常設クエストの捕獲対象であるリスをテイムする為、俺は用事を済ませた後西の森にやってきていたテイム枠はまだまだ余裕があるし、サイナとレベリングする必要があるクママとファウと一緒にだ。テイマーをメインに、重戦士をジョブにした。このクエスト、テイマー用だからメインにしなくちゃいけないんだよな。でもこれでテイマーにしては防御力が高い構成にできあがったから負ける気は0だ。
「クママ、一緒に【芳香】だ」
「クマ!」
使用者から発する甘い匂いで確実にモンスターを誘き寄せるスキル。それを使って甘い匂いに釣られて現れたモンスター達を片っ端から【パラライズシャウト】。テイマーでも短刀が装備出来てよかったよ。
「クママ、ファウ。動けないモンスターを倒しまくれ」
「クマ!」
「ヤー!」
続々と現れるモンスターの波は止まらない。【芳香】の効果が終わるまで第2ウェーブ、第3ウェーブが当然のように続く。その中にはお目当ての灰色リスがまじっている。
「サイナ、新しい力の見せ場だ」
「かしこまりました。マスター」
1000万Gも必要だった
インフィニット・ストラトスは装備であって装備ではない。インフィニット・ストラトスとはぶっちゃけメモリ、補助記憶装置なのだ。ただのメモリなのに1000万Gも高い理由は、メモリに内蔵されている性能・・・・・全プレイヤーが取得している、既存スキルを取得せずとも使用できることだ。しかも今後も新しく取得した、されたスキルを自動的に増えて彼女の糧となり力となる。
ただ、機械ゆえ使用不可なスキルも存在するらしい。それでもこのNWOを崩壊させかねない最強アイテム。運営は何を考えてこんなアイテムを具現化したのか分からないが、唯一無二としてかこのメモリを購入した瞬間に売店から名前も存在も消失した。事実上、サイナはレジェンドモンスター並みかそれ以上の強い存在になり得る力を秘めたが、それは職業ごとの装備を装備していないと出来ないスキルだらけだから特別無敵というわけでもないし、決められた耐久値―――1000もある。
耐久値を回復させるアイテムがあれど、俺達プレイヤーのように二度と復活はできない極めて扱いが難しい存在でもあるんだ。最強の存在でも倒せるよう設定されているから尚更サイナを前線に出すのはここぞの時だけにしよう。さて、インフィニット・ストラトスを起動したサイナさんは譲渡していない俺のスキル【機械創造神】を発動して、その周囲に十二の遠隔操作兵器を創り出した。それを繰り出すサイナはビームを放ったり貫いたり斬りつけたりとモンスターの集団を蹂躙していく。蹂躙から運よく免れたモンスターはサイナの懐に飛び込まんと飛び掛かってきたが、具現化した機械の盾を持ったサイナに吹っ飛ばされ、倒された。
「マスター、更なるモンスターの襲撃が10秒後に来ます」
「一斉掃射だ」
「了解しました。これより殲滅戦を開始します」
遠隔操作兵器を消したサイナは、ガドリングガン兵器を二丁創りそれぞれ両手で持って森の奥から現れたモンスターの群れに向かって乱射する。弾は別途で購入しなきゃいけないがサイナの場合は【機械創造神】で機械の弾丸を無限に生み出すことが出来るんで弾の消費に心配はない。何その情報・・・・・ブッコワレじゃん。しかも放たれた弾丸がモンスターを貫いた直後に小規模でも爆発してる。弾丸にニトロでも入ってるのかね?
「殲滅完了いたしました」
「うん、ほんと強くなったな。凄いぞサイナ」
地獄絵図、スプラッタな光景を見ずに内心安堵する。駆逐されポリゴンと化して消えたモンスター達を圧倒的な火力を誇った武器で倒したサイナは武器を消してこう言ってきた。
「マスターの私に対する貢献のおかげです」
貢献とな?
