途中で他のプレイヤーやNPCとも挨拶をかわしつつ、村をだいたい回り終えた。広場に留まらずに村に散ったプレイヤーたちなので、もっとがっついた感じのを想像していたんだが、皆結構フレンドリーだったので余計な諍いは起きていようでよかった。中には俺やモンスに笑顔で手を振ってくれる人までいたし。
村には店は5つしかなく、どこもラインナップは始まりの町とほぼ同じだった。初見のアイテムは果物屋さんの紫柿くらいかな?
最後に、冒険者ギルドに行ってみた。
「ははは・・・案の定、混んでるな~」
混んでると言うか、もう暴動寸前だった。笑うしかないだろこれ。
ギルドの建物がメチャクチャ小さいのだ。村にある他の民家の倍程度の大きさだろう。中に20人も入ったら満員だと思われた。
その建物の入り口の周りを、50人近いプレイヤーたちが取り囲んでいる。順番待ちをしているんだろうが列などはなく、押し合いへし合いで怒号が飛び交っている。
「あれを見たら入る気力がない」
「ム?」
「キュイ?」
「オルトたちが踏み潰される未来しか見えん」
「クマ~」
「―――・・・・・」
ハラスメントブロックのおかげで本当に潰されることはないが・・・・・。あの混雑の様子を見ていると、強く押せば相手を動かしたりはできるみたいだ。ダメージはないと思うけど、やっぱり怖い。にしても、あんなに険悪な雰囲気で、今後協力し合うとかできるのか? 依頼の数が限られてたりしたら、競争になるだろうし。絶対に足の引っ張り合いになると思うんだが。これも運営の罠なんだろうか?
別に上位とかは狙ってないけど、いがみ合ってサーバーポイントが下がっちゃうのは馬鹿らしい気がするんだけどな。
そんなことを考えていたら、オルトが人垣に近づいていってしまった。何をしているのか気になったようだ。んな無防備に行っちゃ・・・・・。
「オルト近づきすぎると危ないぞ」
「ム?」
オルトを引き留めに行ったんだが、一歩遅かった。
「うおぉっ!?」
「ムムー!」
人垣から弾き飛ばされてきたガタイの良い男性プレイヤーに、オルトが吹き飛ばされたのだ。3メートルくらい転がって、目を回しているオルト。
「おいおい大丈夫か?」
「ム~ムム~?」
HPなどは減ってない。大丈夫なようだ。良かった。にしてもここは危険だな。さっさと離れよう。そう思っていたんだが――。
何やら、オルトを吹き飛ばした男が数人の女性プレイヤーに囲まれている。
「ちょっと! なにノームちゃんに酷いことしてんのよ!」
「そうよそうよ!」
「ノームちゃんが怪我したらどうすんの!」
凄い剣幕で男を責めているな。同時に何人かの女性プレイヤーが心配そうな顔で、近寄ってきた。
「あのー、ノームちゃん大丈夫ですか?」
「え? まぁ、大丈夫だ。」
「良かった!でも、白銀さんもこのサーバーなんですね」
「やった、1週間ノームちゃんと一緒!」
どういうことか話を聞いてみたら、なんとこの人たちはオルトのファンらしい。ちょこちょこ動くオルトの可愛い姿を見て、いつもほっこりしているんだとか。
やっぱりうちのオルトの可愛さは万人に伝わるんだな。でも、ここまで人気があるとは思ってもみなかった。そして、俺の白銀さんという呼び名が全然消えない理由もよく分かった。どうも、ノームの飼い主の白銀さんということで密かに認知されているようなのだ。
もういいんだけどね。既に諦めてるし。むしろ有名税だと思えば割と慣れている。
