イッチョウside
天空の城にある「世界の神社」。その前に集まっている私達は米を奉納し続けて50個以上も手に入ることができた。
「それじゃ、ヤマタノオロチ戦を始めるぞー!」
おおおー!!
チャレンジするメンバーの士気が高い。攻略方法も教わったから勝てなくはないモンスターを倒して強くなりたい気持ちが伝わってくるね。
「ハーデス君達はお酒で酔わせて眠らせた話だけど、私達の場合はどうなるだろうねぇ?」
「それ以前にリヴァイアサン並みの大きさ相手にどうやって飲ませる気なんだろう」
「まぁ、実際に戦いながら探るしかないよ」
私と同じく参加するペイン一行のフレデリカが隣で私の呟きを拾って言い返してくる。そして待っているとレイド戦が始まった。場所も転送フィールドに転送され、報告通り八つの大きな鳥居と大きな建物があって―――。
「マジでリヴァイアサン並みの大きさだぁっー!?」
「とにかく神酒を飲ませろ! 飲ませて酔わせて眠らせるんだ! それしか勝機はない!」
「本当にHPがない・・・・・たった四人でよく勝てたなタゴサック達」
さーて、どうやって飲ませようかな! 口を閉じて舌を何度も出し入れする巨大な蛇相手を見上げる私の目の前で、攻勢に出る勇敢な仲間の後ろ姿が映る。あ、口を開けた!
「今だ!」
神酒の壺を抱えていた味方が豪快に開いた口へと放り投げた。間違いなく口の奥に吸い込まれて、呑み込んだ際に口を閉ざした一頭のヤマタノオロチが・・・・・不意に力を失い地面に横たわって動かなくなった。
「本当に酔っぱらった!? あ、HPが浮かんだぞ!!」
「同時に飲ませなくてもいいみたい! 今の内にHPを削らなきゃ!」
「事前に決め合った班分け通りに動くぞ! どうにか神酒を飲ませる班と一方的にヤマタノオロチを攻撃する班に!」
はい、その一方的な攻撃をする班にペイン達と私も含まれております。連続攻撃と瞬発力ある高火力が出せるプレイヤーを選出した結果で決まった私達は、すぐさまHPが浮かんだ一頭のヤマタノオロチに攻撃を繰り出し、HPを削り切った。
「おし、ただのデカいだけの置物に成り下がる相手に苦労はねぇな」
「油断するなよ。相手はレジェンドレイドモンスターだ。最後はとんでもないしっぺ返しが来るかもしれないぜ」
「それをたった四人で攻略した仲間がいるんだ。俺達も負けてはいられない」
「話し合っている場合じゃないよ、突っ込んでくる! しかも速い!!」
大きく口を開けて私達を捕食しようとして来るヤマタノオロチから逃げる。でも、後方にいた仲間達の方まで止まらず進んで行ってしまい―――!
「うぎゃああああ!?」
「う、うわぁああああ!」
「た、ただでは死なないぞ! 俺ごと神酒を食らって酔っぱらえニャー!!」
たったの一回の捕食で仲間の数がかなり減らされた。最後、自滅覚悟で喰われたプレイヤーが神酒を抱えて自ら食べられたけど・・・・・あ、酔っぱらった。ああいうやり方でもありなんだね。
「喰われた仲間の弔い合戦じゃー!!」
「うぉおおおー!! お前を酒にして仲間の墓に掛けてやるぅ―!!」
「くらぇー!!」
あははは、皆楽しそう! ハーデス君も参加していたらよかったのになぁー。
「あっちも一頭を倒したみたいだ」
「残りは五つか、こっちが全滅かあっちが全滅か。案外中々シビアじゃねぇか?」
「攻略のし甲斐があるよ」
「だーかーらー、話し合っている場合じゃないってばー!」
文句を言うフレデリカの言う通り、またしても凄い勢いで突っ込んでくる。今度は口を閉ざしたままのヤマタノオロチから回避するしかなかった。その後、ヤマタノオロチが動きを変えだした。高く首を持ちあげて私達を見下ろす形になったと思えば。まるで隕石のように突っ込んできて地面を穿った!