「好感度でもあるのか?」
「主として仕えるマスターも我々、
「ふむ?」
「貢献度がお互いに低いと
決められたこと以外は、指示された、命令されたこと以上の事はしないということね。
「どれぐらい貢献度の高さがあるのかは分からないが、高い方がいいんだよな?」
「はい。それが
「存在意義ね・・・・・お前が人間じゃなくても機械でもお前は俺の大切な家族の一人だけどな」
「家族・・・・・?」
きょとんとした顔で不思議そうに見つめてくる。お、これは珍しい。
「そう、大切な家族だ。クママとファウも、ここにいないオルト達も皆な」
「私は機械神によって創られた人間を模した機械です」
「意思疎通、感情があるなら十分人間として接することも出来るぜ」
「それは、作られた―――」
「作り物でも問題ない。むしろ作り物に何か問題でも?それは悪いことのか?何を考えて機械神はお前達を創ったのか今じゃわからないが、俺とサイナと出会わせてくれた機械神には感謝してるよ」
サイナの頭に手を置いて機械とは思えない髪の柔らかさと温もりを感じながら撫でる。
・・・・・あ、サイナが凄すぎてリス捕獲忘れた。
一時間後―――。
あれから気を取り直して常設クエスト用のリス捕獲に精を出した。
「【手加減攻撃】【エクスプロージョン】!!」
前モンスターのHPを1にし、リス以外はクママとファウの経験値として、リスはで逃がさないよう痺れさせてからテイムする繰り返すこと一時間。従魔ギルドで常設クエストの完了をし終え、牧場から呼び戻したリスを触れる。
「物のついでにユニークのリスもテイムしちゃったが、これで常設クエストは終わったな」
「キキュ!」
名前:リック 種族:灰色リス Lv4
契約者:死神ハーデス
HP:18/18 MP:10/10
【STR 4】
【VIT 6】
【AGI 14】
【DEX 6】
【INT 5】
スキル:【警戒】【採集】【剪定】【跳躍】【登攀】【頬袋】【前歯撃】
装備:なし
灰色のリスは俺の肩に乗って愛嬌を振る舞ってくれる。毛並みもモフモフでリアルじゃ一生捕まえない限りは触れることすらできない小動物に密かに喜ぶ俺である。
「さて、また常設クエストをするか。サイナ、付き合ってくれるか?」
「勿論です」
と、ランク上げに勤しむつもりの俺だったがフレンドコールが入った。相手はイズ。
「イズ、どうした?」
『ハーデス、ヘルプ』
「何に対してだ?」
『【毒無効化】を取得したし、何とかヒドラを10回周回したんだけどね。毒沼に潜れる事実に驚いたけれど視界が紫一色で・・・・・』
あ・・・・・っ(察し)。
「すまん、その先の事は言ってなかった」
『・・・・・』
無言が恐ろしいぞイズさんよ。
「そこからじゃないベヒモスがいた洞窟に繋がる別の場所へ案内する。ついでに獣人族の里に連れて行こう」
『獣人族の里?』
「上級職のスキルスクロールも属性結晶も販売してる」
二つ返事で了承したイズと合流することになってしまい、毒竜の洞窟の前でイズを迎え機械神でサイナと一緒に低空飛行で獣人族の里へ向かう。その最中に問われる。
「どうしてこんなスレスレで飛ぶの?」
「空高く飛ぶとレジェンドレイドモンスターのジズって巨大な鳥が現れて襲ってくるんだよ。現状、ベヒモスを倒した俺でもまだ倒せれないから低く飛ぶ必要がある」
「そうなのね」
「てなわけで、こうして飛ぶしかない」
数十分もかかったが、ようやく獣人族の里の存在を知った経緯、ベヒモスがいた洞窟の出入り口を見つけた。そこへ飛ぼうと空高く飛べば案の定―――。
「ほら、あれがジズだ」
「へ?」
横から二対四翼の巨大鳥が現れ、翼を羽ばたいて風を巻き起こし二つの竜巻をドリルのように放って来た。
「しっかり捕まっていろよ!」
「う、うん!」
竜巻の攻撃をかわしながらサイナに問う。
「サイナ!閃光弾作れるか?」
「可能です。実行いたします」
【機械創造神】で俺の要望通りのモノを作り、それをロケットランチャーで飛ばした。炸裂する瞬間を見ることもなく洞窟の出入り口へとジズに背中を向けて飛ぶと、背後から凄まじい光量が迸ったのがわかった。そして目的の場所へと侵入を果たし最下層まで移動。イズが来たがっていた魔鉱石が眠っている洞窟に辿り着いた。俺が採掘してからそれなりに時間は経ったが、あれから再び採掘できる状態になっていた。
「ここだ」
「うわぁ・・・・・凄い神秘的な光を放つのね・・・・・」
「ここは俺とイズしか知らない秘密の場所だ。イズも飛行アイテムを買ってれば何時でもここまでいけるだろ」
「あのジズってモンスターがいなければいいけどね。安全にここまで来れないわ」
そこはしょうがないと諦めて頑張ってくれ。
「それじゃ掘りまくろうかイズさん」
「ええ!」
ミスリルのピッケルを取り出し、サイナにも手渡して魔鉱石を掘り始める。
「ふふ、ふふふ!これで魔法の武器や装備が創れちゃうわ・・・・・っ!」
「彼女はどうして笑っているのですか?」
「そっとしてあげて。今楽しんでいる最中だから」
「了解しました」
全プレイヤーの中でこの場所を知っているのは俺とイズだけ。だからその特権を大いに利用してミスリル同様、独占的に魔鉱石を確保できる―――が、何時までもそうすることは無理だろうな。
「おっ?」
魔鉱石じゃない別のアイテムが出て来た。宝石だ。しかも―――。
魔宝石 レア度:5 品質:★6
稀に魔鉱石から採掘できる希少が高い宝石。様々な用途に使える。
「・・・・・」
錬金術に使ってみよう!