「うちのオルトの心配してくれてありがとう。でもま、俺も不注意だったこともあるし、吹っ飛んできたプレイヤーも後ろに誰かがいるなんて思いもしなかっただろう。オルトも少し目を回しただけで、大丈夫だ。な、オルト?」
「ムー」
大丈夫アピールでオルトがピッと挙手すると、女性プレイヤーたちから黄色い悲鳴が上がった。まじでアイドル並の人気だ。
「あ、あのー。すいませんでした・・・・・」
そこに、オルトを吹き飛ばした男性プレイヤーがしきりにペコペコと頭を下げながらやってきた。その後ろには般若の顔をした女性プレイヤーたちが並んでいる。
男がすがるような目で俺を見ていた。
うわー、なんだかこの男が気の毒になってきてしまったぞ。わざとやったわけでもないし、そこまで怒らんでも・・・・・。
「不慮の事故だ。そっちもあんな野次馬の中から吹っ飛ばされたんだから大丈夫なのかと尋ねる方でもあるさ」
「そ、そうか? ありがてぇありがてぇ!」
男が本気の感謝の眼で俺たちを見ているのが分かる。目も半泣きだし。
「ムム!」
「ほら、オルトも平気だって言ってるしこの話は終わりだ。いいな?」
オルトが男の足をポンポンと叩き、サムズアップする。それを見た女性たちからは再びの黄色い悲鳴が、男性からは安堵の息が漏れた。
お?オルトがまた何かジェスチャーをしているな。
「ムッムッムー」
両手を体の脇に付けて、小さな前ならえ的に前に突き出す。そして、その場でピシッと背筋を伸ばした。
「?」
「??」
他のプレイヤーは、オルトの突然のジェスチャーにポカーンだ。だが、俺には何が言いたいのかわかるぞ。
「だが、やっぱりああやって押し合いになるのは色々と危なそうだし、ちゃんと並んだ方が良いんじゃないか?オルトもそう言いたいんだと思うぞ?」
「ムー!」
やっぱ正解だったか。オルトがウンウンと頷いている。すると、女性プレイヤーたちが途端にやる気になったらしい。
皆で一致団結して、他のプレイヤーにキチンと並ぶように言い始めた。オルトを吹き飛ばした男性プレイヤーもだ。中には余計な真似をするなと怒り出すプレイヤーもいたが、大抵のプレイヤーはその誘導に従い始める。
皆、この混雑をどうにかしたいと考えていたんだろう。それに凄い剣幕の女性陣に逆らえる男なんてそうはいないし。周囲のプレイヤーが大人しく列を作るのを見て、何となく並び始めた者もいる。日本人だねー。うちのモンスたちも手伝っている。やっぱり可愛さは武器なのか、クママやゆぐゆぐに誘導されると、大抵のプレイヤーは従ってくれる。
5分もせずに、冒険者ギルドの前には綺麗な列が出来上がっていた。
「じゃあ、俺たちは行くわ」
さすがに今から並ぶのは、時間が掛かりすぎるだろうし。空いてるときに来ることにしよう。
「またねー白銀さん!」
「オルトちゃんもばいばーい!」
「ゆぐゆぐたん可愛い!」
「クママちゃんちょうだーい!」
「ミーニィちゃんモフモフ!」
何か、色々と声をかけられたぞ? もしかしてオルト以外にもファンがいるのだろうか?だが、クママはやらんぞ!
冒険者ギルドから離れつつ広場を観察してみると、広場にはテントが建て始められている。やっぱり宿に入りきれない人たちは、テントを買って広場で寝泊まりをするつもりらしい。時間が早い気もするが、先に場所を取ろうというのだろう。
しかも見た感じ、テントはそう多くは建てられそうには見えなかった。全部のテントにパーティ6人全員で寝泊まりするというならともかく、ソロや、2、3人パーティも多いだろう。
下手したらテント泊さえ危ういプレイヤーもいるんじゃなかろうか?
