

 

三つのキーワードを経て俺の中である人物が脳裏に浮かんだ。二人に提案する。

 

「へいお二人さん。ちょっと俺に付き合ってみないか? スキルが手に入るクエストができるかもしれないぞ」

 

「・・・まさかここで白銀さん現象が発生するとは。どうする?」

 

「どうするって・・・・・この高さから落とされるのだけは絶対に嫌だ。おれ、高所恐怖症なんだぞ」

 

あれま、それは悪いことをした。でもま、協力せざるを得ないようで付き合ってくれることになった。

 

「よし、そんじゃ奴さんのところに向かうとしようか! 【小型化】! 【超加速】!」

 

「は、白銀さんの身体が小―――うわ、速いっ、速いっ!!」

 

「しかもこんな鬼弾幕を躱すって・・・・・ところで誰がいるのか分かったのかよ白銀さん」

 

予想はしているがな。

 

「多分あれだ。アポロンだ。ギリシャ神話の太陽の神の」

 

「太陽の神って・・・・・神のNPCがいるのかこのゲームに」

 

「実際に中国神話の四神や、NWOの神話には複数の神々がいるわけだし他にいても不思議じゃないだろう」

 

そういうことだ。まぁ、実際にどうなのかは直接確かめなくちゃな。

 

「ところでお二人さんのご職業は?」

 

「重戦士だ」

 

「俺は軽戦士。こんな時に何だが、どうして身体が小さくなってるんだ?」

 

「そう言うスキルだ。見ての通り身長が小さくなって【AGI】が+50になる。その代わりに【STR】が-50になるがな」

 

「え、それって【大型化】の・・・・・あ、あのスキルも白銀さんが発見したものか!」

 

おおー、察しがいいな。大正解だ。って、そんなこと考えている場合じゃない。豪雨の光の矢の奥から何やら極太の光が・・・・・。

 

「あれ、どう見る?」

 

「完全に仕留めにかかってこうようとしている」

 

「貫通攻撃も備わっていそうだなぁー」

 

ですよねぇ・・・・・うーん・・・・・。

 

「避けられないなら、突っ込むか」

 

「マジか!?」

 

「俺的に攻撃で死ぬか落ちて死ぬかの違いでしかないなら攻撃で死にたい。この高さから落ちたくねぇ」

 

高所恐怖症もこの高さまでくると死も当然か。であるならば・・・・・。

 

「重戦士、【同調リンク】で俺のスキルをお前にも使えるようにするからコンボで生き延びよう」

 

「は?」

 

「疑問を抱いているヒマ無い! はい【同調リンク】! スキルを確認しろ!」

 

「わ、わかった・・・な、なんだよこのスキルの数!? 情報量が多すぎ!! ざっと50以上もスキルがあるのかよ!」

 

「え、何それ。俺も見たいんだけど」

 

「リンクできたなら、試しに軽戦士にも【同調リンク】をしてくれ!」

 

重戦士は指示通りに動き、【同調リンク】はどうやら他のプレイヤーにもリンクできる仕様らしい。軽戦士の驚きの声が聞こえたからそれが判った。

 

「は、白銀さんの強みは防御力じゃなくてスキルの方だった・・・・・?」

 

「・・・大量のスキルがあれば極振りでの活動が成功できる秘訣を知った気がする」

 

「唖然としている場合じゃないぞ。あのドでかい光の矢が、迫って来た!」

 

他の矢を呑み込んで俺達の所に落ちて来る極太の光の柱。

 

「相手の攻撃をHPに変換するのが【生命簒奪】、相手の攻撃をMPに変換するのが【悪食】だ。三人でやれば何とかそれで凌げるはずだ。仮にできなかったとしても【不屈の守護者】でHP1で持ち堪えられる」

 

「ちょっと待って、それエグいスキル!」

 

「あ、この【絶対防御】ってスキル・・・うわぁ、そうかそう言うことだったのかぁ」

 

何かを知られたが今は後回し! さぁ、乗り越えようか!