「ハーデス、あっちにも採掘ポイントがあるわ!こんなに採掘ポイントがある場所は初めてよ!」
「ここは選り取り見取りだ。遠慮はいらん、欲望のままに掘り尽くせ」
「おーっ!」
すっごい笑顔で魔鉱石を採掘するイズを見て、まだまだ掘り続けるつもりだろうと悟った。俺も採掘を続け全ての魔鉱石を掘り尽くした頃にはインベントリに虹色に輝く鉱石が×99貯まった。いや、ほんと多すぎるんだよ採掘ポイントが。なので鍛冶師の職業に変え、機械の町のダンジョンでイズと入手したユニーク装備を装着して魔法工房を発動した。サイナに鉱石をインゴットにして貰った。
マジックインゴット レア度:7 品質:★6
魔力が籠っているインゴット。強化材にも合成のアイテムにも使える。
合成・・・・・?錬金術のことか?確かに錬金術のレベルはⅩⅩにしてあるから合成はできるが、これも合成アイテム何だな。
「ハーデス、どうしたの?」
「イズ、採掘終わった?」
「ええ!もう大量大量よ。これでしばらく試行錯誤して色んな物を作ってみるわ」
「なら、イズがやろうとしているだろうインゴットにしたこれを見てくれ」
虹色に輝くインゴットと説明文を見せる。
「強化材・・・・・す、凄い」
「具体的にどう凄い?」
「このゲームは防具や武器を作るときに混ぜ込むことが出来る素材、混合素材というのがあるの。そうするとボーナスを付けることが出来るから、戦闘系プレイヤーの皆も強化するために混合素材に必要なアイテムを集めてるの。知ってた?」
「無縁の話だな。今の装備はユニークのだし」
「私もそうだから確かに無縁なことね。で、このマジックインゴットがその混合素材とは別枠の部類に入るわけ」
別枠?
「これは混合素材を必要としない純粋な強化材なの。マジックインゴットだけ装備の能力値を強化に使えるならお手軽でしょ?二つ以上の混合素材を複数集めることもなくなるわけだし」
そう言うことなら確かにすごいことなのかな?あまり普通のプレイヤーのプレイをしている感じがしないから価値観が分からん・・・・・。
「理由は分かった。でもこれで強化に必要な装備って現状あるのか?」
「あるわよ。多分、ユニーク装備でもできるんじゃないかしら?」
すぐさま、闇夜ノ写が強化することが出来るか挑戦してみた。が―――。残念な結果を突き付けられた!
「できる、けど、できないっ」
「スキルのレベルが足りないから?」
それもあるけど・・・・・。
「ユニーク装備に使う強化材の一つがオリハルコンだった」
「あー・・・・・それじゃ無理ね」
オリハルコン、どこかで手に入るのか?ヘパーイストスも認知していたし・・・・・待てよ?
何となく周囲の壁に目を向け、俺はミスリルピッケルを手にして壁に近づいた。そして、思いっきり壁に向かって振るった。壁は削ることが出来た。イズが【植物知識】を取得した時と同じだ。だとしたら・・・・・。
「ハーデス?あ、もしかして・・・・・」
イズも俺の行動の意図を察したか、別の壁でピッケルを振るい掘り始め出した。サイナも俺を見倣って自主的に採掘を始めた。ピッケルの耐久値がなくなるまでし続け、時々場所を変えて壁の中に眠る素材を探すこと一時間。
「おおーっ!」
「わっ、見つけちゃった!」
イズと同時でついに掘り当てることが出来た!考えも同じでお互い見つけた物を手にしたまま見せ合った。
金鉱石 ミスリル鉱石
「ん?ミスリル?」
「そっちは金鉱石なのね」
『スキル【鉱物知識】を取得しました』
取得のアナウンスが聞こえたのは俺だけじゃなくイズもそうで、自然と周囲の壁を見やると・・・・・壁の向こうに眠るアイテムの名前が沢山見えてしまってだな。
「・・・・・イズさんや。ちょっと提案があるんだけど」
「奇遇ね。私も同じなのよ」
お互い壁を向いたまま喋り、それから無言で壁際に寄り・・・・・一心不乱にピッケルを振るい続けた。
―――数時間後。
学校から戻ってきて分身体と交代、夜食を食べ終えてからあの場所の情報は俺に一任したイズを獣人族の里の出入り口まで案内し、リヴェリアやイッチョウも獣人族の里へ案内するべく合流した。俺が獣人族の里へ再び戻った頃には大勢のプレイヤーが宴の雰囲気を醸し出している里の至る所にいて、獣人達による宴を今か今かと待っていた。
「わぉー、本当に獣人族のNPCがいっぱいだ」
「プレイヤーもイベントを参加したいから大勢いるな」
「獣人族・・・・・初めてみました」
興味津々で里を見回す二人の意識がざわつきだしたプレイヤー達に変えざるを得なかった。里の中心に現れるウールが高らかに声を上げた。