俺たちはお爺さんに出会えて本当にラッキーだったな。
「忘れずに果樹園の世話をしておかんとね」
明日の収穫のため、マップを見ながら、果物屋さんの果樹園に向かう。そこはカイエンお爺さんの畑から10分もかからない場所だった。
「近いな」
でも、ここならカイエンお爺さんに教えてもらったため池が使えるだろう。水撒きは問題なさそうだ。分担は俺が草むしり、メリープが草を食べ、オルトたちが水撒きである。
果樹園に植えられているのは、白梨、緑桃、紫柿、青どんぐり、胡桃だった。紫柿だけじゃなく、白梨まであるじゃないか。これ、絶対に欲しいんだけど。
「明日から頼むな~」
そうやって果樹園の世話が終わった後、俺はさらに村を歩き回ってみることにした。マップの穴抜けを全部埋めてしまおうと思ったのだ。始まりの町でもマップを埋めたら橋の下の扉を発見できたわけだしね。
まあ、無駄足だったとしてもいいのだ。従魔たちとの散歩がメインなので。村の北半分のマップを完璧に埋め終わった頃、日が落ち始めてきた。無理するようなことでもないし、そろそろカイエンお爺さんの家に帰ろうかな。
「みんな、戻るぞー」
「ム!」
「クマー!」
「キュイキュイ!」
「――♪」
「メェ~」
クママとオルト、メリープが追いかけっこしながら俺たちの前を進む。ミーニィは俺の頭。ゆぐゆぐは左腕にしがみ付いている。ほのぼのとカイエンお爺さんの家に戻ろうとした俺にフレンドコールが表示された。
「どうしたペイン?」
「・・・・・最悪の事態となった。そちらの宿に俺達も寝泊まりさせてもらえないかな」
「え、一件も?」
「ああ、交渉しても君が確保した場所以外は断られてしまってね」
「因みにどんな交渉したのか教えてもらえる?」
ペインはNPC相手に寝泊まりさせて欲しい、代わりにそちらが困っていること手伝って欲しいことがあるなら自分達が協力すると言ったそうだ。うーん、いきなり訪問してきて快く受け入れてくれる訳じゃないのかな?
「わかった。話の詳細は広場で聞かせてくれ。そこで合流だ」
「助かるよ」
結局、ペイン一行等は広場での待ち合わせを了承してもらったことで俺達も広場は向かった。
「あー、いい風だなー」
不愉快でない程度に強い風が、前方から吹きつけてきた。髪が軽く流される程度の風だ。両手を広げて全身でその風を受ける。
「気持ちいいな~」
俺の言葉を聞いたミーニィとゆぐゆぐも、手を広げて風を受けるような動作をした。
「キュィ~」
「――――♪」
ミーニィは目を細めて心地良さげだ。ゆぐゆぐも俺と同じように両手を広げて、風を全身で受けている。風で巻き上げられたゆぐゆぐの髪の毛が俺の腕をコチョコチョと撫でて、少しくすぐったい。
「ははっ。こそばゆいぞ」
「――♪」
俺が軽く身をよじって笑っていると、それが楽しいのか、ゆぐゆぐが自分で頭を振ったり、頭を俺の腕に摺り寄せてきた。それがまたくすぐったいのだ。
「おいおい、くすぐったいって」
「――♪」
「キュイ!」
ミーニィも混ざり、肩に降りて身体で俺の顔をファッサファッサとくすぐってくる。
「ちょっ、ミーニィって、お前らも・・・・・っ!」
「メー!」
「ムー!」
「クマー!」
ゆぐゆぐとミーニィにくすぐられて笑う俺を見て、楽しそうに遊んでいると思ったのだろう。オルトとクママ、メリープが混ぜてもらおうと、俺の足に抱き付いてきた。
いやいや、お前ら――。
「流石に抱き着かれるとバランスがー!」
「キュイー!」
「――!」
「クックマー!」
「ムムー!」
「メー!」
俺たちは一塊になったまま地面に倒れ込んだ。顔にミーニィとクママのモフモフが押し付けられて気持ちいい。皆も痛そうと言うよりは、楽しそうだった。
モンスターたちとこんな風に遊んだことなかったしな。たまにはこういうスキンシップも良いもんだ。ただ、普通の通りでやることじゃなかった。
