バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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神獣 その名は朱雀(1)

 

 

 

時は満ち足り―――。

 

レベルは何とか70と【VIT】は総計4桁は超えるまでに戻せた。この短期間でこのレベルになったのも経験値が2倍得られる称号のおかげだ。へへ、やっぱりクリスタルモンスターブラザーズとのじゃれ合いは経験値が美味いや・・・・・ここまで戻すのに何度死んだり死にかけた事か!!

 

「ハーデス、準備は良いかな?」

 

イッチョウやイズ、遠距離攻撃が欲しくセレーネも誘って、後輩のサリー&メイプル、攻撃力極降りのユイとマイ、そして防御力極降りのイカルも声をかけては、待ち合わせ場所である朱雀と戦える洞穴の前にペイン達もやってきた。本当なら【蒼龍の聖剣】の一員として戦いたかったが、今の状況じゃ次の機会に見送るしかない。

 

「何時でもいけるぜぇ・・・・・今のモチベーションで朱雀を焼き鳥にしてやるんだ」

 

危ない薬をキメ多様な俺は目をギンギラギンで笑みを浮かべ、ペインやメイプル以外はドン引きしてくれた。

 

「なんかヤバい感じになってねーか」

 

「そりゃあ、クリスタルモンスターブラザーズと徹夜で遊びまくったからな。前回の俺に戻りつつあるぜ」

 

「そのおかげで私は全プレイヤーの中で一番高くなっているんですけど―。もう120も超えてるんだよ?」

 

「私はその二番目かな」

 

「よし、今回の朱雀戦は二人に頑張ってもらおう。レベルが高い分、威力も申し分ないだろうしな。他のみんなも四神との戦闘は初だからほどほどの緊張で戦ってくれ」

 

「「「「わかりました!」」」」

 

「ま、足手まといにはならないようにするよ」

 

話しはそこそこにして洞穴の中に入ろうとした俺達の後ろから、赤い集団が一堂に集まった。

 

「お前達は・・・・・」

 

「なるほど、そっちも朱雀に挑戦しに来たのか」

 

赤い長髪と瞳、炎の魔剣を振るい炎属性のスキルや魔法を駆使するプレイヤー【炎帝ノ国】ミィとそのギルドメンバー達がこの日にこの場所に現れた理由は明白だった。

 

「ああ、毎週必ずだ。しかし一度も倒せず、今日まで敗北を繰り返して来た」

 

炎相手に炎で倒すのは酷でしょうに。

 

「あらクロム、久し振りねー」

 

「イ、イズ・・・・・顔が笑ってないぞ?」

 

「ふふふ、その装備を見るとちょっとねー? どうやったら破壊できるか模索中なのよ」

 

イズ、それは俺にも回ってくるから止めてほしいかな。

 

「で、今回は勝てる?」

 

「これまで何度も戦ってきたからな。朱雀の戦闘パターンは熟知していると過言ではない」

 

へぇ、それは凄い自信だ。

 

「ならミィ。朱雀に挑戦するなら俺達も交ぜてくれてもいいか? ダメなら構わない」

 

「なに?」

 

「トッププレイヤーがこうして揃っているんだ。共闘して勝率が高くなるならそうした方がいい。でも、【炎帝ノ国】だけ戦いたいなら俺達が先に戦わせてくれ」

 

俺の提案に【炎帝ノ国】側はざわめき始める。対する【蒼龍の聖剣】側は静かだった。

 

「ペイン達の意見は?」

 

「前回のこともある。やはり人数は多いに越したことはない」

 

「俺はどっちでもいい」

 

「右に同じく」

 

「以下同文だよー」

 

「私は賛成かな? 正直、ヒーラーのミザリーさんがいれば楽になるでしょ」

 

「盾役は多い方がいいわ」

 

イズさんや、そろそろ許してあげなさい。改めてミィに共闘の件を訊くと。

 

「・・・・・相談させてくれ」

 

仲間のもとへ踵を返した。

 