「皆の者!我々はこの先一生、里を手放すこともなく安寧の暮らしが出来るようになった!!この大陸を蹂躙する巨大な悪魔のごとき怪物、大陸の覇獣ベヒモスが勇者によって打ち滅ぼされたのだ!!」
感激と感動、歓喜・・・獣人達はもう二度と脅威に怯え拠点を移す生活をせずに済むと歓声が沸いた。
「ベヒモスが滅んだこの日は今日から祭りの日にする!!さぁ、今日という日を祝福して宴を始めよう!!」
次の瞬間。獣人族の宴のクエストがクリアした。報酬は・・・ないか。まぁいいや。それにしてもあの配信以降、100人以上のプレイヤーがこの里に足を運んでくれたのか。ありがたいな。
それからNPCとプレイヤー達がどんちゃん騒ぎだった。里に来てくれたプレイヤー達を祝いに駆け付けてくれた者達だと認識しているらしく、笑い合ってくれた。
「あっ!白銀さーん!」
「獣人族の宴に参加させてくれてありがとー!」
ウールの所へ行こうとする俺に何人かがお礼を言ったり話しかけてくる。相槌を打ちながらやっとのことで話しかけれた。
「長」
「おお、勇者殿!」
「勇者って柄じゃないから普通に名前で呼んで欲しい」
「ははは、ご謙遜を。ベヒモスを討伐してくれたあなたに敬意を込めて勇者と呼ばれるのは必然的です」
もう諦めた。言っても変えてくれないやつだこれ。
「これからもここにはたまにだけど顔を出す。何か困ったら始まりの町で畑を耕しているから来てくれ」
「ありがとう勇者殿。そんな勇者殿にお礼をしたい。―――が、勇者殿にお願いがある」
手を叩き出すウール。その音に呼応して二人の獣人族の戦士が一匹の金色の羊毛を蓄えたつぶらな瞳の羊を連れて来た。幼児ほどの大きさの可愛らしい羊だ。
その瞬間。羊を見たプレイヤー達の間で緊張感が走ったかのように静まり返った。俺もその一人だと自負する。
「長・・・・・この羊は?」
「家畜用に調教したモンスターの一匹だよ。このモンスターの羊毛は暖かくて丈夫でね、毛刈りして服に作っては人間達に売っているんだ」
「因みにだけど、このモンスターの生息地とかは」
「ここからさらに東へ一日かけて移動するといるよ。ただ、その数は激減していてね絶滅の危険性が浮上しているんだ」
絶滅しかけている?
「理由は?」
「空の鳥帝ジズの好物だからだ。奴が存在する限りこのモンスターは何時しかこの世から消えてしまい、羊毛を特産品販売している我々も困ってしまう」
困り果てた顔で言う長の話を聞いていた時―――青いプレートが目の前に出現した。
『メーアの捕獲』
内容:獣人族の里にメーアを50匹以上納品する。
報酬:なし
期限:なし
こ、ここでクエストだと?でも期限なしってのはありがたいか・・・・・。
「わかった。出来る限りジズから守ってこの里にまで届けよう」
「すまない。助かるよ勇者殿!」
YESを選択してクエストを受理したら、金色の羊が俺の足元に寄ってきて身体を擦りつけて来た。
「メェメェ~」
「なんだ?・・・・・って、これは」
名前:メリープ 種族:メーア Lv5
契約者:死神ハーデス
HP:20/20 MP:22/22
【STR 4】
【VIT 17】
【AGI 12】
【DEX 9】
【INT 7】
スキル:【発毛】【雷魔法Ⅰ】【羊雲】【雷雲】【隠れ身】【身代わり】【羊祭り】【風耐性Ⅰ】【金剛】【突進Ⅰ】
「・・・・・?」
何故かテイムしたことになっているメーアとメリープの摩訶不思議なスキルに、目を瞬きしてしまった。
「長。長の頼みはこの場にいる冒険者もやりたいと思っていたら叶うのか?」
「是が非でもない。勿論そうしてくれるとありがたいよ」
「何匹か自分用に調教してしまったら?」
「その時はこちらに羊毛を納品してくれるなら構わないよ」
ほほう、それでもいいんだな。なら、皆にもチャンスがあるわけだ。
「この羊のモンスターはテイム可能だ!クエストを受けたいプレイヤーは順番を守って長からクエストを受けてくれ!」
『―――ッ!!!』
他のプレイヤーに告げた次の瞬間。我先とプレイヤー達が長へ殺到し出す。しばらく俺は長蛇の列に並ぶプレイヤー達の相手をすることになってしまった。
「ははは、凄いことになったね」
「まったくだ。と言うことで俺は始まりの町に戻る」
「はぁーい、いってらっしゃーい」
一度行ったことがある町ならどこからでも転移できる課金アイテムを使用、サイナ達と一緒に始まりの町に戻る。なんせ今日は木曜だ。
「ゆぐゆぐ、大樹の精霊に会いに行くぞ」