プレイヤーだけではなく、NPCの住人たちまでもが俺たちを見て笑っている。
「・・・・・行くぞ」
俺は皆を立たせると、駆け足で広場へ向かった。オルトたちが笑顔で後をついてくる。追いかけっこをしてるつもりなのかもな。
「おお・・・・・」
足を踏み入れた広場にはこれから寝ようとするプレイヤー達が溢れていた。建てられるテントよりもプレイヤーが多すぎてるから寝る順番待ちしてる様子を伺える。
「ハーデス」
「数時間ぶり。ギルドに行けた?」
「皆考えることが同じだからね。時間を掛けて入ったよ」
「俺はあの光景を見て入る気力が削がれたよ。さて、行くか」
ペイン一行をカイエンのお爺さんの家に案内、招いた。
「ただいまー」
「おかえり。夕食の準備ができとるよ」
「ありがとうございます。それと朝話した四人を連れてきたんだが」
「ああ、畑の手伝いをしてくれるなら構わないよ。さ、簡単なものだけじゃが食べようか」
そうは言うが、食卓に並んだ料理はかなり美味しそうな物だった。既にイッチョウとイズも席に座って俺達を待っていた。俺達とペイン達も席に座って机に置かれた料理を見つめる。
兎肉の入ったスープ、トマトが美味しそうなサラダ。焼きナスなど、素朴ながら、食欲をそそる料理たちだ。唯一未見の料理は、平べったい平パンというパンだった。ナンを円形にしたような外見をしている。
「美味しそうですね」
「そう言ってもらえるとうれしいのう。ほれ、そちらに座りなさい」
「はい」
食卓につくと、カイエンお爺さんが何やら紫色の飲み物を出してくれた。ワインかと思ったら、紫柿のジュースのようだ。
それを見て、モンスたちにも食事をあげなくてはいけないことを思い出した。オルトとクママにはジュース、ミーニィには焼き肉、メリープは干し草だな。
ジュースはこれが最後だ。今日手に入れた果物を使って、明日にでも作らないとならない。まあ果物は毎日手に入るはずだし、イベント中は困らないだろう。
「ムムッム!」
「クマー!」
「キュイッ!」
「メー!」
ゆぐゆぐは食事が不要だが、美味しそうに食べ物を貪る弟分たちを見て、楽しそうに微笑んでいる。
さて、俺もいただくとしよう。イッチョウ達も手を合わせた。
「「「「「「「いただきます」」」」」」」
「はい、いただきます」
俺はまず平パンを手に取ってみた。インドのナンぽいのかと思ったが、思ってたよりもモッチリしてるな。千切って、パンだけを口に入れてみる。
「端っこはサクサク、中はモチモチでおいしいですね」
「そうかい? わしらは毎日食べとるから、これが当たり前なんだが。褒めてもらえると嬉しいよ」
「うらやましい」
これってどうやって作ってるんだろうか? イベント終了してからも食べたいんだけど。聞いたらレシピを教えてくれないかな。
「このパンはお爺さんが作ってるんですか?」
お店で買ってきてるんなら、その店の場所を教えてもらおう。
「そうじゃよ? わしがそこのオーブンで焼いてるんじゃ」
やった、お爺さんが作ってるみたいだ。
「どうやって作るんですか?」
「なんじゃ、お前さん料理を作るのかね?」
「まあ、かじった程度ですが」
「ほほう。ならレシピを教えてやるから、夕食を作ってはみんかね? 食材は家にある物を好きに使って構わんから」
「いいんですか?」
レシピ貰えるうえに、料理のレベリングにもなるだろうし、俺としては願ったりかなったりなんだが。
「わしはあまり料理が得意でないでの。やってくれるなら助かるんじゃが」
「いえ、こちらこそよろしくお願いします」
ふふふ、俺の料理の腕が火を吹くな。
「あ、そうだ。観光がてら村の中を歩き回るけれど、この村にしかない綺麗な場所とか言い伝えがある場所、入ってはいけない場所とかある?」