 

「三人でまず【生命簒奪】!」

 

「え!? わ、わかった!【生命簒奪】!」

 

「【生命簒奪】!」

 

手を突き出して光の極太柱を触れた瞬間。俺達は光の柱に呑み込まれた。だがまだ生きている。これだけ修正されなかったから使用制限は無制限である!

 

「お、おいっ。俺のHPが過剰して増え続けているんだけどどうなっている!?」

 

「問題ない! 後日修正されるだろうがな!」

 

「それって大丈夫な案件か?」

 

「個人的には問題だ! くそー! 強すぎるから使用制限がされないよう控えていたのに!」

 

そんな俺の悲しみをスキルに込めて光の柱を突破していく。時間にして何分も経ったか定かではないが、HPが3000も超えた頃に視界が見慣れた青空に突然切り替わった。

 

「よっしゃー!!」

 

「すげぇ・・・マジで突破で来た。死に戻りする覚悟だったのにまだ高い空に・・・・・」

 

「微妙な気持ちを抱えているところ悪いが、見えたぞ」

 

太陽の光に隠れて見えなかった、空に浮かんでいる光の足場。俺達は当然そこに近づき足を着いた。

 

「これ、太陽に向かって伸びているよな。というか燃えないのか俺達」

 

「スリップダメージはともかく、【マグマ無効】と【耐暑】のスキルがあるからダメージはないと思うぞ」

 

「大盾使いのプレイヤーの中で一番なのが理解させられるスキル構成だよ」

 

太陽に向かって伸びる階段の先に神がいるのか分からないまま、俺達は第一歩を踏んだその瞬間にHPが減ったのを気付いた。これ、階段を登るたびに減るのでは? 二人が足を戻して俺だけ一歩踏んだまま検証。結果、登ろうとする階段はスリップダメージが発生することが判明した。

 

「これ、一段越えて登ったらどう思う?」

 

「ちょっと試す・・・・・うん、ダメージ量は変わらないけど、問題なのはHPが持つかどうかだ」

 

「飛んで行くか?」

 

「それは反則だろ。反則判定で何されるか分からないから止めた方がいいと思うぞ」

 

ならば反則無しで登るしかないので俺達は―――。

 

「速さが命!」

 

「HP回復アイテムで回復しながら全力で走り抜く!」

 

「行くぞぉー!!」

 

【AGI】はバラバラ。【小型化】して俊敏力を強化して料理アイテムのバフをこれでもかと盛った状態で長い階段を走り登る。

 

「ちょぉー!! 後ろの階段が落ち始めたぞ!?」

 

「後には引けないな! 落ちたら真っ逆さまだ!」

 

「それは嫌だぁー!!」

 

うぉおおおおー!!! と気合の入った声をあげながら駆け上る。ここまで来るのにHPを強化したのが図らずともスリップダメージが発生する階段を突破するカギとなったもの、俺達を妨害する罠がしっかりあった。

 

「目の前の階段が一気に落ちたぞ!? 飛び越えられねぇぞ!」

 

「【八艘飛び】で宙を蹴って移動できる! 【AGI】の数値異存で高いほど飛ぶ際の距離が伸びる!」

 

「羨ましいスキルだぁー!」

 

ぴょーん! と三人で宙を蹴って向こう側の階段に飛び乗ってクリア。

 

「HPがある雲が塞いだぞ!」

 

「【悪食】で突破ァ!」

 

「了解!」

 

妨害ギミックを難なく突破。その後は落雷に突風、暴風雨、仕舞いには空を飛ぶ生物が襲ってきやがった。

 

「マジでぇー!!?」

 

「あれは反則過ぎるだろう!! ―――ドラゴンなんてっ!!」

 

「体の色的に聖属性なのか? 真っ白で綺麗だな」

 

でもそうか。こんなところにいたのか。ただ、今は邪魔でしかない。インベントリから笛を出して召喚する。

 

「来いフェル!」

 

俺の横に白銀の魔方陣からフェルが召喚された。【念動力】をフェルに付与してやり。

 

「襲ってくるあのドラゴンを頼めるか。俺達が階段を登るまでの時間を稼いでくれ」

 

「グルルルッ」

 

唸り声をあげて俺から離れ宙を掛けるフェルが白いドラゴンと衝突した。よし、今の内に登りきる!!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。