「―――♪」
嬉しそうに微笑するゆぐゆぐは俺の腕に抱き着いたまま、精霊の元へ足を運んだ。
「久しぶりですね冒険者」
「久しぶり。今日は彼女を挨拶させたくて来た。ゆぐゆぐ。精霊様に挨拶だ」
「――♪」
「あら。私の眷属ね。精霊を育むとは、天晴です。ふふ、こちらへいらっしゃい」
「――♪♪」
喜んではもらえてるかな? ゆぐゆぐも精霊に頭を撫でてもらって、ニッコニコだ。従魔の中ではお姉さんなんだけどな。こうしてみると外見相応の少女に見える。
「その子を連れて、また来てください」
「わかった。ああ、そうだ。質問いいか?」
「何でしょうか」
光の結晶と闇の結晶を見せる。
「聖大樹の精霊から貰った光と闇の結晶だけど、これはどこに使うべきだ?精霊に関係している感じがするんだが」
「申し訳ないですが、その質問に答えることはできません」
「じゃあ、使えるんだな?」
「答えることはできません」
収穫無し。これで終わりか。特別なイベントとか、クエストもない。ゆぐゆぐを精霊に会わせただけだった。まあ、喜んでいるみたいだしいいか。
畑に戻り、胡桃を見て見ると一つだけ発光している胡桃があった。それを採取するとジーと物欲しそうに見つめてくるリックが・・・・・。
「食うか?」
「キキュ!」
与えると凄い勢いで齧って食べるリックの好物は光胡桃か?だったら、と思ってもう一個あげようとしたところ。
「白銀さーん!」
畑の向こうから呼ぶ声に振り返り、近づくと出入り口にノーフがいた。
「ノーフか。フレンド登録していなかったからログイン状態がわからなかったな」
「それはお互い様ってことで。それで、白銀さんの畑の水田に何か植えているということは・・・・・」
首肯してインベントリから株化した籾をノーフに譲渡する。
「あったぞ、米」
「やった!水田も買ったからこれで栽培できる!」
「頑張れよー。それとフレンド登録しよう」
「願ったり叶ったりだ。じゃ、早速植えてに行きますわ。あ、Gも払い忘れるところだった」
籾を受け取りながら7000Gを払ったノーフは自分の畑に戻ったので、タラリアへ顔を出しに向かうことにした。着くと中々の繁盛で列が出来ていた。並んで待つこと十分ぐらいしてやっとヘルメスの顔が拝めた。
「ヘルメス」
「やぁ、ハーデス。君の情報でかなり買ってくれているよ」
「それは何よりだ。そんなヘルメスに買い取って欲しいアイテムがあるんだ」
「それは何かな?」
マジックインゴット
「強化材のインゴットだ。ミスリルインゴットより使いやすいと思うんだけど、どうだ?」
「・・・・・」
訊ねた俺の話を聞いていないのか、無反応。おーい、と手を振っても眼が一瞬も動かなかった。まさか、バグってる?
「・・・・・ふ、ふふ」
「ヘルメス?」
バグっていなかったが、不穏な気配を漂わせるヘルメスはゆらりと俺の肩に手を伸ばして掴んだ。
「ねぇ、インゴットの元はあるのよね?それを入手した場所を売ってくれるのかしら?」
「売ってもいいけど・・・・・未払いのがまだ何だろう?また払えない金額が加算するぞ」
「大丈夫・・・・・ええ、なんの問題もないわ。今月中に未払いのも含め、ちゃんと耳を揃えて全額払って見せるわ」
それなら、いいけどな・・・・・。
結局は魔鉱石×10個とマジックインゴット×1個を提供、後に未払いも含めて来月の始めに全額払う約束した。もしもできなかったらどうしてくれようかなぁ・・・・・?
「さて、俺も羊のクエストを終わらせに行くか」
【目指せ!羊探索テイマー隊!】白銀の先駆者は伊逹ではなかったスレ1
・他のテイマーさんの子たちを貶める様な発言は禁止です。
・スクショ歓迎。
・でも連続投下は控えめにね。
・常識をもって書き込みましょう
111:ネトラ
獣人族の里の宴、楽しかったなー
112:めぐめぐ
そして新しいもふもふモンスターである羊のメーアちゃんの存在が明らかになった今、私達は東へ進んでいるのです!
113:ライトオン
このブームに乗らないわけがないだろう。
114:プラプラ
そんな考えのプレイヤーは他にもいるわけで、我先と駆け走るプレイヤーの目撃は多いな。俺もその一人だが
115:ソラ
流石に空から移動しているプレイヤーはいないよな。いたらとんでもなく迷惑過ぎる。もう明らかになっているんだから
116:ヒット
次の瞬間。地上を照らす月の光が消えてなくなり、激しい突風が襲ってきた。何事かと思って上を見上げたら・・・・・レジェンドレイドモンスターが襲ってきたんだけど!?