「ふむ・・・・・具体的な事は教えれんが、この村には昔から森で迷った村人を助けてくれる守り神がおる」
「守り神?」
「うむ。もしも出会ったとしても決して倒さないで欲しい。倒してしまったら困ったことになるからの。これ以上の事はまだ話せん。すまないの」
と、興味深い話を聞き食事を終えて二階に上がる。6つしかないベッドにペインが指摘する。
「一人と君のモンスター達の寝る場所は?」
「作ってもらったこれで寝るさ。身体が小さい組はイッチョウとイズにお願いして一緒に寝てもらえば何とかなる・・・・・」
インベントリから取り出した布団を床に敷きながら言った傍から人の身体にヒシっと引っ付くオルト達。この中で一番小さいミーニィですら、自分はここで寝るんだと俺の頭を叩いて主張し出す。
「完全にあなたと寝る気でいるけれど?」
「ははは、まるで子供みてぇな反応じゃねぇーか」
「テイムしたモンスターってのは、随分と懐くもんなんだな」
「・・・・・」
「スクショっと。これ、テイマー専用スレの掲示板に載せていい?」
「ふふふ、微笑ましいわねぇ」
完全に他人事として見ているこいつらをどうしてくれようかと邪な悪戯を考えていたその時。
「ハーデス。君の頭にいるモンスターはドラゴンなのかい」
「そうだぞ。ピクシードラゴンという種族だ。NPCでも小さいドラゴンの存在は認知していた」
「そうか。何時か俺もドラゴンと会って見たいものだな」
「テイムか?」
「可能ならしてみたいところだ。ドラゴンに騎乗できれば竜騎士の職業になれそうだからね。一応、俺は騎乗スキルを取得しているんだ」
なるほどなるほど。竜騎士か・・・・・。
「したことはないが、出来るかミーニィ。巨大化したら俺を乗せることがさ」
「キュイ!」
できる、と首を縦に振って首肯するミーニィ。え、できるのか?
「へぇ、できるんだ?こんな小っちゃくって可愛いドラゴンが大きくなったらどうなんだろうね」
ミーニィを触るために近づいてきたフレデリカ。大人しく触られるミーニィに「ふわっふわだ」と感想を吐露した。
「ペインがドラゴンなら、私は・・・うーん、鳥が丁度いいかな?」
「ジズはどうだ?」
「小っちゃい方がいいよ。ドレッドとドラグはー?」
「俺か?そうだな・・・・・速いモンスターがいいな」
「俺はどうなんだかな。モンスターをテイムする自分がわからねぇぜ」
ドレッドは足の速いモンスターか。これは教えてもいいかな?
「足が速いモンスターなら、フェンリルだったら見かけたぞ」
「「「フェンリルッ!?」」」
「ああ、これが証拠だ」
『銀狼の毛皮』を見せるとペイン達から感嘆の息が零れた。
「マジかよ。このゲームにフェンリルなんていたのか」
「うわぁー、すっごく綺麗な銀色の毛皮ー。触り心地もいいー」
「・・・ちょっと、頑張ってみようかな」
「ハーデス。フェンリルを見つけた場所は?」
「獣人族の里から東の野原。夜間にジズが現れて襲われていたプレイヤーを庇って戦っていたらフェンリルが群れで現れた」
その後の結果、痛み分けと言うよりは惨敗に近い結果で一匹のフェンリルを残してジズを撃退した話を打ち明けた。HPバーが表示されないジズを倒すには幻獣種も戦わせる必要があることもだ。
「ハーデス。レベルは幾つだい」
「メインの重戦士の大盾使いは38、ジョブのテイマーは21」
「ベヒモスを倒した時のレベルは?」
「んと、24だったかな」
ペイン一行、何故か唖然とした表情を浮かべだす。
「いやいや、24レベルでレイドボスを倒したって・・・・・ステータスの方針どうなってるわけ?」
「一応、防御極振り!」
「「嘘吐け!!?」」
一応っつったろ一応って。