「あぶなっ!?」
「こんな攻撃パターンがあるのかよ!」
私達のところにも当然のように突っ込んできて回避するその最中、分析していたペインが自分の考えを口にした。
「きっとHPの減少で攻撃パターンが変わる代わりに、減った頭の数で攻撃パターンが変わるようになっていると思う」
「全部酔わせてから倒したハーデス達が知らないパターンじゃんこれ!」
「その分、たった四人、三人は酒造りに、一人でヤマタノオロチを食い止めて三時間も掛かって倒したんだよねぇ。―――だからって私達がそれを言い訳にして勝てなかったって言える?」
「「「「言うわけがない」」」」
即答ですか。生粋の負けず嫌いさん達だねぇー。
「ハーデスがいたから勝てたって思われたくはねぇよな」
「同感だ。あいつがいなくても勝てることを証明してやらぁ」
「やってやろうじゃん」
「この一戦で俺達も強くなろう」
気合を入れ直した四人と話をしている間にヤマタノオロチはまた首を高く伸ばし、こっちに突っ込んできた。
「いちいち躱すのは面倒だ。破壊不能のモンスターだからってノーダメージだろうが、他は通用するだろ!」
ドラグが「おらー!」と方天戟をフルスイングしてヤマタノオロチの鼻先に当てると豪快な爆発と同時にノックバックの効果を与え、突っ込んできたヤマタノオロチが私達からずれて地面を穿った。
「どうだ!」
「なるほど、ノックバックなら通用するんだ。地味に新発見じゃん?」
「ダメージは0だがな」
「今は持ちうる全てを使う時だ」
ペインには同感。なので私も持ちうる全てを使って生き残っている皆とヤマタノオロチを挑んだ―――。
「で、惜しくも時間切れで負けてしまった、と」
「・・・・・はい」
日本家屋で寛いでいたハーデス君に敗北の結果報告をした。時間制限時間までに倒せってやっぱりキツイにもほどがある! ハーデス君達は3時間で倒したって言ったけど、実際は2時間59分ってことだったし!
「最後の頭まで倒したんだよ? でもあそこで、振り出しに戻す自己再生するとかありえない!?」
「もうその辺りが運営の悪意と悪戯が籠っているとしか思えんわ」
ですよねー!? 7つの頭が再生するとか、もうあの時の皆が怒り狂ったのも仕方がないと思う!
「でも、皆のおかげで色々と発見があったらしいじゃないか。勝てなかったのは残念だが凄いじゃん」
「もっと褒めて、慰めてください!」
「はいはい」
私の要望に性転換したハーデス君の胸に顔を埋めて抱きしめてもらっている。あんなに頑張ったのに運営の残酷で邪悪な設定で負けてしまった私は悔しくてしょうがないよん! だからこの柔らかい胸から香る好い匂いを堪能しながら、悲しみを癒させてもらっている。
「・・・・・ううー」
だからねイカルちゃん。大好きなモノを取られた寂しい顔をしないで。ちょっとあなたのお姉ちゃんに慰めてほしいだけだから、ね?
【運営】打倒ヤマタノオロチPART1【絶許】
23:アメリア
何度思い出してもあれは酷すぎる! なんであの土壇場でさぁー!
24:イワン
ほんとマジそれな
25:メタルスライム
ここまで悔しいのと怒りと絶望を抱いた日はない
26:石田
くそー! 次は全部酔わせてからこの恨みを晴らしてやらぁー!!
27:赤星ニャー
となると、現地で酒を造るパターン?
28:タゴサック
お前ら、大変だったようだな
29:ノーフ
お疲れさん。残念な結果だったな。でも次は勝てるだろ
30:佐々木痔郎
まぁな。戦って色々と分かった。攻略方法は全部眠らせてから攻撃するのが正攻法だと。神酒で酔わせることもできたしな
31:タゴサック
マジかー
32:ノーフ
それは俺達も知る由もない情報だな。次も神酒で酔わせるのか?
33:オイレンシュピーゲル
次もあったらそうしよう! で、白銀さん達はどうやってそうしたんだ?
34:タゴサック
教えただろ。鳥居を潜らせた状態で酔わせたって
35:エネルジー
鳥居? 確かに鳥居はありましたけど、潜らせる必要あるんです?
35:メタルスライム
≫34 酒で眠らせてから倒したとしか教えられていない。鳥居の件は一切触れていないぞ二人共
36:ノーフ
・・・・・すみませんでした
37:タゴサック
すまない・・・・・情報提供不足のまま戦わせてしまったのか。責任を取るために次回は俺達も参戦するよ。勝手がわかっているから前回より速く蔵で酒を造れると思うし
38:ウルスラ
だったら心強いわね。神酒で同時にヤマタノオロチを全部眠らせるのは無理なのはわかったし
39:宝生覇王
酒造プレイヤーの協力の件は?