117:ぶっころりー
ちょ、あの野郎!空から移動している奴がいたんだけどそれが原因だろ!
118:めぐめぐ
こ、こっちまで襲ってくる嵐に巻き込まれちゃっているんですけどー!
119:ライトオン
ここは逆の発想を思い浮かべろ。このレジェンドレイドモンスターを倒したら羊モンスターの平和が訪れると
120:ぶっころりー
( ゚д゚)ハッ!!
121:めぐめぐ
( ゚д゚)ハッ!
122:ヒット
倒せばテイマー勇者の仲間入りも間違いなしか。悪くないな
123:ソラ
倒せたらの話だけどな。でも、レイド戦はプレイヤーの楽しみの一つだからやらないわけにはいかないな。他のプレイヤー達もレイドモンスターの登場に攻撃を始め出しているし
124:プラプラ
!?
125:ライトオン
!?
125:ネトラ
何だ今の光。レイドボスに直撃したぞ。
126:ぶっころりー
ビーム兵器!?スナイパーが攻撃したのか!
127:ヒット
まさかの超電磁砲か!?一体誰が・・・・・あっ、ジズが・・・・・
「―――マスター、目標に当たりました」
「ダメージは?」
「皆無です」
「・・・・・超電磁砲を撃ってもこの程度かよ」
獣人族の里から東へ低空飛行で進んでいた時、サイナが突然ジズの登場を報告したので・・・・・超遠距離攻撃はできないかと訊いたら可能だと言い返してくれた結果。機械創造神で超電磁砲を創り上げたのだ。
「この機械兵器、MPだとどのぐらい必要なんだ?」
「変換すると500以上です」
「・・・・・イズにMP装備作ってもらおう」
そう決めた俺は再度射撃を命令する。再装填するための必要なMPが無い俺は―――【悪食】を使って地面でMPを補給することで補う。
「ジズは?」
「攻撃パターンを変え、冒険者達を襲っております」
「よし、時間が経ったら撃つぞ」
超電磁砲は射撃したら三分間のタイムラグが生じる仕様。しかも破棄しても変わらないようで、使用可能になるまでは行動するしかない。
「ところでサイナ。人が乗れる大きなロボットとかは作れるか?」
「可能ですがマスターの場合は必要MPは3000です」
たっか・・・・・!!そして・・・・・造れるのか!!
「創造しますか?」
「できるなら」
かしこまりました。とサイナの身体から溢れ出した機械に呑み込まれ、機械は巨大な人型になっていった。
「お、おお・・・・・」
機動戦士のあの三倍の速度で動くロボットのモデルが目の前に・・・・・。
「ファンタジーはどこに・・・・・」
跪いて手を差し伸べるサイナの意図を汲んで、その手に乗ると胸部が上下に開いてそこに潜るように入ると上にサイナが座っていた。ここはコックピット、操縦席か?
「お座りください。この機械の維持は三分間のみです」
「当然だよな」
サイナの足元に座る形で席に腰を落とすと目の前のハッチが閉じ、外の風景が見える立体的な映像が浮かび上がった。
「俺は何をすればいい?」
「思うが儘に動かしてください。私はサポートを専念いたします。―――この機体を生み出すことこそが、私達の
微妙に危ない思考のサイナの言葉を聞いた直後。アンティーク的な歯車が回っている機械の鍵と目の前に青いパネルが浮かび上がった。
『
格納空間への鍵であり扉でもある機械神が作り出した特殊な腕輪型アクセサリー。
魔力を消費することで格納空間内へと転移可能。
空間拡張術式携帯アクセス装置。このアイテムはインベントリとは別枠の携行可能な最小のシェルターであり、機械神が創造した機械のみ収納できる許容の限界を持たぬ無尽蔵の倉庫である。また
容量制限:無し
・・・・・エエエエエ・・・・・・ん?まだ説明の続きが
・・・・・?今、サイナに心が宿った状態で貢献度ではなく今度は好感度を高めろと言うことか?