「そん時以前からスキルや称号でステータスとポイントが2倍、3倍状態だったから実際24レベル以上だったんだよ。そんでHPとMP、各ステータス100台以上の装飾アイテムを装備しているから更にレベル以上のステータスだ」
リヴェリアから貰った指輪を魔法使いであるフレデリカに詳細の文章を見せれば、ぎょっと大きく目を見開いた。
白妖精の指輪
レア10 品質:★10 破壊不能
【INT+100】【HP+100】【MP+200】
自然回復:装着者のHPとMPの数値を毎秒最大5回復。
「な、何これっ!?私が欲しいんだけど!」
「あげないから。で、人にレベルを尋ねたペインもレベルはいくつよ」
「36だよ」
「前線の攻略組って30台?」
「大体はそうだね。レベルが40を目前としているプレイヤーは俺が見た限り君しか知らないよ。攻略組でもない君が一体どうやってそこまでレベルを上げたのか興味が沸いた」
「うーん・・・・・あれ、毒竜以降ボスモンスターしかレベルを上げていない気がする」
言うなれば機械神とベヒモス、こいつらだけで38まで上げた。勿論普通のモンスターも倒してるぞ?ただ、初期のエリアのモンスターだとちょっと・・・・・。
「今度はジズを倒すつもりでいるのかな」
「まぁ、そんなとこ。また勇者の称号を取得したらどうなるのか気になるし」
「・・・・・勇者の称号?」
「ああ、うん。HPとMP、各ステータスに振る1ポイントが3倍になる効果の称号な」
次の瞬間。寝室が静寂な雰囲気に包まれ、俺は失言したと気付いた矢先。
「・・・・・その話、他のプレイヤーにも言ったのか?」
「いや、全然?」
「レベルに見合わぬ強さってのは本当のようだな」
「もしかすっと、全プレイヤーよりも強いんじゃね?」
「VIT極振りってことはもしかすると4桁いってるんじゃ・・・・・」
お、フレデリカ。正解だ。
「あともう少しで5桁超えそうな所まで増やしてるぞ」
「えっとー、お城の強度かな?」
「いやいや、完璧に要塞の域だよん」
こらそこ、要塞言うな。
「んじゃ、この話は終わりな。本題に入ろう」
「お爺さんの話の内容だね?ハーデス君」
イッチョウの指摘に頷く。
「そ、このイベントの背景がちょっとだけ見えた」
「守り神の具体的な話は聞けなかった理由は?」
「この村に対する貢献度じゃないか?あのお爺さんの口から『まだ』と言う言葉が出るぐらいだ。守り神は恐らく村の外、山の中にいると思う。守り神を倒したら個人のランキングは上がるがサーバーの順位は下がるかも」
ペインを除くドラグ達がペインに視線を向けた。
「守り神の話、聞いてなかったら知らずに倒してたかもな。主にペインがよ」
「言えてる」
「そうだねー。一人であっという間に倒しちゃうんだもん」
「否定はできないね」
流石攻略組。後先考えず倒しちゃうのは戦闘狂故か。
「ということでイッチョウ。明日、守り神を見つけてくれないか?」
「りょーかい!」
「じゃあ、私はこの話を他のプレイヤーの皆に教えて回るわね。個人のランクしか貢献できないし」
「ん、ありがとうなイズ。それじゃ、そろっと寝るか」
「ムー!」
「クマー!」
「キュイ!」
オルトたちが一斉に俺にダイブしてきた。ゆぐゆぐもいつの間にか俺の横の位置をキープしているし。
枕元のミーニィはともかく、他は寝苦しくないのか? 俺はシステムで勝手に睡眠状態になるだけだから、多分関係ないけど。
まあ、好きにさせよう。結局、右にゆぐゆぐ、左にオルト、枕元にミーニィ、足元にクママ、腹の上にメリープという形で落ち着いた。いやメリープおま、地味に重いんだが・・・・・。
「・・・・・私達、何を見せられているんだろう」
「ある種のハーレム状態?」
「うっさい、俺は寝るな?お休み」
皆の頭をそれぞれ撫でてやってから、俺はベッドに横たわった。そして睡眠時間を決めるウィンドウに6時間と入力し、決定する。
「おお、本当に眠気が――」