40:アメリア
無しでいいんじゃない? 拘るつもりはないけど、皆がよければこの一件ギルド内で解決したいし
41:ふーか
さんせーい。そして次は料理バフを付与してからでもいいと思う
42:マルカ
そうしようそうしましょうか! なんなら白銀さんのクママちゃん達に応援してくれたらやる気が漲る!
43:オイレンシュピーゲル
その考えはなかった!? 今なら会話が成り立つし名前を呼んで応援してくれるし!
44:ウルスラ
オルトちゃんもね!
45:アメリア
うぉおおー! 燃えてきたぁー!!!
46:メタルスライム
忘れていた。このギルドの大半は白銀さんの従魔ファンが占めていたことを
47:佐々木痔郎
でもさ、人数制限があるから全員は無理だろ。連れて行かず勝った後で祝勝会兼白銀さんの従魔とのふれあい会+労いをするパーティでもセッティングすればいい
48:赤星ニャー
お、お前・・・・・なんて天才発言なことを言うニャー・・・・・!?
49:死神・ハーデス
当人がいないところで勝手に決めないでもらえるかなー? (ゴゴゴゴゴ・・・・・!!)
50:チャーム
白銀さん!?
51:ネネネ
あー・・・・・怒ってるっぽいよーお侍さん。切腹案件ではー?
52:佐々木痔郎
え、えっとぉ・・・・・(汗)
53:死神・ハーデス
だが、それがお望みなら最短で2時間以内に倒したらふれあい会なるものを許可する。ノーフとタゴサックも、あとイカルも協力するならギリいけるだろ。ペイン達もいるんだからなおさらな
54:つがるん
え、いいんだ!? でも2時間か・・・・・イケるか?
55:アスカ
きっと大丈夫! 勝手が判っている今ならむしろ長い方だと思うよ!
56:スケガワ
今度はキッチリ全部眠らせてからの戦い方にすればいけるでしょ! な、ノーフとタゴサック
57:宝石姫
次こそは必ず!
58:テイオー
覚悟しろ大蛇ー!
59:タゴサック
そうだな。神酒で眠らせても倒さないでいるのもいいだろ
60:ノーフ
情報不足の責任は全員がヤマタノオロチに打ち勝つまで協力するよ
61:死神・ハーデス
現地で酒を造るなら防御に徹する以外、手出しはしないが俺も参加するかな
62:メタルスライム
最強の盾が来るなら心強いこの上ないな
63:佐々木痔郎
その対なる矛もいるからさらに頼もしさも増すぞ
64:死神・ハーデス
それと、ヤマタノオロチのレイド戦の情報を公開していいか?
65:アメリア
問題ないよー! というか、知り合いを介してどうやってできたのか知りたがっていたので丁度いい!
66:オイレンシュピーゲル
最初の発見者は白銀さん達だから好きに扱ってくれてもいいしな
67:石田
別に隠し事する必要があるわけじゃないなら構わないと思うぜ
68:死神・ハーデス
ん、ならタラリアに報告する次いでにもう一つ。まだ神酒を持っているか。今なら神酒持参でドワルティアの城に出入りすることが可能になるぞ
69:宝生覇王
え、マジで!? 入っていいのあの城に!
70:テリル
うわー、使っちゃったよ! えっと、それって他の皆が持っている時でも、持っていないプレイヤーも入れたりする?
71:死神・ハーデス
【蒼龍の聖剣】限定で入れる。俺の身内で神酒を持ってきてくれるなら城の出入りを許可するとドワーフの王様からの話だ。単独はともかくパーティなら入れると思う。まー入れない場所もあるし、出入りが可能になっても飽きないほど面白味があるとは限らないが、一度は行ってみてもいいと思うぞ
72:宝石姫
お城の中に宝石とかありますー?
73:死神・ハーデス
それは断じてない。鍛冶師プレイヤーなら興味ある工房すら入ること許されない。記念程度に思ってくれていい
74:メタルスライム
どちらにしろ、白銀さん以外入れなかった城に入れるなら行っても損はないだろう。俺達のパーティはこれから向かってみるとする
75:タゴサック
俺も行ってみようかなー。物のついでにドワルティアで何か新しいのがあるのか探してみるのも悪くない
76:死神・ハーデス
じゃ、俺はお先にお暇させてもらう。ああ、そうそう佐々木痔郎
77:佐々木痔郎
なんだ?
78:死神・ハーデス
ちょっとツラ、貸せ。人の従魔を勝手に断わりもなくダシに使おうとしたお仕置きをする
79:佐々木痔郎
ヒェ・・・・・!!
80:ネネネ
やっぱり切腹案件ー?