でもま、認めてくなら嬉しい限りだ。
「サイナ、この鍵は他の
「その通りでございます」
「そうか。なら、お前の信頼にこれからも応えよう。―――行くぞ」
「はいマスター」
とあるプレイヤーの記述
どこのプレイヤーかは知らないが闇夜に紛れて空高く飛んでいる瞬間を見てしまった矢先、同じ闇色の羽毛を持つ巨大な鳥モンスター、ここ最近話題になってきている白銀さんが語ったレジェンドレイドモンスターのジズの襲来。地上にいる俺達のパーティや他のパーティ、プレイヤー達も例外なく、一方的な蹂躙を成す術もないまま巻き起こした嵐に呑み込まれた。奇跡的に俺はHPの次にVITが高い重戦士職業(大剣使い)だったからギリ一割で生き残れた。ジズを呼んだ馬鹿プレイヤーと嵐に巻き込まれた仲間と他プレイヤーは軒並みにやられて、残ったのは俺だけぽかった。ちくしょう!あんな空飛んでいるモンスター相手に攻撃できるスキルも装備もないってのにどうやって戦えってんだよ!って、悪態をついて今度こそ俺も死に戻りする番かと諦めたその時だった。
「おらぁあああっ!」
そんな声と共に激しくてけたたましい発砲音を鳴らす巨体がジズに迫ったんだ。それは新しい巨大モンスターかと驚いた束の間、空高く飛ぶジズに向かって背中から『ミサイル』を射出したのを見てさらに驚いた。
「ロ、ロボットぉっ!?」
なんでこのゲームにロボット!?え、夢でも見てるのかよ俺!?だけど、ジズは軽やかな動きで避けてはミサイルを翼で破壊した後にこっちに竜巻を放って来た。そしたら―――俺はロボットの手に掴まれて高速移動で竜巻から逃げるように遠ざけてくれた。
「よっ、ラッキーなプレイヤー。羊クエストに行くならあいつの気を引きつけている間に行ってこい」
「お、お前は!?というか、このロボットは何なんだよ!?どんなスキルだよ!」
「それは内緒だ。他のプレイヤーにも言っても構わないが、信じられないと鼻で笑われるだけだろうからオススメはしないぜ」
俺を下ろした後にロボットを操縦するプレイヤーはジズへと背中のブースターに火を噴かせて飛んでいってしまった。そして一進一退、激しい攻防は三分間も続いた様子を見ていたけど、ロボットの姿が忽然と消えてもジズの攻撃は止まなかった。
「これ、皆に教えても信じてくれないよな・・・・・」
あのプレイヤーの言葉通り俺は、運よくジズの攻撃から生き延びれたという話を後日パーティの皆に話した。
ジズの風魔法はサイナに穴を掘ってもらってその中にジッと気配を殺して数分も待っていると、あの鳥はどこかへ去っていったのか風魔法の音がピタリと止んだ。
ウォオオオオオオオオオオオオン・・・・・・ッ
だが俺の考えを否定するかのように獣の遠吠えが聞こえた。このステージに獣・・・・・狼?
気になってしまい穴から出て周囲を見回す。ジズの姿は未だ上空にいるが身体は明後日の方へ向いていた。彼の鳥帝が見ている方へ俺もサイナも視線を送ると、この辺りの草原の丘にいた月光で照らされて幻想的に光る『銀』の獣。牛ほどの大きさで前脚、後ろ脚が血で染めたように真っ赤だった。
「あの狼は・・・・・」
「この世界で三大天災であるベヒモス、ジズ、リヴァイアサンを除いて存在する幻獣種の一種、銀狼フェンリルです」
「幻獣種?」
「太古から存在する三大天災によって種の存続が危ぶまれている幻のモンスター、また元々個体が少ない力があるモンスターの総称。全ての幻獣種達がベヒモス達の目覚めと共に活発的に動きだします」
300年周期で目覚め人類を蹂躙する三大天災・・・はモンスターも蹂躙していたのか。中には絶滅したモンスターもいるというわけなんだな。その代表的なのが幻獣種。
「因みにドラゴンとかは?幻獣種?」
「ドラゴンの種族は幻獣種ではございません」
そう話していると、ジズがフェンリルに向かって飛んで行った。フェンリルも―――と思っていたら駆け出したフェンリルに続いて十数頭の銀色の狼達が続々と現れてジズに牙を剥いた。HPバーがないのに倒せる筈が・・・・・あれ?。
「HPバーが表示されてる?」
もしかして、ジズはフェンリル・・・・・幻獣種と戦わせる、もしくは共闘すれば戦える仕組みになっているのか?なら・・・・・・!
「サイナ、ジズを攻撃するぞ!」
「超電磁砲の使用も可能です」
「撃て、その後は俺の援護に徹してくれ」
了解と首肯するサイナを置き去りに駆けだしてジズに攻撃を仕掛ける。
つもりの俺に数匹のフェンリルが俺の存在に認知するや否や襲い掛かってきた。
「いやま、味方になったわけでもないから当たり前だよな!?」
反射神経と条件反射で噛みついてくる牙、切り刻もうとする爪を躱すために【八艘飛び】で空に逃げたままジズの懐に近づき、HPバーがある状態なら攻撃も通じるだろうと思って―――。
「【悪食】!」
奴の一翼をもぎ取ってみせた。絶叫を上げるジズは俺に風魔法を放つ姿勢に入った瞬間。
「俺だけじゃないぜ?」
後ろから宙を駆ける光がジズの片翼に穴を開けた直後に【エクスプロージョン】!と爆裂魔法で立て続けに攻撃した。その爆発によってジズは地面に墜とされた。
「射撃を開始します」
遠くからガドリングガン兵器を創ったサイナが起き上がり出したジズに稲妻の如くの弾丸を射出する。
片翼で身を守るジズの防御態勢に見守っているつもりがないのは俺だけではない。フェンリル達が一斉に駆けてジズの身体に牙や爪を立てた。見る見るうちにHPバーが4割も減っていくのを認知して、ジズが高々に鳴ったのと同時に月を隠す暗雲が空を覆い尽くした。
そしてジズが発生させた暗雲からゴロゴロと聞こえ、暗雲が雷雲と変わった矢先だった。黒雲から稲光と共に稲妻が地上に降り注いだ。辺り地面の地面に穴が開くほどの威力はフェンリル達にも直撃して、一匹また一匹とポリゴンと化して目の前から消失していく。これがジズの真の力だってのか・・・・・!