 

 

「聞いた通り、向こうから共闘の提案が持ち掛けられた。皆の意見を聞きたい」

 

「【蒼龍の聖剣】の連中、特に主力メンバーの実力は疑うことはない。だから必ず空から攻撃してくる朱雀と空中戦ができるプレイヤーはどうしても必要不可欠だ。俺は賛成だな」

 

「俺もだ。このギルドはどーしても威力が欠けてあともう少し攻撃力が欲しかったところだ」

 

「せっかくのお誘いですから、黒竜のように協力しましょう」

 

「私も異論はないぞ。寧ろ頼もしい協力者になってくれるなら心強いというものだ」

 

「僕はどっちでもいいよ。でも、考えてきた作戦がかなり変更しなくちゃならないよミィ」

 

 

 

「そちらの提案だが、【炎帝ノ国】は受け入れることにした」

 

「よろしくな。じゃあ、こっちの人数分+五人程空けてくれると助かる」

 

「五人? 他に誰が来るのか?」

 

「いんや、俺の従魔とサイナだ」

 

一緒にここへ来てくれたフェルとセキト、ミーニィにフレイヤとサイナを紹介する。

 

「フェルは俺のスキルで空を移動できるようにする。それ以外のサイナ達は空を飛んだり人を乗せることができる。相手は朱雀だからな。」

 

「・・・・・わかった。少し待ってくれ」

 

【炎帝ノ国】の間で抜けてもらうプレイヤーを選ぶミィ。ここで待つことになったそのプレイヤーに一言残してからこっちに振り返った。

 

「待たせた。それでは共闘よろしく頼む」

 

「二回目の同盟戦だ。また勝とう」

 

【蒼龍の聖剣】と【炎帝ノ国】の共同戦線。その前にたくさんの料理を食べて高いバフを得た状態で洞穴に潜った先に炎の鳥、神獣にして四神の一角である朱雀が静かに佇んでいた。

 

『ようこそ、待っていましたよ資格ある者達よ。最後の相手が私となりましたか』

 

「その通りだ。胸を借りるぞ」

 

『ならば、こちらも手加減は一切しません。最初から本気で行かせてもらいます』

 

戦闘開始! 朱雀が翼を広げて高く飛び上がった。俺も飛びながら【念動力】でフェルを自由に飛べるようにした。

 

「フレイヤ、朱雀を喰らえ! 【挑発】!」

 

『言われるまでもなく喰らい尽くすにゃー!』

 

羽ばたく翼から炎の雨が落ちてくる。避けながら接近して朱雀の懐に飛び込む。

 

 

イッチョウside

 

「ミィさん。今のうちに朱雀の攻撃パターンを教えてください」

 

「わかった。まずは見ての通り翼から広範囲に炎の塊を落としてくる。その炎を消さない限り近くにいるだけでスリップダメージが発生する」

 

「じゃあ、あちこちに燃え広がっている炎を消しますか」

 

「私もっと【多重水弾】!」

 

サリーちゃんとフレデリカさんが水魔法を放ってスリップダメージとして燃え広がり続ける炎を消していく。

 

「他には?」

 

「直接攻撃は危険だ。奴の全身は炎のベールに包まれており、近づくだけでスリップダメージが生じる。物理より魔法の方が幾分かダメージが通る」

 

「炎のベールを纏っている間は魔法か?」

 

「魔法ならスリップダメージ外から攻撃できるからな。そして炎のベールは物理系の攻撃を通用しなくするぞ」

 

ってことは、今ハーデス君は物理攻撃無効の状態の朱雀と戦っているのかな?