「ぐぅっ!?」
稲光を見た瞬間、稲妻が俺にも直撃するも麻痺に対する状態異常は無効なので、ただ強い衝撃が身体に襲ったという感覚を覚えたのみでダメージも皆無。ただし、フェンリル達はそうではなかった。今の雷の攻撃で十数匹もいたのがたったの一匹だけとなっていたのだった。その一匹も稲妻に直撃したもギリギリ耐えたが麻痺状態なのか倒れていこう身動きしなかった。地上に降り注ぐ稲妻の中、最後の一匹に目掛けてジズが稲妻を駆使して止めを刺そうとした。
「そんなことさせるか!」
【機械創造神】で巨大な機械の避雷針を生み出した。勿論、超電磁砲の充電式だ。フェンリルに落雷する筈だった自然の猛威は人の手で生み出された人工の道具によって軌道を変え、俺のすぐ傍の避雷針に直撃する。エネルギーは瞬く間に超電磁砲に貯まったので構えた。
「喰らえよ」
引き金を引いて極太のレーザービームをジズに放った。サイナが開けた翼の風穴に通り抜け今度こそもう片翼を奪い取ってみせたのである。HPが半分となったジズは己の生命に危機を覚えたのか、レイドモンスターとは思えない行動を取ったのだ。―――逃走だ。雷雲へ飛びだってそのままこの場から遠ざかったのか消える雷雲と共に姿を消したのだった。戦闘態勢を解き、避雷針と超電磁砲も消して傍に寄ってくるサイナに話しかける。
「逃げたみたいだがこいつはどうするべきだ?」
「このフェンリルも命の危機でございます。放っておけば死に至ります」
「ポーションで回復できるかね?」
「モンスターなのでポーションの効き目はありません。―――これなら問題ないでしょう」
どこからともなく取り出したのは、見覚えがあり過ぎる黄金色の林檎。あの、それって・・・・・。
「マスターの畑で実った黄金林檎でございます」
「やっぱり!え、リヴェリアは?」
「認知しております。まずマスターにご報告してからということで」
今報告しなくても・・・・・!でも、それしかないって言うんなら・・・・・ちくしょう、このゲームは黄金林檎がないとストーリーも進めれないのかよ!
「・・・・・リヴェリアには謝り通すしかないか」
サイナから受け取り、瀕死状態のフェンリルの口の中に無理矢理押し込んだ。丁度麻痺の効果もなくなったか、俺ごと噛み砕こうと顎に力を入れるが寸前で引き抜いたので噛まれなかった。代わりに黄金林檎を噛んで口の中で広がる果実の甘い汁を感じたか、吐かずそのまま咀嚼するフェンリルを見守ってから少ししてゆっくりとだが一人で体を起こした。
「回復できたか?」
話しかけてもジッと俺を見抜く視線は何かを見透かされている気分だった。だけども、急に何故か牙を剥いて怖い顔で唸り声を上げられる。え、何故に?
「マスターの身体にジズの臭いが染みついているのでは?幻獣種は基本ベヒモス達を忌み嫌っております」
「ジズの臭い?それだけで唸られる・・・・・いや、もしかして」
インベントリからベヒモスの素材を一式、一つずつフェンリルの前に出す。ベヒモスにも蹂躙されているならばこれが原因じゃないかと思ってだ。すると、俺に対して唸らなくなりベヒモスの素材に注視するようになった。それらと俺を交互に一瞥するフェンリルは踵を返して少し俺達から離れると点々と移動しながら何かを加える仕草を繰り返した。しばらくして佇んで見ている俺の前にまで戻ってきてはそれを置いた。ジズに倒されたフェンリル達の素材だ。
「・・・・・お前」
困惑する俺にフェンリルは徐に顔を近づけて来た。額と額が重なるとアナウンスが流れた。え、この流れでテイムじゃないよな?
『フェンリルの牙の笛』を取得しました。
このアイテムを使用するとフェンリルを召喚することが可能になります。使用回数一日一回。
狼を模した笛を手に入れてしまったのだが・・・・・。
「ありがとう」
感謝の意を込めて口にする俺から離れ、丘の向こうへと駆け出すフェンリルの姿はあっという間に見えなくなった後、狼の遠吠えが聞こえた。