 

「ベールを解くには?」

 

「ひたすら攻撃する他ない。朱雀自身の力で守っているから、その守りの力を解くまで消費させる」

 

「ハーデスなら可能だな」

 

同意見と私も頷く。

 

「それから朱雀は自身が放った炎を吸収して体力を回復する。故にフィールドに燃える炎は極力回復させないために消火しなければならない」

 

「ミィさんの火の魔法は?」

 

「奴は何かに燃えている炎以外は吸収しない。プレイヤーの火の魔法、それに準ずるスキルは吸収されないから問題ない。だからそれを行うために朱雀はフィールドをすべて燃やして、燃える私達の炎を吸収する。それが厄介なのだ」

 

うーん・・・・・このフィールド全体を燃やす攻撃をしてくるのかー。止めようがないかな? でも、あるプレイヤー達は不思議と問題ないと断言した。

 

「朱雀を地面に釘付けにすることができるなら、フレデリカのスキルで朱雀の力を封じることができるなペイン」

 

「そうだね。そのためにはまず、ハーデスが朱雀を捕まえなければならない」

 

「フレデリカのスキル? 神獣の力を封じるスキルが存在するのか?」

 

それについては私も同感だと心の中で頷いた。教えて欲しい気持ちも沸いたところ、ペインさんが実際に見た方が早いとハーデス君を見上げた。

 

「ハーデス、青竜の時のように頼めるか!」

 

「サイナ!」

 

阿吽の呼吸。ペインさんの指示をサイナちゃんに指示を出したハーデス君。サイナちゃんは朱雀に向かってロケットランチャーを撃ったらその弾から眩い光が弾けた。私達もちょっと眩しい程度で光から目を隠さないと見上げられない。

 

『この程度の光量、私の目を奪うには―――』

 

「本命はこっちだ朱雀、【天照】【太陽結界】!」

 

一瞬の動きを止めた朱雀の背後でハーデス君が、青竜の時に見せた背中に三対六枚の黄金の翼、背負う五重の円光と頭上に浮かんだ光輪の出で立ちになった。朱雀を閉じ込める光の球状により強制的に地面へ固定された様子に私は双剣を構えた。

 

『この結界は、ラーの!? 青竜もこの結界に閉じ込められて・・・・・!!』

 

「今だフレデリカ!」

 

「わかってる! 【勇者】【星の魔法】!」

 

フレデリカを中心に朱雀のところまで広がる幾重の魔方陣。下だけじゃなくて上の方にも同じ魔方陣が展開していて、朱雀は目を見張るほど事態に見舞われたようだ。

 

『力が消えた、だと? いや、これが勇者の力か・・・!!』

 

「ほら、今の内に結界の中に入って攻撃して! 朱雀の動きと技を封じている間に!」

 

「わかった。色々と訊きたいが目の前の朱雀に専念しよう。【炎帝ノ国】、出番だ行くぞ!」

 

さっき【勇者】ってフレデリカ言ってたからハーデス君が言ってた【勇者】スキルかな。その効果を実際に見るのは初めてだから解からなかったけど、かなり強いスキルじゃん。私も【勇者】スキルを手に入れたくなったよん!

 

「イカル、ユイとマイはこっち! 今の内に話をする!」

 

「「「わかりました!」」」

 

足が遅い女の子達がハーデス君のところへ。イズさんとセレーネさんも自主的に彼の方へ向かい、前回のようにMP補給の担当を始めた。これ、青竜と同じ感じじゃない?

 

「おお~、面白いぐらいに攻撃が当たるなこりゃあ! あの朱雀が防戦一方だぞ?」

 

「ハーデスとフレデリカのスキルが合わさった今、朱雀にとって鳥籠に等しい環境になったんだ」

 

「こっちの土壌に立たせてくれるのはありがたい!」

 

「だが、そう長くは持たない筈だ。そして奴もただ受け身でいるつもりはない。マルクス、朱雀をさらに拘束をするんだ!」

 

「わ、わかった」

 

「ダメージを受けた人は下がってこちらに来てくださいねー」

 

【炎帝ノ国】のプレイヤーが生き生きと攻撃しているように見える。サリーちゃんとメイプルちゃんも果敢に攻撃している。ペイン達は言わずもがな。ところでハーデス君達は何を・・・・・?

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